コラム
share:

「ガソリン旧車価格が爆騰」「クルマを所有しなくなる」 数十年後の自動車社会はどうなるのか現実的に想像してみた


TEXT:桃田健史 PHOTO:日産/TET 編集部
TAG:

EVの普及と社会の変革は同時に行われるべき

いまから十数年後の2040年代、さらにその先の2050年代。仮に、日本で新車購入できる自動車がEVのみになったら、どうなるのだろうか?

あくまでも私見としての仮定を、いくつか紹介してみる。

たとえば、ガソリンスタンドの数が極端に少なくなっていて、ハイブリッド車の所有はかなり大変になっているのかもしれない。

ガソリンスタンドで給油する車両

EVではなくても、少なくともPHEVではないと、日常生活のなかで自動車を使うことが不便に感じるのかもしれない。

充電施設についても、自宅での基礎充電機器が量産効果によって価格が下がり、出力10kW程度が標準化になっているのかもしれない。そうなれば、電池容量が100kWh級でも、自宅でひと晩で出来るようになる。

または、交換式バッテリーシステムが一気に進化して、バッテリーパックの標準化も進み、充電するという感覚がなくなっているかもしれない。

交換式バッテリーを搭載するN-VAN e:のテスト車両

国や地域によっては、期限を決めてガソリン車やディーゼル車を公道で使用することが禁止、または制限される時代になるかもしれない。その先には、内燃機関を搭載するハイブリッド車ですら、使用制限がかかるかもしれない。

こうした動きを、別の方向から見れば、ガソリン車の付加価値が一気に上がることも十分考えられる。実際、2020年代中盤の現時点でも、昭和の時代を感じるネオクラシックカーの中古車価格が一部車種では高騰する社会現象が起こっている。

ネオクラシックカーのイメージ

それが、ガソリン車の使用禁止や使用制限が法的にかかれば、在りし日を思い起こすような一部のガソリン車はプレミアム価格になって、専用の売買市場のなかで取引されるようになるかもしれない。

また、サーキットなどのクローズドエリアで開催される、ガソリン車の試乗会や同乗体験会などもかなり高い料金設定でも、事業が十分成り立つようなビジネスモデルになるかもしれない。

以上のような予測は、EVをガソリン車の単なる代替として見た場合の話だ。だが、本来のEVシフトは、社会のなかで多く使われている電気というインフラを「クルマにも適用する」ことだと思う。つまり、EVの普及と社会の変革は同時進行で行われるべきことなのだ。

ワイヤレス充電のイメージ

たとえば、大量生産・大量消費という「所有」から、シェアリングを基本とする「共有」への大きなシフトが考えられる。ただし、「所有から共有」といっても、カーシェア、ライドシェア、さらにサブスクといった小さな括りではない。もっと大きな時代の変化を、ユーザー自身が感じる社会がやってくるのかもしれない。

EVしか買えなくなる時代とは、そんな社会変化を伴うことになるのではないだろうか。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
EVとしては使えなくなってもまだまだ再利用できる! 日産リーフのバッテリーを再利用したポータブル電源が「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定
ジープ初の電気自動車「アベンジャー」に限定色「レイク」をまとった100台の特別限定車が登場
ASIMOがOSになって帰ってきた! ついにお披露目された「Honda 0シリーズ」が掲げる壮大な未来とは
more
コラム
「ガソリン旧車価格が爆騰」「クルマを所有しなくなる」 数十年後の自動車社会はどうなるのか現実的に想像してみた
テスラが日本を変える可能性! ヤマダデンキで「パワーウォール」を販売する裏にある壮大な計画
中国市場は「中国国産」BEV強し! テスラが奮闘するも日本もドイツも苦戦
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択