2024年4月
TEXT:TET 編集部
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開

ファミリー向け居住性重視の「bZ3X」とZ世代向けパーソナル空間重視の「bZ3C」 トヨタは「知能化」「電動化」「多様化」を軸に、モビリティカンパニーへの変革に向けた中国での取り組みを紹介するとともに、顧客ニーズに寄り添った商品、サービスを通じて、新しい価値を創造していくことをテーマに、2024年4月27日から開催の北京国際モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)に出展した。 そして、地域ごとに最適な複数の方法でカーボンニュートラルを目指すトヨタの戦略「マルチパスウェイ」を通じて開発されたトヨタのバッテリーEV「bZシリーズ」の名を冠した新型車、「bZ3C」および「bZ3X」を世界に向けて初公開した。 この2台が中国市場を強く意識したクルマであることをトヨタは強調している。トヨタ副社長・チーフテクノロジーオフィサーの中嶋裕樹氏は、「中国のお客さまが笑顔になるBEVとは何か。このテーマを中国のパートナーとともに探求し、送り出すのが『bZ3C』と『bZ3X』です」と新型車を紹介。 bZ3CとbZ3Xは、2023年の上海国際モーターショーでコンセプトカーを公開し、量産化に向けて改良を施したクルマで、複数の企業と共同開発したモデルになっている。この2モデルは今後1年以内に中国での発売を予定しているという。 「bZ3C」は、4社による共同開発車だ。トヨタ、BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY カンパニー、一汽トヨタ自動車、そして中国のトヨタ知能電動車研究開発センター(以下、IEM by TOYOTA)が「Reboot」をコンセプトに掲げ共同開発を行った。 画像を見てもわかる通り、モデル名末尾の「C」はクーペスタイルの「C」と理解していいだろう。アクティブで象徴的なスタイリングを採用したこのクロスオーバーBEVの「bZ3C」は、Z世代と呼ばれる若い世代の顧客層をターゲットとし、パーソナルな空間を楽しめる機能を追求した内容が盛り込まれているという。 「bZ3X」も4社が手を取り合って共同開発したモデルだが、その企業内訳が異なる。トヨタとIEM by TOYOTAの2社は変わらぬが、bZ3Xには広州汽車集団、広汽トヨタ自動車が共同開発にあたっている。 bZ3Xはその車種名からも想像がつくように、日本でも販売されているBEV「bZ4X」と同じSUVタイプのモデルだ。心地が良い動く家を意味する「COZY HOME」をコンセプトに、大空間で快適な居住性を実現したファミリー向けSUVのBEVになっている。 どちらのモデルも最新の運転支援システムやスマートコクピットを搭載し、安全で快適なドライブに加え、新しい体験価値を提供するとトヨタはリリースで説明している。 EV大国の中国において、このトヨタの新型BEVが存在感を示せるのか注目する一方、日本国内のトヨタブランドからは、bZ4Xの後に続くBEVモデルが登場していないのが少々残念だ。bZ3Cにはクラウンスポーツに通ずるデザイン性の高さを感じるので、簡単でないことは重々承知のうえだが、見た目で「欲しい!」と思わせるこのモデル、BEVセールス向上の起爆剤として国内投入されることを願わずにはいられない。

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TEXT:TET 編集部
1年前のプロトタイプが市販バージョンとなってついに発売! ホンダの中国向け新型EV「e:NP2」と「e:NS2」を北京モーターショーで公開

e:Nシリーズ第2弾の2台を公開 ホンダは2024年4月25日、中国の北京で開催中の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)において、EVの「e:N(イーエヌ)」シリーズ第2弾となる「e:NP2(イーエヌピーツー)」量産モデルを公開するとともに、e:NP2を中国における四輪車生産販売合弁会社である広汽本田汽車から同日付で発売を開始すると発表した。 また、同じく四輪車生産販売合弁会社である東風本田汽車からも、新型EV「e:NS2(イーエヌエスツー)」を6月に発売すると同時にアナウンスした。 ホンダは、中国において2022年に発売したe:NP1、e:NS1を皮切りに、同モーターショーで発表の「イエP7」「イエS7」「イエGT」など、10機種のホンダブランドEVを2027年までに投入する予定であり、2035年までにEVの販売比率100%達成を目指している。 なお、e:NP2とe:NS2はともに、ちょうど1年前の2023年4月に行われた上海モーターショーにおいて、プロトタイプモデル(e:NP2 プロトタイプ)を公開しているので、丸1年の歳月をかけて量産モデルの発表にこぎ着けたことになる。 e:Nシリーズ第2弾となるe:NP2とe:NS2は、新たな価値を持つEVを目指して、e:Nシリーズの共通コンセプトである「動」・「智」・「美」をさらに磨き上げたという。デザインはそれぞれ異なるスマートな未来感を表現するため、e:NP2は伸びやかでクリーンなデザインを、e:NS2は見る人に刺激を与えるエモーショナルなデザインを採用したとホンダは説明する。 具体的な量産モデルのコンセプト解説、およびe:NP2とe:NS2の特長は次の通りだ。 「動」: e:Nシリーズ専用の「e:N アーキテクチャーF」をベースに、ホンダが培ってきたダイナミクス技術を融合することで、人車一体感がある爽快な走りを目指した。また、IPU(インテリジェントパワーユニット)には大容量のバッテリーを採用するとともに、バッテリーの制御技術や走行抵抗の低減により、e:NP2では545kmの航続距離(中国CLTC基準)を実現している。 「智」: 大型のヘッドアップディスプレーや、機能と連動した光の演出などによって、先進的で機能性の高いHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)とした。また、標準装備となる12.8インチの大型ディスプレーオーディオと、中国におけるEV専用のコネクテッド技術「ホンダコネクト4.0」の進化によって、利便性・快適性を向上させている。冬場の快適性を向上させるため、エアコンとヒーターの協調制御などで電力消費を最小限に抑え、乗員を効率よく暖めることが可能なインテリジェントヒーティングシステムを、ホンダ車として初めて適用していることも特長だ。 「美」: SUVのようなユーティリティーの高さとセダンのような流麗なフォルムを両立しながら、洗練され未来感のあるエクステリアデザインを採用。インテリアは水平基調ですっきりしたインストルメントパネルを導入するとともに、上質な素材に包まれる心地よい空間の実現を目指した。また、大型ディスプレーオーディオやスマートフォンのアプリから好みの香りを選択し、その香りを車内へと拡散させるアロマシステムをホンダ車として初めて適用している。 今回の北京モーターショーでは日本メーカーから多くのEVモデルが発表されているが、ホンダもまた中国国内での拡販を狙った現実的なモデルを手堅くリリースしてきた印象だ。しかしスペシャリティ要素の強い「イエシリーズ」の発売を控えるなど、ラインナップの拡充は着実に進んでいる。

TAG: #e:N #北京モーターショー
TEXT:山崎元裕
マセラティのBEVシリーズ第3弾はカテゴリー最速のオープンモデル! 「稲妻」の名が与えられたグランカブリオ・フォルゴレ誕生

速く美しすぎるBEVオープンカー マセラティは2024年4月15日(現地時間)、本社のあるイタリアのモデナで、BEV(電動車)の第3弾モデルとなる、「グランカブリオ・フォルゴレ」を発表した。すでにマセラティは、当初2030年としていたプロダクションモデルの全電動化を2028年にまで前倒しする積極的な修正プランを発表しているが、このグランカブリオのベースとなった「グランツーリズモ」、そしてミディアムサイズのSUV、「グレカーレ」には、BEVの「フォルゴレ」は設定済み。さらにミッドシップスポーツの「MC20」においても、すでにそのコンセプトカーは完成している。 そのような状況のなかで誕生したのが、グランツーリズモのオープンバージョンとなるグランカブリオのBEV、すなわちフォルゴレだ。イタリア語で「稲妻」や「雷電」を意味する言葉である「フォルゴレ」を車名に冠した同モデルは、これまでのモデルと同様に、100%モデナ製、そして100%フル電動カーと主張されるこのニューモデルは、ラグジュアリーセグメント初の電動オープンカーであり、またその市場において世界最速のBEVというタイトルも持つ。 マセラティが2023年からABB FIAフォーミュラE世界選手権でレースの世界に復活していることは、モータースポーツのファンには良く知られているところだが、そこで見られるマセラティのDNAともいえるレーシングスピリットは、まさに電動モビリティの頂点にあるともいえるフォルゴレが発する、エネルギーに満ち溢れた強力な電気を想像させるものともいえる。 先代モデルと同様に、ロングノーズを特徴とした美しいラインを描く、グランカブリオのボディは、全長×全幅×全高で4960×1957×1375mm。ホイールベースは2929mmに達するが、これは2名分の後席に身を委ねるパッセンジャーができるだけ自然なスタイルでドライブを楽しめるようにという配慮であることは間違いない。 トップは軽量化を意識したソフトトップで、タッチスクリーンの操作で約14秒という時間で、さらには50km/h以下の車速ならば走行中にもオープン&クローズの操作ができる。 後席の背後にはオープン時にそのソフトトップを効率的に収める専用スペースが設けられており、ラゲッジルームへの干渉も最小限に抑えられている。フロントシートには首まわりを温風で温めるネックウォーマーを標準装備。 マセラティはこのグランカブリオ・フォルゴレの最高速を325km/h、0→100km/h加速のデータを2.7秒と発表しているが、そのタイムにはやはり驚きを隠せない。 注目のパワートレインは、グランツーリズモのフォルゴレと同様に、3モーター方式。フロントに1基、リヤに2基のエレクトリックモーターが搭載され、それらは各々300kW(402馬力)の最高出力を発揮する。システム全体の最高出力は760馬力に抑えられているものの、最大トルクはじつに1350Nmという数字になる。 実効蓄電池容量は92.5kWh。放電容量が560kWというバッテリーは独自のバッテリーパックに収納され、フロアの低い位置に搭載される。一方、満充電からの走行可能距離はWLTC値で約450km。その実用性は十分に確保されているといえる。 持続可能な長期的ビジョンを2024年に発表し、そのなかで最初に触れたとおり、当初2030年としていた自社製品の完全BEV化を2028年に自ら前倒ししたマセラティ。そのスポーティでエレガント、そしてもちろん高級なブランドに、新たな魅力が加わったことは、マセラティに新たなカスタマーを呼び込む大きな追い風となるに違いない。

TAG: #オープンカー #輸入車
TEXT:高橋 優
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較

EVの常識を変えかねないLi AutoのMEGA 中国のLi Autoが初のバッテリーEVとなるミニバンのMEGAを正式発売しました。最大充電出力520kW、充電時間12分という地球上最速級の充電スピードを実現しながら、ミニバンの究極の利便性を追求することによって、中国市場に新たなEVブームを引き起こす可能性を秘めた、2024年にもっとも注目に値する新型EVの最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、2014年に立ち上がった中国のEVスタートアップであるLi Autoです。すでに4種種ものEVを発売することによって、2023年12月単体における中国国内の販売台数は5万台オーバーを実現しました。 そして、2024年シーズンについては、年間で80万台という販売台数目標を掲げてきており、この販売台数は、日本のマツダやスバルなどに近づく規模感であり、まさに現在、中国EVスタートアップとしてはもっとも成長著しい自動車メーカーとなります。 他方で、このLi Autoについてはこれまで、レンジエクステンダーEVのみをラインアップ。あくまでも、Li Autoの販売の中心であるファミリーの富裕層に対しては、現状のバッテリーEVの性能では、航続距離や充電時間という観点で、まだ満足させることができないとして、バッテリーEVの販売をあえて遅らせていたという背景が存在します。 そして、そのLi Autoがついに満を持して正式発売をスタートさせてきたのが、初のバッテリーEVであるMEGAです。 MEGAは、全長5350mm、全幅1965mm、全高1850mm、ホイールベースが3300mmという巨大なミニバンです。 これまで中国市場においては、ミニバンはそこまで大きなセグメントではなかったものの、Zeekr 009やDenza D9など、ミニバンEVがスマッシュヒットを記録。現在、電気自動車によって、ミニバンセグメントが盛り上がりを見せ始めている状況です。 そしてLi Autoのメインターゲット層である裕福なファミリー層に対して、このMEGAであれば、バッテリーEVならではの静粛性や振動のなさによる快適な移動空間という、新たなライフスタイルを提案することができるわけであり、初のバッテリーEVについては、高級ミニバンセグメントで勝負を挑んできた格好です。 それでは、今回正式発売がスタートしたMEGAについて、とくに気になるEV性能を、競合のバッテリーEVのミニバンである、Xpeng X9、Denza D9、Zeekr 009、さらに現在Li Autoの最大のライバルとなっているファーウェイAITOのフラグシップSUVであるM9とをそれぞれ比較していきましょう。 まず初めに、MEGAはAWDのMaxグレードのみという、すべての装備内容をコミコミにしたワングレード設定です。そして、102.7kWhの中国CATL製のQilin Batteryを搭載することによって、その満充電あたりの航続距離は710kmと、空力性能で不利となるミニバンとしては、かなり長い航続距離を確保することに成功しています。 この航続距離の長さを実現している要因というのが、空力性能のよさを示すCd値で、それは0.215とミニバンとしてはありえないレベルの空力を達成しています。それこそポルシェタイカンのCd値が0.22であることから、あのスポーツセダンであるタイカンよりも空力性能が高いとイメージしてみれば、その凄さが見て取れると思います。 さらに、もうひとつ重要な充電性能という観点についても、そのQilin Batteryによる高性能な熱マネージメントのおかげによって、最大充電出力は520kWに到達しています。よって、充電残量10%から80%まで充電するのにかかる時間も12分間と、現在地球上で発売されているほとんどすべてのEVのなかで最速の充電時間を実現しています。 充電残量が80%の段階でも、まだ300kW程度の充電出力を流すことができるという信じられないほどのフラットな充電カーブも相まって、12分間の充電時間でミニバンEVの500km分の航続距離を回復可能となったわけです。 そして、Li Autoについては、その最大520kWという充電出力を発揮可能な超急速充電ステーションの建設を急ピッチで進め、2024年末の段階でその設置数を2000ステーションと大幅拡充する方針を表明しています。

TAG: #ミニバン #中国
TEXT:TET 編集部
BEV販売台数が100万台に到達! MINIは新型予告! BMWグループ「2024年第1四半期の販売台数」を発表

BMWグループのBEVは対前年比27.9%の成長 BMWグループは2024年第1四半期におけるグローバルでの納車台数を発表した。全世界で対前年比1.1%増となる合計59万4671台のクルマを納車し、なかでもグループ内のBMW、MINI、ロールスロイスの各ブランドがラインアップするEVは合計8万2700台を納車。対前年比27.9%の成長を示しただけでなく、同期間中に100万台目のBEVが納車されるなど、同グループのBEVに対して顧客の関心が高まっていることを示す結果となった。 BMWグループに属する各ブランドの内燃機関(ICE)、PHEV、BEVを含む合計納車台数は先に述べた通り59万4671台だ。表1の地域別納車台数で示す通り、とりわけ欧州市場で対前年比5.5%増の22万7784台を記録しており、安定した成長を遂げている。BMWグループ曰く、ハイエンド・プレミアム・セグメント車の販売においても、前年同期比21.6%増という大幅な伸びを記録しているという。なかでもBMW7シリーズは、グローバル市場でも顕著な伸びを示し、前年の第1四半期と比べて2桁成長を達成したという。 ただし、地域別で最大の納車台数を誇るのはアジアで、前年同期比マイナス2.8%ながら24万4026台を記録した。そのうち中国だけでもアジアの76.8%を占める18万7452台が納車されているのだから驚異的だ。 これはグローバルの納車台数と比較して、約3台に1台は中国に納車されていることを意味する。ちなみに、BMWグループのお膝元であるドイツでは6万1976台、米国では9万844台という実績なので、いかに中国がBMWグループにとって重要なマーケットなのか、この数字だけでもお分かりいただけるだろう。 それでは、BMWグループに属するBMW、MINI、ロールス・ロイスの各ブランド別納車台数を表2にまとめたので、詳しく見ていこう。 2024年第1四半期、BMWブランドはグローバル市場で前年同期比2.5%増となる53万1039台を販売した。とりわけBEVの販売が好調であるといい、7万8691台を売り上げ、前年同期比でプラス40.6%の成長を記録した。 BMWの車種ラインナップを公式サイトでご覧いただければ一目瞭然だが、BEVおよびPHEVが一部車種を除いてICEと並んで動力源を選択するような形でほぼ全車に設定されていることがわかるが、グローバルではとくにi4、iX3、iX1、iX、i7の需要が高いそうだ。3月には新型iX2がデビューしているし、5シリーズもBEVモデルのi5を含む4種類のドライブドレインを用意し、高い人気を誇っているという。 一方、まだまだBEVモデルは少ないものの、走りの良さで世界中のエンスージアストから支持を集めるBMWのMモデルも引き続き好調なようで、前年比プラス3.6%の成長となる4万8110台が納車されている。人気を支えるのはM2、M3セダンなどのハイパフォーマンスモデルと、M760eやi5 M60などの派生モデルなのだそうだ。 さて、ブランド別の納車台数に話を戻し、続いてはMINIだ。2024年第1四半期は6万2107台のMINIが全世界に納車された。前年比ではマイナス9.4%となったが、現在MINIは新型モデルの投入とモデルチェンジを控えているから、そのことがセールスにも影響したというのが合理的な見方だろう。 既報の通り、今年に入りMINIカントリーマン(旧クロスオーバー)が新型に移行したし、数か月後にはMINIクーパーが電動モデルおよび内燃エンジン搭載車としてデビューを控えている。第2四半期以降は一転して大幅なセールス増が期待できるかもしれない。 ロールス・ロイスはどうか? 四半期で50万台以上を売り上げるBMWグループにあって、台数こそ少ないものの、そのブランド力は健在で1525台を記録している。少量生産かつ趣味性の高いブランドだから、この数字で優劣は判断しかねるものの、あれだけの高価格帯モデルが3か月の間に1500台以上も売れるのだから恐れ入る。 最後に、クルマに搭載される動力源別のセールス内訳についてみていこう。どの地域でどの動力源が何台納車されたかまでは公表されていないので、あくまでもBMWグループ全体の数字としてまとめたものが表3となる。 まず先述した通り、BMWグループ全体での2024年第1四半期実績は、59万4641台だ。この数字にはガソリンとディーゼルをまとめた内燃機関のICE、プラグインハイブリッドのPHEV、バッテリーEVのBEVという異なる動力源すべてが含まれる。 BEVとPHEVに限定すると、12万2616台が納車され、それは全体の20.6%に相当する。さらに、この数字からBEVだけを抽出すると、8万2700台、シェアにして13.9%という値が導き出される。つまり、BMWグループとして2024年第1四半期に販売された車両のうち、5台に1台はBEVないしはPHEVであり、7〜8台に1台はBEVということになる。 BMW愛好家は「バイエルンのエンジン屋」などと表現して称賛するし、日本においてはMINIクーパーのゴーカートフィーリングと弾けるエンジンがドライバーを魅了し続けているが、グループ全体を俯瞰してみれば、思いのほかEVシフトが進んでいる実態が浮き彫りとなった。 全世界にファンがいるBMWグループの各ブランドだが、BEVやPHEVでもその魅力は色褪せず人々を魅了しているからこそ、100万台を超える電気自動車の出荷につながっているのだろう。

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TEXT:高橋 優
テスラが日本で全車30万円一律値下げ! 補助金が制限されるもお買い得度ではモデルYが圧倒!!

補助金額が減っても攻める姿勢を絶やさないテスラ テスラが日本国内において、モデル3とモデルYを中心に、全モデルの全グレード一律で30万円の大幅値下げを断行しました。 そもそも、この日本国内におけるテスラに関しては、2022年の9月からモデルYの正式納車をスタートしながら、さらに2023年8月中にもモデルSとモデルXのパラディウム世代の納車をスタート。そして、2023年12月中に、モデル3のモデルチェンジバージョンである、通称ハイランドの納車をスタートすることで、全4車種、最新の状態にアップグレードされ、一気に販売台数を伸ばそうとしてきていたわけです。 他方で、2024年シーズンに突入してからというもの、その販売台数は伸び悩んでいる状況であり、とくに第一四半期の販売台数を比較していくと、じつは2024年シーズンというのは、2年連続で販売台数がマイナス成長という厳しい状況であることが見て取れます。 いずれにしても、テスラが日本国内においてモデルチェンジを行なったとしても、販売台数で大きく苦戦しているわけです。 そして、そのテスラが日本国内において、需要喚起のためにさらなる値下げ措置に踏み切ってきたということで、具体的には、モデル3 RWDグレードが531.3万円、ロングレンジが621.9万円、モデルYのRWDグレードが533.7万円、ロングレンジが622.6万円、そしてパフォーマンスが697.9万円。 その上、モデルSとモデルXについても同様に値下げされ、テスラの全モデル、全グレード、一律で30万円もの値下げに踏み切った格好です。 他方で、テスラジャパンについては、4月からモデル3ロングレンジ以外のグレードに対して20万円もの購入サポートプログラムを展開していました。これは、モデル3ロングレンジグレードのみが85万円の補助金額上限の対象となったものの、それ以外のグレードが65万円という補助金額に制限されてしまったことを受けての対応だったことから、モデル3ロングレンジ以外については、4月以降と比較すると実質10万円という値下げ幅になります。 また、今回の値下げには関係ないものの、現在モデル3とモデルYの価格設定については、極めて接近している状況です。モデル3のRWDグレードについては、補助金を含めて466.3万円から購入可能なものの、モデルYのRWDグレードについても、補助金を含めて468.7万円から購入可能であり、その値段差はたったの2.4万円と極めて接近していることから、テスラ車をなるべく安く購入したいというような方については、もうこれは躊躇なくモデル3ではなくモデルY RWDグレードを購入するべきだと感じます。

TAG: #TESLA #モデルY #値下げ
TEXT:TET 編集部
ミラーとタイヤとホイールをとことん突き詰めたら600kmオーバー! アウディEV史上最長の航続距離を実現するパッケージが登場

ミラーは薄くホイールはフラットに アウディの「e-tron」シリーズのフラッグシップにあたるフルサイズEVクーペSUV、アウディ Q8 スポーツバック e-tron クアトロの一充電走行距離が619km(WLTCモード)となるオプションパッケージ「レンジプラスパッケージ」が新設され、全国のアウディe-tron店(116店舗、2024年4月時点)で発売が開始された。 アウディQ8 e-tronに新設したレンジプラスパッケージは、実質的にQ8 e-tronの「スポーツバック55 e-tron クアトロSライン」に対する専用オプションとして用意され、他のQ8 e-tronでは選ぶことができないスペシャルパッケージになっている。 バーチャルエクステリアミラーやエアロホイール、転がり抵抗の少ないタイヤを採用し、それぞれ空気抵抗、路面摩擦抵抗を低減することで効率を最適化している。これによりアウディQ8 スポーツバック55 e-tron クアトロSラインの一充電走行距離は、ベースモデルよりも118km長い619km(WLTCモード)となり、アウディe-tornの歴史のなかでもっとも長い一充電走行距離を実現した。 このオプションパッケージの装着対象モデルであるアウディQ8 スポーツバック55 e-tron クアトロSラインは、先代モデルにさまざまな改良を加えたことで一充電走行距離が大幅に向上した。たとえば、従来のバッテリー製造工程で生まれる電極材の隙間を、「スタッキング方式」と呼ばれる折り重ねるように配置する方法に変更。電極材の隙間を極力なくしたことで、先代モデルからバッテリー寸法やモジュール数を変更しなくても、エネルギー密度の向上が可能になり、バッテリー容量が増加している。 また、セル内の化学物質の配合を変更し、さらなるエネルギー密度の向上を行ったほか、エネルギー回生効率を上げ、空力性能やモーターの効率も上がっている。このようなベースモデルの特徴と、今回発表の一充電走行距離を伸ばすオプション、「レンジプラスパッケージ」を組み合わせることで、e-tron史上最長の一充電航続距離619km(WLTCモード)を実現している。 レンジプラスパッケージは、空力性能の煮詰めにより航続距離が伸長している。小型カメラシステムを搭載した薄型のバーチャルエクステリアミラーを採用することで、従来のミラーに比べて空気抵抗と風切り音を低減。また、車内のOLEDタッチディスプレイに後方の様子を映し出し、雨や雪などの悪天候時や夕暮れ時にも、周囲を鮮明な映像で確認できるメリットも生まれている。視界の位置や角度は近接センサー付きタッチディスプレイに触れることで調整が可能。駐車時、右左折時、高速走行時など、さまざまなシーンで高い視認性を提供してくれる。 ホイールも見逃せない。古くからモータースポーツシーンにおいては、燃費性能と最高速度の向上を目指し、ホイールの表面をフラットに仕上げたり、ホイールハウスを覆うようにカバーを取り付けるなどの整流対策が行われてきた。このレンジプラスパッケージ専用ホイールも、風の流れを最適化するフラットな形状のアルミホイール 「5アームエアロデザイン」を採用。 19×8.5Jのグラファイトグレーに彩られたホイールと、転がり抵抗の少ない255/55R19タイヤの組み合わせにより、それぞれ走行時の摩擦抵抗を低減と空気効率の最適化により、一充電距離の伸長を実現している。 これらの徹底的な煮詰めが行われたレンジプラスパッケージの希望小売価格は税込36万円となる。この内容とベースモデルに対しプラス118kmの航続距離が上乗せされるメリットを考えれば、車両本体価格が税込1317万円であっても決して高いオプションではない。

TAG: #e-tron #Q8 #アウディ
TEXT:TET 編集部
イケイケのBYDの次なる一手は認定中古車市場への進出! 「BYD CERTIFIED」開始でEV購入のハードルがダダ下がり

安心の「認定中古車」がEV普及の足がかり 2023年の日本上陸以来、徐々に販売拠点を増やすとともに、車両販売の面でも好調が伝えられるBYDが、2024年4月19日から認定中古車制度を開始した。開業準備室を含む全国52拠点のBYD正規ディーラーで取り扱い、EVに関心はあるものの購入には至っていない潜在顧客に対し、新車以外でEVライフを始めるもうひとつの選択肢として訴求していく構えだ。また、並行してBYDの公式ホームページ内に「認定中古車専用サイト」を開設し、オンラインでの訴求も行っていく。 BYDの各モデルには、駆動用バッテリーとして独自に開発された「ブレードバッテリー」が搭載されている。これは多くのEVが搭載する三元系リチウムイオンバッテリーと異なり、正極側(+)に安価で電気的安定度が高いリン酸鉄を用いることで、バッテリー内の熱暴走が少ないという利点がある。 また、距離換算で210万kmに相当する、残量ゼロから満充電までの充放電を4500回こなせるほどの耐久性も持ち合わせ、新車登録時から8年間または走行15万kmまで保証されている。このバッテリーの安全性と耐久性に加え、正規ディーラーならではの高い安心感と充実したアフターサービス、高品質な車両の取り扱いなど、「これまでにない商品価値を保持したEV」として顧客に届けたいとBYDは意気込む。 BYD認定中古車の適用条件と、点検・保証項目は次の通りだ。 <BYD認定中古車の適用条件> ・初度登録から4年未満かつ走行距離5万キロ以内(2024年時点) ・新車登録時からの整備記録簿があり、修復歴・改造がない車両。レース使用車両は不可 ・BYD Auto Japanが正規に輸入した車両であること ・正規ディーラーで全ての定期点検、車検を受けていること ・事故車(修復歴車)の定義は日本自動車査定協会の基準に従う <BYD認定中古車の点検・保証項目> ・点検内容:12か月点検相当 ・保証期間:新車保証+1年(最大で初度登録から5年間保証) ・走行距離:無制限(高電圧部品保証を除く) ・保証内容:新車延長保証に準ずる ・交換部品:法定12ヶ月点検相当の整備点検を実施、消耗部品(バンパー、高機能HECエアコンフィルター 他)は新品に交換 EVが普及するためにはインフラ整備の充実はもちろんだが、消費者としては購入に際しての安心感や手ごろ感、そしてアフターサービスの構築が不可欠だ。認定中古車制度でそうした購入のハードルを下げられるのか、BYDの手腕に注目だ。

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TEXT:TET 編集部
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展

NEVのコンセプトカーを複数展示! 日産自動車は北京モーターショー2024で、中国市場のニーズにあわせて開発した新エネルギー車(NEV)のコンセプトカーを複数出展することを発表した。 全固体電池や進化したe-4ORCEなど、数多くの革新的なテクノロジーを採用し、環境と安全性にも配慮しながら究極のドライビングプレジャーを追求する次世代のEVスポーツコンセプト「ニッサン ハイパーフォース」も中国で初公開される。 さらに、ABB FIAフォーミュラE世界選手権で4戦連続で表彰台を獲得している、日産フォーミュラEのGen3マシンも展示する。 中国国際展覧センターのW2ホールに位置する日産のブースでは車両展示に加えて、錯視3Dを駆使した映像やAIを活用したユニークな体験型コンテンツなどを通じて、日産のクルマが実現する未来のライフスタイルを提示。 北京モーターショー2024は、4月25日にプレスカンファレンスを実施した後、4月27日~5月4日までが一般公開日となる。 日産は経営計画「The Arc」を通じて、変化し続ける中国市場のニーズに迅速に応え、NEVの知見や現地でのパートナーシップを最大限活用しながら、中国での電動化と知能化を加速させていく。

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TEXT:TET 編集部
ホンダの「H」マークが様変わり! 新たなEVシリーズを2024年末以降に発売予定

まずは発売予定の2車種とコンセプトを1車種発表 ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司が2024年4月16日、新たに中国市場へ投入する新型EV(電気自動車)モデルとして「烨(yè:イエ)シリーズ」を発表。イエシリーズの第1弾となる「イエP7」と「イエS7」だけでなく、第2弾のコンセプトモデルとなる「イエGTコンセプト」も世界初公開した。 また、イエシリーズは今回発表された3車種を含め、2027年までに計6車種を中国市場に投入する予定であることも同時に発表された。 今回公開された3つのモデルは、今月下旬に中国・北京で開催予定の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)で一般に向けてお披露目される予定だ。 イエシリーズは、四輪製品の電動化が進む中国において、現在展開中の「e:N(イーエヌ)」シリーズに続く、ホンダの新たなEVシリーズとなる。中国語で「明るく光り輝く」という意味をもつ「烨(イエ)」の字をシリーズ名称とし、「クルマを運転するすべての人が、操る楽しさを通じて心の内に秘めた想いを解放し、それぞれの個性を明るく輝かせてほしい」という想いが込められて命名された。 また、電動化への変化が速い中国において「挑戦と進化」を絶えず追い求め、変革を加速させるという決意を込めて、イエシリーズには次世代EV向けの新たなHマークが採用される。このマーク、今年1月のCES2024で発表された全世界向けのEVシリーズ「ホンダ0(ゼロ)」に掲げられて、2026年から順次市場に投入されるとアナウンスされていたのだが、その「ホンダ0」を出し抜いてイエシリーズが先に掲げることになったのだから驚きだ。 イエシリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求し、ホンダのクルマづくり理念である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」に基づき、人を中心としたパッケージングがなされている。加えて走行性能においては、中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに突き詰めたとしている。また、先進のAIによるサポートをはじめとした智能化技術で、すべての乗員が快適に移動できる空間を目指したという。 それでは発表されたイエシリーズ第1弾のP7とS7、および第2弾のコンセプトモデル「GTコンセプト」について概要を記そう。 イエシリーズ第1弾モデルとなるイエP7/イエS7は、新開発のEV専用プラットフォームを採用し、1モーターによる後輪駆動モデルと、2モーターによる四輪駆動モデルが設定された。両モデルとも操る喜びを追求し、後輪駆動モデルは軽快ですっきりしたハンドリングの実現、四輪駆動モデルでは高出力でありながらも、意のままに操ることができるハンドリングとの両立をそれぞれ目指して開発が行われた。 車内は前後席ともにゆとりのある空間が得られ、快適な移動環境を整えている。AIや各機能と連動してインストルメントパネルやドアパネルのLED発光パターンを変えることで、知性を感じられる運転体験の実現も同時に目指したという。 デザインにおいては、それぞれのモデルが目指す世界観を反映している。抽象的な表現にはなるが、イエP7はシームレスで洗練されたスマートな未来感を、イエS7は見る人に刺激を与えるエモーショナルな未来感を表現したという。なるほど、両車の方向性はヘッドライト周りのデザインに現れている。 なお今回の発表でイエP7とイエS7の発売予定は、2024年末以降だと明らかにされている。

TAG: #イエ #中国 #北京モーターショー #新型車

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