17年ぶりのフルモデルチェンジで量産EVを追加
改造型EVエルフ時代からバッテリー容量が大幅増加
【THE 視点】いすゞ自動車株式会社は3月7日、小型トラック「エルフ」シリーズをフルモデルチェンジし、同社初の量産バッテリーEV(BEV)である「エルフEV」を発売した。
17年前ぶりにモデルチェンジした「エルフ」は、「デザイン」「ホスピタリティ」「エコノミー」「セーフティ」「コネクテッド」「ラインアップ」の6つのポイントを中心に進化した。
シリーズ初のラインナップである「エルフEV」については、標準キャブのGVW(車両総重量)3.5トン未満車からワイドキャブのGVW7.5トン車まで幅広い車種構成を実現。車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化。一般的な「エルフ」に慣れたユーザーも自然に運転でき、様々な架装にも対応できるよう、そしてEV導入の敷居を下げるような工夫がなされている。
バッテリーは、コンパクトなバッテリーパック(最大容量20kWh/個)を開発。車格や使われ方に応じて、高電圧バッテリーを2パック(40kWh)から最大5パック(100kWh)搭載するモジュール方式を採用し、普通充電と急速充電に対応しているほか、専用の機器を通して外部へ電力供給を行うことが可能となっている。
筆者もこれまでに、「エルフ」をベースにEVトラックを何台も製作してきた経験がある。1995年ごろはまだ鉛バッテリーだったが、2012年に製作した際にはリチウムイオン・バッテリーに進化した。
それでも、当時のリチウムイオン・バッテリーの性能では、GVW7.5トンクラスに48kWh分を搭載するのがやっとだった。今回いすゞから発表されたエルフEVは、最大100kWhまでラインナップがあることに大きな進化を感じる。
日野自動車からはヤマト運輸向けに「デュトロEV」500台の納車が始まり、三菱ふそうからは第2世代の新型「eキャンター」がこの春発売される。日本にもようやくEVトラックの時代がやってきた。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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