コラム
share:

次世代バッテリーの実用化近づく。日産自動車、オープン2シーターコンセプト「MAX-OUT(マックスアウト)」の実車公開


TEXT:曽宮岳大 PHOTO:堤晋一

予定される15台の新型バッテリーEVの中にはスポーツカーも!?

日産自動車が2月4日に実車を初披露した2シーターオープンコンセプト「MAX-OUT(マックスアウト)」。そのお披露目を兼ねた記者発表では、グローバルプロダクトマーケティング部 理事のパンディクシラ・ポンズ氏と、第二プロダクトデザイン部 シニアデザインダイレクターのアローバ・ジオバーニ氏(ビデオ出演)、同デザインマネージャーのユー・リーハオ氏が登壇しプレゼンテーションを行うと共に、ポンズ氏とリーハオ氏がプレスからの質問に応じてくれた。このコンセプトカーにどのような意味が込められているのか。会場で得られた情報を報告したい。

マックスアウトは、2021年11月にバーチャルで公開された3台のコンセプトカーのうちの1台。実車公開となった今回のお披露目では、Nissan Ambition 2030で発表された電動化計画が順調に進んでいることを示す狙いもあるようだ。

 

同計画では、日産が2030年までに23台の電動モデルを投入し、このうちの15台はバッテリーEVとなることが明らかにされている。様々なカテゴリーのバッテリーEVが今後登場することが期待できそうだが、その中には走りの楽しさを追求したスポーツモデルも想定されていることをマックスアウトは示唆している。ピュアスポーツカーをラインアップしているブランドは数少ないなか、日産は「GT-R」と「フェアレディZ」の2台のスポーツカーをラインアップし、その伝統を守っているのだ。

ではマックスアウトは、次世代EVスポーツの姿を示したものなのか。この点については、日産は「具体的な生産の予定はない」としており、マックスアウトがこのままの形で市販化されることはなさそうだ。とはいうものの、マックスアウトには将来の市販EVスポーツに受け継がれそうなデザインや技術が随所に散りばめられているのだ。

密度2倍、充電時間1/3の全固体電池を搭載

まずはデザインとパッケージングについて。マックスアウトでは「全固体電池」の搭載を想定し設計されている。全固体電池とは、日産が2028年度中の実用化を目指して自社で開発・生産を予定している次世代バッテリー。その特徴は、従来のリチウムイオン電池に対して2倍とされる高いエネルギー密度と、約1/3という充電時間の早さ。コスト低減に寄与するという。

これによりバッテリーのコンパクト化や、一充電でより長距離を走れるEVの実現が可能になり、より幅広いジャンルのクルマに採用しやすくなる。EV専用プラットフォームとの組み合わせにより床のフラット化と低重心化が可能となり、スポーツカーの運動性能向上にも寄与する。

マックスアウトでは、空気抵抗が少ない流線型のフォルムや、床下の完全フラット化により空力の向上を実現しており、エモーショナルなフォルムや電量消費の低減を両立している。

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
「BEVですか?」→「マルチパスウェイです」を徹底するトヨタ! EVにこだわらない姿勢で今後も世界で支持される予感がビンビンに伝わってきた【ジャパンモビリティショー2025】
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
more
コラム
EV時代はブレーキも多様化! 回生に加えて電動キャリパーやMR流体など新技術が続々検討されていた
期待度MAXの国産新型BEV2台! トヨタbZ4Xと日産リーフを比べてみた
EVシフトは先進国よりも新興国で進んでいた! 政府のあと押しによる驚くべき普及率!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
見どころはスーパーワンプロトタイプだけじゃない! 全メーカー中でもっともモビリティショーしていたホンダは陸・海・空に加えて宇宙にも進出か【ジャパンモビリティショー2025】
スーパーオートバックスかしわ沼南に90台のEVとオーナーが集合してゆる〜く懇親! 「EV MEET 2025 AUTUMN」を開催
EVらしさをなるべく廃したスタイリングで乗り換えを自然に! スズキが軽EVコンセプトカー「Vision e-Sky」で考えたのはEVであることを気づかれないことだった【ジャパンモビリティショー2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択