#充電
TEXT:琴條孝詩
「正直言って日本でEVって不便でしょ?」の問いにオーナーが本音で答える! 「昔と違っていまはネガをほとんど感じない」

「充電は給油よりも便利」と感じている人が多数 電気自動車(EV)の普及が進むなか、多くの人が興味をもっているが、まだまだ実際に購入には至っていない現状がある。それは、充電やメンテナンス、バッテリーの劣化に関する不安があるからだ。本稿では、日々進化するEV技術やインフラの最新情報を踏まえ、これらの懸念点について、実際のEVオーナーである筆者はじめ、そのほかSNSなどのポストなどの情報を交えながら解説しよう。 <充電インフラの拡充と利便性の向上> EVの普及に伴い、日本国内の充電インフラは着実に整備されつつある。経済産業省の調べでは、2023年末時点で、ガソリンスタンド数は2万7414カ所、それに対してEV充電スタンド情報サイトの報告では、2025年3月時点でEV充電スタンドの数は2万5876カ所に達し、ガソリンスタンドの数に迫る勢いを見せている。充電口数としては約4万7000口だが、政府は2030年までに30万口の充電設備設置を目標としており、今後さらなる拡充が期待される。 いまだEVの購入に踏み切れない人に対して、実際のEVオーナーの多くは充電に関する問題はほとんど感じていないというリポートも多数見受けられる。日常的な使用においては、自宅での夜間充電で十分であり、長距離移動の際も事前に充電スポットを確認することで問題なく対応できるという。 NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社によると、2024年度から2025年度にかけて、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに約430口の急速充電器が増設される予定である。これにより長距離移動時の充電不安はさらに軽減されるだろう。 EVオーナーのなかには「充電は給油よりも便利」と感じている人も多い。自宅で充電できることや、買い物先や目的地で充電できるスポットが増えていることが理由として挙げられている。また、専用アプリやGoogle Mapを使用することで、近くの充電スタンドを簡単に見つけられるようになったことも利便性向上に貢献している。

TAG: #メンテナンス #充電
TEXT:渡辺陽一郎
ガソリン代高騰のいま「コストでEV」を選ぶのはアリ! EVはどこまで安く乗れるのか計算してみた

EVは走行コストに優れる 電気料金にはさまざまなプランがある。電気自動車の保有に有利な夜間(午後9時から翌日の午前9時までなど)の電力料金を割安にしたプランもあるが、東京電力の従量電灯BやCなどの一般的な価格は、1kWh当たり約30円といった設定だ。 日産リーフの場合、駆動用リチウムイオン電池の容量には、40kWhと60kWhがある。40kWh仕様の場合、満充電にすると電気代は約1200円だ。40kWhで走行できる距離は、WLTCモードで322kmになる。そうなると1km走行当たりのコストは3.7円だ。 ちなみにハイブリッドのトヨタ・プリウスGやZは、WLTCモード燃費が28.6km/Lになる。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円とすれば、1km当たりの走行コストは5.9円だ。 トヨタ・ヤリスハイブリッドXは、WLTCモード燃費が36km/L。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円なら、1km当たりの走行コストは4.7円に収まる。 ヤリスハイブリッドの走行コストは、リーフの3.7円に近いが、それでも安くはならない。ヤリスハイブリッドの走行コストがリーフを下まわるには、レギュラーガソリン価格が以前のように1リッター当たり130円程度まで値下げされることが条件だ。 このように、電気自動車の走行コストは、燃費効率の優れたハイブリッドと比べても安い。ガソリン価格が高騰する昨今では、ハイブリッドに対してさらに差を付けている。

TAG: #コスト #充電 #充電器
TEXT:山本晋也
EV買い替えたらアレ? ケーブル届かないじゃん! フロントだったりリヤだったり右に左にとEVの充電口が各車バラバラなのはなぜ?

EVの充電口の位置は同じメーカーでも統一されていない 日本で買えるEVもずいぶん増えてきた。多彩な選択肢があることはユーザーにとって歓迎すべき状態といえるが、EVが多様化することで、日々のカーライフ満足度を左右する問題も発生している。 それが「充電口の位置バラバラ問題」だ。 EVを運用する上で、充電は欠かせない行為。しかし、充電口の位置はまったく統一されていない。 日本で最初に普及したEVといえる日産リーフはフロント中央に充電リッドを配置しており、そこを開けると普通充電と急速充電が並んでいる。しかし、同じ日産でも最新世代のアリアになると、充電口はフロントフェンダーの左右にわけてレイアウトされている(運転席から見て、右が普通充電、左が急速充電)。一方、軽EVのサクラは運転席から見て右リヤフェンダー部分に普通充電と急速充電が並んでいる。 ちなみに、国産EVでいうとトヨタbZ4X/スバル・ソルテラはアリアと同様に運転席から見て、右フロントフェンダーに普通充電、左フロントフェンダーに急速充電というレイアウトを採用。レクサスRZはbZ4Xと同じレイアウトだが、レクサスUXになると運転席から見て、右リヤフェンダーに普通充電、左リヤフェンダーが急速充電という配置になる。ホンダの軽商用EV、N-VAN e:はフロントグリル内に普通充電と急速充電を並べている。 輸入車でいうと、テスラ・モデルYは運転席から見て、左テールランプ部分にスーパーチャージャー用ポートを置いているが、フォルクスワーゲンID.4やボルボEX30など欧州系EVでは右リヤフェンダーに充電口をレイアウトするパターンが多い。一方、BYDのラインアップを見ると、シールは右リヤフェンダーに置くが、ドルフィンとATTO3は右フロントフェンダーに充電口を配している。ヒョンデについてもアイオニック5は右リヤフェンダーだが、コナはフロントグリルに充電リッドをレイアウトしている。 このように、充電口の場所についてはメーカーごとにバラバラなだけでなく、同一メーカーでさえ統一されていないのが現状だ。 こうした違いはEVの使い勝手の悪さにもつながっている。とくにリーフのフロント充電リッドを前提に設置された旧タイプの急速充電を利用するときに、うまく駐車しないと、充電プラグが届かないだとか、充電ケーブルがボディにこすれてしまうだとかいった問題も起きているようだ。 しかしながら、充電口の位置が統一されないのには、いくつかの理由がある。

TAG: #充電 #充電口
TEXT:渡辺陽一郎
毎回無料充電器を使えばEVはかなりお得……だけどそれってアリ? EVの充電マナーを考える!

充電は自宅で行うのが基本 数は少ないが、市役所などには無料で使える急速充電器もある。そのような場所に出かけるときは、自宅で行う充電量を迷うこともあるだろう。自宅では少なめに充電して電気代を節約し、外出先でしっかり充電すれば、経済的ともいえる。 ただし、この判断は状況によって異なる。たとえば自宅から5km圏内に無料で使える急速充電設備があるようなときは、満充電にして出かける必要はない。急速充電では、もともと満充電の80%程度までしか充電できないため、自宅では控えておく必要も生じる。 それでも駆動用電池がほとんど充電されていないギリギリの状態で出かけるのは避けたい。外出先で急速充電器の作動が止まっていたり、混雑して使えないことも考えられるからだ。自宅から近い場所で充電するとしても、そのまま帰宅できる充電量は残しておくべきだ。 遠方まで出かけて充電するときは、無理をしないほうがいい。事故による渋滞や迂回により、予想以上の電力を使うことも考えられる。基本はあくまでも自宅での充電で、外出先の充電設備はサブ的に考えたほうが安全だ。 以前、日産の販売店から以下のような話を聞いた。 「以前のゼロエミッションプログラムには、使いホーダイプランがあった。月額2000円を支払うと、販売店の充電器が文字どおり使い放題になるものだ。このサービスを開始したら、ほぼ毎日、販売店でリーフへ大量に充電するお客さまが現われた。販売店で充電したら、自宅に戻り、その電気をリーフtoホームの機能を使って家屋へ給電する。そうすれば自宅の電気代は節約できるが、販売店は非常に困る。このような事情もあり、使いホーダイプランは終了して、ゼロエミッションプログラムも次第に値上げするようになった」 これは、先代リーフを販売していたころの話だ。当時のリーフで毎日急速充電を行ったら、駆動用電池の劣化も激しくユーザーの不利益も多かったと思う。 極端な例だが、充電は自宅で行うのが基本だ。外出するときも、十分に充電した上で出かけたい。そのほうが安心して運転できる。不安を感じながらのドライブは、運転操作に集中できず、安全面でも好ましくない。

TAG: #充電 #充電器
TEXT:御堀直嗣
なんで急速充電のタイプがこんなにある? 世界で統一していない理由は各国のくだらない意地の張り合いでしかない

日本の急速充電器規格はCHAdeMO 電気自動車(EV)の充電口は、地域や国によって種類が異なる。 充電にはふた通りある。ひとつは200Vによる普通充電で、おもに自宅や仕事先、あるいは宿泊先などで、時間をかけて充電する方法だ。もうひとつが急速充電と呼ばれるもので、高電圧の大電流を使い、短時間に充電を行う。このため、移動途中での経路充電で利用される。 よく話題にのぼるのは、その急速充電についてだ。充電の規格は、普通充電にも急速充電にも存在するが、多くの人が気にするのは、急速充電だろう。 日本で使う急速充電は、CHAdeMO(チャデモ)と名付けられた方式だ。これが世界初の急速充電規格である。なぜなら、EVを量産市販したのは日本のメーカーが最初であるからだ。しかも、世界へ販売することを目指し、世界各地にこの急速充電規格を広め、実際、欧米やアジアにその実績がある。CHAdeMOは、今日も継続的に世界で活動を行っている。 当初は、EVの量産市販に積極的でなかった欧米自動車メーカーだが、フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル排気偽装が2015年に米国で表面化したことにより、ディーゼルエンジンの行く末に疑念が生まれ、EV化が一気に加速した。 そもそも、米国カリフォルニア州で1990年にZEV(ゼロ・エミッション車)法が施行されたとき、一番の目的は大気汚染防止にあった。そのうえで、排気がなければ二酸化炭素(CO2)の排出もなく、温室効果ガス(じつはCO2よりメタンの方が影響は大きい)に対応できることから、ディーゼルエンジンを止めてEVへの転換が起こった。 2000年前後、欧州は、ハイブリッド車を含め電動化しなくても、燃費のよいディーゼルエンジンで温室効果ガスを削減できるとした。しかし、そこに大気汚染防止の視点が欠けていた。結果として排気に含まれる有害物質について偽装が行われたのである。じつは、当時すでに欧州では大気汚染が目に見えるかたちで進み始めていたにもかかわらずである。 話を元へ戻すと、そうした背景から、欧米は日本に遅れて充電規格の課題に直面した。それに際し、日本の規格をそのまま導入するのは不本意との思惑から、あえて別規格を打ち立てたのである。それが、コンバインド方式、一般にCCS(コンバインド・チャージング・システム)と呼ばれる、CHAdeMOと別の充電規格だ。 世界統一の機会を阻んだのは、後発の欧米である。そしていまなお、潜在性能や安全性の点でCHAdeMOが上まわっている。その理由は後述する。

TAG: #充電 #規格
TEXT:琴條孝詩
台数が増えたらやっぱり問題も増えた! EV乗りが「急速充電スポット」で見かけるトラブル事例TOP3

EVの普及により増えるトラブル EVの普及が進むにつれ、充電スポットでのトラブルが増加している。とくに急速充電器では、限られた設備を大勢で共有するため、思わぬトラブルが発生することがある。今回は実際に起きた、あるいは起こり得るトラブル事例を紹介しよう。 <TOP3:プラグ抜き取り問題> まず、もっともゾッとするのが「充電中にプラグを抜かれる」という問題だ。想像してみてほしい。ショッピングモールで買い物を終えてEVに戻ると、充電ケーブルが外れている。確かに充電終了時間を5分過ぎていた。かといって、他人のクルマのプラグを勝手に抜くか!? とはいえ、このような“事件”はたまに起こっているようだ。単にプラグを引き抜かれるという嫌がらせ。ときには、充電途中で勝手に引き抜いて自分のクルマに充電する猛者もいるらしい。こうなるともはや嫌がらせの域を超え、暴力的な行為ともいえよう。 しかしこの行為、じつは礼儀に反するだけでなく、法律的にも問題となる場合もある。最近は、充電ステーションに監視カメラを設置するところも増えている。つまり、そういったトラブルも想定内というわけだ。後日、警察からの呼び出しを受けることなどないよう、くれぐれもお気をつけを。 <TOP2:充電完了車放置問題> ショッピングセンターなどで多いのが、充電が完了したクルマに長時間ドライバーが戻らない問題。多くの急速充電器は30分間の充電が上限となっている。30分経つと充電は自動的に終了するが、それでも買い物や食事に夢中になっているのか、クルマに戻らず、そのまま放置されていることがある。なかには充電完了後、1時間以上も戻ってこないケースもあり、待機しているクルマのドライバーたちを苛つかせている。 また、待っている人がいるのに“おかわり”するドライバーもいる。30分で充電停止になったのに続けて充電する人だ。これもよく口論しているのを目にする。 ショッピングセンターのなかには監視員がいるところもあるが、監視員にこれらの問題にクレームをつけても彼らとしては「駐車する権利はドライバーのもので、充電はサービスに過ぎないので注意できない」と、ドライバー同士の諍いには介入しないようにしているようだ。また、内燃機関(ICE)車が充電スペースに駐車していることもあり、EVユーザーにとって大きなストレスとなっている。

TAG: #充電 #急速充電
TEXT:高橋 優
中国の電気自動車「BYDシール」のリアルな航続距離と充電性能は? AWDモデルを長距離走行してテストした

BYDシールのEV性能をテスト! BYDのフラグシップセダンであるシールAWDで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。とくに真冬にどれほどのEV性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを詳細リポートします。 *主要スペック(※は推定値) ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/※80kWh ・日本WLTCモード(WLTCモードクラス2)航続距離:575km ・EPA航続距離:※450km ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/非公表 *装着タイヤ ・235/45/R19 ・Nokian Hakkapeliitta R5(スタッドレスタイヤ) ・空気圧:2.5/2,9(前輪/後輪)(適正値2.5/2.9) *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%付近までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシールAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールAWD・19インチスタッドレスタイヤ装着の場合はGPS距離との乖離なし) 結果:蓮田SA下り→白河IC→蓮田SA上り ・走行距離:306.4km ・消費電力量:100%→10.6% ・平均電費:4.32km/kWh(231.7Wh/km) ・外気温:1〜7℃ よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態からSOC0%になるまで、344kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり(今回のシールAWDの場合は24℃オートに設定) ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールAWD・19インチスタッドレスタイヤ装着の場合はGPS距離との乖離なし) 結果:蓮田SA下り→佐野藤岡IC→蓮田SA上り ・走行距離:76.7km ・消費電力量:80.6%→54.1% ・平均電費:3.49km/kWh(286.8Wh/km) ・外気温:3〜5℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、289.5kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:150kW級急速充電器(ABB製/ブーストモード/空冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:39分 ・最大充電出力(SOC):105kW(63%) ・30分回復航続距離(外気温平均4℃での航続距離テストベース):185km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:渡辺陽一郎
充電中は「車内で待つ」がベスト! EVで急速充電器トラブルを避ける最低限のマナーとは

充電中は車内にいるようにしたい EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド/充電の可能なハイブリッド)を使っていると、自宅だけでなく、高速道路のサービスエリアなどで急速充電する機会もある。このときに大切なのが利用するときのマナーだ。 充電しているときのケーブルは、歩行者が車両の付近を通っても足が引っかからないように、なるべく車両側に寄せておきたい。乱雑にならないように注意する。 そして充電中は、なるべく車内にいるようにしたい。充電時間を利用して食事をするなら、サービスエリアのレストランには入らず、売店で弁当を買ってきて車内で食べる。レストランに入ると、注文してから食事を始めるまでに予想以上の時間がかかり、充電が終了しているのに車両を放置する心配も生じるからだ。充電を終えたあとの放置は、充電を待つ後続車のユーザーに迷惑をかける重大なマナー違反だから避けたい。 その点で車内にいれば、後続車両が来たときも、挨拶をしたり残りの時間を伝えられる。なお急速充電設備が混雑しているときは、充電時間は最長30分で切り上げるなどの配慮が必要だ。スマートフォンなどで検索して、なるべく空いている充電設備を選ぶことも考えたい。 そして充電が終了したら、ケーブルは正しい位置に格納する。路上に放置したりすると、歩行者の足に引っ掛かったり、後続の充電車両がタイヤで踏んでしまうなどのトラブルを引き起こす。充電を終えたあとの対処も重要だ。 充電に限らずマナーの基本は、自分が嫌なことは他人にもしない、自分が心地よいことを他人に対しても心がける点にある。そうすれば急速充電器を気もちよく使える。

TAG: #充電 #急速充電
TEXT:琴條孝詩
毎日そんなに長距離乗るか? 根拠なきEVへの「航続距離の不安」は正しい知識で見直すべき

EVオーナーの1日の走行距離の中央値は20km前後 電気自動車(EV)を選ぶ際、必ず話題に上るのが「航続可能走行距離」だ。欧米でも「レンジ不安(range anxiety)」として依然として関心を集めている。 カタログスペックを比較したり、実際の使用状況をSNSで調べたりと、多くの人がその数字に注目する。しかし、冷静に考えてみてほしい。日常的に数百kmも移動する人が、果たしてどれだけいるだろうか? 大多数のドライバーは、通勤や買い物といった近距離での利用がメインではないだろうか。それにもかかわらず、なぜここまでEVの航続可能距離に不安を感じるのだろうか? MapFanを提供するジオテクノロジーズが2023年に実施した調査で、軽EVオーナーも普通車EVオーナーも、1日の走行距離の中央値は、EVの航続可能距離にかかわらず20km前後であることが明らかになった。具体的には、航続可能距離100〜200kmのEVで約20.4km、200〜300kmのEVで約16.3km、301km以上のEVで約18.1kmとなっている。これは、現在の多くのEVの航続可能距離が300km以上であることを考えると、日常的な使用には十分すぎる距離である。 さらに興味深いのは、EVの航続可能距離と実際の走行距離に相関関係が見られないことだ。つまり、より長い航続可能距離を持つEVを所有しているからといって、必ずしも長距離を走行しているわけではないのである。これは、多くのEVユーザーが日常的な短距離移動にEVを使用していることを示唆している。 <日常利用では十分な航続可能距離、それでも消えない不安> 現在のEVの航続可能距離は、ひと昔前と比べて飛躍的に向上している。最新モデルのなかには、500km以上走行可能な車種も珍しくない。これは、東京から大阪までを休憩なしで走破できる距離に匹敵する。一般的な使い方であれば、数日に1度の充電で十分だろう。 にもかかわらず、多くの人が航続可能距離に不安を抱くのは、以下の要因が考えられる。 まず、内燃機関(ICE)車との比較だ。ICE車は数分で給油が完了し、多くの場合、航続可能距離もEVより長い。この手軽さと安心感が、長年培われてきたICE車への信頼に繋がっている。EVの場合、充電に時間がかかること、充電スポットの場所や混雑状況を考慮する必要があることが、心理的な負担となるのだ。 次に、走行環境による航続可能距離の変化が挙げられる。EVの航続可能距離は、気温、運転方法、エアコンの使用状況など、さまざまな要因によって大きく変動する。とくに山道の上り坂では航続可能距離が極端に短くなるので心理的ストレスが増長する。また、冬場はバッテリー能力が落ちるため電力を大きく消費する暖房使用時は、航続可能距離が大幅に短くなる可能性がある。 こうした変動要因の多さが、計画的な移動を困難にし、不安感を増幅させる。数百kmにおよぶ長旅では、事前に周到な充電計画が必要になることなどICE車に比べて面倒であることも否めない。

TAG: #充電 #航続距離
TEXT:渡辺陽一郎
EVで得する人は「自宅充電可&セカンドカー」! そうじゃなければ燃費のいいハイブリッドのほうが経済的にはメリットあり

充電は自宅で行うのが割安 いまは急速充電器が普及している。駆動用電池の温度管理も入念に行っているから、急速充電器の利用だけでEVを使うことも可能だ。しかし、基本的には充電は自宅で行い、急速充電器は緊急用と考えたい。駆動用電池の負荷を考えると、理想は従来と同じく普通充電になり、急速充電器は施設の都合で廃止されることもあるからだ。 また、日産は急速充電器を利用できるゼロ・エミッション・プログラム3を提供しているが、利用料金を考えると割安とはいえない。たとえばプレミアム200のプランは、月々6600円で急速充電器を200分、普通充電器を600分利用できる。 リーフGの場合、急速充電器を200分使って走れる距離はWLTCモードで約850kmだ。普通充電の600分では約400kmになる。両方合わせて1250kmだ。 一方、レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円として、6600円分を給油すれば39リッターになる。1リッター当たり30kmを走行可能な燃費の優れたハイブリッド車なら、39リッターで1170kmを走行可能だ。レギュラーガソリン価格が以前のように1リッター当たり140円まで下がれば、6600円で1400kmを走行できる。 しかも外出先での普通充電は使い勝手が悪いから、急速充電に頼ると、850kmで6600円を支払うことになって割高感が強まる。このように考えると、充電は自宅で行うのが割安だ。 また、EVは1回の充電で走行できる距離がエンジンを搭載するクルマに比べて短い。これを伸ばそうとすれば、大型のリチウムイオン電池が必要でボディも重くなり、モーターは大型化する。拡大の悪循環に陥ってしまう。 そうなるとEVは、自宅に充電器を設置できる一戸建てのユーザーが、買い物などの短距離移動に使うセカンドカーに適する。長距離移動にはファーストカーを使うから、EVのセカンドカーが長い距離を走れる必要はない。 このニーズに応えて、サクラはEVの国内販売ナンバーワンになった。毎月のEVの販売状況を見ると、国内で売られるEVの40%近くをサクラが占めることもある。サクラのリチウムイオン電池は20kWhと小さく、1回の充電で走行できる距離も180kmと短いが、セカンドカーとして使うなら不都合はない。軽自動車だからボディはコンパクトで、街なかの移動でも使いやすく、Xは実用装備を充実させて価格を259万9300円に抑えた。国から交付される補助金の55万円を差し引くと、実質価格は200万円少々だから購入しやすい。 以上のようにEVライフは、自宅に充電設備を設置できるユーザーが、セカンドカーとして利用するのにピッタリだ。

TAG: #充電 #所有

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