ニュース
share:

ジープからEVが続々。ステランティス、2022年はEVを29万台弱販売。2023年に登場するSUVのニューモデル3台


TEXT:曽宮 岳大

米ジープや伊フィアット、仏プジョーなど15のブランドを展開する自動車大手ステランティス・グループ。2022年には、前年比26%増の168億ユーロ(約2兆4175億円)の純利益をあげた。拡大市場の電気自動車(EV)は、2022年に前年比41%増の28万8000台を販売し、台数を急増させた。2023年はさらに9車種のEVを投入すると意気込む。なかでも注目はジープ。2023年には3モデルが登場する予定だ。

次なる狙いは米市場

ステランティスの発表によると、2022年の自動車販売は純利益と調整後営業利益で過去最高を達成した。同グループは、2030年までに純利益を2021年比で倍増させ、10年間連続で2桁台の利益率を上げるという野心的な戦略を掲げているが、2022年はその目標をクリアした格好だ。

成長市場のEVについては、現在23台をラインナップしており、グローバルで28万8000台を販売した。EU加盟国内で商用車のEV販売で首位、EV全体では2位となったほか、イタリアでは「フィアット ニュー500(日本名:500e)」が首位、フランスでは「プジョー e-208」が販売ナンバー1を獲得している。ステランティスは2030年までにCO2排出量を半減(2021年比)させる目標を掲げており、2022年は11%の削減を達成した。

ステランティス・グループのEV攻勢は今後も続く。現在23台のEVラインナップを2024年末までには47台に増やす計画だ。その勢いを強力に加速させるのがジープ。2022年末に欧州で披露された「アベンジャー(Avenger)」のほか、北米では2023年中に「リーコン(Recon)」と「ワゴニアSWagoneer S)」の発表が予定されている。

ジープが海外向けに展開するコンパクトSUV「アベンジャー」

ジープ初のバッテリーEV(BEV)として登場したアベンジャーは、Bセグメントに位置する全長4.08mのコンパクトSUV。欧州をはじめとする海外市場向けに用意するモデルだ。航続距離は400km(WLTPモード)を達成し、急速充電を使用すれば3分の充電で30kmの走行が可能という。アベンジャーは日本にも導入される見通しだ。

ルビコントレイルを横断できる走破性と航続距離「リーコン」

アベンジャーが欧州など海外向けであるのに対し、リーコンは、北米を主戦場とするEV。完全新設計となるEV専用モデルで、4×4モデルが展開される。ジープでは、過酷なオフロードコース「ルビコントレイル」を走破した、卓越したオフロード性能を持つモデルに「Trail Rated」という特別な称号を与えているが、リーコンはルビコントレイルを横断し、街まで戻ってこられるだけの航続距離を確保するとのこと。2023年前半に北米で受注が開始され、2024年に北米での生産開始が予定されている。

航続距離640km級のプレミアムSUV「 ワゴニアS」

 ジープが2021年に発表した大型SUV「ワゴニア」にもEVの設定が計画されている。コードネーム「ワゴニアS」と呼ばれるそのモデルは、1充電あたりの航続距離は640km、最高出力は440kW(600ps)、0-96km/h加速は3.5秒を誇る、高性能プレミアムSUVだ。先進技術と充実した豪華装備が与えられる模様で、ラインナップの中でも存在感を放つモデルとなりそう。こちらも2023年前半に受注が開始され、2024年の生産開始が計画されている。

EV化の波は欧州で急速に進んでいるが、北米市場でも電動モデルの発表が相次いでいる。ステランティスのような大手が人気ブランドからEVを発表すると、その勢いにさらに弾みがつくだろう。

ジープでは2030年までにEVのフルラインナップを完成させ、モデル数や販売台数の面でSUVナンバーワンを目指すとしている。今後の動向を楽しみに見守りたい。

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ルノー・E-テック・トラフィック(photo=ルノー)
欧州で商用EVバン戦争が勃発!……ルノー・トラックス、「E-テック・トラフィック」を発表[2023.10.04]
BYD・アット3(photo=BYDジャパン)
世界ではEVは爆売れ中だが日本は……8月の世界EV販売台数は100万台超えで市場が成長中[2023.10.03]
「マルチポートEVチャージャ」(photo=日立インダストリアルプロダクツ)
日立が発売「魔法のようなマルチ充電器」1基で数十台の充電に対応が可能、出力も自在[2023.10.02]
more
ニュース
ホンダ初の電動SUV「プロローグ」が北米デビュー。日本でもデカいSUV好きのユーザーに刺さりそう
ヒョンデ、新型電気自動車「コナ」の予約受付を開始、予定価格は税込400万円から
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能
more
コラム
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回
トヨタの全固体電池量産に向けた技術進化を実感。“夢の電池”ではなく、量産目前の現実味が。
more
インタビュー
電気自動車で自由に旅できる世界を目指して。シュルーターさんと「ID.BUZZ」の旅物語
ボルボ「EX30」は「脱炭素」をキーワードにインテリアの“プレミアム”を再定義する
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」は人や荷物だけでなく笑顔もはこぶクルマ
more
試乗
さすがはBMW!5シリーズの電気自動車「i5」もまごうかたなきスポーティセダン!
BMW「5シリーズ」の電気自動車は、新時代に入った「セダンデザイン」を体現している
“EVセダン”の決定版か!? 新型BMW「5シリーズ」セダンの電気自動車「i5」に試乗した
more
イベント
自動車部品&輸入販売の超・老舗とBYDがコラボ、東京・品川に新ディーラーをオープン
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=日本EVクラブ)
今年の最長距離の参加者は⁉︎……「ジャパンEVラリー白馬2023」は充電計画も愉しい
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
ぶっちゃけトークの夜がやっぱり本番⁉︎……72台のEVが集まった「ジャパンEVラリー白馬」
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択