スズキ初の電気自動車はクロスオーバーSUV
多くのメーカーが電気自動車(BEV)をラインアップに加えるなか、長らく内燃機関搭載車のみで戦ってきたスズキが満を持してブランド初の電気自動車を欧州にて発表した。
その名は「e VITARA」。2023年1月にインドで開催されたAuto Expo、次いで同年10月に日本で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで公開したコンセプトモデル「eVX」をベースとした量産仕様であり、スズキのBEV世界戦略車第一弾を担うモデルとなる。
エクステリアは、「High-Tech & Adventure」をテーマに、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいとなっている。大径タイヤとロングホイールベースによって、存在感もバッチリだ。
インテリアでは、フル液晶となったメーターパネルとセンターディスプレイが統合されたインテグレーテッドディスプレイがEVらしい先進的な印象をもたらす。また、タフさを期待させる独特の造形をもったパネル類やセンターコンソールは、レザーやピアノブラックなどといった上質な仕上げによって高級感も手にしている。
注目のパワートレインは、もちろん完全新設計。モーターとインバーターを一体化した高効率のeAxleと、安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用する。
プラットフォームは電動車用に新設計された「HEARTECT-e」となり、軽量な構造、高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を特長としている。
また、同時に見逃せないのが4WDモデルだ。というのも、e VITARAの「VITARA」とは、悪路走破性に優れるスズキのSUV「エスクード」の海外名。それだけに、このe VITARAも単なる都会派SUVとは一線を画したタフネスさを備えている。
それを実現しているのが、「ALLGRIP-e」と呼ばれる新設計の電動4WD機構。これは前後に独立したふたつのeAxleを配置したもので、パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能としている。
また、片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分(LSD機能)することで悪路からスムーズに脱出できるTrailモードも備えるというから、その悪路走破性には期待していいだろう。
このe VITARAは、2025年春よりインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始するとされている。
現段階では日本仕様の価格やスペックは未発表となっており、続報が楽しみなところだ。