#メーカー
TEXT:桃田健史
中国にはBYD以外にも多数のEVメーカーが存在! BYDの成功で日本に押し寄せることはある?

Zeekrが日本参入を表明 まさか、ここまでBYDが一気に日本市場に浸透するとは。そう思っているユーザーは少なくないだろう。 BYDは、まだコロナ禍だった2022年7月に、日本市場参入を発表。その時点では「BYDって何?」「中国車の性能はどうなの?」「ちゃんとメンテや補償はしてくれるの?」といった、ユーザーやメディアの声があった。 ポジティブ、またはネガティブというより、未知の領域というイメージを、多くの人が中国車に対してもっていたといえるだろう。 その後、BYDは横浜赤レンガ倉庫を起点とした「ATTO 3」の期間限定試乗会とあわせて、日本への投入予告として「DOLPHIN」と「SEAL」を展示して話題を呼んだ。全国各地にディーラー網が徐々に拡大していき、有名女優によるテレビCMが流れるようにもなった。 直近では、東京お台場で1月24日、乗用車・商用車部門合同の事業方針発表会を実施して、日本市場での事業ロードマップを披露している。 このように、ふと気がつくとBYDが日本の街なかを走ることに違和感がなくなってきている状況だ。むろん、ユーザーの間でBYDの商品性に対して賛否両論あることは当然だ。これからは、長期間所有した際の車両性能、そしてリセールバリュー(中古車価格)など、ユーザーのBYDに対する関心事が広がっていくことになる。 こうしてBYDが切り開いた、日本における中国車枠は今後、どう変化していくのだろうか。BYDに次ぐ中国メーカーが日本市場に続々参入する可能性はあるのだろうか。 現時点で正式に日本参入を表明しているのは、Zeekr(ジーカー)だ。2025年にSUVやMPV(マルチパーパスビークル)を皮切りに販売計画を練っているところだ。 すでに一部の日本メディアが中国で実施されたZeekrの商品説明会を取材しており、Zeekrの企業として、また商品としてのポテンシャルの高さが紹介される記事が出まわっている。 また、中国地場大手の第一汽車に関連して、高級ブランド・紅旗(こうき)を国内販売する動きがあったが、今後の動向について具体的な方向性は確認できていない。 そのほか、中国メーカーといえば、上海汽車、東風汽車、長安汽車、吉利汽車、長城汽車などがあるが、こうした従来型のメーカーが日本市場へ参入する可能性はあまり高くないように感じる。 一方で、ベンチャー企業では日本市場に対して斬新な手法で参入することも考えられなくはない。たとえば、IT関連産業を手掛けるシャオミなどだ。 いずれにしても、企業活動の枠を越えた、日本と中国の政治的な2国間協議を踏まえると、中国車の日本参入動向を予測することは現時点で極めて難しいといわざるを得ない。

TAG: #メーカー #中国
TEXT:琴條孝詩
クルマで儲けないでソフトで稼ぐ! EVメーカーが狙う「新たな」クルマのあり方とは!!

さまざまな施策は新たなビジネスモデルへの布石 近年、EV(電気自動車)の販売競争は世界的に激化している。とくに中国メーカーの台頭が目立ち、価格競争が熾烈を極めるなか、テスラやBYDなどの大手EVメーカーは、大幅値引きや金利0%キャンペーンを実施し、シェア拡大を狙っている。これらの施策は単なる販売促進策ではなく、新たなビジネスモデルへの布石といえるだろう。 <ハードウェアからソフトウェアへの価値転換> テスラが2024年6月まで実施した0%金利キャンペーンでは、Model 3 RWDの購入に際し、金利負担をなくすことや補助金の活用により、総額80万円以上の恩恵を受けられた。現在は、3月末までに納車されるModel Yの在庫車とModel 3を購入すると5年間スーパーチャージャーでの充電料金が無料になるというキャンペーンをやっている。 BYDも本体価格を割安に設定し、CEV補助金を活用して手に入れやすい価格戦略を打ち出している。これらの積極的な価格攻勢は、第一義的には単に販売台数を増やすためだけでなく、顧客基盤を早期に確保する意図がある。 また、従来のICE(内燃機関)車とは異なり、EVはハードウェアよりもソフトウェアで収益を上げるビジネスモデルへと移行しつつある。クルマ本体の販売価格を抑えることで、より多くの顧客を獲得し、アフターサービスやサブスクリプション型のサービスで継続的な収益を得ることを目指しているのだ。 そのほかEVメーカーにとって、販売台数を増やすことは単なる収益向上だけではなく、クルマを通じて得られる膨大な運転データや利用者情報を収集し、活用することが重要な目的となっている。 これらのデータを分析することで、ユーザーのニーズや嗜好を深く理解し、より魅力的な製品やサービスの開発につなげることができるのだ。加えて、自動運転技術の向上やMaaS(Mobility as a Service)の実現にも欠かせない要素となっている。

TAG: #メーカー #販売促進
TEXT:桃田健史
BYDが強いのは「バッテリー技術」が手の内にあるから! 今後も「自動車メーカー以外」がEVの世界で躍進する可能性は大

変化が起こる可能性は十分ある EVでのコア技術といえば、駆動用の大型バッテリーだ。 見方を変えると、バッテリー技術を得意とする企業がEV市場を仕切るようになるのか、といったイメージをもつ人がいるかもしれない。 もっともわかりやすい事例が、中国BYDだ。 この数年でグローバル販売台数を急激に伸ばし、2024年にはついにホンダ超えを実現しまうほどの成長を見せた。 そのBYDをテレビやネットで紹介する場合、「電池メーカーとして創業した」を報じられることが多い。確かに、そうしたルーツがあるにせよ、BYDは中堅自動車メーカーを買収することで、それまで社内に蓄積がなかった自動車の設計・開発・製造の技術をものにして、プラグインハイブリッドやEVの量産を始めたという経緯がある。 筆者はこうしたBYDが成長していく様を中国現地で見ながら、これまでBYD各モデルと世界各地で接してきた。 そうした経験を踏まえると、BYD躍進の背景には、電池技術を「手の内化」していることがコスト面での強みになっていることは確かだといえる。 ほかの電池メーカーを見た場合、彼らが主導してEVプラットフォームを確立するという明確な動きはないように思う。 一方で、直近では日産絡みの報道でよく登場する台湾の鴻海(ほんはい)のような、電気製品やEVなどをメーカー側から委託されて、製造に向けたトータルパッケージ化する企業の存在も目立つようになってきた。 だが、そうしたポジショニングにあるグローバル企業はけっして多くはない。 では、自動車部品大手はどうか? ドイツでは、ボッシュやコンチネンタルというツートップがいるが、彼らもこれまでEVや自動運転技術など次世代自動車の基幹部品を製造しながら、EVプラットフォームという発想はコンセプトとしては存在するものの、量産に向けた商流を真剣に構築しようという動きはないのように思う。 そうとはいえ、EVと社会を結びつける基本体系であるエネルギーマネジメントという大きな括りのなかでは、EV本体の製造にかかわるサプライ側の中核企業が、EVプラットフォーマーへと変化していく可能性は十分にあるはずだ。 それは、バッテリーメーカーに限らず、半導体メーカーであれ、またはデータ通信企業であれ、1社ではなく複数社による連携体が自動車メーカーとビジネスモデルについて対等な立場で協議することも考えられるだろう。 いわゆる、100年に一度の自動車産業大変において、EVプラットフォームに対する商流の変化が起こることは十分にあり得る。

TAG: #バッテリー #メーカー
TEXT:桃田健史
中国のEVバブルは終了! 雨後の筍のごとく登場したEVベンチャーは淘汰され「ホンモノ」だけが残る

EVメーカーの競争が激化 中国のEVといえば、BYDを筆頭として日本ではあまり馴染みのないさまざまなEVブランドが混在している。だが、そうした新興EVメーカーの栄枯盛衰はあまりにも早い。少し前まで人気を誇っていたはずなのに、いつの間にかブランド自体が消滅したり、またメーカーそのものが経営破綻するケースもある。 背景にあるのは、過剰な競争環境だ。 時計の針を少し戻すと、中国でのEV市場が産声を上げたのは、いまから15年ほど前だ。2000年代後半から2010年代にかけて、中国政府はEV事業の推進を国家戦略として打ち出した。 最初は、3つの国際行事をターゲットとした。2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博、そして同年に広州で開催されたアジア競技大会だ。 これら3大行事では、都市部でのEVバスやEVタクシー、さらに会場内での小型EVなどを導入。中国の自動車産業が新世代に移行するという印象を、中国の国内外に向けて強く発信した。 これを土台として、続く2011〜2015年に国家戦略「第12次5ヵ年計画」の中核に、EVの開発と普及を掲げた。 その実現に向けては、海外メーカーとの合弁企業におけるEV共同開発を中国政府として後押ししたり、そこで集積した技術を国家機関のなかで分析・解析した。そのほか、中国の国家自動車研究所である中国自動車技術研究センター(CATARC)などが、グローバルEV市場の状況を把握しながら、独自にEV研究開発を進めた。 そうしたなかから、乗用車向けのEVベンチャーになるような技術の芽が育ち始めた。また、中国におけるEV市場の将来性を見込んで、欧米メーカーのEV研究開発者らが中国系の投資家などから資金を調達して、EVベンチャーを設立する動きも加速した。 こうして中国におけるEVベンチャーが活躍するステージが整い始めたころ、欧州を起点とするESG投資に起因するEVシフトの大波がグローバルで一気に広がった。 ESG投資とは、従来のような財務情報だけではなく、環境(エンバイロメント)、社会性(ソーシャル)、そしてガバナンスを考慮した投資のことだ。 このESG投資バブルが中国EV市場にも大きな影響を与えたのが、2010年代後半から2020年初頭にかけてだ。 だが、ESG投資バブルが弾けるのと時を同じくして、中国の国内経済が低調となり、結果的に中国のEVベンチャーの淘汰が進んだといえよう。 中国EVベンチャー乱立時代は終止符を打ち、真の技術力と経営能力、さらに政治力をもつブランドのみが生き延びている。

TAG: #メーカー #中国
TEXT:桃田健史
自分のEVが積んでる「電池のメーカー」がわからない! 最近自動車メーカーが「バッテリーのサプライヤー」を公表しないワケ

2010年代半ばから状況が一変 「このEV(電気自動車)、どこのメーカーの電池を積んでいるんですか?」。 ユーザーが新車販売店でそう聞いても、販売担当者は「メーカーが公開していないので、こちらではわかりかねます」と回答する場合が少なくないだろう。 これは販売店担当者の言い訳ではない。報道陣向けの新車試乗会や発表会の場で、EVの開発担当者に対して報道陣が聞いても「サプライヤー(製造メーカー)については公表しないことになっています」といわれるのが当たり前になっている。 それでも、海外メディアのなかには、各メーカーが搭載する電池メーカーについて、関係者の話として掲載する場合がある。ただし、技術面や事業面に対する経営判断によって、電池のサプライヤーが変化する場合もあるため、ネット上の情報の正確性を問うのは難しい。 時計の針を少し戻してみると、EVが大量生産されて世に出始めた2000年代後半から2010年代前半頃までは、EVを手掛ける自動車メーカーは搭載する電池について、いまと比べるとより多くの情報を開示していた印象がある。 たとえば、「リーフ」を世に送り出した日産は、NECトーキン(当時)との合弁事業を立ち上げ、日産社内で電池技術を手の内化(てのうちか)を強化した。 海外では、メルセデス・ベンツ(当時ダイムラー)は、電池の材料、電池セル製造、電池パック製造それぞれでドイツ国内企業とパートナーシップを組んで、自社グループ内で電気技術の熟成を加速させることを試みた。 また、円筒形の電池を数千本も使って電池パック化するテスラは、パナソニックと連携しながら円筒形電池の技術革新を進めた。 そうした状況が、2010年代半ばから後半にかけて大きく変化した。背景には、欧州、アメリカ、中国の間で政治的な思惑による環境関連事業などに対する投資が活発化したことが挙げられる。 この影響によって、自動車メーカー各社は製造する国や地域によって、同じ車種であっても採用する電池メーカーが違うケースが出てきたり、または長年取引のある電池メーカーとの契約を終了することもある。 さらに、直近では全固体電池について、自動車メーカー各社が自社で基礎研究や量産開発を進め、場合によっては化学関連メーカーとパートナーシップを組むこともある。 事例としては、トヨタと出光との連携が挙げられる。 このように、EVが本格普及に向けた準備期間から、中・長期的に見れば普及に向けて大きく市場拡大しようとしているいま、自動車メーカーと電池メーカーとのかかわりは大きな変化の時期を迎えているといえよう。

TAG: #バッテリー #メーカー

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