2023年2月
TEXT:曽宮岳大
シカゴオートショー開幕、シボレーやクライスラー、ダッジなどがSUVやマッスルカーの電気自動車を出展

120年以上の歴史を持つアメリカの伝統的な自動車見本市「シカゴ・オートショー2023」が現地時間2月11日、幕を開ける。同モーターショーでは人気の高いSUV市場を狙い、各ブランドから様々なSUVが出展される。発売予定の新型EVや、コンセプトカーを中心に代表的なモデルをいくつかご紹介しよう。 今年登場する人気SUVのEV版「シボレー・ブレイザーEV」 2023年夏から順次販売が開始されるシボレー・ブレイザーEVは、現地ではミッドサイズに位置付けられる4ドア・5人乗りのSUV。歴史あるブレイザーのブランド力やスタイリッシュなデザインを強みに、「フォード マスタング マッハE」や「テスラ モデルY」などのライバル車を追撃する。 航続距離や装備の異なる4つのグレードが設定され、メーカー公称の航続距離は247~320マイル(約395〜512km)。価格は約45,000〜66,000ドル(約590〜867万円)に設定される。高出力版の「SS」グレードは、最高出力415kW(557hp)を生み出し、0-96km/h加速が約4秒という加速性能を誇り、従来の大排気量V8に匹敵する性能を誇る。 充電は11.5kWの家庭用電源と190kWの急速充電に対応し、後者では10分の充電時間で78マイル(約125km)走行可能とされる。最新モデルらしく運転支援装置も充実しており、高速道路で有効なハンズフリー機能や、ステアリングやブレーキ、ギアチェンジを自動化したパーキングアシスト機能などを備える。 スタート価格400万円を切る電動SUV「シボレー・エクイノックスEV」 同じくシボレー・ブランドが出展する「エクイノックスEV」は、ブレイザーEVよりも小さく、コンパクトSUVに位置付けられる4ドア・5人乗りのEVだ。2023年後半に発売が予定され、価格は30,000ドル(約394万円)から設定される。「フォルクスワーゲンID.4」や「日産アリア」あたりと競合することになりそうだ。 パワートレインならびに駆動方式は、FFとeAWDが設定され、FFモデルでは最大300マイル(約480km)の航続距離を実現。この点ではクラス上のモデルに引けを取らない。また、最高出力はFFモデルで156kW(210hp)、eAWDモデルでは216kW(290hp)を発生し、0-60マイル(約96km)を6秒台でこなすという。充電は家庭用120V/240V電源のほか150kWの急速充電に対応し、後者では10分の充電で約70マイル(約110km)走行できるという。

TAG: #クライスラー #シカゴオートショー2023 #シボレー #ダッジ
TEXT:栁 蒼太
​​EV充電エネチェンジ(ENECHANGE)とイーモビリティパワー(e-Mobility Power)が業務提携――「カード一枚でどこでも充電できる」 世界を作る

エネチェンジとイーモビリティパワーは、2月9日、EVユーザーの利便性向上や充電器の設置施設への集客性拡大のために業務提携契約を締結したと発表した。 今回の提携によって、イーモビリティパワーや自動車メーカー各社が発行する充電カードを持つ会員が、エネチェンジが設置した約1000基の普通充電器を2023年4月から利用できるようになる。 エネチェンジの足跡 エネチェンジは、2021年11月より6kW充電器の全国設置を進めており、専用アプリを介して利用できる。同社が開発する6kW出力の充電器を使用することで、これまで国内に普及していた3.2kW出力の普通充電器のおよそ半分の時間で充電を終えることができる。EVバッテリーの大容量化が進む中、EVドライバーは限られた滞在時間の中で効率的に充電を確保できる。 なお、6kWの充電サービスに非対応の車にも同社の展開戦略がなされている。軽EVやPHVなどの6.0kW出力非対応車が充電する際、出力電力量が自動で判別され、料金が算出されるシステム新機能「充電出力に応じた料金」を2023年1月より展開している。 これまでは出力量にかかわらず、充電時間に応じて料金が算出されていたが、新機能の導入により、3.2kWの充電出力にのみ対応している車種なども含め、すべてのEVドライバーに適正な料金で充電サービスを提供できることになった。EVドライバーもEV充電器オーナーも面倒な手間が少なく済む、快適な充電環境を作っている。 EVチャージャーの先駆者、イーモビリティパワーのこれまで 日本充電サービス(NCS)の事業を継承したイーモビリティパワーは、日本最大のEV・PHV充電ネットワーク事業を継承し、自動車メーカー各社発行のEV・PHV充電カードで利用可能な充電ネットワーク構築を進めてきた。2014年以降、自動車メーカー主導で、ユーザーの利便性に配慮した仕組みが形づくられてきた。  事業提携で何ができるようになるのか? イーモビリティパワーはSAやPAなどといった移動途中で充電する経路充電、一方のエネチェンジは自宅や事業所などの拠点での充電、目的地充電をメインとしている。今回の両社の提携によって、EVユーザーの充電サイクルを全面的にサポートすることができる。また、従来の3kW普通充電器だけではなく、倍速での充電が可能となる6kW充電にも対応できる。 なお、エネチェンジの充電器である「EV充電エネチェンジ」を利用する場合であっても、専用のアプリをダウンロードや登録する手間をかけずに、従来から自動車メーカーやイーモビリティパワーが発行している充電カードを、エネチェンジの充電器のRFID部分にかざすだけで利用できる。ユーザーは新たな追加費用を負担せずに充電できるようになる。 両社が考える未来像 日本におけるエネチェンジの充電器の設置台数は、累計で2500台を超えており、直近の四半期ベースで1000台を超す受注を獲得できるようになってきた。 政府は2030年までに15万台の設置を掲げており、同社はそのシェアのおよそ半分、もしくはそれ以上を目標とし、2023年6月までに3000台の累計受注台数を目指している。この目標に対してクリアが見えてきたとしており、エネチェンジの城口洋平 代表取締役CEOは、今回の取り組みが、充電器の普及拡大においても貢献すると認識している。  イーモビリティパワーは12,600台を同社のネットワークの中に有しているが、いずれもパートナーが運営しているものであり、そこにエネチェンジが加わることで、事業の拡大が期待できる。既存の3kWの充電器を保有している施設オーナーに対して、エネチェンジの6kWのモデルにアップグレードする案内が可能となり、最適な充電環境の構築がしやすくなる。 また、普通充電、急速充電の利用状況がわかるようになるため、どのような充電形態が求められているのかが把握でき、日本全体の充電環境の最適化が可能となり、「(世界の国々から)日本をベンチマークしてもらえるような充電インフラをエネチェンジと作っていきたい」と、イーモビリティパワーの四ツ柳尚子 代表取締役社長は今回の提携に対する期待を述べている。   進む連携、ユーザーの個人情報の扱いは 会員データについては、カードの発行元(主に自動車メーカー)が有しており、イーモビリティパワーやエネチェンジは詳細なユーザー情報を取得できない仕組み。ユーザーが持つユニークなID毎において、充電状況、回数を取得するという程度である。ただ、急速充電や普通充電の利用状況が把握できるようになるため、新設の充電器の設置や既存の3kWの充電器を6kWにアップデートする有用性を考える際のエビデンスとなりうるという。  

TAG: #イーモビリティパワー #エネチェンジ #充電
TEXT:TET 編集部
ダッジ初のEVピックアップ「ラム1500REV」発表……デイリーEVヘッドライン[2023.02.13]

正式画像初公開、2024年市販化を目指す 【THE 視点】ステランティスは2月9日、「ラム1500レボリューションBEVコンセプト」の市販名を「ラム1500REV」に決定したと発表した。 同車は今年1月に開催した「CES 2023」で初公開されたもの。発表当初はコンセプトモデル扱いだったが、この度正式に車名を発表し2024年の北米市販化に向かう。生産は来年開始し、実車は今後数ヵ月以内に公開するという。 「ラム1500レボリューションEVコンセプト」時点での車両の詳細は、ステランティスが持つ4つの電動プラットフォームのうちの「STLAフレーム」をベースとし、駆動方式は前後にそれぞれモーターを含むモジュールを配置した4WDを採用。目標航続距離は800kmで、充電はDC800Vで最高出力350kWの急速充電に対応し、約10分で航続距離160km分の電力を充電できるという。その他詳細は、本原稿執筆後の現地時間12日中に発表するとしているが、コンセプトモデルのスペックで開発されていると考えられる。 ラムトラックは、アメリカで最も受賞歴のあるピックアップトラックなだけにEVも期待できる。先日の「THE 視点」でも触れたが、アメリカでピックアップは、地域によっては一家に1台あることもある。そのため市場も大きく、魅力的なモデルであり続けることが重要。 日本でもトヨタのピックアップ「ハイラックス」がヒットしているというが、競合車がないという事実もある。ピックアップの選択肢が少ない日本に、是非「ラム1500REV」を導入してほしいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ダッジ、マッスルEV「チャージャー・デイトナSRTコンセプト」を3月20日開催のイベント「ラスト・コール」(米ラスベガス)に出展 ★★ボルグワーナー、独大手自動車メーカーに高電圧バッテリー冷却システムを提供……円筒型バッテリーセル間にアルミプレートを挟み込んだシステム ★ロールス・ロイス、ブランド初のEV「スペクター」のテストが終盤へ……全行程250万km中200万kmを終了、現在は南アフリカにて高温テストを実行中[詳細はこちら<click>] ★ステランティス、「ジープ・アベンジャー」の生産をポーランドのティヒ工場で開始[詳細はこちら<click>] ★フォーミュラE第4戦ハイデラバード(インド)、サッシャ・フェネストラズ選手(日産)がクラッシュに巻き込まれ表彰台を逃すも12位完走……フェネストラズ選手は4番手スタート、優勝はジャン・エリック・ヴェルニュ選手(DSペンスキー) ★関東電化工業、メキシケム社に「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」(リチウムイオン二次電池電解液の原料)の製造技術をライセンス供与 ★ナガシマスパーランド(三重県桑名市)において小型EVを活用した自動運転サービスを実証実験……三菱電機製のオンデマンド運行管理システムを活用、2023年3月14・15日の2日間 ★NEXCO西日本、川登サービスエリア(長崎自動車道)にEV用急速充電器を設置……上下線に1基(1口タイプ)ずつ ★中部電力、デンソーとともに充放電機能付きEVを活用したエネルギーマネジメントシステムを試験導入……軽井沢市の複合施設「Karuizawa Commongrounds」(軽井沢コモングラウンズ:長野県軽井沢市)内にて ★北陸銀行、営業車に「日産サクラ」を導入……環境配慮車両は「サクラ」を含めて87台に

TAG: #THE視点 #ダッヂ #デイリーEVヘッドライン #ラム1500REV #福田雅敏
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その3 EVらしさを前面に

300kWの鋭い加速 まずはパワフルな走りが自慢のC40リチャージ・ツインモーターを試す。運転席に収まり、システムの始動ボタンを探すがどこにも見当たらない。それもそのはずで、いまどきのEVらしく、システム始動の儀式は不要で、リモコンキーが車内にあれば、あとはシートに座り、ブレーキを踏みながらシフトレバーを操作すれば、発進の準備は完了するのだ。ちなみに、フォルクスワーゲンID.4でも同様に準備は整うが、始動ボタンは見えにくい場所に備わっている。 さっそくDレンジを選んで走り出したいところだが、その前にひとつ確認しておきたいことあがる。C40/XC40リチャージでは、走行中にアクセルペダルを離したときの動きを、ドライビング設定で選ぶことができるのだ。「One Pedal Drive」の項目をオンにすれば、アクセルペダルを離したときに強めの回生ブレーキが効き、最終的にはクルマが完全停止する、いわゆる“ワンペダルドライブ”が利用可能になる。一方、One Pedal Driveをオフにすれば、アクセルペダルを離したときに回生ブレーキが効かない惰力走行になる。ワンペダルドライブが無効のときには、ブレーキペダルから足を離したときにゆっくりと動くクリープがあるので、車庫入れなどではこのモードが使いやすい。 とりあえずOne Pedal Driveをオンにして走り出すことにする。アクセルペダルを軽く踏むだけで、C40リチャージ・ツインモーターは力強く発進。カタログを見ると、前後モーターともに最大トルクの330Nmを0〜4,350rpmで発揮するとあり、動き出しの力強さはまさにEVの醍醐味といえるものだ。クルマが動き出したあとも、アクセルを軽く操作するだけで意のままに速度を上げてくれるだけに、ストレス知らずのドライブが楽しめる。

TAG: #C40 #XC40 #ボルボ #生方 聡
TEXT:御堀 直嗣
知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀直嗣 第4回:EVを走らせるモーターの基本

磁場を利用して作動するモーター 電気自動車(EV)を駆動しているのは、モーターだ。そのモーターを動かすため、電気を蓄える(リチウムイオン)バッテリーが車載されている。 モーターは、あらゆるものに使われている。電子レンジや洗濯機などの家庭電化製品はもちろん、スマートフォンでさえマナーモードの振動機能はモーターで行っている。エンジン車でも、パワーウィンドウや電動パワーステアリング、パワーシートなど、様々にモーターは使われており、身近な存在だ。 電気を流すと、なぜモーターは回るのか。 モーターは、回転軸(ローター)と、それを囲む筒状の構造(ステーター)で構成されている。ステーターの磁石を利用した磁場の効果で、ローターを回転させる。 もっと噛み砕けば、磁石にはN極とS極があり、NまたはSの同じ極同士は反発しあい、異なる極は引きあう力が働く。同じ極同士が反発する力を使って、モーターは回転軸を回すのだ。 EVで使われるモーターは、ステーターだけでなくローターも磁石になっている。互いの磁石のN極とS極が反発しあうことを利用している。しかし回転するとN極とS極が向きあい、引きあって回転を止めてしまいかねない。そこで、N極とS極が向きあわないように電流の方向を変え、常に反発しあう同じ極同士が向くようにしている。 直流と交流、それぞれの方式 電気には、直流と交流がある。直流は、プラスからマイナスへ一方向に電気が流れる。身近なものでは乾電池がそれだ。+と-の表記があり、逆に装填すると電気が流れず、機器は動かない。電気が一方向にしか流れない証だ。 もうひとつが交流だ。これは電気が流れながら、+と-が交互に入れ替わる。家のコンセントに流れてくる100ボルトの電流はこの交流である。したがって、コンセントの差込で、プラスとマイナスを確認しなくていい。 電流の+と-が交互に入れ替わることで、モーター内の磁石のN極とS極を切り替え、ローターを回転させるのが交流モーターだ。これがEVで使われている。 しかし直流モーターという事例もある。これは直流の電気を流しながら、ローターの軸受けのところにN極とS極を切り替える仕組みがあり、NまたはS極が同じ極同士で向きあうよう電流を切り替え、ローターを回転させている。ローターの端には整流子と呼ばれる部品がある。菓子のバームクーヘンを切り分けたような形をしている。軸受け側にはブラシと呼ばれる部品があり、ここに整流子が触れたり触れなかったりを繰り返すことで、電流を切り替え、N極とS極が向きあわないようにしている。 直流モーターでも、ブラシのないブラシレスという種類がある。ステーター側の電磁石に流す電流を、トランジスターを使った回路で切り替え、同じ電極同士が向きあうようにしている。 市販EVはすべて交流モーターを使っているが、エンジン車をEVに改造したコンバートEVでは、手に入りやすく安価な直流モーターを使う場合が多い。ただ近年では、改造用の交流モーターも手に入るようになり、コンバートEVでも交流モーターを使う事例がある。 永久磁石式か、巻き線式か? 市販EVで使われているのが、永久磁石式同期モーターと呼ばれる交流モーターだ。これは、ステーターに電磁石を用い、ローターには永久磁石を使う。 電磁石は、鉄芯に銅線を巻き付け、これに電気を流すと磁石になる。電気を使う磁石なので電磁石と呼ばれる。 永久磁石は磁力を備えた金属で、子供のころに遊んだフェライト磁石が代表例だ。しかしEVで使うには磁力が弱く、1トンを超える重さのEVを自在に加速させることはできない。そこで磁力を高める改良が施されている。 磁力を増すために使われるのが、希土類(レアアース)と呼ばれる元素だ。具体的にはネオジムが使われている。元素の周期表で60番目の金属だ。これを混ぜることで、フェライト磁石の約10倍の磁力が得られる。どれほど磁力が強まったかというと、一度、N極とS極が向きあい、くっついてしまうと、人の力では引き離せないほどの強さだ。ネオジム磁石は、1984年に住友特殊金属(現・日立金属)の佐川眞人らによる日本の発明である。 ネオジム磁石の何よりの利点は、優れた磁力で力強くモーターを回せるのはもちろん、ローターにも電磁石を使う場合に比べ小型化できるところにある。したがって、EVのみならず、エンジンとモーターを搭載するハイブリッド車では不可欠な存在となっている。 ネオジム磁石はしかし、120℃を超えると磁力が失われてしまう。このため、高温対策としてディスプロシウムという希土類元素を添加物として加え、熱への耐久性を高めている。 こうして市販EVの多くが、永久磁石式同期モーターを採用している。 一方、世の中の多くがEVへ移行していくと、資源問題に直面しかねない。希土類元素と呼ばれるほど、希少で資源量が限られるからだ。そこでローターにも電磁石を使う、巻き線式と呼ばれる交流モーターを使うEVも市販されている。 たとえば、ドイツのアウディやメルセデス・ベンツ、あるいはテスラにも採用例があり、日本車では日産アリアが巻き線式モーターを使っている。 巻き線式モーターは、鉄芯に銅線の巻き数を増やせば出力を高められる。しかし巻き線数が増えるほど寸法が大きくなりやすい。そこでいかに効率よく銅線を巻き付けるかがカギを握る。 巻き線式モーターを使うEVは、電気を流さなければ磁力を持たない鉄と銅だけでの回転となるため、走りだしたあとではアクセルを戻したときの滑空感が一段と高まり、EVならではの滑るような走りをいっそう強調することができる。 この先、EVの台数が増えれば増えるほど、素材の調達で影響の少ない巻き線式モーターを見直すようになっていくのではないか。すでに巻き線式の交流モーターを使うメーカーは、EV時代の一歩先の試行錯誤をはじめているといえる。

TAG: #EV知識・基礎の基礎 #御堀 直嗣
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40 Recharge試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その2 Googleを味方につけて

クールなフロントマスクがEVの証 C40リチャージとXC40リチャージは、4,440mmの全長、1,875mmの全幅、2,700mmのホイールベースがすべて共通。一方、全高はXC40リチャージが1,650mmであるのに対して、低くルーフラインが特徴のC40リチャージは55mm低い1,595mmとなる。リアのデザインも大きく異なり、スポーツモデルをイメージさせるC40リチャージのリアエンドを見ると心が躍る。 これに対して、フロントエンドのデザインは、C40リチャージとXC40リチャージで共通のイメージだ。フロントグリルにボディ同色のカバーが施されたことで、他のボルボとは異なるクールな印象を強めている。 レザーフリーを実現したインテリア C40/XC40リチャージのインテリアは、基本的にはガソリンモデルのXC40を受け継いでいて、プレミアムコンパクトSUVと呼ぶにふさわしい心地よい仕上がり。一方、ガソリンモデルと異なるのがダッシュボードとフロントドアの装飾パネル。等高線をイメージした模様の黒いパネルは、照明が灯るとバックライトで絵柄が浮き上がってくる凝ったデザインなのだ。 驚いたのはC40/XC40リチャージのインテリアには環境対策に配慮した結果、一切レザーが使われていないこと。ステアリングホイールの手触りはレザーそのものに思えるのだが、実際には人工皮革が使われているという。もちろんシートにもレザーは使われていない。ボルボが“レザーフリー”を採り入れるのはこのC40/XC40リチャージが初めてだが、その試みは成功といえる。

TEXT:曽宮岳大
次世代バッテリーの実用化近づく。日産自動車、オープン2シーターコンセプト「MAX-OUT(マックスアウト)」の実車公開

予定される15台の新型バッテリーEVの中にはスポーツカーも!? 日産自動車が2月4日に実車を初披露した2シーターオープンコンセプト「MAX-OUT(マックスアウト)」。そのお披露目を兼ねた記者発表では、グローバルプロダクトマーケティング部 理事のパンディクシラ・ポンズ氏と、第二プロダクトデザイン部 シニアデザインダイレクターのアローバ・ジオバーニ氏(ビデオ出演)、同デザインマネージャーのユー・リーハオ氏が登壇しプレゼンテーションを行うと共に、ポンズ氏とリーハオ氏がプレスからの質問に応じてくれた。このコンセプトカーにどのような意味が込められているのか。会場で得られた情報を報告したい。 マックスアウトは、2021年11月にバーチャルで公開された3台のコンセプトカーのうちの1台。実車公開となった今回のお披露目では、Nissan Ambition 2030で発表された電動化計画が順調に進んでいることを示す狙いもあるようだ。   同計画では、日産が2030年までに23台の電動モデルを投入し、このうちの15台はバッテリーEVとなることが明らかにされている。様々なカテゴリーのバッテリーEVが今後登場することが期待できそうだが、その中には走りの楽しさを追求したスポーツモデルも想定されていることをマックスアウトは示唆している。ピュアスポーツカーをラインアップしているブランドは数少ないなか、日産は「GT-R」と「フェアレディZ」の2台のスポーツカーをラインアップし、その伝統を守っているのだ。 ではマックスアウトは、次世代EVスポーツの姿を示したものなのか。この点については、日産は「具体的な生産の予定はない」としており、マックスアウトがこのままの形で市販化されることはなさそうだ。とはいうものの、マックスアウトには将来の市販EVスポーツに受け継がれそうなデザインや技術が随所に散りばめられているのだ。 密度2倍、充電時間1/3の全固体電池を搭載 まずはデザインとパッケージングについて。マックスアウトでは「全固体電池」の搭載を想定し設計されている。全固体電池とは、日産が2028年度中の実用化を目指して自社で開発・生産を予定している次世代バッテリー。その特徴は、従来のリチウムイオン電池に対して2倍とされる高いエネルギー密度と、約1/3という充電時間の早さ。コスト低減に寄与するという。 これによりバッテリーのコンパクト化や、一充電でより長距離を走れるEVの実現が可能になり、より幅広いジャンルのクルマに採用しやすくなる。EV専用プラットフォームとの組み合わせにより床のフラット化と低重心化が可能となり、スポーツカーの運動性能向上にも寄与する。 マックスアウトでは、空気抵抗が少ない流線型のフォルムや、床下の完全フラット化により空力の向上を実現しており、エモーショナルなフォルムや電量消費の低減を両立している。

TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第5回:Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st editionで開眼した

プジョーe-208GTで、EV生活に大満足な岡崎宏司さん。「EVは楽しい!」と気づいたのは「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」。「恍惚」と感じ入ったストーリーの今回です。 未来ではなく、現実となった この連載の1回目……「最新のアウディEVの走りに心を奪われ、恍惚状態で箱根を走った!」と書いた。 そして、EVを「未来ゾーンから現実ゾーンへ招き寄せるキッカケになった」とも書いた。 そのEVとは、アウディe-tron スポーツバック 55クワトロ 1st edition。日本に初導入されたアウディのBEVだ。 試乗会は2020年10月に開かれた。会場はFUJIMI CAFE。御殿場から乙女峠を登り、乙女トンネルに入る直前に位置する。 木造りのカフェの前には広いオープンスペースがあり、パラソルを立てたテラス席が設けられている。 そして、その正面には、富士山がほぼその全容を見せる。最高のロケーションだ。 試乗車は、たしか5~6台用意されていたと記憶しているが、クリーンなBEVの試乗会には、まさにぴったりの環境設定だった。 クールで先進的なEV 4900×1935×1615mmのサイズは大きいが、クーペライクなルックスは、グッと引き締まって見えた。アウディならではのクールで精度感の高い内外装にも惹きつけられた。 小型カメラを用いた「バーチャル・エクステリア・ミラー」の形状が、そして、カメラが捉えた映像を映し出す7インチのパネルが、クールで先進的な印象をさらに高めていた。 心地よいテラスでコーヒーを一杯飲んでスタート。そして、箱根路を自由に走った。 より正確にいえば「自由自在に」走った。僕が意図し期待した以上に走った。走り出した瞬間から、レスポンスと瞬発力の高さに惹きつけられた。すぐ夢中になった。 システム・パワー/トルクは230kW(408ps)/664Nmと強力。前後2基のモーターの出力をコントロールすることで、クワトロ=4WDシステムをも成立させている。 走りは文字通り「意のまま!」。発進は滑らかであり軽やか。アクセルを深く踏み込むと、直線的な加速で、周囲のクルマをあっという間に置き去りにする。 追い越しでも同じ。低速でも、中速でも、高速でも……アクセルを踏み込んだ瞬間、滑らかに、軽やかに、強力に加速する。 Sレンジのブースト機能を使ってのフル加速は「快感そのもの!」。クワトロシステムが強力なトルクをしっかり受け止め、無駄なく前進する力に変えてくれる。 そんな加速ぶりを表現するには、「速い!」とか「すごい!」というよりも、「快感!」という方が当たっている。 重量は2560kgあるが、そんな重さを感じさせられることはまるでない。 バッテリーは低い位置に配分よく積まれる。なので、重心は低く、前後重量配分もよく、心地よい走り味、乗り味をもたらしている。 また、大きな重量と低重心がもたらす重厚な乗り味、エアサスペンションがもたらす優しくフラットな乗り味……このコンビネーションも素晴らしい結果を生み出している。 体感する運動性能、そして上質さに恍惚 EVの静粛性の高さは当たり前だが、各部遮音のレベルは高く、ロードノイズまでもしっかり抑え込まれている。 僕はあえて、中小のコーナーが連続するコースを選んだが、背の高いSUVがまるで、よくできたスポーツカーのように走った。 3段階の回生ブレーキの効きを、パドルでコントロールするのもすごく楽しかった。とくに、ワインディングロードの下りでの楽しさにはすっかりはハマってしまった。 パドルのデザイン、触れた感触、クリックの節度感等々の上質さが、楽しさをより一層加速していたことをも報告しておこう。 僕は、中小の複雑なコーナーが連続する、上記ワインディングロードを何度も往復した。 初めに書いた「恍惚状態で箱根を走った!」とは、主にこのことを指す。 その日、EVは「未来ゾーンから現実ゾーンへと入ってきた!」。そして僕は、真剣にEVに乗ることを考え始めたのだ。 第6回はこちら

TAG: #EVは楽しい! #岡﨑 宏司
TEXT:生方 聡
[ボルボC40/XC40リチャージ試乗記]EVブランドへと向かうボルボの先鋒 その1 選べる4タイプ

人気のプレミアムコンパクトSUVがEVに 「安全なクルマ」といえば、真っ先に思い浮かぶのがスウェーデンの自動車ブランドであるボルボ。自動車安全のリーダーである彼らが、安全とともにいま取り組んでいるのがEVブランドへの転身である。すなわち、2025年までに販売台数の半数(日本は45%)をEVとし、2030年にはEV専業メーカーになることを目指している。 その実現に向けた第一歩として市場に投入されたのが、コンパクトSUVのXC40をEVに仕立てた「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」である。XC40は2018年に国内で発売されるや、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、販売面でも40シリーズは常に輸入車トップ10に入るほどの人気を続けている。 当初、ガソリンエンジン車だけだったXC40は、2020年8月にプラグインハイブリッド・モデルを設定。そして、2021年11月、満を持してEVモデルのC40リチャージが登場した。XC40のクーペ版といえるC40リチャージだが、XC40と異なるのはEV専用のモデルであること。実はヨーロッパではC40に先行してXC40のEVモデルが導入されていたが、日本市場にはより性格が際だつC40を先に導入したという経緯がある。 その後、2022年5月にはBEV仕様のXC40が追加され、2023年2月の時点では2モーターのC40リチャージ・ツインモーターとXC40リチャージ・ツインモーター、1モーターのC40リチャージ・シングルモーターとXC40リチャージ・シングルモーターの4モデルが設定されており、選択肢が多いのがうれしいところだ。

TEXT:TET編集部
大阪オートメッセ2023では「EVゾーン」に注目!

2023年2月10(金)〜12(日)にかけてインテックス大阪(大阪府)で実施される「大阪オートメッセ2023」には、昨今のトレンドであるEVの展示を集めた「EVゾーン」が設置される。開幕直後の風景をさっそくお届けしよう。 日系メーカー、海外メーカー、チューニングパーツメーカー、超小型EVメーカーと幅広いバラエティ 日系自動車メーカーでは三菱、マツダ、ニッサン。海外自動車メーカーではVW、BMW、BYD、ヒョンデがそれぞれ市販モデルを展示。BYDはEVゾーンに隣接して東京オートサロンに続き独自ブースを出展、新しいブランドの価値観を来場者に伝えるよう努めている。 総合チューニングパーツメーカーであるブリッツは「アリア」、車高調整式サスペンションを主に手がける自動車パーツブランドであるクスコおよび、テスラ車のメンテナンスに注力しオリジナル・パーツも提供するA PIT東雲は「テスラ・モデル3」を持ち込んだ。 独自の超小型EVを持ち込んだのは「KGモータース」と「EVランド」の2社。KGモータースの「ミニマムモビリティコンセプト」は東京オートサロンとは異なるイエローで、丸目仕様のヘッドライトが採用されていた。EVランドの「ジンマ」「ジンマプロ」は、中国生産ながらオリジナルの製品を開発。250cc以下の軽二輪という規格ながら3輪ということで、前者では3人、輸送用のトランクを備える後者では1人乗車となる。 開催概要はhttps://ev-times.com/2023/02/09/2752に詳しいが、日曜18時まで絶賛開催中なので関西地区のカーファン、とくにEVに注目する方々はぜひチェックしてほしい。 最新情報は公式ウェブサイト、SNS公式アカウントから 公式ウェブサイト https://www.automesse.jp/ [Facebook] https://www.facebook.com/OsakaAutomesse/ [Twitter] https://twitter.com/osakaautomesse [YouTube] https://www.youtube.com/user/AutomesseAssociation [Instagram]  https://www.instagram.com/osaka_automesse/

TAG: #BYD #ブリッツ #大阪オートメッセ2023

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インタビュー
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「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
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イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
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