新興国で急速に普及が進むEV
EVシフトはかなりゆっくりと進むと言われている新興国での最新のEVシフト動向はどのようになっているのでしょうか? 今回はそのなかでも、日本メーカーの販売シェア率が優位となっている東南アジア市場、とくに成長著しいタイ市場の最新EV動向についてを取り上げていきたいと思います。
まず初めに、タイ市場に関する前提知識について簡単に共有します。
・人口は7000万人以上、急速に人口規模が拡大中
・国土面積はおよそ50万平方kmメートルと、日本の1.4倍というサイズ感
・2022年のタイ自動車販売台数はおよそ85万台、対する日本市場は420万台と概ね5分の1程度の市場規模
・2023年の車両生産台数は195万台と予測、約100万台を輸出する東南アジアにおける自動車生産のハブ
それでは、実際のEVシフト動向を見ていきましょう。最新の11月におけるタイ国内のバッテリーEVの登録台数については、ズバリ9000台弱とグラフの通り、前年同月比で7倍という歴史上最高の登録台数を更新しました。
また、新車登録台数全体に占めるバッテリーEVのシェア率も、じつに14.8%と、急速なシェア率増加の様子を確認することができます。
実際に、日本をはじめとする主要先進国とのバッテリーEV比率を比較してみても、すでにタイのシェア率は、欧州の主要国と比較して遜色のないレベルにまで到達している様子を確認できます。日本と比較すると、その差がさらに歴然であることも見てとれるでしょう。
次に、このタイ市場で人気のEVについて見ていきたいと思います。トップに君臨したのが、日本でも発売中の中国BYD「ドルフィン」です。続いて、同じくBYD「Atto 3」、中国の新興EVメーカーNetaのコンパクトSUV「Neta V」などが人気となっているものの、ここで注目するべきは、黄色で示されている中国メーカー勢のEVたちの存在です。
この通り、人気車種トップ10のうち、じつに9車種が中国メーカー勢のEVが席巻しています。
また、第9位にランクインしたテスラ「モデルY」についても、現在は中国の上海工場で生産された車両を輸入しているので、タイで人気のEVは例外なくほぼすべて、中国で生産された車両となっているのです。