TEXT:福田 雅敏/ABT werke
建機用水素充填インフラの構築を急げ……コベルコ、FCEVパワーショベルの稼働評価を開始[2023.10.12]
コマツも試作機を開発した中型クラスの電動パワーショベル 官民一体でFCEV建設機械の開発とインフラの構築を早急に 【THE 視点】コベルコ建機は、燃料電池式(FC)の電動ショベルの試作機(以下、FCEVパワーショベル)の稼働評価を開始した。 FCEVパワーショベルの実用化に向けた取り組みを2021年に開始し、2023年3月に試作機が完成した。中型の油圧ショベルにトヨタのFCユニットと水素タンクを搭載。パワーショベルに求められる基本動作に支障がないことを確認したという。 評価結果をまとめると以下となる。 ・エンジン搭載機と遜色がない動作速度 ・圧倒的な低騒音 ・エンジンによる振動がないため、車体への振動伝達が低減し搭乗時の快適性が向上 ・水素と空気中の酸素が結合した純水のみの排出なので、CO2がゼロ ・高温排気がないため、車体やその周辺への熱害がない 今後も、エンジン搭載機と同等の作業性能を実現するために試作機の検証と改善を進め、商品化を目指すという。ちなみにコベルコは、世界初の「ハイブリッドショベル」や「有線式電動ショベル」といった環境負荷低減に貢献する建設機械の開発と提供に努めている。2025年に、まずはEV建機のニーズが高い欧州に向けに「バッテリー式EVのミニショベル」と「小型重機ショベル」。さらに日本国内向けに「クローラークレーン」の有線電動仕様の導入を計画し、EV建機の普及を着々と進めている。 特注ではなく、トヨタの量産品のFCシステムを使用しているとすれば、信頼性が高い上にコストの低減が期待できる。同じ建機メーカーの小松製作所(コマツ)も、今年5月にトヨタのFCを使用したFCEVパワーショベルの開発と実証実験の開始を発表している[詳細はこちら<click>]。コベルコと同じ中型の油圧ショベルがベースなので、FCシステムも大きくは違わないだろう。逆に各メーカーは、どういった点でそれぞれの特徴を出していくのか、興味津々である。 一方、使われる環境が自動車のFCEVとは違うので、環境に合わせた信頼性や耐久性などの検証は今後も継続していく必要がある。 また、水素充填のインフラを建機に対応させるといった国が絡む法整備の問題もある。現状では自動車用の水素ステーションは法の縛りで建機では使えないと筆者は認識している。 政府は、FCEVの普及を目標に水素供給インフラの整備・強化も目標に掲げているが、建機に対するそれらの構築も具体的に検討を始めてほしい。騒音・排熱といった環境問題の対策に非常に有用なEV建機は、バッテリー式であれFC式であれ普及を加速させるべきだ。官民一体となって取り組んでほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★テスラ、新型「モデル3」の展示会を開催 ……10月13日(金)より、「テスラ新宿」「テスラセンター板橋」「テスラセンター千葉稲毛」「テスラおおたかの森」「テスラ幕張新都心」「テスラ・ラゾーナ川崎プラザ」で、「ハイランド」と言われる改良新型「モデル3」の展示を行なうと発表した[関連記事はこちら<click>]。 ★★レクサス、EVスーパースポーツをJMSで発表か ……「ジャパン・モビリティ・ショー」(JMS)の出展概要を発表した。「バッテリーEVコンセプトカー」の出展予告とともにシルエットを公開した。スポーツ車を彷彿とさせる低いスタイルをとっている。 ★★スバル、EVスポーツをJMSで発表 ……「JMS」の出展概要を公表した。「スバル・スポーツ・モビリティ・コンセプト」を出展する。公開されたティーザー画像では、低く構えたクーペらしきスタイルが見て取れる。 ★★ボールねじのTHK、EVを開発 ……実走行が可能なコンセプトモデル「LSR-05」を開発した。「JMS」に出展するという。車両にはTHKの独自技術を満載。SUVクーペスタイルの4人乗りで観音開きドアを採用している。 ★★三菱、クロスオーバーMPVのEVコンセプトを開発 ……「JMS」に出展する。ティーザー画像では、「デリカ」のようなシルエットを確認することができる。また、バギースタイルの小型EV「Last 1 mile Mobility」も出展する。 ★ヤマハ、3ホイーラーのオープンEVを開発 ……前輪二輪のリバーストライク型のオープントップEVコンセプト「トライセラ」を開発した。「JMS」に出展するという。そのほか、コンセプトEVスクーター「イーラブ」や、スーパースポーツスタイルのEVバイクも出展する。 ★BMW、「iX2」の車両概要を公開 ……「ジャパン・モビリティ・ショー」でのワールドプレミアを前に車両概要を公表した。プレミアムコンパクトクラス初のスポーツ・アクティビティ・クーペ(SAC:いわゆるSUVクーペ)スタイルのモデルとなる。最高出力230kW(313ps)/最大トルク494Nm(50.4kgm)のデュアルモーター式AWDで、最大航続距離は449km(WLTP値)。 ★米新興アルファモーター、ピックアップEV「ナイトウォルフ」を発表 ……シングルキャビンのピックアップトラックとなる。駆動方式はRWDもしくはデュアルモーターのAWDを選択可能。最大航続距離は275マイル(435km)。 ★「フィアット 500e」「アバルト 500e」向けのオンデマンド充電サービスが開始 ……欧州の4ヵ国・13都市でサービスを開始した。スマホからの予約で充電機材を搭載した車両が駆けつけ充電を行なう。サービスはE-GAPが担当する[関連記事はこちら<click>]。 ★ステランティス、ドイツ国内のEVでトップシェア ……2023年9月のドイツ国内におけるEVの販売台数を公表した。「オペル・コルサ・エレクトリック」(2位:2,200台)、「フィアット・500e」(3位:1,800台)、「オペル・モッカ・エレクトリック」(4位:1,300台)となり、ドイツでのトップシェアを獲得したという。 ★ジェネシス、アメリカ33州でEVモデルを取り扱い ……ヒョンデの高級ブランドのジェネシスは、10月10日付で33州に販売網が拡大したと発表した。10の州へ販売を広げ、カリフォルニアとルイジアナには2つの独立ディーラーをオープンしたという。 ★東京都の公共駐車場で計52基の充電器が新規稼働 ……テラモーターズが展開する。木場/和田堀/石神井/中川/東綾瀬/宇喜田/武蔵野の森/小金井の各公園の駐車場に導入。 ★世田谷区の公共施設に充電器を設置 ……テラモーターズは、東京都世田谷区と充電インフラ整備に関して協定を締結した。区立教育総合センターと多摩川総合支所に、急速充電器を1基ずつ設置予定。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.12]
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