取り回しが良くて手の内感覚の優しいEV
“本当のバリアフリー車”のお手本のひとつ
【THE 視点】シトロエンは6月5日、「2023 パリ・オートノミック見本市」にて、小型EV「アミ」のバリアフリー対応モデル「アミ・フォー・オール」(以下、アミFA)を発表した。身体にハンディキャップがあるユーザー向けのモデルで、車いすを車内に収納できるのが特徴だ。
「アミFA」は、ハンディキャップを抱えたユーザーも容易に運転ができるよう、運転操作が簡単に行えることに加えて、ドライバー自ら車いすの収納が行えるよう工夫されている。開発は、バリアフリー車改造の専門企業「PIMAS」と共同で行ったようだ。
バリアフリー対応となった場所と機能は、「ドアの開口角の増加」「車いすからシートへ移動するためのサポート品(ボードと吊り革)」「アクセルとブレーキペダルを手で操作する補助装置とステアリング・ノブ」「車いすの車載アシスト装置」と多数におよぶ。
「アミFA」のベース車の「アミ」は、ヨーロッパの多くの国にて、16歳以上(フランスでは14歳以上)なら免許なしで乗ることができる「クワドリシクル」に分類されるEV。
車両区分は「L6e」となり、定格出力が4kW(5.4ps)・最高速度が45km/hに制限されているが、内燃エンジン車の侵入が禁止されている都市内でも走行可能というメリットがある。価格も日本円換算で100万円以内という非常に人気の高いモデルだ。
「東京オートサロン」にて展示され話題をさらったKGモータースの1人乗りのEV「ミニマム・モビリティ」をイメージするとわかりやすいだろう。
日本では軽自動車になってしまうヨーロッパの「L6e」は、日本の軽自動車や超小型モビリティに比べて、遥かに移動の自由度が高く手軽に所有できるカテゴリーである。
「アミFA」は、ハンディキャップを抱えるユーザーの移動をサポートすることを目的としているが、バリアフリー車両のお手本のひとつと言えるモデルであり、本当のバリアフリー対応車とは何かを考えさせてくれる。
日本でも、高齢者を含めた交通弱者の足となるのが本当のバリアフリー対応車ではないだろうか。是非とも国内にも「L6e」カテゴリーを設けてもらいたいものである。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.06.09]