EVが関係する展示会のラッシュだった2023年夏
「ジャパン・モビリティ・ショー2023」を10月末に控えており、乗用車を中心とした自動車業界が慌ただしくなってきた。メーカー各社からEVの出展がアナウンスされており、いよいよ日本のメーカーも電動化へ歩み出したことを期待したい。
しかしこの夏、ビッグサイトを中心に様々なモビリティ関連の展示が行われ、どの分野でも電動化が目立っていた。たとえば消防車にもEVの波が押し寄せているのだ。
さて、そんな夏真っ只中の7月26日〜28日、東京ビッグサイト<東京都江東区>において、ものづくり関連の展示会「テクノフロンティア2023」「インダストリーフロンティア2023」「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」が開催された。ここでレポートをするということは、EV関連の展示があったということ。しかもユニークな内容であった。
特に「テクノフロンティア」は、日本未導入のEVが展示されるイベントだ。因みに2021年には低価格で話題となった中国上汽通用五菱汽車の小型EV「宏光ミニ」が、2022年には中国ニオ製のプレミアムSUV「ES8」が展示され話題となった。今年もユニークな展示がないかと期待して足を運ぶことにした。すると期待どおり、今年後半に発売が予定されている「BYD・シール」がバラバラにされ展示されていたのである。本件に関しては中編で詳細を紹介する。
原付四輪と軽自動車の中間に位置する「シトロエン・アミ」
今回の最大の話題は、シトロエンの日本未輸入のマイクロEV「アミ」の展示であろう。主催者自らが会場への展示を企画した。筆者も「アミ」の実車をどれだけ見たかったことか。会場で念願のご対面となった。
「アミ」の大きな特徴は、属するカテゴリと価格である。そのカテゴリは、日本の軽自動車と原動機付き4輪の中間と言うよりも原付4輪寄りで、ヨーロッパでは「L6e」と呼ばれるもの。フランスでは14歳から運転可能な2人乗り小型EVなのである。
主な諸元値を紹介すると、ボディサイズは全長2,410×全幅1,390×全高1,520mm。重量は485kg。モーターは最高出力6kW(8.1ps)。バッテリー容量は5.5kWhで、70kmの航続距離を持つ。
しかし最高速度は45km/hに制限され高速道路は走れない。発売当初の価格は6,000ユーロ(約65万円、2020年当時)と大きな話題を呼んだ。
この価格の実現は徹底したコストダウンによるもの。樹脂を多用した内外装に加えて、左右のドアに折り畳み式のガラスを使うなど工夫を凝らしている。