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ライバルのモデル3と比較してみた
それでは新型BYDシールが、日本国内における競合であるテスラモデル3と比較して、どれほどの性能や装備内容を実現しているのかを比較しましょう。
まずEV性能について、新型シールではEV性能のアップデートはほとんど行われていません。RWDグレードは640kmという航続距離を確保しており、モデル3 RWDの594kmよりもやや優れた数値。その一方で充電性能では、シールは105kWに対応するものの、SOC80%まで40分と、モデル3と比較しても劣っています。

値段設定については、新型シールは33万円値下げされ、RWDグレードは495万円、AWDも572万円に設定。さらに政府からのCEV補助金について、AWDは35万円と旧型と同額だったものの、RWDグレードは45万円に増額されたことで、実質450万円で購入することが可能となりました。これは、モデル3 RWDと同等の値段設定でありながら、大容量バッテリーを搭載していることを踏まえると、これまでモデル3ほぼ一択だった国内EVセダンにも、魅力的な選択肢が増えたといえるでしょう。

最後に、新型シールの標準装備内容をまとめてみましょう。
・19インチ新型ホイールと塗装キャリパー
・15.6インチの回転式センタースクリーンとヘッドアップディスプレイ(ただしUIはこれまで通りのUIが継続採用。シーライオン7に採用された新型UIの採用は見送り)
・USB Cポートは60Wの急速充電対応
・ワイヤレス充電器はふたつ搭載されているものの、シーライオン7のような空冷式急速充電には非対応
・電動テールゲート
・セントリーモード(駐車監視機能)は使用不可
・ヘッドライトはLED式、マトリックス機能は非採用
・シート素材はナッパレザー
・運転席は8方向電動調整、4方向ランバーサポート、シートメモリー、ヒーター、ベンチレーションに対応
・リヤシートはリクライニング不可、シートヒーターも非搭載
・ステアリング調整は手動、ヒーターは搭載
・ワンペダルドライブには非対応
・128色のアンビエントライト
・ヒートポンプは標準搭載
・二重ガラスはフロントサイドガラスのみ搭載
・電動サンシェード付きガラスルーフ
・200V充電ケーブルはオプションで約9.5万円
・音響システムは最高出力775Wを発揮可能なDynaudio製の12スピーカーシステム
・サスペンションシステムは、RWDには機械式可変ダンパー、AWDには電子制御ダンパー(Disus-C)が初搭載
・レベル2ADASは標準搭載
・V2L機能は1.5kWに対応、V2Hにも対応
・リヤサイドとファーサイドを含めた9エアバッグシステム
・高張力鋼の配合割合は75%、車両のねじり剛性は40500Nmとポルシェタイカン級
・Euro NCAPは最高評価の5つ星
・車両保証は4年10万km
・バッテリー保証は3万円弱の延長保証をつけると、10年30万kmにまで延長可能
このとおり、実質450万円から購入できるEVセダンであることを踏まえると、新型シールはかなりコスト競争力が高いと感じます。とはいえモデル3はリヤスクリーンやマトリックスヘッドライト、リヤシートヒーターなどさらに充実しています。長い航続距離やV2H、電子制御サスペンションを採用するシールを選ぶのか。それとも独自の充電ネットワークを含めた急速充電性能や、シール以上の装備内容を網羅するモデル3を選ぶのかは悩ましいところでしょう。

いずれにしても、BYDのEVセダンであるシールが発売開始1年強という短いスパンでモデルチェンジを実施し、電子制御サスペンションや電動サンシェード、デジタルNFCキーなど、これまで指摘されていた弱点をしっかりと改善してきた点は見逃せません。
今後は、競合となるテスラモデル3だけでなく、2026年シーズン以降はメルセデスCLAも投入見込みであり、さらに国内EVセダンのラインアップが充実していきます。もうすぐ、より多くの選択肢から輸入車のEVセダンを選べるようになるので、検討している人にとって最新情報は、引き続き要チェックとなることでしょう。























































