コラム
share:

岡崎宏司の「EVは楽しい!」第5回:Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st editionで開眼した


TEXT:岡崎 宏司
TAG:

プジョーe-208GTで、EV生活に大満足な岡崎宏司さん。「EVは楽しい!」と気づいたのは「Audi e-tron Sportsback 55 quattro 1st edition」。「恍惚」と感じ入ったストーリーの今回です。

未来ではなく、現実となった

この連載の1回目……「最新のアウディEVの走りに心を奪われ、恍惚状態で箱根を走った!」と書いた。

そして、EVを「未来ゾーンから現実ゾーンへ招き寄せるキッカケになった」とも書いた。

そのEVとは、アウディe-tron スポーツバック 55クワトロ 1st edition。日本に初導入されたアウディのBEVだ。

試乗会は2020年10月に開かれた。会場はFUJIMI CAFE。御殿場から乙女峠を登り、乙女トンネルに入る直前に位置する。

木造りのカフェの前には広いオープンスペースがあり、パラソルを立てたテラス席が設けられている。

そして、その正面には、富士山がほぼその全容を見せる。最高のロケーションだ。

試乗車は、たしか5~6台用意されていたと記憶しているが、クリーンなBEVの試乗会には、まさにぴったりの環境設定だった。

クールで先進的なEV

4900×1935×1615mmのサイズは大きいが、クーペライクなルックスは、グッと引き締まって見えた。アウディならではのクールで精度感の高い内外装にも惹きつけられた。

小型カメラを用いた「バーチャル・エクステリア・ミラー」の形状が、そして、カメラが捉えた映像を映し出す7インチのパネルが、クールで先進的な印象をさらに高めていた。

心地よいテラスでコーヒーを一杯飲んでスタート。そして、箱根路を自由に走った。

より正確にいえば「自由自在に」走った。僕が意図し期待した以上に走った。走り出した瞬間から、レスポンスと瞬発力の高さに惹きつけられた。すぐ夢中になった。

システム・パワー/トルクは230kW(408ps)/664Nmと強力。前後2基のモーターの出力をコントロールすることで、クワトロ=4WDシステムをも成立させている。

走りは文字通り「意のまま!」。発進は滑らかであり軽やか。アクセルを深く踏み込むと、直線的な加速で、周囲のクルマをあっという間に置き去りにする。

追い越しでも同じ。低速でも、中速でも、高速でも……アクセルを踏み込んだ瞬間、滑らかに、軽やかに、強力に加速する。

Sレンジのブースト機能を使ってのフル加速は「快感そのもの!」。クワトロシステムが強力なトルクをしっかり受け止め、無駄なく前進する力に変えてくれる。

そんな加速ぶりを表現するには、「速い!」とか「すごい!」というよりも、「快感!」という方が当たっている。

重量は2560kgあるが、そんな重さを感じさせられることはまるでない。

バッテリーは低い位置に配分よく積まれる。なので、重心は低く、前後重量配分もよく、心地よい走り味、乗り味をもたらしている。

また、大きな重量と低重心がもたらす重厚な乗り味、エアサスペンションがもたらす優しくフラットな乗り味……このコンビネーションも素晴らしい結果を生み出している。

体感する運動性能、そして上質さに恍惚

EVの静粛性の高さは当たり前だが、各部遮音のレベルは高く、ロードノイズまでもしっかり抑え込まれている。

僕はあえて、中小のコーナーが連続するコースを選んだが、背の高いSUVがまるで、よくできたスポーツカーのように走った。

3段階の回生ブレーキの効きを、パドルでコントロールするのもすごく楽しかった。とくに、ワインディングロードの下りでの楽しさにはすっかりはハマってしまった。

パドルのデザイン、触れた感触、クリックの節度感等々の上質さが、楽しさをより一層加速していたことをも報告しておこう。

僕は、中小の複雑なコーナーが連続する、上記ワインディングロードを何度も往復した。

初めに書いた「恍惚状態で箱根を走った!」とは、主にこのことを指す。

その日、EVは「未来ゾーンから現実ゾーンへと入ってきた!」。そして僕は、真剣にEVに乗ることを考え始めたのだ。

第6回はこちら

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
新車価格約3000万円も補助金を使えば半額で買える! トヨタのカワイイ新世代モビリティ「eパレット」の販売がスタート
more
コラム
中古EVの「バッテリーだけ」がヤフオクに出てる! 一体何に使う?
EVシフトは踊り場どころか再加速! いま欧州ではかなりの勢いでBEV化が進んでいる
ガソリン給油と同じ速度で充電可能! 中国のBYDが発表した「スーパーeプラットフォーム」が凄すぎる!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
マンションでもEVが身近になる! 官⺠連携で既存マンション全274駐⾞区画にEV充電コンセントを導⼊した事例リポート
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択