#日本車
TEXT:高橋 優
日本勢のEVの売れ行きをチェック! トヨタ・ホンダに比べて日産は先行きに不安アリ

トヨタ・ホンダ・日産の状況を比較! トヨタ、ホンダ、日産の2024年10月最新のEV販売動向が判明しました。それぞれどれほどEVシフトを進めることができているのか。気になる販売車種の内訳なども含めて、EVシフトが遅れているといわれている日本勢の最新EVシフト動向を分析します。 まず、トヨタのEVシフト動向を確認しましょう。トヨタは世界戦略車としてbZシリーズ第一弾のbZ4Xを2022年5月に発売しながら、さらに2023年の3月から中国市場限定のbZ3の発売をスタートしており、ここからBEV販売台数が伸びています。一方で、直近の2024年10月度のBEV販売台数は1万505台と、前年同月比で12.2%の増加であるものの、販売の伸びは鈍化しているように見えます。 この成長の鈍化傾向は、トヨタの予想外の動きであるといえそうです。というのも、トヨタはその年度の初めにBEVやPHEVの販売台数予測を発表していますが、たとえば2023年度のBEV販売台数目標を年度初めは20.2万台と予測していました。しかし、年度途中に12.3万台に販売目標が下方修正されています。そして実際の販売台数実績は11.66万台と、大幅下方修正の目標値にすら届いていなかったのです。 しかも、2024年度のBEV販売台数目標を年度当初は17.1万台と発表していたものの、最新の決算発表内で16万台へと下方修正を行っています。いずれにしても一連の流れを見るに、当初にトヨタが想定していたようなBEV販売台数を達成しているとは到底いえないというのが現状なのです。 また、トヨタは2025年シーズンにEVのラインアップを大幅に拡充する方針です。とくに中国市場ではbZ3XとbZ3Cを2025年初頭に発売します。 これら2車種には中国の自動運転スタートアップとしてトヨタも出資を行うMomentaの最新テクノロジーを搭載し、End to Endにおける自動運転システムを実現。しかも、BYDのバッテリーとモーターを搭載するbZ3Cは、2025年中に欧州市場においても出荷される見通しです。 次に、EVのパイオニアである日産のEVシフト動向を分析しましょう。2024年10月単体のBEVシェア率は2.9%と、この数年間で最低水準のシェア率に留まっています。2022年10月は5%、2023年10月は3.74%だったことから、日産のEVシフトは後退局面を迎えてしまっているわけです。 EVシフト後退に大きな要因であると考えられるのがアリアの販売不調という観点です。10月のアリアのグローバル販売台数は3152台と前年同月比19.5%ものマイナス成長。アリアの販売台数は生産体制の増強に制約があることが理由であると一部報道でいわれていたこともあり、2024年以降は販売台数がさらに増加すると思われていたわけです。 ところがアリアの販売台数は2023年9月以降ほとんど伸びておらず、つまり生産体制に問題があるのではなく、単にグローバル全体で需要が低いことが要因であると推測できるのです。とくにアリアは、欧・米・中国市場で値下げが行われています。なかでも日本円で120万円級の大幅値下げが行われている中国市場では、10月単体でたったの19台しか売れていません。

TAG: #EVシフト #新車販売 #日本車
TEXT:高橋 優
EV推進の急先鋒日産が欧州でリーフの販売を終了! BYDが勢いを増すなか欧州市場の戦略はどうなる?

日産EVを牽引してきたリーフの欧州販売が終了 日産が欧州市場において、リーフの生産を完全に終了し、販売も打ち切る方針を表明しました。また、リーフの後継モデルの存在とともに、欧州市場において日産が投入するマイクラEVの兄弟車、ルノー5の詳細なスペックが判明するなど、日産の欧州市場におけるEVシフト動向について解説します。 まず、欧州市場における日産のEV戦略については、あと6年後である2030年までに新車として発売するすべての車種についてをバッテリーEVのみにするという、完全EVシフトを宣言しているという点が重要です。よって、現在日産が欧州でラインアップしている売れ筋のジュークやキャッシュカイといった内燃機関車も、バッテリーEVとしてリブートされることが決定しています。 他方で、足もとの電動化の進展状況という観点では、想定よりも進んでいないというのが現状です。 このグラフは、2020年以降の欧州市場における車種別のバッテリーEVの販売台数とシェア率を示したものです。日産については、欧州限定でラインアップしている、e-NV200の後継モデル、タウンスターのバッテリーEVバージョンの販売台数を公開していないため、実際にはもう少しEV販売台数が多いはずですが、それでも2020年シーズンと比較して、直近の2023年シーズンの販売台数は、むしろ減少している状況です。 とくに、緑で示されたリーフの販売台数は、2021年シーズンは3.5万台以上であったのに対して、2023年シーズンは2万台を割り込むという深刻な販売減少に直面しています。 よって、2023年シーズン全体でのバッテリーEVのシェア率は8.77%と、タウンスターのバッテリーEVバージョンを含めたとしても、まず一桁台であることは間違いありません。つまり、日産はあと7年間でこの比率を100%にまで持っていく必要があるわけであり、極めて挑戦的な目標であるということが見て取れるわけです。 そして、その欧州における日産の最新動向として新たに判明したのが、現在欧州でもっとも人気のEVであるリーフの現地生産を、すでに完全終了していたという驚きの動向です。現在、欧州域内唯一の工場であるイギリスのサンダーランド工場については、2013年からリーフの生産をスタートしており、それから10年間ほどで累計で27万台以上のリーフを生産してきたものの、ついにリーフの生産をすでに終了していると、日産側が公式に発表してきた格好となります。 すでに生産済みの車両に関しては、在庫車両として2024年中までは発売が継続されるものの、その在庫車両が捌けた段階で、欧州におけるリーフの販売が完全終了する方針も表明されました。 この生産と販売終了の理由については、積極的なモデルチェンジを行わなかったことによる、コスト競争力のなさという点が挙げられます。というのも、現在リーフの該当する大衆ファミリーハッチバックセグメントには、2020年から導入されているフォルクスワーゲンID.3やルノー・メガーヌE-Tech Electricなどという、EV専用プラットフォームを採用している本格EVのラインアップが拡大しています。 さらにそれ以上に、よりコスト競争力の高いMG4やドルフィンといった中国製EVが発売されていることによって、EV専用プラットフォームでもないリーフは、あらゆる観点で競争力を失ってしまっていたわけです。 そして日産は、リーフに変わる後継モデルを追加設定する方針も表明済みです。それが、すでにコンセプトモデルを発表している、Chill Outベースのコンパクトクロスオーバーの存在です。こちらは欧州だけでなく、グローバルモデルとなる見込みであることから、日本市場でも、リーフの後継モデルとして発売されることに期待できます。 他方で、このリーフの後継モデルに関して残念な点というのが、その発売は2026年中が予定されているという点です。現在、イギリス・サンダーランド工場については、20億ポンド、日本円で3800億円規模の投資を行うことによって、EV生産のハブとなるように大幅改修が行われている状況です。 よって、その改修後のEV生産工場でリーフの後継モデルが生産されるまでに、日産がどのようにして欧州の電動化を進めるのかに注目が集まっているわけです。

TAG: #コスパ #日本車 #販売終了

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