駆動輪を接地させたままの牽引はタブー
というのは、牽引によって電欠EVの駆動輪が回転してしまうときわめて都合が悪いことになるからだ。知ってのとおり、駆動輪は駆動用の電気モーターとつながっている。EVは、走行時にはバッテリーからモーターに電気を供給し、モーターの回転によって駆動輪をまわしているが、アクセルオフ(内燃機関車のエンジンブレーキ状態)では駆動輪によってまわされたモーターが発電機として働き、バッテリーに充電するシステムとなっている。
この動きが回生と呼ばれるEVの大きな特徴で、減速で捨ててしまう運動エネルギーを電気に変え、バッテリーの充電にあてようという合理的な考え方である。
さて、問題は、自走でなく牽引によって駆動輪がまわった場合のことだ。自走時は、発電した電気はバッテリーに充電される仕組みだが、牽引で駆動輪がまわって発電された場合、その発電された電気の行方がどうなるか、である。実際のところ、この電気、正常に充電されることはない。電欠EVの電気システムがオフとなっているため、正常な充電作業が制御できなくなっているからで、むしろ電気系のトラブルを誘発させる要因にもなりかねない。駆動輪を接地させたEVの牽引方法は、絶対に避けなければならない方法である。
では、どのように牽引すればよいのか、という話だが、牽引は駆動輪が接地しない状態で行うことになる。もっとも簡単な牽引方法は、駆動輪を持ち上げ、駆動輪を台車(ドーリー)に載せて牽引する方法だ。もちろん、ドーリーが必要なので、ひと口に簡単とはいえないのだが、駆動輪を路面から切り離して牽引するには、この方法が一般的だ。残念だが、仲間がいてそのクルマに牽引してもらう、という方法は使えないのである。
あと、根拠はわからないのだが、非駆動輪も接地させず4輪を接地しない状態で牽引したほうがよい、という考えもあるようだ。いずれにしても、駆動輪を接地させたままの牽引はタブー。EVの牽引に関しては、この手の牽引作業に手慣れた業者、固有名詞を挙げるならJAFに救援依頼をするのが間違いない方法だろう。EVの牽引ノウハウをもち、適切な事後処理(最寄りの充電施設までの搬送)まで行ってくれるからだ。
燃料補給だけで再始動できる内燃機関車とは異なり、EVの電欠にはくれぐれも気をつけたい。また、万一電欠を起こして動けなくなった場合には、信頼できる業者に救援依頼ができるよう、連絡先(電話番号など)などは手元に控えておくようにしよう。