発電方法もグローバルに合わせて変えていく必要がある
交通タイムス社 小林匡朗 (大阪オートメッセ 実行委員長):ヨーロッパもアメリカも日本も2030年から35年、今から約10年ほどの間にはEV化を完全に進めていこうという計画が出ています。一方で2020年に日本自動車工業会の豊田章男会長は急速なEV化は社会のバランスを崩す、電気が不足する、10基の原子力発電所を作らなければそれは賄えないと言っています。タイは石炭で約12%、天然ガスで約60%の電力を賄っており、そのうち半分は30年くらい輸入に頼らなければいけないし、そんなに長く持たないという状況で、長期的に見てEVが普及していく環境について、どういう電力源でEV100%の社会が成立すると考えているのか、タイの電力確保の未来の姿を教えてください。
クリサダ会長:先ほどのタイ政府のナショナルEVコートの中にタイのエネルギー省も入っており、タイのエネルギーは電気に関しては余剰電力があります。電力の傾向も分かっています。タイはCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に準拠しており、2050年に排ガスの規制があるので、電力を火力から様々な代替発電に切り替えています。例えばソーラーやバイオなどにシフトするので、おそらくそういう代替電力の割合が高くなり火力発電は減少する。特にそういうエネルギーバランスが崩れるということはないと思っています。
小林:そういう中で100%EV化が達成できると思っている?
クリサダ会長:さきほどのエネルギーや目標数値は2021年に発表し、2022年に国のサポート政策が始まりました。ただし実際は国の政策サポートが始まる時に目標の数値までは作れなかった。なぜなら半導体が足りなかったからです。しかし今後半導体がうまく生産出来て自動車生産台数が増えると、おそらく多方面で状況が変わっていくので、目標値もそれに合わせた多様な調整を考えています。
Krisda Utamote(タイ電気自動車協会会長)
電気自動車の技術と革新における知識交換の促進と支援を目的とし、電気自動車技術の発展に関する規制、基準、運用に関するコンサルティングも行うタイ電気自動車協会の会長。さらにBMW Group Thailandでも21年以上にわたり、MINI のディーラー開発、販売計画、ブランド管理を担当し、現在はBMW、MINI、BMW Motorrad のビジネスユニットのコーポレートおよび製品コミュニケーションの管理、ならびにBMW Thailand、BMW Manufacturing Thailand、BMW Financial Services Thailandの企業業務の管理や広報部長とBMW Group Thailandの要職も務める。