コラム
share:

未だホンダBEV戦略ロードマップの詳細見えず。24年発売アキュラ「ZDX」でGM協業スタートするも、ホンダ独自専用BEVプラットフォームとの”すみわけ”は?


TEXT:桃田 健史 PHOTO:桃田 健史
TAG:

非電動車「インテグラ」復活がアメリカでは好評価。筆者撮影

日系メーカーで唯一、BEVと燃料電池車100%を明言

ホンダのBEV戦略については、2023年4月26日、東京・青山のホンダ本社で三部敏宏社長が「2023ビジネスアップデート」~電動化を含む企業変革に向けた取り組み~を報道陣向けに説明した。

その中で、四輪は2040年までにグローバルでBEVと燃料電池車の販売比率100%という目標を改めて強調した。達成年を明確にして、完全なBEVシフトを明言している日系自動車メーカーは現在、ホンダだけだ。

2030年までにグローバルでBEV生産台数を200万台超とする。

その上で、北米については、2030年時点で新車市場の約半分がBEVになると見込んでいる。

だが、台頭するテスラや、ピックアップトラックなど北米向け大型車のBEV化で先行するGMやフォードに対して、ホンダは北米でのBEVシフトで明らかに出遅れた感がある。

あくまでも筆者の私見だが、ホンダはアメリカ市場全体でのBEVシフトに対して、かなり緩やかに進むと見込んでいたように思う。

それが、アメリカと中国、またアメリカと欧州連合との間で、カーボンニュートラルという観点での次世代産業を巡る投資について政治的な駆け引きが一気に強まった。

その結果、BEVシフトが急加速したことにホンダ関係者は皆、かなり驚いているのだと思う。

こうした感想は、他の日系自動車メーカーも概ね同じだと思うし、また長年に渡りアメリカ自動車市場の現場を見ていた筆者自身も、ホンダと同じようにアメリカのBEVシフトを明確に予測することができなかった。

全体を俯瞰できるロードマップの提示なし

東京都港区青山のホンダ本社外観。筆者撮影

こうしたアメリカでの急激なBEVシフトに対応するため、ホンダとしてはまず、GMが先行開発したBEV用システムである「アルティウム」を採用し、アキュラ「ZDX」とホンダ「プロローグ」を2024年に市場導入する。

さらに、2025年からは、ホンダ独自のBEV専用プラットフォームをベースとした中大型BEVが登場する。

その上で、アルティウムとホンダ独自プラットフォームが今後、どのように”すみわけ”られるのかについて、現時点(2023年8月後半)では明確なロードマップがホンダから示されていない。

また、中国では「e:N」シリーズ各モデルが今後、相次いで導入されるが、これらと北米向けのホンダ独自のBEV専用プラットフォームとの関係性について、ホンダから明確な回答はない。

そして日本では、2025年に「N-ONE」ベースのBEV、そして2026年にはSUVタイプを含む小型BEV2機種を発売としているだけで、これらとアメリカおよび中国での各種BEV技術との共通性などについても、ホンダは触れていない。

ホンダは今、2040年に向けて事業の大転換の真っ只中であることは確かだが、その実態についてホンダ社外からうかがい知ることはできない。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
過酷なダカールラリーで排気量998㏄の「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
more
コラム
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える
EVの走りはむしろ好き! エンジン車も同時に所有! それでもEVライフを終了した理由をオーナーが激白
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択