フォレスター、アウトバックのオーナーがBEVを選択するとしたら・・・
ジャパンモビリティショー2025の会期初日に、SUBARUからグローバルバッテリーEVの第2弾モデルとして、「トレイルシーカー・プロトタイプ」が日本で初めて公開された。
全長4,845㎜×全幅1,860㎜×全高1,675㎜という堂々としたボディは、最低地上高を210㎜確保しており、BEVでありながら多くの荷物を載せ、より遠く険しい道も走破できそうな、まさに今回SUBARUがブランドを際立たせるためにテーマとして掲げた「アドベンチャー」の世界観を具現化したようなクルマになっている。開発目標値ではあるが、FWD(前輪駆動)モデルで航続距離を700㎞以上としていることから、ロングツアラーとしての資質も十分と言えるだろう。
さて、このトレイルシーカー、BEV特有の先進性や、デザインが醸し出す電気自動車然とした佇まいが薄いように思われる。それはなぜか? この疑問に経営企画本部価値づくり推進室デザイン部の中村氏が答えてくれた。
「トレイルシーカーはソルテラをベースに開発しているのですが、BEVの需要が急激に高まっていた時期に、SUBARUにはソルテラしかEVの選択肢がないとしたら、いまフォレスターやアウトバックにお乗りいただいているお客様が(EVに乗りたくても)困ってしまうのではないか? という思いから開発したのです」と冒頭に打ち明けてくれた。
これが意味するところはズバリ積載性の部分であり、SUBARUが強みとするロードクリアランスを十分に確保しつつも、安全で快適に長距離を苦も無く走りきれる性能を持ったBEVが今後必ず必要になるということだ。そして、それらのニーズを汲み取りデザインした結果が、このフォルムであるというのがまず大前提にある。
「顧客としてはファミリー層を想定していますが、ご家族4名と旅行用バッグ2つにベビーカーを積載した場合、それに必要なサイズを計測して導き出したのがこのリヤの延長部分です。ソルテラに対しておよそ150㎜~155㎜延長しています。当然車体が長くなれば重くなりますし、空力性能も不利に働きます」
「しかし、性能とお客様のライフスタイルを天秤にかけたとき、ライフスタイルを犠牲にはできないと我々は考え、このフォルムに仕立てました」
BEV性能を突き詰めるあまりに、顧客が使いにくいクルマになっては本末転倒であるとSUBARUは考えているようだ。加えて、トレイルシーカーの主戦場である北米市場を意識した、SUBARU曰く「ゴツめ」なエッセンスを随所に取り入れている。
これはすでに公になっていることなのだが、トレイルシーカーは同じく26年4月発表予定のトヨタ「bZ4Xツーリング」とプラットフォームを共用する兄弟車の間柄だ。だが、ここまでSUBARUのフィロソフィーに則ったクルマづくりが成されているのであれば、企画の立ち上げがSUBARUなのか、それともトヨタが提案したクルマなのか、bZ4Xとソルテラ、GR86とBRZの関係性のように、長年のSUBARUファンは気にするところだろう。その答えは・・・




























































