試乗
share:

偉大なるイタリア国民車の精神を受け継いだ、“響く”電気自動車[フィアット500e試乗記:その1]


TEXT:嶋田 智之
TAG:

イタリアの国民車として誕生し、おしゃれコンパクトとして世界的に人気を誇る「フィアット500」シリーズ。4代目はEV専用車として登場した。そんな「500e」の魅力を探るべく、モータージャーナリスト嶋田智之氏が試乗。まずはその歩みを振り返る。

“欲しいかも”と思った唯一のEV

原動機が内燃エンジンなのか、バッテリー+モーターなのか、あるいは内燃エンジン+バッテリー+モーターなのか。それは確かに重要な問題だ。けれど、僕はもっと重要なことがあるんじゃないか? と思ってる。それは1台のクルマとしてどうなのか、ということ。今どきはダメなクルマというのがほとんど存在しないから、ものすごく出来映えがいいか、フツーに出来映えがいいか。ドライビングプレジャーは濃厚なのか、淡白なのか。デザインは印象的か、無味無臭的か。一緒にいて気持ちが上がるのか、逆に平静になれるのか?……と、細かく見ていけばキリもないのだけど、いってみればそれらを踏まえてどう感じるか、ということだ。そこに好みに合ってるか、あまり響かないか、が加わると欲しいか欲しくないかにつながってきたりする。

ここ1〜2年に国内デビューした中にも1台のクルマとして素晴らしい魅力を放ってるモデルがいくつかあったわけだが、その中で唯一“欲しいかも”と感じたバッテリーEV(BEV)がひとつあった。それがフィアット500eだ。

僕もこんな仕事をやってるので、バッテリーとモーターで動くクルマが楽しいし気持ちいいってことは、身体でわかってるつもりだ。内燃エンジンで走るクルマには内燃エンジンで走るクルマの、電気で走るクルマには電気で走るクルマの、それぞれの楽しさと気持ちよさがある。

ただ、個人的なことで恐縮だけど、一発で500kmとか700kmとかの移動が必要になることも少なくない僕のライフスタイルにはBEVはマッチしないし、集合住宅住まいで自宅に充電環境もないからBEV本来のメリットのひとつを活かすこともできない。だからなのか、“いいな”と感じたBEVは過去にもあったけど、“欲しいかも”と感じることはなかった。それだけ強力な求心力や実力やテイストが、フィアット500eにはあるということだろう。

そもそもフィアット500という名前は、1936年から続く歴史のあるものだ。初代の500はコンパクトな車体と機敏な走りっぷりからトポリーノ(=ハツカネズミ)と呼ばれ、現在のように自動車が当たり前となる遥か前の時代に、約20年間で55万台近くが売れたヒット作となった。

けれど、多くの人たちによく知られてるのは、間違いなく1957年にデビューした2代目500の方だ。クルマにそれほど関心がない人でも、「ルパン三世の愛車の丸いヤツだよ」なんて聞けば「あっ、あれ!」と連想できちゃうほどなのだから。

>>>次ページ クルマと楽しさと移動の自由を広めたイタリアの国民車

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ホンダの電動ロボット芝刈機/草刈機「ミーモ」シリーズが大幅改良! 国内で年間500台のセールスを目指す
ホンダCR-Vが帰ってきた! 新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」が登場
「ノート オーラ NISMO」がマイナーチェンジ! 初の4WDモデル「NISMO tuned e-POWER 4WD」が登場
more
コラム
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い
日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能
日本のEVシフトは2024年に入り低迷気味! 軽のサクラ&eKを除けば海外勢の健闘が目立つ
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択