「日産サクラ」と「トヨタ C+pod」の中間に位置するボディサイズ
近距離移動の常用EVとして個人所有の需要もあるはず
【THE 視点】EVの開発を行うGLMは8月17日、カーシェアリング向けの小型EV「ミモス」の取り扱いを開始した。軽自動車規格のEVながら、全長3m未満と一般的な軽自動車よりも小さいボディを持つ。
「ミモス」は、本来は欧州市場向けに普通自動車規格で作られているモデルであるが、日本国内の保安基準と軽自動車規格を満たす仕様に改良し、軽自動車としての登録を実現したという。
世界的には日本の軽自動車よりも小さいボディの超小型EVの普及が進みつつある。「シトロエン・アミ」などはその良い例だ。超小型EVは日本の道路事情や生活環境にも合致するはずだが、そのようなEVは少ないのが現状。大手メーカーの軽では「日産サクラ」と、その兄弟車の「三菱 eKクロス EV」があるのみ。新興系の軽EVは商用がメインだ。
常用の超小型EVのニーズに応えるべく、GLMは「ミモス」の日本市場への早期導入を目指した。主に、シェアリングサービスを検討している行政団体や企業向けに販売及びリースを行う予定とのこと。
「ミモス」のスペックは、全長2,998×全高1,555×全幅1,478mm。4人乗車可能な4シーターで、4人乗車時でも荷物の積載スペースを確保している。バッテリーの最大容量は17.8kWhで、最大航続距離は約130km。充電は家庭用200V充電器の仕様で約6時間となっている。なお、写真は左ハンドル仕様となっているが、今秋には右ハンドル仕様も用意されるとアナウンスされている。
GLMというと自社開発のEVスポーツカーの「トミーカイラZZ」のイメージが強い。今回は自社開発を行なわず、EVの需要の高まりから早急にニーズに応えられるよう海外からの輸入を選択したようだ。自社開発は手間・時間・コストがかかるため、普及速度と相応の台数を優先するなら今回の判断はベストに思う。
サイズから見るに「日産サクラ」と「トヨタC+pod」の中間に位置するEVとなる。スズキが一時期販売していた「ツイン」をも思い起こさせる。
誰もが使いやすいサイズのため、不特定多数が利用するシェアリングサービスには向いている。しかし、近距離移動用の常用EVとしてマイカーの需要もあるはずだ。見た目も小型SUVのようで愛らしく、所有する楽しみもあるのではないだろうか。シェア限定とするのはもったいない。右ハンドル仕様が入れば、一定数の販売が見込めると思われる。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.08.21]