試乗
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コピー&ペーストじゃないのに従来モデルにソックリ。スタイリングは芸術の極み[フィアット500e試乗記:その2]


TEXT:嶋田 智之
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BEV用プラットフォームだから実現できたデザイン

が、500eが2代目や3代目と決定的に違ってるところもある。上下の分割をさらに強調するかのように、フルLEDのヘッドランプの部分まで上下で二分していること。3代目と較べて全高が15mmしか高くないのに横幅は60mm拡大されたことで、前後のフェンダーのボリュームが大きくなってること。鼻先の見慣れたFIATのエンブレムが500のロゴに変わったこと。ドアのオープナーが可動部のあるものではなく、凹みに手を入れてボタンを押すタイプになったこと。ナンバープレートが備わる部分のパネルが上部より一段階低くなる2段構造となったこと。ほかにもフロントのウィンカーがフィン型になるなど違いは多々あって、似て異なる印象を見事に作り上げてるのだ。

どことなく3代目と較べてより2代目に近いと感じるところもあるのだけど、それはおそらくフロントエンドが地面と垂直に構成されたこと。3代目は若干ではあるけど下に行くに従って前方へせり出す構成なのだ。また横から見たときのリアエンドの角度が、2代目とほとんど同じように感じられること。後になって調べてみると、その傾斜角は見事なくらい2代目と一致していた。世界中に強い印象を与え続けてきた2代目500を形づくるいわゆる黄金比といえる部分は、しっかりとなぞっているわけだ。

それもこれもBEVを作るにあたってプラットフォームを新設計したからこそ可能になったこと。3代目500のときには、既存のプラットフォームを改良して使う必要があったから、デザインの自由度に制約が生まれてしまったのだ。BEVを作るにあたっての全面的な新規設計は、デザイン面でも有利に働いたのである。

とはいえ、そうした理屈を並べるまでもないだろうな、と個人的には感じている。だって、パッと見た瞬間に惹きつけられる、素晴らしいスタイリングをしてるのだから。見てるこっちの方が自然と微笑ましい気持ちになって、思わずニンマリとさせられてしまうのだ。強力な癒し系なのである。デザインというのは良し悪しで語るものじゃなく、見る側の好き嫌いに委ねられるところが大きい。だけど、500eのスタイリングを悪くいう人に出くわしたことなど、僕は一度たりともない。そう、実際のところ、それがすべてだと思うのだ。

<その3へ続く>

 

Fiat 500e OPEN

全長:3,630mm
全幅:1,685mm
全高:1,530mm
ホイールベース:2,320mm
車両重量:1,360kg
乗車定員:4名
交流電力量消費率:128Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:335km
フロントモーター最高出力:87kW(118ps)/4,000rpm
フロントモーター最大トルク:220Nm/2,000rpm
バッテリー総電力量:42kWh
モーター数:前1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:FWD
フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式
リアサスペンション:トーションビーム式
フロントブレーキ:ディスク
リアブレーキ:ドラム
タイヤサイズ:205/45R17
最小回転半径:5.1m
荷室容量:——L
車体本体価格:5,360,000円

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