インドに最適化された電動二輪「Activa e:」と「QC1」
2040年代にはすべての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしているホンダが、新たな電動二輪車を発表した。
今回登場したのは「ACTIVA e:」と「QC1」の2車種で、二輪車の需要が旺盛なインド市場に向け、現地のユーザー嗜好を取り入れ、インド国内で生産されるインド専用の電動二輪パーソナルコミューターだという。2車種はパッと見の印象こそ同じように見えるが、モーターの形式も違っていれば、搭載バッテリーそのものもまったく異なる。この似て非なるふたつの電動二輪についてみていこう。
バッテリーシェアリングサービスも受けられる「ACTIVA e:」
まずは「ACTIVA e:」から。ベースとなった「ACTIVA」は、インド市場全体のみならず、ホンダの二輪車全体を見渡してみてももっとも売れているモデルで、年間約250万台も販売されているという。その人気モデルのボディフレームをベースに新規開発された電動二輪が「ACTIVA e:」だ。。交換式バッテリーの「Honda Mobile Power Pack e:」を動力源として2個搭載しているのが特徴で、車格としては排気量110㏄のバイクに相当する電動コミューターモデルとなっている。
ホンダが独自開発した自社製のホイールサイドモーターを採用し、定格出力は4.2kW、最大出力は6.0kWを発揮する。一充電航続距離は102kmだ。
バイクとスマートフォンをBluetoothで接続することで、通話やナビゲーション機能などが利用できる「Honda RoadSync Duo」を装備したタイプも設定されている。
また、インドの主要都市、ベンガルール、デリー首都圏、ムンバイの3都市では、Honda Mobile Power Pack e:を用いたバッテリーシェアリングサービス「Honda e:Swap」を提供することにより、ユーザーがバッテリー切れの不安や充電の待ち時間から解放され、移動の効率化が図られる。
日常使いの足に最適な「QC1」
一方の「QC1」は、通学や日常の近距離移動に最適な動力性能をもち、経済性重視のユーザーにとって理想的な1台として開発されたモペットだ。よくよく見れば、フロントディスクブレーキの有無や、シート下の充電口がQC1には付くなど、ACTIVA e:とは異なる電動二輪であることがディテールからもよくわかる。
動力用電源は1.5kWhの固定式バッテリーを採用し、専用充電器により家庭での充電が可能になっている。後輪にコンパクトなインホイールモーターを搭載し、定格出力は1.2kW、最大出力は1.8kWを発揮する。一充電航続距離は80kmだ。
5インチの液晶メーターを採用したほか、フロント部の内側にはUSB Type-Cソケットを標準装備する点が目新しい。
ホンダは2024年を「電動二輪車のグローバル展開元年」と位置付けている。インドネシアに2車種投入したのを皮切りに、今回のインド専用モデル2車種で早くも12・13機種目になるという。ホンダが2023年11月29日に行った電動二輪事業説明会の場で公表した「2030年までに、グローバルで電動モデルを30機種投入」するという目標に対し、約1年で折り返し間近まで達してしまう急ピッチな展開には脱帽するしかない。
ホンダ全体で2050年のカーボンニュートラル実現に向けて動くなかでも、二輪の動きは四輪に比べても活発だ。それも我々が想像する以上のペースで電動化が進んでいる印象で、バッテリーシェアリングサービスを含めたホンダの電動二輪事業の動きは、今後も要注目だ。