未だにホンダBEV戦略の実態が見えてこない。GM協業「アルティウム」とホンダ独自のBEV専用プラットフォームとの“すみわけ”はどうなるのか。また、日本でのBEVシフトに対してコンサバ過ぎる印象もある。ホンダのBEVはこれからどこに向かうのか?
アメリカ市場最優先は当然の流れ
ホンダのアメリカ現地法人のアメリカン・ホンダモーターが2023年8月18日、米カリフォルニア州モントレーで開催された「モントレー・カー・ウィーク」で、アキュラブランド初のBEVとなる「ZDX(ゼィーディーエックス」量産モデルを発表した。北米での発売は2024年初頭の予定。最高出力500馬力の「ZDX タイプS」も合わせて公開した。
そのほか、アメリカでは「ZDX」の兄弟車である、ホンダ「プロローグ」も2024年に発売される。
日本には現状で、アキュラブランドを展開する計画についてホンダは明らかにしておらず、「ZDX」が日本で販売される可能性は低いものと考えられる。また「プロローグ」についても北米市場向けとなる見込みだ。
周知の通り、ホンダのグローバル事業はアメリカ市場への依存度が高い。
そのアメリカでは、バイデン大統領が2021年8月に2035年に向けた自動車の電動化に関する大統領令を発令。次いで、2022年8月にはIRA(インフレ抑制法)が上下院で可決された。IRAによって、BEVの国内生産やBEV関連部品の調達についてアメリカ国内外からの投資を促す形となっている。
ホンダのみならず、日系メーカー各社の幹部は「グローバルで見た時、直近で最も重要なのはIRAへの対応」と本音を漏らす。
そもそもアメリカ市場を重視する必要があるホンダとしては、アメリカでの急激なBEVシフトに必死で食らいついていく必要があると言える。
そのため、オハイオ州メアリズビル工場とアンナ・エンジン工場、そしてジョージア州内のトランスミッション工場でのBEVシフトに向けた工場再編に着手しているところだ。