世界中で人気なEVは? 日産サクラが2024年度、3年連続で国内BEV販売台数No.1を獲得した。年間販売は2万832台に達し、2024年度の国内BEV販売全体の約4割を占めている。軽自動車ならではの取りまわしのよさとBEVの静かでスムースな加速、そして手ごろな価格設定が多くのユーザーから支持されている。また、航続可能距離も長距離旅行に適したものではないが、通勤や通学、近場での買い物用などの日常使いには便利だ。 では、世界最大のBEV市場である中国や、BEVシフトに積極的な欧州、そして巨大な自動車市場をもつ北米では、一体どのようなBEVが人気を博しているのだろうか。各地域の最新動向を詳しく見ていこう。 <中国で人気のBEVはBYDとテスラが競合> 中国では、2024年にBEVの販売台数が約772万台を記録しており、世界最大のBEV市場として圧倒的な存在感を示している。2025年上半期においてもその成長は著しく、とくにBYDとテスラが目立つ。最新の販売台数ランキングでは、テスラ「モデルY」、Geely「星願(Geome Xingyuan)」、BYD「シーガル(海鴎)」、上汽通用五菱「宏光MINI EV」、シャオミ「SU7」などが上位を占めている。 モデルYは都市部の中堅層を中心に安定した人気を維持し、BYDが展開する低価格・高効率な小型BEV群が幅広い顧客層に支持されている。とくにBYD「シーガル」は、低価格で若者や初めてEVを購入する層に「最初の一台」として選ばれやすい。中国市場の特徴としては、BEV専業メーカーや新興ブランドが短期間で新車投入を繰り返すダイナミズムがあり、ユーザーの期待や関心がすぐに変化する点だ。政府主導の普及政策や都市部を中心とした充電インフラ整備もBEV成長の後押しとなっている。 中国市場で注目すべきは、2020年に上汽通用五菱汽車が約50万円という驚きの車両価格で販売した「宏光MINI EV」が大ヒットしたことに始まる低価格BEV戦略である。現在ではBYD「シーガル」が全長4m前後のボディサイズの4人乗りハッチバックとして支持されており、手頃な価格でありながら実用性の高いコンパクトBEVが市場を牽引している。 さらに、スマートフォンメーカーでもあるシャオミが2024年3月に初のBEV「SU7」を発売し、発売直後の予約は24時間で約8.9万台に達した。2024年には約13万5000台を販売し、テスラ「モデル3」並みの高性能をもちながら、より割安な価格設定が特徴として注目されている。
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