2023年1月
TEXT:岩尾 信哉
ソニーとホンダはEVに何をもたらすのかーEVにおけるプロダクトデザインとは

期待を集めた「プロトタイプ」 去る1月5日から開催されたCES2023において、ソニーとホンダの合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ(以下、SHM)」は新たなEVブランド「AFEELA(アフィーラ)」を立ち上げたことを明らかにした。ソニーとホンダのコラボレーションと聞いて胸躍る世代にとっては、否応なく注目せざるをえなかった。自動車のみならず、ITビジネス関連など、様々なメディアで採り上げられていることからも、世間の注目度の高さが窺える。 SHMのプレゼンテーションではアフィーラ・ブランドのコンセプトの表明と、採用予定のIT技術の詳細な説明が用意されていた。対して、スタイリングなどデザインについては、「期待過多」の観は否めなかった。あくまでこちらの勝手な思い入れもあってか、壇上に姿を現したモデルのスタイリングにはデザイン上の冒険は見られず、保守的と思えてしまった。「家電見本市」としてのCESでのソニー・グループのプレゼンテーションの場であったことを忘れてはいけなかったのだ。SHMにとっては、EVブランドの立ち上げとともに、ソニー・グループとして多くのるインフォテインメント、エンターテインメント技術を自社のEVに与えると表明することこそが重要といえた。 微妙に変化したデザインコンセプト 正直に言えば、もっと斬新なスタイリングをまとったコンセプトカーが登場すると期待したのだが、見た目はエッジを効かせたキャラクターラインさえも存在しない立てだった。発表されたアフィーラ・ブランドの車両として名称を与えず、ザインスタディやコンセプトカーとも名乗っていない。実際のテストベッドとなるかどうかも明確ではないことは、ソニーの意図が反映されているに違いない。 個人的にはホンダが生産技術、安全技術の具体化などでどのような関わり方をするのか、ホンダ側のスタンスも訊いてみたいところだが、まずはSHMとして、先端IT技術を駆使したエンターテインメント性をEVに与えること。そのためのテクノロジーを披露する意味合いが強い「プロトタイプ」であることを認識すべきだろう。  振り返れば、すでにソニーはSHM設立以前に、2種類のEVコンセプトモデルを発表していた。「ヴィジョンS01」は、2020年に登場した「ヴィジョンS」が2022年CESでの「S-02」の登場とともに改称されたものだ。 スタイリングはS01がクーペセダン、S02がクロスオーバーSUVに仕立てられていた。「プロトタイプ」はS01と同じく4ドアクーペではあっても、微妙に異なるデザインスタンスがとられていたのは、将来の量産モデルに「予見を与えたくない」ということかもしれない。 サイズ感は直球勝負 それでは「プロトタイプ」について明らかにされたスペックの概略について触れておこう。 ちなみに北米市場の量販カテゴリーであるミドルクラスセダンに属するホンダの新型アコードは、全長が約4,970mm、ホイールベースが約2,830mm(どちらも北米仕様)。これに比べて、上記3車のホイールベースは3,000mm前後と、150mm以上長く採っているのは、モーター搭載によってパワートレインのレイアウトの自由度が高いEVならではといえる。  プロトタイプのプラットフォームは新型アコード用のグローバルプラットフォームをベースとしているはずだが、量産モデルでは現在ホンダとGMが共同開発中のEV用プラットフォームを採用するはずだ。   削ぎ落とすデザインはソニーの思想の表れか なにより、今回発表されたSHMの「アフィーラ」プロトタイプでは、デザイン上のシンプルさが際立っている。既存の量産EVの多くが、商品性として「トレンドを外したくない」ことから、クロスオーバーSUVという現状でのマーケットでの鉄板デザインに乗るといった風潮がある。これに抗うようなチャレンジ精神を斬新なデザインを与えて成立させることは想像以上に困難な作業といえるはずだ。 エクステリアで目を引くのは周囲の状況を感知するセンサーによってノブを廃したドアパネルだ。センサー技術とホンダの安全技術の融合というテーマはわかりやすくデザインに反映されている。  さらにフロントエンドのLEDヘッドライト間、リアではコンビネーションランプ中央部分に「メディア・バー」と名付けたディスプレイを装備している。「知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける」というコンセプトを掲げるインタフェースには、バッテリーの充電ステータスなどが表示されるという。 インテリアを見ると、左右方向にスッキリと仕立てられた液晶パネルが特徴的。ヴィジョンS01よりも上下に薄く仕立てられている。ステアリング形状は上部を切り取った長方形の上部を切り取ったU字型デザインとされているのも、デザイン要素を削除する手法といえる。  将来の量産EVのエクステリアデザインについては未知数といえ、ある意味で「どうにでもなる」といえなくもない。ともかくプロトタイプに機能的なギミックは少なく、プレーンさが際立っており、インテリアでもシンプルさを追求する意図は見て取れる。ソニーのプロダクトデザインの真髄を思い浮かべれば、機能美を備えたシンプルさであると捉えたい。  ともあれ、2025年に登場予定のSHMの量産EVには、自動車の商品性の意味を変えるほどのプロダクトデザイン、願わくば自動車業界の常識を覆すような製品レベルまで辿り着いてほしいものだ。  

TAG: #ソニーホンダ #岩尾 信哉
TEXT:生方 聡
三菱自動車、東京オートサロンに2台のカスタムEVを展示

三菱自動車は、1月13日に開幕する「東京オートサロン2023」に出展し、同社のEVをベースとしたカスタムカー2台を含む9台を展示する。 今回展示するのは「eKクロス EV Smooth × Tough(スムーズ バイ タフ)」と「ミニキャブ・ミーブ B-Leisure Style II(ビーレジャー スタイル ツー)」の2台。「eKクロス EV スムーズ バイ タフ」は、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーなどを受賞した軽EVの「eKクロス EV」をベースとしたカスタムカー。EVならではの滑らかで力強い走りに、SUVテイストをさらに強めたエクステリアにより、そのキャラクターを際だたせている。 エクステリアは、ボディがマットグレーメタリック、ルーフがブラックマイカの2トーンペイントとし、フロントグリルガードやオールテレーンタイヤの装着によりオフローダースタイルを表現。また、ルーフラックやリアラダーなどでアウトドアでの便利さをアピールしている。 一方、「ミニキャブ・ミーブ ビーレジャー スタイル ツー」は、昨年末に一般販売を再開した軽商用EVの「ミニキャブ・ミーブ」をベースとする、仕事と遊びの両シーンで活用できるカスタムカーだ。急速充電コネクターに接続して駆動用バッテリーからAC100V/最大1500Wの電力を取り出す「ミーブ・パワーボックス」を使って、リアゲートに取り付けたプロジェクターでeスポーツを楽しんだり、リモートワークのPCの充電が可能。展示では、キックスケーターや渓流釣りセットを装備することで、アウトドアスタイルを演出する一方、フルフラット化が可能なリアスペースには、リモートワークに便利なデスクや座椅子、また、車中泊に必要なベッドキットを用意し、動くプライベート空間に仕立て上げた。 エクステリアは、ボディがアイボリー、ルーフがモスグリーンの2トーンペイントとすることで自然に溶け込むデザインとした。また、電源プラグなどのデカールをボディサイドにあしらい、EVであることをアピールする。 東京オートサロンは1月13日から15日まで千葉県の幕張メッセで開催され、三菱自動車ブースの場所は西ホールNo.109となる。

TAG: #三菱 #東京オートサロン2023
TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.13]

  スズキ、EVコンセプトモデル「eVX」を初公開…インドで開催中の「オートエキスポ2023」で 【THE 視点】 インド・デリー近郊で開催されている「オートエキスポ 2023」において、スズキのEVコンセプトモデル「eVX」が、スズキのインド子会社マルチ・スズキ・インディア社のブースで世界初公開された。  「eVX」は、2025年までに市販化を計画しているスズキのEV世界戦略車第一弾のコンセプトモデルという。  スズキは、「グランドビターラ」をはじめ「S-CROSS」といったSUVモデルを世界各国で展開している。EVモデルである「eVX」においても、スズキのDNAである本格4WDの力強さと最新のEVとしての先進性を融合し、ひと目でスズキのSUVとわかるエクステリアに仕上げたという。  全長4,300mm×全幅1,800mm×全高1,600mmのボディに60kWhの電池が搭載される。航続距離は550km(インドMIDCモード測定値)と発表されている。  車両の詳細は不明だが4WDをうたっていること、60kWhと大容量の電池を床下に配置するであろうことから前後2モーターの4WDとなるだろう。インドでの発表だけに、高温下でのバッテリーなどの熱管理が重要となる。  スズキは、提携先のトヨタからEV技術を学ぶともこの会場で発表した。先日はカナダの企業とEV用減速機の技術提携を発表しており、矢継ぎ早にEV戦略を打ち出している。  2025年には発売されるスズキの「eVX」。どんなEVになって発売されるのか今から待ち遠しい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★BYDオートジャパン、納車前点検を行うPDIセンターを横浜大黒ふ頭内に開設……三菱倉庫と業務委託契約し高品位な供給体制を構築 ★トヨタ車体、バギーのようなEV「ファンコム エクスプローラー」を「東京オートサロン2023に出展」……1人乗りの小型EV「コムス」をベースにカスタム ・日産、集合住宅でのEV所有を促進する「+e プロジェクト」を積水ハウスと推進……集合住宅にEVを導入する体験イベントなどを開催[詳細はこちら<click>] ・ジャガー、「I ペース」を本国で改良……スポーティグレード「R-ダイナミック」を追加 ・プジョー、 新型「408 PHEV」をブリュッセルモーターショーに出展 ……「e-208 GT」なども展示しEV時代をアピール ・キア、「EV6」が北米でカー・オブ・ザ・イヤー……受賞内容は「北米ユーティリティ・ビークル・オブ・ザ・イヤー」、50人からなる審査のうえ選出 ・ウィルスマート、「オートモーティブワールド」内「マースエキスポ」に出展……EVのカーシェアリングシステム「ウィル-モビ」など展示 ・オンセミ、シリコンカーバイド(SiC)パワーモジュールがキア「EV6 GT」に採用……直流800Vのバッテリーから交流モーターへ高効率で電力変換 ・東洋テクニカ、「エレクトリック・モータ・エミュレータ」を発売……モーターの動作を再現しインバータ開発の促進に寄与

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TEXT:生方 聡
[ID.4をチャージせよ!:その3]さっそく補助金を申請! 充電の準備もOK

国の補助金は65万円 2022年11月末、ID.4 プロ・ローンチエディションが無事納車されたということで、さっそく取りかかったのが、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の申請です。 EV(電気自動車)やプラグインハイブリッド車、燃料電池車を新車で購入した場合、申請により国(経済産業省)が実施するCEV補助金を受けることができます。エンジン車に比べてやや割高に思えるEVを購入するうえでは、実にありがたい制度で、たとえばEVの場合、普通自動車が最大65万円、小型自動車や軽自動車では最大45万円の補助が受けられます。AC100V/1500Wのコンセントや外部給電機能がある場合には、さらにそれぞれ20万円と10万円が上乗せされます。 ID.4の場合、補助金の額はライト、プロともに65万円。ただし、4年間保有しなければならないルールがあり、もしその前に手放す場合は、売却額に基づいて補助金の一部を返納する必要があります。 申請そのものはさほど難しくはなく、専用の申込フォームに加えて、クルマの注文書や領収書のコピー、車検証や住民票の写しのコピーなどをまとめて事務局に郵送するだけ(オンライン申請も可能)。申し込みフォームは記入例を見れば簡単にできるもので、私は自分で作成しました。 令和4年度予算にまにあいました! ID.4の購入前から気になっていたのが、予算の残額です。2022(令和4)年は、日産サクラや三菱eKクロス EVが発売されたこともあり、早めに予算残高がゼロになる可能性が出てきたからです。CEV補助金の窓口である次世代自動車振興センターでは、2022年7月25日の時点で、令和4年の本予算が2022年10月末にはなくなると予想。その後、随時情報が更新され、終了する見込み時期が少しずつ延びましたが、最終的には2022年12月15日の申請分をもって、受付が終了になりました。 さいわい私の場合は11月末に申請を終えたため、滑り込みセーフ。現時点では「審査中」という状況です。ちなみに、受付から実際の振り込みまでは3〜4ヵ月かかるそうです。 なお、令和4年当初予算分はすでに受付が終了していますが、令和4年第2次補正予算にCEV補助金が盛り込まれたことから、今回の申請にまにあわなかった人や、これから購入する場合でもCEV補助金を受けることができますので、ご安心ください。 国の補助金以外に、地方自治体が独自の補助金を用意している場合があります。私が住む東京都では、個人でEVを購入した場合に45万円の補助が受けられます。郵送とオンライン申請があり、事前に必要書類をPDF化しておいたおかげで、簡単にオンライン申請ができました。

TAG: #ID.4 #ID.4をチャージせよ #VW
TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.12]

  マツダ、EV用レンジエクステンダーとしてロータリーエンジンを復活 【THE 視点】マツダは1月13日、ロータリーエンジンを発電機として使用するPHEVモデル「MX-30 e-スカイアクティブ R-EV」を、欧州ベルギーで開かれているブリュッセルモーターショーで初公開した。  既存の「MX-30 EVモデル」は、35.5kWhのバッテリーを搭載しているが、同クラスのEVと比較してバッテリー搭載量が少ない。  このたび発表された「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、「MX-30」の基本的な価値はそのままに、EVとしての使い方を拡張したシリーズ式のPHEVモデルだ。  その発電機として採用されたのがロータリーエンジン。新たに開発した発電用ロータリーエンジン(型式:8C)は、高出力モーターとジェネレーターと同軸上に配置してモータールームに搭載されている。必要とされる出力に対してエンジン本体をコンパクト化できるロータリーの特徴を活かしたかたちだ。  このコンパクトなパワーユニットを核に、17.8kWhのリチウムイオンバッテリーと50Lの燃料タンクを組み合わせることで、独自のシリーズ式PHEVシステムを実現。EVとしての航続距離は85km(欧州WLTPモード)。もちろん発電によってその距離は延びる。  構造的には「日産ノート e-パワー」の発電エンジンがロータリーエンジンになったようなもの。走行はモーターのみで行う。しかしバッテリーが大容量でプラグイン式(コンセント)で充電も出来る点が「ノート e-パワー」とは違う点だ。  まさかの発電用ロータリーエンジン搭載のPHEVモデルに驚いた。「MX-30 EV」より電池搭載量は減るものの、発電用ロータリーエンジン搭載など車体構造は複雑になる。それらがどのように価格に反映されるのだろうか。今春には発売される予定である。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★スズキ、EVコンセプトモデル「eVX」を初公開……デリーで開催中の「オートエキスポ2023」で ★ホンダ、人気の原付を電動化……モペットの「カブ e:」「ダックス e:」「ズーマー e:」を中国で発表 ★ホンダ、水素FCVの商用トラックの実証実験を開始……中国の湖北省で ・東京オートサロン2023でカーボンニュートラルをテーマにした併催イベント「オートサロンテック2023」を開催……「VW ID.4」「三菱 eKクロス EV」など展示 ・ボルボ、「C40 リチャージ」のサブスク第2弾を募集……1月18日から、月額16万5,000円 ・ダイナミックマップ基盤、米国子会社のHDマップが「日産 アリア」北米モデルに採用……「プロパイロット・アシスト2.0」のハンズオフ運転支援機能を実現 ・ユアスタンド、都内UR賃貸物件にEV用充電器を導入……電気代の変動に合わせて充電料金を変更する「ダイナミックプライシング」を採用 ・ダイワハウス、2026年末までに210台の社用EVを導入……全社用車のうち20%を置換、車両は「日産 リーフ」

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TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.11]

  スズキ、EV用ギアボックス開発へ……カナダのインモーティブと共同で 【THE 視点】スズキは1月10日、変速機の開発を手掛けるカナダのインモーティブ(Inmotive Inc.)と「EV向け二段変速機」の共同開発契約を締結したと発表した。  インモーティブは、EV向け電動駆動ユニットの性能向上に寄与する独自設計の軽量・小型・高効率な二段変速機「インギア(Ingear)」を開発している。  今回スズキが発表したEV向け二段変速機の共同開発は「効率のよいモーター駆動による航続距離の延長」、「電動駆動ユニットの小型化によるコスト抑制」、「幅広い走行シーンでの走行性能の改善」などにつながる可能性があるという。  これまでEVには変速機不要論もあったが、トヨタもEV用マニュアルトランスミッションを開発中と報じられており、今後多様化に向けて多段ギアを採用したEVも増えてくると思われる。この二段変速機の構造にも興味あるが、変速時の走行フィーリングなど一度試乗してみたい。  インモーティブは、2010年にカナダのトロント市で設立されたスタートアップ企業で、「手頃なゼロエミッションモビリティの世界的な発展を加速させ、気候変動の緩和に重要な役割を果たすこと」をビジョンに掲げている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★マツダ、ロータリエンジン復活……「MX-30 R-EV」にレンジエクステンダーとして搭載し「ブリュッセルモーターショー2023」で公開へ ★三菱、カスタムカー「ミニキャブ・ミーブ・ビーレジャー・スタイルⅡ」を東京オートサロンに出展……給電機能を活かして移動オフィス&レジャーを提案 ★トヨタ、新型「プリウス HEV」発売……PHEVは2023年3月頃の予定 ・KGモータース、超小型EV「ミニマムモビリティ コンセプト」をオートサロン2023に出展……2025年発売を目指す1人乗り車両 ・ボルボ、「EX90」にgoogleの新HDマップを採用……自動運転を含めた高い運転支援機能の実現へ ・パワーエックス、27億円の資金を新たに調達……蓄電池工場「パワーベース」(岡山県玉野市)の研究開発などに充当 ・ウィラー、お台場で小型自動運転EVバスの体験イベントを開催……1月28日〜2月6日 ・レベルブリッジ、EVの完成車・部品調達代行サービスを開始……EVのアフターマーケットに特化した情報サービス「アルゴス」が1月10日にオープン ・テラモーターズ、不動産企業のプロパティエージェントと業務提携……管理マンションに充電設備「テラ・チャージ」を設置

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TEXT:TET編集部
デイリーEVヘッドライン[2023.01.10]

  ZF、EV用加熱式シートベルト「ヒートベルト」を発表【CES2023】 【THE 視点】ZFはCES2023において、EV用のヒーター付きシートベルト「ヒートベルト」を初公開した。  この技術は、シートヒーターなど他の接触式のヒーターと組み合わせることで、暖房に必要なエネルギーを削減する。寒冷時使用の際にはEVの航続距離を最大15%拡大させる効果があるという。  このヒートベルトは、厚さを最小限にする統合型発熱体を使用した特殊なウェビングをベースにしており、乗員が均一で体温に近い温かさを感じられるよう設計されている。統合ヒーティング機能により、運転開始直後から36~40℃の体温に近い温度になるという。既存のモデルへの採用も容易とのこと。  EVにおいては、冬場の従来の空調システムの使用による航続距離の減少が問題となっているが、このシステムにより15%航続距離が延びるというのは、非常に大きなインパクトを与えると考える。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★テスラ、「モデル3」と「モデルY」を値下げ……最大82万円[詳細はこちら<click>] ★ラム、ピックアップトラック「1500レボリューション BEVコンセプト」を初公開……2024年発売、ツインモーターAWDと四輪操舵機能搭載、350kW/800V充電10分で100マイルの走行が可能【CES2023】 ★プジョー、「インセプション・コンセプト」を初公開……680ps(500kW)のツインモーターAWD、充電1回あたりの航続800km【CES2023】[詳細はこちら<click>] ・BMW、車両制御を司り表示もカスタムできる新型ヘッドアップディスプレイ「BMW アイ・ヴィジョン・ディー」を発表……2025年から「ノイエ・クラッセ」に搭載【CES2023】 ・メルセデス・ベンツ、高性能コンセプトモデル「ビジョンEQXX」を公開……充電1回1200kmの航続が可能【CES2023】 ・メルセデス・ベンツ、北米で高出力充電網を2027年までに整備……ヨーロッパや中国、その他主要都市にも展開予定【CES2023】 ・ヴィンファスト、クロスオーバーの「VF6」と「VF7」の予約を2023年3月から開始【CES2023】 ・ポールスター、「ポールスター3」にGoogleの新HDマップを採用……将来の自動運転技術を容易に【CES2023】 ・米新興アスカ、空飛ぶクルマ「ASKATM A5」を公開……レンジエクステンダー搭載のEV/eVTOL機で約400kmの飛行航続距離【CES2023】

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TEXT:曽宮 岳大
新車価格高騰のなかテスラが大幅値下げを発表 「モデル3」と「モデルY」で最大82万円のプライスダウンも

テスラモーターズは1月6日、売れ筋モデルである「モデル3」と「モデルY」の値下げを発表した。従来との価格差はモデル3で最大79万円、モデルYでは82万4000円となり、昨今、新車価格の高騰が嘆かれているなか、大きな注目を集める話題となりそうだ。 今回の値下げについて、テスラから公式な理由については述べられていないが、背景にはEVの競争の激化が挙げられる。最大の市場である中国において、テスラは圧倒的な人気を誇っているものの、中国・深圳のBYDをはじめ、その他の新興メーカーが急速に追い上げている状況だ。 またEVを推進している中国以外の国や市場では、昨今の脱炭素化の風潮や、それに伴う代替エネルギー車を優遇するインセンティブはテスラにとって大きな追い風となる。値下げによりここで一気に台数の増加、ひいてはEV普及を図ろうとする狙いもあるだろう。 今回の値下げは日本だけのものではなく、中国、韓国、オーストラリアなどでも同様に行われる。世界的な半導体不足で新車供給がひっ迫するなか、EVの普及ペースを保ちたいテスラが本腰を入れてきたわけだ。しかもラインアップにおける高価格モデルでなく、普及モデルである「モデル3」や、「モデルY」の価格を引き下げてきたところも、需要の喚起に大きなインパクトを与えそうだ。 「モデル3」は、従来のセダン「モデルS」やSUV「モデルX」よりもコンパクトな4ドアモデル。一方、「モデルY」は、「モデルX」に続くテスラ第2のSUV。ボディサイズは「モデル3」より大きくミッドサイズに属し、SUVの機能性とクーペライクなフォルムを特徴とする。

TEXT:岩尾 信哉
ソニー・ホンダモビリティ、CES2023にてEVブランド「アフィーラ」のプロトタイプを発表

2023日1月5日(米国時間)に、世界的な家電IT見本市であるCES(正式名称、コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの意)が米国ネバダ州ラスベガスで開幕した。ソニーとホンダが設立した合弁会社であるソニー・ホンダモビリティ株式会社(以下、SHM)は、これに先立つ4日に開かれたソニー・グループのプレスカンファレンスにおいて、新たにEVブランド「AFEELA」(アフィーラ)を立ち上げることを表明、プロトタイプを公表した。 注目を集めたプロトタイプEV CESは多くの企業が先端デジタルエレクトロニクスを披露する場であり、ソニー・グループはプレスカンファレンスにおいて、ゲームやVR技術など様々なインフォテインメント・ビジネスの展開について明らかにした。なかでも、昨年9月に設立されたSHMがイベント前にティザー公開していたEVコンセプトカーが、どのようなモデルとして登場するのかが注目されていた。 プレゼンテーションが中盤過ぎまで進むと、SMHの野泰秀会長兼CEOが登壇。プロトタイプEVを披露するとともに、新たにEVブランド「AFEELA」を立ち上げることを明らかにした。その名はSHMが考えるモビリティ体験の中心に在る”FEEL”を表しているという。 これまでSMH設立前にソニーは独自にコンセプトカーを制作していたが、今回披露されたプロトタイプを見ると、エッジを廃したラウンドフォルムや左右に伸びた液晶インストルメントパネルのデザインなど、内外観ともによりシンプルに仕立てられていることが特徴といえる。 スペックの概略について触れておくと、全長×全幅×全高:4,895×1,900×1,460mm、ホイールベース:3,000mm。前:ダブルウィッシュボーン式、後:マルチリンク式のサスペンションを与え、駆動方式はAWDとされている。 ボディサイズを見ると、北米市場において競争激しい乗用セダンのカテゴリーに含まれ、アコードやトヨタ・カムリと同格ながら、ホイールベースの長さが特徴といえる。 最先端のIT技術を装備 今回披露されたプロトタイプに与えられた技術的トピックを挙げれば、室内に設置されたカメラを含め、車両の内外に計45個のカメラ、センサーなどを装備する。これらを統合制御するために、最大 800TOPS(1秒あたりの演算処理回数、単位:兆回。Tera Operation Per Secondの略語)の演算性能を持つECUを搭載。運転者が介さず走行する、レベル3の自動運転の実現を目指すとしている。 エンターテインメント企業群としてのソニー・グループ傘下にあるSMHの成り立ちから想像されるとおり、インフォテインメント技術の採用は誰もが期待するポイントだ。 車両における「リアルとバーチャルの世界の融合」はIT技術のテーマとしてよく耳にする言葉だ。SMHは車両における電子技術を駆使して「移動空間をエンターテインメント空間、感動空間へと拡張」することを目指す。具体的には、Epic Games(ソニーが資金を投資)とモビリティにおける新しい価値観やコンセプトの検討を開始するという。 さらにSMHは車両向けの電子技術を進化させることで「モビリティのインテリジェント化」を進めるとしている。具体的には、AD/ADAS、HMI/IVI、テレマティクスなどの開発に関して、主要機能にモバイル技術を手がけるクアルコム社傘下のクアルコム・テクノロジーズ社と協業を図る。同社が開発する電子プラットフォーム「Snapdragon Digital Chassis」を利用して、装置やシステムの動作に必要な機能のすべてをひとつの半導体チップに実装するSoC(System On a Chipの略語)を採用予定とのこと。SHMは次世代のモビリティ体験の実現に向けて、同社と戦略的な技術パートナーシップを築いていくとしている。 今回のCESではメルセデスやBMW、フォルクスワーゲンなどが出展、車両技術やコンセプトモデルを紹介している。いっぽうで、日本勢が出展を控えたのは、本来家電IT見本市であるCESに対する、自動車メーカーとしてのスタンスの微妙な違いが表れているようだ。 注目される「アフィーラ」の量産EVが世に送り出される時期について、SMHは今回披露されたプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始。同年中の発売を予定しており、デリバリーは2026年春に北米市場から開始するとしている。 ソニーのセンサー技術とホンダの安全技術、様々なIT技術を組み合わせ、世界最高水準のAD/ADASを目指すとしている「アフィーラ」のEVがどのような形で姿を現すのか、期待して待ちたい。

TEXT:曽宮 岳大
ボルボ、米CESで7人乗りの新型電動SUV「EX90」を北米プレミア 2023年後半に生産開始

最高出力500ps超で、航続距離は600km ボルボカーズは現地時間1月3日、北米最大の家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)において、7人乗りの新型電動SUV「EX90」を北米向けに初公開した。2023年後半より生産が開始され日本導入も見込まれるEX90について、その特徴を見ていこう。 まずはEX90の位置付けについて。同モデルは、既存のラインアップにあてはめると、「XC90」のEV版にあたるモデルだ。2ボックスの大柄なSUVボディに3列シートを搭載し、フラッグシップにふさわしい最先端の装備を搭載する。 欧州プレミアムSUVのライバルを見渡すと、ミドルクラス以上のセグメントではメルセデスのEQE SUVとEQS SUV(いずれも日本導入予定)や、BMWのiXなどが発表済みだが、EX90は3列シートSUVという点がファミリー層を中心に大きな訴求ポイントとなりそうだ。 ボルボは2030年までにラインアップのすべてをEVにすると公言し、現在のところコンパクトSUVの「XC40 Recharge」と、SUVクーペの「C40 Recharge」をラインアップ済み。その他のモデルについてもプラグインハイブリッド化、またはマイルドハイブリッド化が完了しており、今後はそれらが順次ピュアEVへと置き換わっていく予定だ。 EX90のパワーユニットについては、最初にツインモーターを搭載した全輪駆動モデルが登場し、こちらはシステム全体で最高出力380kW(517ps)、最大トルク910Nmを発生する。バッテリーは111kWhと大容量で、航続距離は最長600kmに達するとのことだ。 国内価格は1200万円程度か これらのスペックを先のライバルと比べてみよう。メルセデスEQE SUV(価格未定)は、「EQE 350」が最高出力215kW(292ps)で航続距離は最長590km、高性能版の「EQE500」は300kW(408ps)/最長547kmだ。BMW iXには240kW(326ps)/450kmの「iX xDrive40」(1075万円)と、385kW(523ps)/650kmの「iX xDrive50」(1285万円)の2タイプがラインアップされる。これらのSUVに対してEX90は、性能面で遜色がないどころか、むしろ高性能な部類に入る。あと気になるのは、日本国内において車両価格がどの程度に設定されるかだろう。 この点について有力な情報として、ボルボはEX90の北米価格を8万ドル(日本円にして1076万円)以下に設定する見通しであることを今回のCESで示した。そこで日本と米国の価格差を既存モデルで比較すると、XC40 Rechargeの場合、米国でのスタート価格は5万3550ドル(同約720万円)で、日本国内での価格は639万円となっている。仕様が同一ではないとはいえ、ボルボの国内販売価格は米国に比べて12%ほど安く設定されているのである。この価格差を参考に算出してみると、EX90の国内価格は単純計算で1200万円程度になると期待できる。 走る高性能コンピューター さて、次にEX90の技術的なハイライトをチェックしてみよう。注目したいのは、安全性を高めるセンシング技術が進化しているところ。EX90は、レーザーを使って対象物との距離を測定するLiDAR(ライダー)や、5つのレーザー、8つのカメラ、16台の超音波センサーを搭載する。これによりサッカー場(全長105m)ふたつ分に相当する遠方の小さな物体さえも検知可能という。しかも昼夜を問わず、高速道路上でもその検知できる能力を発揮するという。 また、室内においてもステアリングホイールからの情報や2台のカメラによる視線検知により、ドライバーの疲労や眠気、注意散漫な挙動を検知することができるという。LiDARによる走行状況分析と併せ、予防安全技術の飛躍的な向上が期待できそうだ。 さらにEX90では車両購入後も無線によるファームウェアアップデートが可能とのこと。テスラが先鞭をつけた技術だが、車両購入後も最新の安全機能を入手できるというのは大きなメリットとなるに違いない。 ボルボによればEX90は単なる新型車ではなく、“走る高性能コンピューター”であるとのこと。最新の機能・装備を積極的に取り入れ、安全性を高めようとする同社の企業姿勢は、電動化によりさらに弾みがつきそうだ。 なおEX90は北米市場では、2023年に予約受注が開始され、2024年初頭より順次デリバリーが開始予定とのこと。日本導入が待ち遠しい1台だ。

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中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
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コラム
EVの電欠ってどのぐらい発生してる? JAFの出動要請ランキングを調べてみた
BYDの最新車種シーライオン7で1000km走行チャレンジ! 雨でもキチンと働く「ADASの進化」が凄い
EVって最高速度が低いのはなぜ? 答えは「できないじゃなくあえて低く設定している」だった
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
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イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
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