歴史ある工場が最先端のEV生産施設に転換
歴史ある工場を20億ドルを投じて改造した「フォード・ケルン電気自動車センター」が、正式にオープンした。1930年にケルン市ニーエルに設立され、フォード・モデルA、タウナス、カプリ、グラナダ、フィエスタなど1,800万台以上を生産してきたケルン工場が母体。
新EVセンターはフォードにとって世界初のカーボンニュートラルな車両組立工場となる予定で、新しいプロセス、機械、技術の導入により、工場内のエネルギー使用量を削減し、カーボンニュートラルを実現。2023年4月に発表された「Road to Better」の重要なマイルストーンとなる。
「Road to Better」とは、すべての人が自由に移動する夢を追求できるような、より持続可能で包括的かつ公平な交通の未来を築くことを目指した、フォードの取り組みを示す。カーボンニュートラルを2035年までに施設、物流、直接のサプライヤーなど、欧州のフットプリント全体で達成、2050年までに車両の運行、生産、サプライチェーンにおいても実現することを掲げている。
年間25万台のEV生産能力を持つ新EVセンターは、125ヘクタールの敷地に、最新の生産ライン、バッテリー組み立て、最先端の自動化された組み立て設備が導入され、欧州市場向けに新世代のEVを生産。2026年末までに年間200万台のEVを販売するというフォードのグローバル計画をサポートする。ドイツの熟練した製造業の雇用と、欧州における自動車生産の将来を確保する目的も持っている。
施設の運営に必要なすべての電気と天然ガスは、100%認証された再生可能な電気とバイオメタンを用いる。施設と工程を暖めるために必要な熱は、地域のエネルギー供給会社が運営する外部の発電所とゴミ焼却場で生成され、専用の蒸気ネットワークを通じてフォードに供給される。2026年にはこの熱供給のための営業排出量を約60%削減し、2035年までにこの排出量を完全にゼロにする予定という。
フォード・ケルンのEVセンターが完全に稼働すると、カーボンニュートラルとして独立した認証を受けることになる。この認証は定期的に監査され、残存する排出物については高品質のカーボンオフセットを購入することで調整される。