#テクノロジー
TEXT:大内明彦
ガソリン給油と同じ速度で充電可能! 中国のBYDが発表した「スーパーeプラットフォーム」が凄すぎる!!

BYDが発表した新技術の中身 EVを生産するBYDという中国企業をご存じだろうか。自動車メーカーとしての歩みはまだ20年、企業としても創業30年と歴史の浅いメーカーで、2次電池(携帯電話用)の生産で起業している。 現在の業務内容は自動車(EV、PHV)、バッテリー(2次電池)、エレクトロニック(スマートフォンなどの電子機器)などの生産、エネルギー産業(太陽光発電、蓄電システム)、鉄道輸送(モノレール、地下鉄)などを手掛けている。ちなみに社名のBYDは「Build Your Dream」の頭文字をとったもので、近未来に向かっての歩みを意味している。 こうした業務内容のなかで、自動車については新エネルギー車にカテゴリーわけされるEVとPHVの生産を行っている。とくに将来への可能性を大きく秘めたEVの開発、普及に関しては積極的な取り組み姿勢を見せている。そのBYD社、2025年3月に「スーパーeプラットフォーム」と名付けられた新たな充電システムを開発、発表している。 このシステム、「プラットフォーム」の名が示すように、なにかのベース、土台となる技術であることが推察できる。問題は、その前にある「スーパーe」の意味するものだが、技術の内容から考えると超急速充電システムと理解してよいだろう。メーカーの表現を借りると「油電同速」ということで、充電時間とガソリン(液体燃料)の補給時間が同じ(になる)ことを意味している。 環境性能に関しては文句なく優れるEVだが、充電設備、充電時間などが大きな問題として取り組まれてきた。解決するには、数多くの充電スタンド、短時間での充電が必要になるわけで、これが可能になれば内燃機関車(ガソリン、ディーゼル)と同等の実用性を得ることができる、というユーザーニーズに対する回答である。 BYDは、この充電時間に関して燃料補給と同等の時間で完了できる「スーパーeプラットフォーム」と名付けた超急速充電システムを開発。画期的な内容で、1秒あたり2kmの走行距離に相当する充電を行い、5分弱で400km走行に相当する充電を可能にする「フラッシュ充電」方式を開発した。 ただし、既存のEVに対応したシステムではなく、短時間による急速充電を可能にするには車両側、充電側(ステーション)の両者で専用の方式を使うことが条件となるようだ。

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TEXT:御堀直嗣
リチウムが入手困難ならナトリウム! いま注目を集める「ナトリウムイオン電池」ってどんなもの?

未来を担うかもしれない新時代のバッテリー ナトリウムイオンバッテリーとは、リチウムより周期表で原子番号が大きいナトリウムを正極に使うバッテリーをいう。ナトリウムイオンが、正極と負極の間を行き来することで充電と放電を行う仕組みは、リチウムイオンバッテリーと同じだ。 リチウムとナトリウムでは資源の入手のしやすさが異なり、ナトリウムのほうがより豊富に存在するため、EVを含め電動化が進むにつれてバッテリー需要が増大する際に、価格面を含めた手に入れやすさで注目されだした。 ただ、これまでナトリウムイオンバッテリーがあまり話題にならなかったのは、リチウムイオンバッテリーに比べ1セルあたりの電圧が低いためだった。リチウムイオンが4Vであるのに対し、ナトリウムイオンは2.5V程度だ。4割ほど電圧が低いということは、同じ容量を車載した際の一充電走行距離が4割近く短くなることを意味する。 EVに乗る際にもっとも気になるのは一充電走行距離の長さだろう。そこに弱さがあれば、いくら資源が豊富であり原価が安く済んでも、消費者の目は向きにくい。 それでも開発は続けられ、2009年ごろには1セル3Vまで改善できるのではないかという見通しが出てきた。三菱自動車工業からi‐MiEVが発売された年だ。 さらに後年になって、中国でリン酸鉄を正極に使うリチウムイオンバッテリーが登場し、その1セルあたりの電圧は3.2Vである。ナトリウムイオンバッテリーとそれほど違いがないにもかかわらず実用化され、普及段階に入っているのだ。 これまでの開発で、ナトリウムに、資源的に安定性のある鉄、マンガン、マグネシウムを混ぜ、さらに、ニッケルやチタンを加えると、ナトリウムイオンバッテリーも3~3.5Vの性能を出せる見とおしが立ってきた。 そして負極には、リチウムイオンバッテリーで使われる黒鉛ではなくハードカーボンを使うことで、容量を増やし耐久性も上がることがわかってきた。 しかもバッテリー製造は、既存のリチウムイオンバッテリーと同じ生産方法で可能であるという。 高性能を競うのではなく手ごろな価格で適切な性能が得られる小型EVを求めるように市場が変化しはじめ、リン酸鉄の正極をもつリチウムイオンバッテリーがそれを実現しつつある。 同じ理由で、ナトリウムイオンバッテリーでも適切な性能が得られるEV開発と商品性を見極めることができるなら、採用の事例が登場するかもしれない。 EV販売が踊り場であるなどといわれるが、これまで普及型の廉価な量販EVが足りていなかったのであり、より多くの人が購入可能であったり利用しやすかったりするEVが登場すれば、ふたたびEVへの関心は高まるだろう。そのとき、ナトリウムイオンバッテリーがどこまで奮闘できるか。 ナトリウムイオンバッテリーは、リン酸鉄を含め既存のリチウムイオンバッテリーの代替というより、EVの商品性にあわせた選択肢としてまず注目すべきだろう。 もうひとつは、人工知能(AI)の普及が進みはじめた際、その運用に必要な電力を供給するうえで、電力需要の変動に対し蓄電機能が必要になる可能性があり、そうした定置型での需要にナトリウムイオンバッテリーが有効との見方もある。そちらをナトリウムイオンバッテリーで満たせるなら、リチウムイオンバッテリーはEVにより比重を高めることもできる。 まだ本格的な量産体制が整っていない段階で、誰が、いつ、いかに投資に踏み切るか次第で、ナトリウムイオンバッテリーの行く末が決まるだろう。

TAG: #テクノロジー #バッテリー #新技術
TEXT:御堀直嗣
中国1強になりつつあるEVの現状に待った! GMが新開発した「LMRバッテリー」でアメリカが狙うシェア奪還

GMが開発したLMRバッテリーとは 米国のゼネラルモーターズ(GM)が発表したLMRバッテリーは、リチウムマンガンリッチの意味である。 中国が牽引するLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーと同等の原価でありながら、エネルギー密度が30%以上高いのが特徴と伝えられる。 中国製EV(電気自動車)が、世界的に販売を伸ばしている。背景にあるのは、LFP(リン酸鉄)バッテリーの安さによる、EV価格の低下だ。 日本では、EV販売が踊り場との見方があるが、世界的にはEV販売が盛り返している。補助金に依存できなくなったドイツでも上向きになってきたという。理由は、廉価車種の登場だ。 世界的に、EV販売の最大の課題は一充電走行距離にあるとされてきた。 満充電からの走行距離を伸ばそうとすれば、おのずとバッテリー容量を増加させなければならず、現状、リチウムイオンバッテリーで最上の性能を実現する3元系(コバルト/ニッケル/マンガン)の正極をもつリチウムイオンバッテリーは、性能がよくても原価が高いため、EV価格を押し上げている。なおかつ、それでも高額なEVを買ってもらえるようにと、上級車種での新車攻勢が続き、高いEVしか選択肢がない状況が販売を鈍化させてきた。 そこに、これまで欧州でいえばディーゼルエンジンの小型車に乗ってきた多くの人が買い替えられるようなEVが出はじめた。米国でいえば、日本の軽自動車に相当するであろう大衆的なピックアップトラックのEVが望まれている。 ところが、3元系の電極のリチウムイオンバッテリーを使えば、高額のピックアップトラックになってしまい、市場性が損なわれる。一方で、LFP(リン酸鉄)にしようとすれば、中国製に依存せざるを得ない。 もちろんそれは、現在のトランプ政権の意向にも反することになりかねない。そこで、満を持して登場したのが、GMが発表したLMRバッテリーというわけだ。 原価を安くする要因は、電極材料のマンガン成分を多くしたことにある。 マンガンの電極は、これが初めてではなく、三菱i‐MiEVや初代日産リーフは、正極にマンガン酸リチウムを使っていた。理由は、安全重視のためだ。 マンガンの結晶は、スピネル構造といって、リチウムイオンがたとえすべて抜けだしたとしても結晶構造が壊れず、短絡(ショート)しにくい。したがって、過充電になった際に過熱や発火を起こす懸念が少ないのである。今日なお、日産リーフのバッテリーで火災事故は起きていない。 ただし、バッテリー容量が3元系に比べ少ないのが悩みの種であった。そこで現在では、リーフも3元系に切り替えている。それでも、過去の経験を通じて得た安全対策を施し、いまなおバッテリーを原因とした事故は起きていない。

TAG: #LMRバッテリー #テクノロジー #バッテリー
TEXT:TET 編集部
BYD SEALが「RJCテクノロジーオブザイヤー」受賞! LFPブレードバッテリーとCTBボディ構造でEVの性能向上に貢献

BYDの技術が日本を驚かせた 国内でも存在感をどんどん増している中国メーカーのBYD。同社が日本市場に導入しているモデルはすべてBEVとなり、そのなかでもフラッグシップとなるSEALは、発売から約1カ月間の累計受注台数が300台を超えたことでも話題となった。 そのSEALに採用される「LFPブレードバッテリーとCTBボディ構造」が、2025年度「RJCカーオブザイヤー」の「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞。今年のもっとも優れた自動車関連技術として認定されたかたちとなる。 LFPバッテリーは、正極材にリチウム、鉄、リンを用いたバッテリーの一種で、三元系のリチウムイオンバッテリーに比べ、バッテリーが損傷を受けた場合でも熱暴走の恐れが極めて低く、充放電による劣化も少ない(長寿命)といった特徴がある。 そのLFPバッテリーをブレード(刃)状に成型したことで、限られたスペースにより多くのバッテリーを搭載することを可能にしたのが、「LFPブレードバッテリー」なのだ。結果として、高い安全性を担保しながら、エネルギー密度を大幅に高めることに成功している。 受賞したもうひとつの技術が、CTB(Cell to Body)構造。ひとつめの技術であるブレードバッテリーを車体構造の一部として搭載する技術であり、このCTBの採用により、高いボディ剛性と安全性を確保したことで、SEALは欧州の新車評価プログラム「Euro NCAP」で最高評価の5つ星を獲得している。 さらに、理想的な前後重量バランス、低重心化によって、優れた操縦安定性も実現した。 今回のRJCテクノロジーオブザイヤーの受賞は、これらふたつの技術が総合的に評価された結果となる。 BYDは、国内上陸して間もないメーカーでこそあるもののその歴史は長く、とくに電動化の技術においてはそもそもの大もとがバッテリー製造を行う会社ということもあり、長年に亘るバッテリーの研究・開発による知見が蓄積されている。 RJCテクノロジーオブザイヤーの受賞は、BYDの培ってきた高い技術力、商品開発力が日本国内でも評価されていることを如実に示しているといってよいだろう。

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TEXT:TET 編集部
もはや思考停止寸前なほどホンダの新型EVは新技術盛りだくさん! 2026年に発売予定の「Honda 0シリーズ」技術発表会を開催

説明されても理解が追いつかないほど革新的なHonda 0 シリーズ いやはや、ホンダがここまで次世代のEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」に対し、革新的な技術や生産方式を用意しているとは。「2050年にHondaの関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルをめざすこと」を目標に掲げるホンダの本気度が、技術説明会「Honda 0 Tech Meeting 2024」で発表された内容からひしひしと伝わってくるのだ。 以下、Honda 0シリーズに搭載を予定している次世代技術についてお伝えしたいが、とにかく内容が盛りだくさんなため、少し簡潔に省略した面もあるが、読み切るのに心してかかっていただく必要があることを、最初にお断り申し上げたい。 また、記事に収まりきらなかった大量の画像があるので、記事末の「フォトギャラリー」も併せてご覧いただけると、理解促進につながるかと思う。ぜひお時間のある方はそちらもどうぞ。 開発アプローチ自体を全面刷新 Honda 0シリーズは、“Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)”という新たなEV開発アプローチにより、ゼロからの発想で創り出す、まったく新しいEVシリーズだ。この開発アプローチのもと、専用に開発したアーキテクチャーを軸に、以下の5つのコアバリューを提供していくとしている。 1.共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン 2.安全・安心のAD/ADAS 3.IoT・コネクテッドによる新たな空間価値 4.人車一体の操る喜び 5.高い電費性能 Honda 0シリーズに関しては、今年1月に米国で開催されたCES 2024において、「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の2台のコンセプトモデルが初公開されている。サルーンについては、Honda 0シリーズのフラッグシップを担うモデルとされ、コンセプトモデルに近い形で2026年の上市が予定されていることも併せて発表されている。 また、2030年までにはHonda 0シリーズとして小型から中大型モデルまで、グローバルで7モデルを投入する計画だとしている。 それでは、先に述べた5つのコアバリューを実現させるためのテーマ、および技術を見ていくことにしよう。 「Thin(薄く)」 ホンダの社是ともいえる「MM(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想」を引き続きEV時代においても具現化していくとしている。全高を抑えながらも、ショートオーバーハングの独創的なデザインで居住性に優れた空間設計を目指すとされる。 「Light(軽く)」 ホンダのクルマづくりでこだわる「操る喜び」を提供する軽快な走りと、世界トップクラスの電費性能の実現を目指すとしている。 この「Thin(薄く)」「Light(軽く)」というテーマに基づいて新開発されたEV専用プラットフォームには、2.0GPa級の超高張力鋼板を採用し、薄型バッテリーパックの採用と合わせて軽量化と室内空間の最大化を図っている。 また、他社比で約40%小型化を実現したという新型のe-アクスルを用いることでショートオーバーハング化を図り、低全高なスタイリングを実現。さらに、ホンダ独自の低床フロア技術などを投入し、低重心かつマスの集中を図り操縦安定性と軽快な走りを実現させるという。 今回注目したいのは薄型のバッテリーパックだ。製造ラインに6000トンクラスのメガキャスト(高圧高精度鋳造)マシンを採用し、従来60点以上あった部品点数を5点まで大幅に削減している。また、3D摩擦攪拌接合(FSW)技術を用いることで、一般的なEVに採用されているバッテリーパックと比較し、約6%の薄型化を可能にしている。 衝突時の加重を分散するボディ構造とすることで、従来バッテリーの衝突保護のために確保していたスペースを削減し、バッテリーの搭載可能面積を拡大。軽量・薄型化されたバッテリーパックを最大効率で搭載することができるうえ、航続距離の拡大にも寄与している。 さらに、HEVを中心とする500万台以上にのぼるこれまでの走行実績を活用したバッテリー劣化の診断・予測技術により、10年後のバッテリー劣化率が10%以下になることを目指した開発がなされている。 そのほかにも、車速などに応じて自動でフロア下のフロントエアロディフレクターを作動させることで空気抵抗を低減し、電費改善と高い直進安定性を実現する「アクティブエアロダイナミクスシステム」が新たに開発された。 また、コーナリング時のタイヤ荷重コントロールにボディの変形を効果的に活用する、新たなボディ剛性マネジメントを採用している。これにより、約100㎏の軽量化と軽快な走りを目指すとしている。 「Wise(賢く)」 冒頭に記載したHonda 0シリーズの開発アプローチには、ここまで説明した「Thin(薄く)」「Light(軽く)」のほかに、もうひとつ「Wise(賢く)」というものがある。 これは、ホンダ曰く「ホンダがこれまで培ってきた知見と知能化技術の進化により、クルマそのものが賢くなる、ホンダ独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)を実現」するということなのだが、少々理解することが難しいので細分化して見ていくことにする。

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電動水素ターボブロア・プロトタイプ(photo=IHI)
TEXT:福田 雅敏/磐城蟻光
燃料電池(FC)もターボチューン……IHIがFC航空機向け「電動水素ターボブロア」を開発[2023.11.16]

燃料電池の“排出ガス”から水素を回収し再利用 大型FCEVトラック/バス向けの転用も期待 【THE 視点】IHIは、水素燃料電池(FC)向けの大容量再循環装置「電動水素ターボブロア」を開発し、実証運転に成功した。 航空機機体製造装置メーカーの三栄機械、そして秋田大学と連携して開発したもので、航空機用FC向けの補機となる。独自開発の「ガス軸受超高速モーター」を採用することで大容量化を達成した。FCから排出される水蒸気の中には未反応の水素がある。「ターボブロア」でそれを大量に回収し、FCの燃料極(負極:アノード)に再循環・再利用でき、発電の効率を上げることができるという。 「ターボブロア」には、独自開発の「ガス軸受」を用いた超高速モーターを採用している。これにより、再循環装置の大容量(高効率)化・小型化・軽量化を同時に実現できた。「ガス軸受」は潤滑油を使用しないため、潤滑油で水素を汚染することもない。 さらに、水素雰囲気中で使用するための密閉構造化や、大容量化に必要なモーター排熱性能の向上(熱によるモーターへのダメージを低減)も行なっている。航空機用として必要な電力出力400kWを超える大型FCの水素再循環は、従来の小容積型ブロアでは複数台並列で運転せざるを得なかったが、「ターボブロア」を採用すれば1台で足りるようになる。 プロトタイプは、そうまIHIグリーンエネルギーセンターおよび秋田大学の電動化システム共同研究センターで特性評価を行なった。その結果、これまで難しいとされていた環境(燃料電池燃料極排気ガスの水素ガス環境や水蒸気を含んだ高湿潤環境)で必要性能が得られることを確認したという。 今後2024年中を目標にFCシステムに乗せて検証を行ない、同じく開発を進めている「航空機推進用大出力電動モーター」、FCの空気供給を担う「電動ターボコンプレッサ」「高磁束プラスチック磁石ローター」と組み合わせ、2030年代のFC航空機の実用化を目指す。ちなみにIHIのFC向け「電動ターボ」は、以前に本欄でも触れているのでご一読いただきたい[詳細はこちら<click>]。 IHIは今回、「この成果は、航空機にとどまらず。今後、大出力化が期待される燃料電池モビリティにおいて、船舶や大型トラックなどの開発にも貢献することが期待される」とも発表した。 今回の「電動ターボブロア」の開発は、FCシステム全体の小型化/軽量化/コストダウンなどに寄与するものとなる。2030年以降とされるFC航空機の開発も加速されるものと推測される。 ただ、忘れてはいけないのが地上面。400kWクラスのFCといえば、大型トラック用としても対応できる。航空機だけでなく大型自動車のFC化も推進されているのは度々報じている。IHIといえば自動車用ターボチャージャーの開発の大手だ。願わくば、上記の表明にもあるようにFCEVトラック/バス、そして乗用車への転用も期待したい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、欧州で商用バンにEVを追加 ……欧州向けの商用バン「プロエース」にEVモデルを追加する。最大サイズのボディを持つ「プロエース・マックス・エレクトリック」の航続距離は420km(WLTP)となる。 ★★プジョー、新型バン「Eトラベラー」本国で発表 ……スタンダード(全長4.98m)とロング(5.33m)の2つのボディタイプを用意。最高出力100kW(136ps)/最大トルク260Nm(26.5kgm)のモーターを搭載。バッテリー容量は50kWと75kWから選択でき、75kWタイプの航続距離は350kmとなる。 ★「ポールスター4」、2023年末にデリバリー開始 ……ボルボの高級ブランドであるポールスターが、SUVモデル「ポールスター4」の生産を開始した。2023年末に中国のユーザーに出荷し、正式発売は2024年に行なうとのこと。 ★「トヨタ・クラウンセダンFCEV」を都内で展示 ……岩谷産業が運営する「イワタニ水素ステーション芝公園」<港区>内に設置されているトヨタ自動車のFCEVのショールーム「MIRAIショールーム」に、11月15日(水)〜20日(月)の6日間限定で展示する。 ★レクサス、各地域のモビリティショーに「RZ」を出展 ……名古屋/大阪/福岡/札幌の各地域で今後開催が予定されている各地域の「モビリティショー」に、EV専用のSUVモデル「RZ」を出展する。各地域のモビリティショーは、11月23日(木)の「名古屋モビリティショー」を皮切りに、2024年1月まで上記の順で開催される。 ★メルセデス・ベンツがEVで出張整備 ……メルセデスベンツは、ユーザー向けの出張整備サービスをドイツ国内で開始する。使用車両は小型バンの「eヴィト」。簡単な修理や車両確認などに対応するという。 ★茨城県阿見町のアウトレットにEV充電器 ……ユビ電は「あみプレミアム・アウトレット」にEV充電器を設置した。11月14日よりサービスを開始している。最高出力6kWタイプの普通充電器を10基導入し、任意の時間設定で買い物中に利用ができる。 ★パワーエックス、新規電力事業を開始 ……法人向けの電力事業「X-PPA」を開始する。日中の太陽光発電で蓄電池に電力を貯め、夜間にその電力をオフィスビルや商業施設に販売する。2024年夏頃に東京電力エリアで15MW(メガワット)の供給を行なう。 ★パナのEV充電インフラをOKIが保守 ……パナソニックとOKI(沖電気工業)がEV充電サービスで提携した。パナが展開するEVチャージャーのシェアリングサービス「エブリワ・チャージャー・シェア」のインフラ設備の保守・運用サービスをOKIが行なう。 ★郵便局に大型蓄電池 ……パワーエックスと日本郵政は、カーボンニュートラル社会の促進に向けて協業に合意した。大型蓄電池を郵便局に導入し電力最適化サービスを展開するほか、再生可能エネルギーの利用促進も図る。 ★スポーツEV「アイオニック5ドリフトスペック」が「ラリージャパン」で見られる ……ヒョンデモビリティジャパンは、「フォーラムエイト・ラリー・ジャパン2023」<愛知県豊田市周辺/11月16日(木)〜19日(日)>に展示ブースを構える。イギリスのラリーイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で公開されたスポーツEV「アイオニック5 N」と「アイオニック5・ドリフトスペック」を出展する。 ★オペル、シリーズハイブリッドモデルを発表 ……発電用にガソリンエンジンを積んだ2モーター式AWDのシリーズハイブリッドモデル「GSe」を発表した。設定されるモデルは「アストラ」「アストラ・スポーツツアラー」「グランドランド」となる。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.16]

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ダイヘンのワイヤレス充電システム(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
手間いらずで5倍速充電……ダイヘン、最高出力15kWのワイヤレス充電システムを開発[2023.11.09]

大容量バッテリーを積む商用EVも夜間のうちに充電完了 手間なく早く電気料金の低減にもつながる 【THE 視点】ダイヘンは、最高出力15kWの「EV用ワイヤレス急速充電システム」を開発した。プラグの接続作業がいらないうえ、一般的な普通充電(最高出力3kW)と比較して5倍速で充電できるという。 国内のEVの普及拡大を目指し、政府(経済産業省)が「2030年までにEV向けの充電設備を30万口整備する」という指針を示した。それを受け、充電インフラの整備が急ピッチで進められている。そしてEVの利活用は、一般向けよりもプロ向けの配送用バン/トラック/バスといった商用EVが急激に増加しているのが現実だ。 EVの航続距離を延伸するためにバッテリーも大型化する傾向にあるが、その一方で従来の普通充電器の出力では翌朝の稼働開始時間までに充電が間に合わないケースが見受けられる。さらに商用EVの充電は、充電ケーブルの定期的なメンテナンス対応、充電忘れやケーブルの引き回し、充電のための操作時間や人員確保など一般家庭とは違った運用上の課題があるという。 そこでダイヘンは、充電作業の簡素化と高出力化を同時に狙った「ワイヤレス急速充電システム」を開発した。重いコードを引きずってプラグを差すという充電の手間を軽減できることはもちろん、大型バッテリーを搭載する商用EVに対しても短時間での充電が可能となる。設置場所によっては、トラックの荷積み・荷下ろしの時間やバスの乗客が乗り降りする時間も充電に活用できるようになる。充電規格については、「CHAdeMO」の技術を使用するとのこと。 ダイヘンは、「ワイヤレス充電と言えば……」と認知されるほどワイヤレス充電に力を入れている充電器メーカーだ。ワイヤレス充電には、BMWの純正オプションとして商品化された製品はあった。しかし今回の15kWの急速充電の商品化はダイヘンが初めてである。バッテリーの大容量化で充電に時間がかかるうえ、充電に時間をかけてしまうと時間帯で変動する電気料金の影響を受けてしまう現在、有用なシステムと言える。 先日も東京大学を中心としたコンソーシアムが走行中ワイヤレス充電を発表した。「大阪関西万博」では大阪メトロが走行中に充電できるEVバスを走らせるという。大手エネチェンジも米ワイヤレス充電のワイトリシティに出資し国内導入を検討しているし、「ジャパン・モビリティ・ショー」で三菱ふそうがダイヘンのものと思われる15kWのワイヤレス充電システムを展示するなど、ワイヤレス充電のへの期待が高くなってきている。 運輸業界のEV化が進む中、少しでもドライバーの作業負担と労働時間の軽減につながるシステムとして受け入れられることを願う。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★プジョー、小型乗用バン「E-リフター」を発表 ……欧州で導入した、コンパクト・ミニバンに分類されるEV。最高出力100kW(136ps)のモーターを搭載し、航続距離は320km。アウトドアを意識したタフなボディデザインが特徴。 ★★「リマック・ネヴェーラ」が後ろ向きでギネス ……リマックのEVハイパーカー「ネヴェーラ」が、バック走行で275.74km/hを達成。ギネス認定の世界記録となった。 ★★カワサキ、新型ネイキッド「Z7ハイブリッド」発表 ……「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で日本公開した「ニンジャ7ハイブリッド」の兄弟車でネイキッドタイプ。イタリア・ミラノで開催中の二輪のモーターショー「エイクマ」において発表した。日本国内にも導入予定。 ★超小型EV「シトロエン・アミ」に新色 ……ポップなカラーリングを施した「マイ・アミ・ポップ」を欧州で発表した。マグネットやUSBポートなどを彷彿とさせるグラフィックをあしらっている。ちなみに「アミ」自体は、これまでに4万3,000台以上販売されたという。 ★アウディ、高級EV向けのモーターの生産を開始 ……「Q6 e-tron」が採用する「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」(PPE)用のモーターの生産をハンガリー・ジェールの工場で開始した。小型・高効率のモーターユニットで、2,000台/日のペースで生産しているという。 ★EVで包丁研ぎをアピール ……刃物製品の貝印は、包丁研ぎの啓発活動にHWエレクトロの大型EVバン「エレモ-K」を活用する。専用のラッピングと包丁のオブジェクトを搭載した「TOGI CAR」が渋谷を走り啓発する。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.09]

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カワサキ・ニンジャe-1(photo=磐城 蟻光)
TEXT:磐城 蟻光
漢の「ニンジャ」“エコで売らない”次世代の電動スポーツ登場……カワサキ、2台のEVバイクを日本公開

電動化でも漢の「ニンジャ」スタイル 硬派なバイクメーカーが電動化にシフトした。カワサキモータースジャパンは、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」の会場において、2台のEVバイクを公開した。完全電動の「ニンジャe-1」とエンジン・モーターの両方を積んだ「ニンジャ7ハイブリッド」である。 両車はただ時代に合わせて電動化したモデルではない。硬派なスポーツモデルを作り続けるカワサキらしいスタイルが込められた新世代のスポーツバイクである。 250ccより軽く普通二輪No.1のトルク……「ニンジャe-1」 両車とも諸元が公開されていた。まず「ニンジャe-1」の値を確認してみよう。 ・パワートレイン:交流同期モーター ・最高出力9.0kW(12ps)/2,600〜4,000rpm ・最大トルク40.5Nm(4.1kgm)/0〜1,600rpm ・全長1,980×全幅690×全高1,105mm ・シート高785mm ・車重140kg 「e-1」はニンジャ250/400の車体をベースに電動化したものと考えて良い。最高出力こそエンジン車には及ばないが(ニンジャ250は35ps)、最大トルクは「ニンジャ400」の3.8kgm/8,000rpm以上どころか、カワサキの他のどの普通二輪(400cc以下)モデルよりも強力な数値である。そのうえ車重は「ニンジャ250」の166kgに対してかなり軽く作られている。 ただ、航続距離は72kmとエンジンモデルに比べると短い。しかし、バッテリーは着脱交換式を採用し、家庭のコンセントを使用して充電が可能とのこと。追加のバッテリーを手に入れれば充電を待たずに走ることも可能だろうが、車体価格が未発表なので、追加バッテリーもどれほどの値段がつくか気になるところだ。

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ZF・AxTrax2(photo=ZF)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
被けん引車を補助動力装置化し電費・燃費を向上……ZF、トレーラ用EV駆動システムを開発[2023.09.25]

フレームのスペースを活用した「アドオン式EVシステム」 トレーラーの燃費/電費効率を上げる最も有効な方策か 【THE 視点】ZFは9月20日、牽引トレーラー自体を駆動する電動アクスルユニットの最新型「AxTrax 2」を発表した。電動アクスルとモジュラーバッテリーユニットをトレーラーに搭載し、牽引のサポートはもちろん回生機能による補助ブレーキとしても作動する。 牽引トラクタ自体はディーゼルエンジンで駆動されるものが主流だが、「AxTrax 2」を備えたトレーラーを連結すれば、実質的にハイブリッド車化できる。システムのスペックは最高出力210kW(286ps)/最大トルク2,651.3kgm。燃料とCO2を最大16%節約でき、オプションのプラグインバージョンでは最大40%節約できるという。 EVのトラクタにももちろん適応可能で、駆動力の増強と航続距離の延伸が期待できる。EVのトラクタとトレーラーを同時に導入すれば、電動化による輸送コストの削減も大きくなるかもしれない。導入を検討しているトレーラーメーカーも数社あるようだ。 EVトラックやEVトラクターヘッドについてはこれまで幾度も触れてきたが、牽引されるトレーラーに電動駆動装置が付くのは初めて報じる。 今回ZFが発表したこのトレーラーは、完全に独立した電動ユニットを持つ画期的なものとなる。このシステムはEVだからこそ実現できたものだろう。平たいバッテリーとコンパクトな電動アクスルをトレーラーのフレーム内に全て収めることができるので、上に積まれるコンテナや荷箱への影響がない。さらに荷箱の上にソーラーを載せるシステムを組めば発電が可能になるので、より航続距離を伸ばすことも期待できる。エンジン式で同様の補助動力装置を組もうとすると、構造がもっと難しくなるのではないだろうか。 これは新たな発想の「アドオン式EVシステム」と言えよう。輸送業界に大きな変革をもたらすシステムとなるのではないか。構造も複雑そうではないので、トレーラーメーカーが導入しやすく普及もさせやすいはずだ。 トレーラーに関連する車両の「連接バス」にも応用ができそうである。さまざまな活用方法が考えられるユニットだ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本とカナダが包括的な蓄電池サプライチェーンの構築に協力 ……西村経済産業大臣が、カナダのシャンパーニュ産業大臣らと「上流から下流までカバーする包括的な蓄電池サプライチェーンに関する協力覚書」に署名した。覚書の主な内容には「重要鉱物等の蓄電池サプライチェーンにおける緊急時の協力」などが含まれる。 ★ロータス、新型SUV「エレトレ」の展示ツアーを開催 ……9月8日の「ロータス東京・原宿ショールーム」を皮切りに「名古屋東」「大阪」「福岡」「練馬」「三重」「茨城」「所沢」の正規ディーラーで展示する。展示車両は「エレトレS」「エレトレR」のいずれかを予定。 ★ポルシェ、「タイカン4S・クロスツーリスモ」がオーストラリアを横断 ……ダーウィンからボンダイビーチまでの5,000kmを走破した。期間は19日間で、充電によるストップは27回だったという。 ★メルセデス・ベンツ、物流のフェデックスからEVバンを大型受注 ……商用EVバンの「eスプリンター」を98台受注した。イギリス/スペイン/フランス/オランダの各地域に配車するようだ。 ★テラモーターズ、長野県飯綱市/京都府南丹市と連携協定 ……両市内にEV用充電器を設置する。飯綱市では「いいづなコネクトWEST」などのレジャー施設計3ヵ所に。南丹市では市役所本庁舎などの公共施設計6ヵ所に導入する。 ★日産、「アリア」の世界ツアーカーが赤道を突破 ……探検家夫婦が、「アリア」を相棒に2023年3月に北極をスタートし南極まで向かうツアーが赤道を通過したという。南極到着予定は年内とのこと。 ★プロテニスプレイヤーのチームカーに「メルセデス・ベンツ・EQE」が活躍 ……メルセデス・ベンツと15年間のパートナーシップを結んでいるプロテニスプレイヤーのロジャー・フェデラーが契約を延長したという。チームカーとして「EQE 500 4MATIC SUV」2台を導入した。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.25]

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「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」(シン・モビリティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
セルを浸して性能向上……台湾シン・モビリティがEVに搭載可能な液冷式バッテリーを開発[2023.09.04]

テスラとパナソニックの元技術者が立ち上げたベンチャー企業 急速充電や寿命を左右する冷却技術の究極系 【THE 視点】産業用途向け液浸冷却バッテリー技術のパイオニアである台湾シン・モビリティーは、ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティショー」で、新型バッテリー「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」を発表する。液浸冷却式のバッテリーで、高いエネルギー密度・放熱性・安全性を有する。 エネルギー密度は、最大200Wh/kgというトップクラスを持ち、20〜80%の充電は15分以内で済むという。その要因は特許取得済みの液浸冷却技術で、効率的に熱を除去し個々のセル内の熱暴走やパック全体の火炎伝播を防止することができる。鉱油で冷却する先進的な高ニッケル正極円筒形リチウムイオンセルの技術を活用しているという。 ボディは高張力エンジニアリングプラスチック製で、耐久性と信頼性を確保する精巧なセルマネージメントユニットを備えている。このユニットには各セルの温度・電圧・電流を監視・制御するシステムが組み込まれている。 乗用車・スポーツ車・商用車・トラックといった様々な車両とその用途に合わせてカスタマイズが可能。希望の顧客とのディスカッションから始まり、試作・試験・審査を経て、ニーズに最適化された製品を製造する。その後、現場での製品の実性能のモニターを続け、その情報に基づいてさらなる改良を加え最適化を行なうとのこと。 シン・モビリティーは、テスラとパナソニックの技術者によって2015年に設立された特殊用途向けのEV用バッテリー企業。極限のパフォーマンスを求められるレーシングカーやスーパースポーツカーを研究開発プラットフォームとして使用している。 この発表を聞いて、最初に頭に浮かんだのがテスラの初代「ロードスター」だ。バッテリーは液冷式を採用していたと聞く。しかも旧サンヨー(現パナソニック)のものだ。シン・モビリティーはテスラとパナソニックの技術者により設立されている。もしかしたら似た構造を持つのかもしれない。ちなみに日本のチューニングメーカー大手のHKSがエンドーザーに参画している。 最近のEVのバッテリーの多くがサーマルマネージメントされている。特に冷却は重要で、急速充電や寿命を大きく左右する機能となる。この液冷式を取り入れたパックの200Wh/kgというエネルギー密度は非常に高い。液冷式は重いというイメージを覆す数値だ。液冷式のサーマルマネージメント開発が成功したのだろう。詳細はIAAモビリティでの正式発表を待ちたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新型EVの「クーパー」と「カントリーマン」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで行なわれる「IAA」モビリティで2台の新型EVを発表する。「クーパー」はMINI伝統の衣裳を踏襲したオーソドックスな3ドアモデルで、「カントリーマン」は5ドアのSUVとなっている。「エースマン」は2024年4月に発表予定。 ★★テスラ、「モデル3」の改良新型を発表 ……かねてから噂のあった改良新型を日本でも発表し先行受注も開始した。ラインナップは「RWD」(561万3,000円)と「ロングレンジ(デュアルモーターAWD)」(651万9,000円)の2機種。今回は外観と内装のアップグレードがメインのようだ。納車は2023年12月から。 ★★ロータス、「エレトレ」の国内販売を開始 ……「エレトレS」(2,332万円)と「エレトレR」(2,585万円)の2機種を用意する。SUVクーペスタイルの高性能SUVで、0-100加速の最高タイムは2.95秒(R)で航続距離は600km(S)。すでに100台受注し、来年夏以降の納車を予定している[詳細はこちら<click>]。 ★伊藤園、配送車両にEVトラックを導入 ……飲料を配送する車両に「エルフEV」を採用し、10月より順次導入を開始する。架装の一部(スライドドア・バックドア)に茶殻を使用し、軽量化と環境負荷の低減を狙っている。2023年度内に東京地区の営業拠点に30台を導入するという。 ★オペル、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」の受注を開始 ……ステーションワゴン(5ドア)タイプの新型EVで、価格は4万3,490ユーロ(約680万円)。月額339ユーロ(約5万3,515円)のリースプランも用意する。最高出力115kW(156ps)・最大トルク270Nm(27.5kgm)で最高速度は170km/h。バッテリーの容量は54kWhで航続距離は413km(WLTP1)となっている。 ★ホンダ、可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発表 ……バッテリー式EV・FCEV・PHEVに接続し家電などが使用できるよう電力を取り出す機器。バッテリーではないため、電動車とセットで使用する必要がある。シガーソケットを使用するインバータのようなイメージだ。最高6kVAの電力を出力でき、イベント機器用の電源として機能させることができる。交流100V・200Vの同時出力が可能。 ★ZF、マグネットフリーのモーターを開発 ……誘導電流ユニットにより磁力を作るため、磁石とレアアース類が必要ない。現在のEVの主流である永久磁石の動機モーターと同等の性能を持ち、モーター本体を小型化できる。電圧800Vにも対応する。 ★太陽石油、EVのカーシェアリングの実証を開始 ……レクシブの法人・自治体向けプラットフォーム「SOLATOカーシェア」を使用し愛媛県内で実証を開始する。ソーラーカーポートの発電による電力を使用したオフグリッド型の電力にてEVを稼働させるのが本実証の特徴。車両は「日産サクラ」を使用する。 ★東京ガス、群馬県太田市などとEV充電マネジメントを共同検証 ……東京ガス・太田市・太田都市ガス・日本カーソリューションズの4団体が共同で実施する。簡易型車載器を活用して車両の稼働状況を調査するほか、その結果に基づくEV導入計画の策定、充電マネジメント導入時の電力コストの算定・効果検証などを行なう。 ★日本ゼオン、リチウムイオン・バッテリー用バインダーの生産設備をアメリカに構築 ……リチウムイオン・バッテリーの正極・不極・機能層・シーリング用材料として使われるバインダーを現地生産・消費を目指す。日本ゼオンにとって、米国で初めての設備となる。 ★ネクストドライブ・eモビリティパワー・東京大学大学院工学系研究科、EVユーザーの基礎充電行動を研究へ ……スマートメーターのBルートのデータを活用し、自宅での充電頻度や充電量を把握可能な行動推定モデルを構築する。自宅のコンセントは通信機能がないため、Bルートにネクストドライブの機器を設置してデータの収集を試みる。モニターの募集はeモビリティパワーが行ない、推定モデル構築は東京大学が行なう。このデータを収集することで、自宅外での充電ニーズを把握することが可能になるという。 ★モーション、2.5億円を新たに資金調達 ……EVの充電を制御・最適化し電力コストを低減するソリューション「オプティーブ」の開発に充てるという。調達先は環境エネルギー投資・兼松コミュニケーションズ・大和自動車交通・フェアーの4社。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.04]

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