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サソリの毒はEVになっても不変!? 「アバルト 500e」の予約注文が欧州で1500台超え。人気の理由を探ってみた


TEXT:曽宮 岳大
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アバルト初の電気自動車となる「アバルト 500e」がヨーロッパで好評を持って受け入れられているようだ。ステランティスの発表によると、2022年11月22日に発表されたアバルト500eの初回限定車「ローンチエディション」は、1,949台の予定販売台数のうち、2月末時点で1,500台以上の注文予約が入っているとのこと。現在、アバルトは500eのヨーロッパツアーを展開中で、受注はさらに伸びそうだ。

アバルトならではの「デザイン」「性能」「音」

フィアット500eをベースに、内外装や機関にアバルト流のチューンアップが施され、昨年11月に披露された「アバルト500e」。アバルトといえば、可愛らしさの中にもスポーティが際立つ小粋なルックスや見た目以上の強烈な走り、そしてチューニングメーカーもびっくりの迫力のエキゾーストサウンドで世界中のクルマ好きを魅了。日本でも大人気を呼んでいる。

 

そうしたトラディショナルな魅力を持つアバルトだけに、電動化された500eの反響は気になるところだったが、結果は数字が示す通り。Bセグメントに属する小型車で43,000ユーロ(約622万円)からというサイズの割に高価格帯な設定にもかかわらず、好調な販売を示している。なぜアバルト500eは人気を集められるのか。その理由を探ってみたい。

第一にクルマ作りの巧みさが挙げられるだろう。アバルトファンを魅了している大きな要素は、「デザイン」「性能」「音」の3つ。これは創始者カルロ・アバルトの時代からのアバルトの伝統であり、今なお貫かれている特長だ。この点において、新生アバルト500eはファンの期待に応える特長を500eに与えている点が注目に値する。

ガソリン車を上回るパフォーマンス

まずはデザイン。アバルト500eは、フィアット・チンクエチェントの可愛らしさをキープしながら、ひと目でアバルトとわかるデザインを持っている。それも歴代モデルの雰囲気を残しながらも従来型のコピー&ペイストで仕上げるのではなく、新規デザインで“らしさ”を再現していると言えるだろう。

例えば丸目ヘッドライトや、フェンダーに被さるようなボンネットフード、タイヤを四隅に追いやったプロポーション、下に行くに連れボリューム感が増すプロポーションなどは、紛う方なきチンクエチェントのそれ。アバルト版ではその特長を生かしながら、フロントのリップスポイラーやエアインテーク、アバルト専用のアルミホイール、地面に這いつくばるような印象を与えるサイドスカートおよびABARTHのレタリングなどにより、スポーティな雰囲気をグンと高めている。

性能面については、パワートレインを既存の1.4  Lターボエンジンからモーターに変更しつつも、さらなる高性能化を図っている。最高出力こそ116kW(155hp)と既存の595コンペティツィオーネ(135kW/180hp)に一歩譲るものの、モーターの特性を生かしたレスポンスの良さや、20km/hから40km/hまでの加速性能、60km/hから100km/hまでの加速性能において、従来モデルを上回る性能を達成しているという。

ちなみに500eの最大トルクは235Nmで、既存の595 Competizioneのノーマルモード時の230Nmを上回る。その結果、バロッコのテストコースにおけるラップタイムでEV版アバルトは、従来のガソリンモデルに1秒以上の差をつけているという。サーキットでもしっかり速いマシンに仕上げられているようだ。今後さらなるハイチューン版の登場も期待できそうだ。

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