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説明されても理解が追いつかないほど革新的なHonda 0 シリーズ
いやはや、ホンダがここまで次世代のEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」に対し、革新的な技術や生産方式を用意しているとは。「2050年にHondaの関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルをめざすこと」を目標に掲げるホンダの本気度が、技術説明会「Honda 0 Tech Meeting 2024」で発表された内容からひしひしと伝わってくるのだ。
以下、Honda 0シリーズに搭載を予定している次世代技術についてお伝えしたいが、とにかく内容が盛りだくさんなため、少し簡潔に省略した面もあるが、読み切るのに心してかかっていただく必要があることを、最初にお断り申し上げたい。
また、記事に収まりきらなかった大量の画像があるので、記事末の「フォトギャラリー」も併せてご覧いただけると、理解促進につながるかと思う。ぜひお時間のある方はそちらもどうぞ。
開発アプローチ自体を全面刷新
Honda 0シリーズは、“Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)”という新たなEV開発アプローチにより、ゼロからの発想で創り出す、まったく新しいEVシリーズだ。この開発アプローチのもと、専用に開発したアーキテクチャーを軸に、以下の5つのコアバリューを提供していくとしている。
1.共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン
2.安全・安心のAD/ADAS
3.IoT・コネクテッドによる新たな空間価値
4.人車一体の操る喜び
5.高い電費性能
Honda 0シリーズに関しては、今年1月に米国で開催されたCES 2024において、「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の2台のコンセプトモデルが初公開されている。サルーンについては、Honda 0シリーズのフラッグシップを担うモデルとされ、コンセプトモデルに近い形で2026年の上市が予定されていることも併せて発表されている。
また、2030年までにはHonda 0シリーズとして小型から中大型モデルまで、グローバルで7モデルを投入する計画だとしている。
それでは、先に述べた5つのコアバリューを実現させるためのテーマ、および技術を見ていくことにしよう。
「Thin(薄く)」
ホンダの社是ともいえる「MM(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)思想」を引き続きEV時代においても具現化していくとしている。全高を抑えながらも、ショートオーバーハングの独創的なデザインで居住性に優れた空間設計を目指すとされる。
「Light(軽く)」
ホンダのクルマづくりでこだわる「操る喜び」を提供する軽快な走りと、世界トップクラスの電費性能の実現を目指すとしている。
この「Thin(薄く)」「Light(軽く)」というテーマに基づいて新開発されたEV専用プラットフォームには、2.0GPa級の超高張力鋼板を採用し、薄型バッテリーパックの採用と合わせて軽量化と室内空間の最大化を図っている。
また、他社比で約40%小型化を実現したという新型のe-アクスルを用いることでショートオーバーハング化を図り、低全高なスタイリングを実現。さらに、ホンダ独自の低床フロア技術などを投入し、低重心かつマスの集中を図り操縦安定性と軽快な走りを実現させるという。
今回注目したいのは薄型のバッテリーパックだ。製造ラインに6000トンクラスのメガキャスト(高圧高精度鋳造)マシンを採用し、従来60点以上あった部品点数を5点まで大幅に削減している。また、3D摩擦攪拌接合(FSW)技術を用いることで、一般的なEVに採用されているバッテリーパックと比較し、約6%の薄型化を可能にしている。
衝突時の加重を分散するボディ構造とすることで、従来バッテリーの衝突保護のために確保していたスペースを削減し、バッテリーの搭載可能面積を拡大。軽量・薄型化されたバッテリーパックを最大効率で搭載することができるうえ、航続距離の拡大にも寄与している。
さらに、HEVを中心とする500万台以上にのぼるこれまでの走行実績を活用したバッテリー劣化の診断・予測技術により、10年後のバッテリー劣化率が10%以下になることを目指した開発がなされている。
そのほかにも、車速などに応じて自動でフロア下のフロントエアロディフレクターを作動させることで空気抵抗を低減し、電費改善と高い直進安定性を実現する「アクティブエアロダイナミクスシステム」が新たに開発された。
また、コーナリング時のタイヤ荷重コントロールにボディの変形を効果的に活用する、新たなボディ剛性マネジメントを採用している。これにより、約100㎏の軽量化と軽快な走りを目指すとしている。
「Wise(賢く)」
冒頭に記載したHonda 0シリーズの開発アプローチには、ここまで説明した「Thin(薄く)」「Light(軽く)」のほかに、もうひとつ「Wise(賢く)」というものがある。
これは、ホンダ曰く「ホンダがこれまで培ってきた知見と知能化技術の進化により、クルマそのものが賢くなる、ホンダ独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)を実現」するということなのだが、少々理解することが難しいので細分化して見ていくことにする。