2023年4月
TEXT:TET 編集部
すでに三菱車の屋台骨に。三菱eKクロスEVの販売好調のワケを探ってみた

三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」が売れているようだ。4月27日に同社が公表した今年3月の国内販売台数によると、eKクロスEVは1,544台で、三菱車としては「デリカD:5」(2,284台)に次ぎ2位に付けた。同社の3月国内販売は全体でも1万1,896台だから、三菱の販売した新車の10台に1台以上はeKクロスEVということになる。そこで今回は、eKクロスEVは何が評価されているのか検証してみたい。 補助金の利用により実質140万円台半ばで購入可 まず、あたり前のことだが、軽自動車であるeKクロスEVは他の電気自動車に比べ圧倒的に安い。例えば、トヨタの「bZ4X」や日産「アリア」といったSUV勢は500~600万円がスタート価格でおいそれと手が出ないし、コンパクトハッチバックの日産「リーフ」でも400万円オーバーだから日常の足としてはまだ高い。 その点、eKクロスEVは昨年12月に15万円ほど値上げされたとはいえエントリーグレード「G」なら254万6,500円となっており、リーフと比べて約150万円も安価なのだ。たしかに、eKクロスEVの航続距離(WLTCモード)は180kmと、リーフのエントリーグレードと比べても140km程短く、カタログ表記の約7割と言われる実走行可能距離にあてはめると、実質130km弱にとどまるが、そもそも軽自動車で一回のドライブで100km以上走行する機会はそれほど多くないだろう。 しかも、遅ればせながら政府がEVの普及に本腰を入れ始めたおかげで、今なら補助金も55万円と充実している。さらに例えば東京都民なら45万円の自治体独自補助も上乗せされるから、エコカー減税も加味すると、eKクロスEVは実質的に150万円台半ばで購入可能。これをベース車である内燃機関モデルの「eKクロス」と比べてみると、おおよそエントリーグレード「M」(146万3,000円)に近い価格帯になる。 しかも、eKクロスの「M」は、本革巻きステアリングホイールやタッチパネル式フルオートエアコンなどeKクロスEVの「G」に標準となる装備が装着されない。つまり、EVという点を一旦置いて、装備だけに注目しても、補助金が充実している今、eKクロスEVは「買い」と言える。ここに、ガソリン価格高騰中の今、燃料代がかからないというメリットが加わるのだから、まさに鬼に金棒状態なのだ。事実、エンジン車のeKクロスは兄弟車の「eKワゴン」と合わせても3月の販売台数が1,466台と、eKクロスEVに一歩届いておらず、既に主従逆転した感がある。 次ページ>>> eKクロスEVと日産サクラの違い

TAG: #eKクロスEV #サクラ #軽EV
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
日本初、EVの旅客船が大阪で就航……デイリーEVヘッドライン[2023.04.28]

EV旅客船として小型船舶の検査に初合格 350Vのシステムの採用で自動車機器との共通化にも期待 【THE 視点】EV船販売株式会社は、350Vの高電圧リチウムイオン・バッテリーを搭載したEV船が、日本小型船舶検査機構の船舶検査に合格し、大阪市内に就航したと発表した。 同社はこれまでも、EV船を検査に合格させてきた実績があるが(今回を含めて5例)、小型船舶最大級(20トン未満)の旅客船として合格をさせたのは、今回が初めての例となる。 本船は観光旅客船扱いで、大まかな仕様は全長21.38m/幅5.00m/総トン数19トン/旅客定員70名となっており、このクラスでは最大級。建造も同社が行い、すでに船主に引き渡しを終えて旅客運航が始まっている。 搭載している電動システムは、ドイツのトルキード社製の「ディープブルー」というもの。容量44kWhのリチウムイオン・バッテリーおよび最高出力50kW(68ps)のモーターを1組とし、それを2組搭載しているのが特徴だ。 EV船販売株式会社といえば、先日筆者が取材した「ジャパンインターナショナルボートショー2023」に出展しており、今回のEV船についてもレポート内で触れている[詳細はこちら]。今回は、それからの進展ということになる。 港湾をはじめ、船舶の低炭素化が急務とされているが、なかなか進んでいないのが現状である。このように小型船であっても、電池電圧により縛りがあり許認可に時間が掛かるのだと改めて実感した。 筆者もEVの開発で、新しいものを製作した際の許認可のやり取りで苦労した経験が多々ある。なかには、それだけで1年もかかったものも。とにかく基準が定まっていないものに対しては、安全性の担保が厳しく求められるのだ。 今回のように、EVでは一般的な電圧の350Vで認可されたということは、今後船においてEV(自動車)用のパワーユニットが使えることになる。これで日本でのEV船の開発も進むものと思われる。今回のEV船販売のブレークスルーは、船舶業界はもちろん自動車業界にとってもインパクトのある明るいニュースと捉えている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マセラティ、ブランド初のSUV型EV「フォルゴーレ」を発表……SUV型の高級EV、「上海モーターショー2023」で世界初公開 ★★トヨタ、「bZ4X」のソフトウエア・アップデートを実施……1日あたりの急速充電回数が、現状から2倍の4回程度に改善 ★三菱、「eKクロスEV」の販売台数(2023年3月)が1,544台……全体の国内販売は1万1,896台で11ヵ月連続で前年比増[詳細はこちら<click>] ★小田急電鉄、東京電力・出光興産とともに脱炭素に向けて連携……バスのEV化や充電マネジメントの導入も計画 ★TDK、高回転モーター対応の高精度角度センサー「HAL 302xセンサ」を開発……EV用モーターにも対応、強力かつ高価な磁石が不要になり柔軟なモーター設計が可能に ★ノベルクリスタルテクノロジー、次世代パワー半導体の高出力動作に成功……「酸化ガリウムショットキーバリアダイオード」を組み込んだ回路が、出力電圧390V・出力電力350Wで正常に動作 ★半導体開発のオンセミ、中国のEV企業ジーカーと長期供給契約……充電時間の短縮や航続距離の延伸が可能なシリコンカーバイド(SiC)・パワーデバイスを供給 ★テスラ、商業施設「柏の葉 T-SITE」<千葉県柏市>にて特別展示試乗会……「モデル Y」と「モデル 3」を出展、4月22日(土)〜5月18日(木)まで ★ブレイズ、茨城県のカー用品店「ケンズガレージ」の3店舗にて「ブレイズ EVトライク」などの販売を開始……カー用品店での取り扱いは全国初 ★オペル、EVのワンメイク・ラリー選手権を推進……「ADAC オペル・エレクトリック・ラリー・カップ “powered by GSe”」に改名、5月5日よりシーズン3が開始

TAG: #EV船 #EV船販売 #THE視点
TEXT:生方 聡
急速充電性能を改善、航続距離も把握しやすく:トヨタが「bZ4X」のソフトウェアをアップデート

トヨタ自動車は2023年4月22日、ミドルサイズSUVタイプのEV「bZ4X」のソフトウェアアップデートを5月以降に実施すると発表した。 ユーザーの声に応えるために 「bZ4X」は、トヨタが新開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用するミドルサイズSUVタイプのEVだ。ハイブリッド車で電動化をリードしてきたトヨタだけに、EVのbZ4Xも優れた走行性能を有しているが、その一方で、急速充電やメーター表示に関してユーザーから改善を求める声が寄せられていた。 おもなものとしてトヨタは、 1 急速充電性能 2 メーター上の航続距離 3 メーター表示 を挙げている。 「1 急速充電性能」は、bZ4Xでは1日あたりの急速充電によるフル充電回数を2回に制限してきた。ここでいうフル充電とは、150kWの急速充電器でバッテリー残量(SOC)10%から80%に充電することを指す。また、SOCが80%を超えてからの急速充電は速度を制限。いずれも急速充電によるバッテリー劣化を抑制する狙いがある。 「2 メーター上の航続距離」は、メーターに表示される航続距離が0kmになるタイミングが早いという指摘だ。トヨタによれば、“電欠”で走行不能になるのを避けるために、航続距離が0kmになっても、実際には充電場所までたどり着ける余裕を持たせているという。 「3 メーター表示」は、「感動よりも扱いやすさを [トヨタbZ4X試乗記:その3]」でも指摘しているように、メーター内にSOCの%表示がなかった。また、エアコン使用時の航続可能距離が大幅に短く表示される傾向にあった。

TAG: #bZ4X #ソフトウェア #充電
TEXT:TET 編集部
軽EVやSUVも。ホンダが新たに4車種の電気自動車を国内投入

ホンダは4月26日、電動化を踏まえた企業変革に関する説明会「2023ビジネスアップデート」を開催し、今後の商品計画などについて発表した。計画では2026年までに4種類のEVを国内市場に投入するとのこと。詳しく内容を見ていこう。 2024年〜2025年にホンダから軽EVが2モデル登場 ホンダの発表によると、2024年前半に先陣を切って「N-VAN」ベースの軽商用EVがデビューする。こちらは既に昨年末プロトタイプが公開されたもので、航続距離200kmという目標値と、ガソリン車と同等の100万円台のスタート価格に設定されることが明らかにされていた。今回この既報が再確認されたわけだが、販売時期は昨年末時点で2024年春とされていたのが2024年前半へと改められた。単なる表現の違いかもしれないが、半導体不足の影響を受けての軌道修正の可能性もある。 そして今回の発表で最も注目されるのが、軽乗用車「N-ONE」をベースとしたEVを2025年に市場投入すると明言されたこと。2020年にデビューした現行の2代目N-ONEは個性的なエクステリアやマニュアルトランスミッションの設定など、各所にこだわりを感じさせるプレミアムな軽トールワゴンだが、一方で価格設定もライバルよりやや高かった。 ただ、EV版が追加されるということはバッテリー搭載も考えて設計されていることの証左であり、開発コストが上がってしまった理由も納得できる。先行する軽EVの「日産サクラ」や「三菱ekクロスEV」に、プレミアムな質感で真っ向勝負を挑むモデルとなりそうだ。 細かいところに注目すると、サクラとekクロスEVは全高1650mm超と一般的なタワーパーキングには入らないのに対し、N-ONEはFF車なら同1545mmでギリギリ入庫可能となっている。最近はマンションの立体駐車場に設置できる充電設備も登場しているから、EV版N-ONEの登場が更なるEV普及のきっかけとなる可能性もありそうだ。そのためには、サクラやek クロスEVの約250万円というスタート価格を下回ってほしいところだが、価格については現時点では明かされていない。 さらに、今回の発表では2026年にSUVタイプを含む小型EV2機種を発売することも明らかにされた。これについて詳細は明らかになっていない。推測だが、昨年4月に中国で東風ホンダから販売が開始されたヴェゼルベースのEV「e:NS1」が国内導入される可能性もある。e:NS1は中国の工場で生産されるEVだが、既にホンダはミニバン「オデッセイ」で中国産の車両を国内導入すると発表済み。その続編となる可能性もある。 >>>次ページ トヨタや日産と同じ土俵に

TAG: #N-ONE #戦略
TEXT:烏山 大輔
BMW、i5発売に向けサスペンションコントロールと運転支援システムの開発が最終段階。視覚操作による車線変更機能も装備

BMWグループのテストセンターがあるフランスのミラマスで、新型5シリーズの電気自動車仕様であるi5のサスペンション制御と運転支援システムの最終調整が行われた。この改良により、革新的な「バーティカル・ダイナミクス・マネジメント」を実現、スポーツ性能と乗り心地を同時に向上させた。 また世界初の新しい自動運転機能、ハイウェイ・アシスタントを開発した。この機能は視覚操作によって自動車線変更を実現する。この機能はドライバーの負担を軽減するとともに、事故を防止するために開発された。BMWは今後も自動運転技術の開発に力を入れていく予定だ。 i5の量産開発が最終段階 ワールド・プレミアが数週間後に迫る中、i5の開発はサスペンション・コントロールとドライバー・アシスタンス・システムの微調整を経て、最終段階を迎えていることが明らかになった。 特に革新的なバーティカル・ダイナミクス・マネジメント技術の採用により、5シリーズが誇る高いスポーツ性と乗り心地のバランスの実現を目指す。さらに、自動運転技術であるハイウェイ・アシスタントは、視線誘導により、先行車との距離調整、ステアリング調整や車線変更が可能となり、自動運転機能の新たな進化をもたらすことが期待されている。 i5はスウェーデンのアルジェプログにある冬季テストセンターの雪や氷に覆われた路面から、酷暑や乾燥した条件の地域、市街地走行や田舎道、高速道路や厳選されたテスト・トラックまで、多彩なテストプログラムをこなしてきた。 その後、南フランスのミラマス郊外にあるBMWグループの試験場で、走行性能に関わるすべてのコンポーネントの微調整が行われた。この微調整には駆動システム、高電圧バッテリー、ヒートポンプ機能付き統合冷暖房も含まれる。特に高電圧バッテリーの予測的な熱管理機能は、DC急速充電ステーションでの迅速かつ効率的な充電に貢献する。

TAG: #i5 #電気自動車
TEXT:烏山 大輔
上海モーターショー:BYDのニューモデルをふたたびチェック

BYDが日本で現時点で販売しているモデルはATTO 3(アット3)のみ(「ドルフィン」は8月から受注開始、「シール」は2023年の年末に発売予定)だが、地元である上海モーターショーでは多くのモデルを発表した。 各車を公式のリリースと写真で振り返ってみたい。 Yangwang U8とU9 Yangwang(ヤンワン、漢字表記は仰望)U8は、自社開発の2つのコアテクノロジーであるe4プラットフォームと DiSus-Pを搭載し、最先端技術を駆使したNEV(新エネルギー車:EVやプラグインハイブリッド車などの電動車を指す)ハードコアオフロードSUVである。 ※DiSusシステムについてはこちらをご覧ください。 e4プラットフォームにより、最大1100馬力以上のパワーを発揮し、わずか3.6秒で100km/hに達する。また、過酷な環境下でも安定した走行が可能で、水や流れに浮き(※)、360度のタンクターン(※)もできるオフロード性能に優れたSUVだ。 ※渡河性能ではなく、タイヤが川底から離れても船のように完全に浮いて「航行」し向こう岸にたどり着ける。 ※タンクターン:左右輪を逆向きに回転、例えば左側の2輪を前進、右側の2輪を後進させることで、その場で移動せずに360度のターンをすること。 Yangwang U8には、Premium EditionとOff-road Master Editionという2つのモデルがあり、Premium Editionは究極のオフロード性能と豪華さを併せ持ち、Off-road Master Editionはオフロード愛好家向けに設計され、オフロード性能を更に高めたモデルである。 Yangwang U8 Premium EditionとOff-road Master Editionは、109万8000元(約2,100万円)で先行販売を開始した。 また、Yangwang U8の先行販売に加え、Yangwang U9も正式に発表された。 Yangwangは、独自のブランドビジュアル・アイデンティティを表現するため、「タイムゲートデザイン言語」を採用しており、エネルギー、テクノロジー、スピード、美学を情熱的に表現している。 あわせてBYDはプレミアムNEV専用に開発されたYangwangアーキテクチャーを発表した。このアーキテクチャーは、e4プラットフォーム、DiSusシステム、ブレードバッテリー、マスターボディ、スマートコクピット、先進運転支援システム(ADAS)など、BYDの6つのコアテクノロジーを採用している。 Yangwangアーキテクチャーは、高性能であり、無制限かつ進化可能であることで、オフロード、都市部の道路、レーストラック、その他多くの運転シナリオをカバーすることができる。 U8とU9は、Yangwangアーキテクチャーを搭載した最初のモデルであり、優れたオフロード性能と最先端のテクノロジーを提供することが期待されている。

TAG: #デンザ #ヤンワン #上海モーターショー
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(前編)」アンケート 結果発表(第6回)

THE EV TIMESで行ったEVオーナーアンケート。選択式項目の集計結果は別ページにまとめられているが、ここでは記述式項目のコメントを集めてみた。前編のテーマは「充電事情」。予想通り、オーナーの不満は小さくなかった。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 EV普及への最大のネックは、言わずもがなの充電事情である。質問16「充電環境にご意見があれば教えてください」に何らかの記述をくださった91名のうち、はっきりと「不満なし」を表明しているのは3名のみだった。 公共的な充電設備がガソリンスタンドに比べて著しく少ない現状では、自宅に充電設備がないとICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)のようには使えないと思われ、実際、約8割の方がその設備を備えていた。自宅充電の出来ない2割の方のうち約8割は集合住宅にお住まいで、つまり自らの意思で充電設備を設置できないと想像できる方々であった。「充電環境にご意見があれば教えてください」「EV購入を検討している人にアドバイス」といった記述式項目からコメントを拾っていく。 「商業施設や集合住宅に普通充電器を普及させるのが急務だと思う。自宅充電可能で1日の走行距離が100km以下だと迷わず購入して問題無いと思います」(大阪府:テスラ・モデル3) 「いまのところZESP3(編集部注:日産の充電サービス)でまかなっていますが、やはり自宅充電環境がほしい。集合住宅でも導入できるようなソリューションが広がることを期待しています」(静岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「現状は自宅充電が必須です」(北海道:テスラ・モデルX) 「自宅で充電環境を整えられる人は買って問題ないです。逆に無理なら積極的にお勧めしません。でも急速充電器だけでも運用は可能です」(福岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「既設マンションへの6kW充電器普及を法律・条例で推めてほしい」(愛知県:テスラ・モデル3) など、充電拠点増加への期待が窺われる。むろん国や自治体のバックアップも必要になるだろう。 充電設備そのものへの意見としては、 「現状のチャデモの低性能さやUX(ユーザー・エクスペリエンス)の低さをなんとかして欲しい」(神奈川県:テスラ・モデル3) 「チャデモ充電器が使い辛い。20kWは実用的ではない、50kWは必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 「UI/UXはテスラが最も優れていると思うので真似して欲しい」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) など、急速充電への意見が目立つ一方で 「日常の行動範囲に普通充電器が普及すれば急速充電はそれほど必要なくなる」(神奈川県:テスラ・モデルY) と、普通充電への期待もあった。急速充電はバッテリー保護のため“満タン”には事実上できないため、ショッピングや宿泊など出先での時間を使って普通充電できれば、その方がむしろ便利とも言える。 「充電器の使用順を決めるシステムが必要。整理券を出して欲しい。終わっても帰ってこない場合テスラのような罰金を」(不明:日産・リーフ) 「充電量に応じた金額にして欲しい。2口の急速充電は課題の解決にはならない」(福岡県:プジョー・e-2008) 「24H使用できる普通充電がほぼない」(神奈川県:日産・サクラ) 「支払い方式の互換性の完全確立」(大阪府:プジョー・e-2008) あたりは、EVの周辺環境がまだまだ過渡期の混乱の中にあることを示している。 ちなみに、自宅充電設備を持たない方の中で、その必要性を感じないという意見は「集合住宅でも都内は十分に運用可能です」(東京都:テスラ・モデルY)の1名のみであった。都内も23区内に限れば使用範囲も広くなく、走行距離も伸びないはずだから、ICEと同レベルの運用をしやすいかもしれない。 わずかだが充電設備の故障についての言及もあった。確かに「ガソリンスタンドが故障して給油できなかった」という話は聞かない。たとえ故障していたとしても、ある程度人口のまとまった地域ならさほど走らずとも別のガソリンスタンドがあるだろう。 「急速充電器の故障が事前に分かる仕組みが必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 充電器故障情報は、今のところWEB上の口コミに頼るしかないようだ。機器に内包された故障検知システムが必要と思われる。また、新規で設置時は補助金が出るが、修理には補助金がでないことも充電器の故障を修理しづらい原因となっているようなので、修理やメインテナンスにも補助金が出るといいのかもしれない。 充電環境に関するまとめとして、フォルクスワーゲン・ID4オーナーのコメントを紹介させていただく。 「経路充電(急速充電器)の充実と目的地充電(普通充電器)の充実を希望」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) この方は自宅に3kWの普通充電設備をお持ちだ。自宅で満充電して出発、目的地での滞在時間中に普通充電、足りなければルート上で急速充電、というのが理想であろう。というよりこれがEV社会の当たり前の姿だと思われる。果たしていつ頃実現されるだろうか。今のところ、日本は他の先進国から大きく後れを取りそうな気配だ。 フリーコメント集(前編)は以上です。後編では「EVの良いところ/悪いところ」についてお伝えします。

TAG: #アイオニック5 #モデル3 #リーフ #読者アンケート
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
クボタ、リチウムイオン・バッテリー市場に参入……デイリーEVヘッドライン[2023.04.27]

リチウムイオン・バッテリー用の負極材を2024年から量産 農機の電動化も見据えての事業化か 【THE 視点】クボタは4月25日、リチウムイオン二次電池の負極材料「チタンニオブ複合酸化物」の量産を2024年末に開始すると発表した。 「チタンニオブ複合酸化物」は、一般的にリチウムイオン・バッテリーの負極材料として用いられる黒鉛と比べて、電池の長寿命化や優れた急速充電性を実現しうる材料である。 クボタはこれまで、自動車用ブレーキパッドなどの摩擦材に用いられる「チタン酸カリウム<TXAX(ティーザクス)>」を開発・生産するなど、チタン酸化合物を産業向けに供給してきた。 その量産実用化で培った固有技術やノウハウを用いて、「チタンニオブ複合酸化物」の合成技術および製造技術を開発し、2024年末に量産を開始する。月間生産能力を50トンから段階的に引き上げていく予定だという。 クボタというと農業企業のイメージが強い。リチウムイオン・バッテリー材料の開発を機に、将来的には自社の農機の電動化も進めていくのだろう。自社製であればコストも抑えられ、さらに新材料を使用することで国産のバッテリー技術の進化にもつながる。 今回参入するクボタは、将来の農機の電動化を担う重要なポジションにいるのかもしれない。期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、EVモデルの日本投入時期を発表……2025年に「N-ONE」ベースのEV、2026年にSUVを含む小型EV2機種を発売[詳細はこちら<click>] ★★大阪府豊中市、「電気自動車等購入支援補助金」を新設……20万円/1台を補助、令和5年4月1日(土)から令和6年2月29日(木)までの初年度登録車両(EV・FCEV・PHEV)が対象 ★★BYDグループ、プレミアムブランド「ヤンワン」のEVモデルを発表……大型SUVの「U8」やスーパースポーツの「U9」、そのほかハイエンドブランド「デンツァ」のニューモデル「D9」なども [詳細はこちら<click>] ★ホンダ、EVスクーター「EM1 e:」を2023年中に日本で発売……着脱式バッテリー「ホンダ・モバイル・パワー・パック e:」を搭載 ★BYD、三重交通にEVバスを納車……小型の「J6」を2台、伊勢市から受託しているコミュニティバス「おかげバス」にて運行 ★GMとサムスン、アメリカにバッテリーセル工場を建設……30億ドル以上を投資し、2026年に操業開始予定 ★ヒョンデ、SKオンとバッテリーセル生産の合弁会社を設立……米国ジョージア州に工場を建設予定 ★BMW、「i5」のテストの進捗を公開……サスペンションコントロールと運転支援システムの開発が最終段階[詳細はこちら<click>] ★BYD、商業施設「ららぽーとEXPOCITY」<大阪府吹田市>に出店……4月26日(水)にプレオープン、「ATTO 3」を常設展示 ★EV充電トータルサービスのエネリバー、遠隔制御可能なEV充電サービスを開発……国際規格「OCPP(※)」に対応、導入・設置・運用を初期費用無料でサポート (※)「オープン・チャージ・ポイント・プロトコル」の略、欧米で一般的なEV充電器・管理システムのアプリケーション ★バッテリー開発のノースボルト、トラック大手のスカニアとバッテリーセルを共同開発……150万km分の寿命を実証 ★LGエナジーソリューション、2023年第一四半期の連結収益が8.747兆ウォン(約8,710億円)……四半期の記録で過去最高、北米でのEV需要増が影響 ★EVトラックのニコラ、カナダ・アルバータ州の自動車輸送協会からEVトラックを受注……トラクターヘッド「トレ」のBEVとFCEVモデルをともに受注 ★BYD、欧州に新規モデルを導入……セダンの「シール」とコンパクトハッチの「ドルフィン」を発売 ★ビンファスト、米国カリフォルニア州のクリーン・ビークル・リベート・プロジェクト(CVRP)の対象に……SUVモデル「VF8」が認定、最大7,500ドルのリベートを申請可能 ★シーメンス、ノルウェーのフレイヤと提携……ノルウェーと米国に建設予定のフレイヤのバッテリーセル工場にシーメンスの生産ソリューションを導入 ★電動キックボードシェアのループ、アイ・ネスト・キャピタルから資金調達……サービス拡大による車両調達や事業開発費などに拡充 ★両備ホールディングス、「コストコ群馬明和倉庫店」<群馬県明和町>に期間限定出店……自社製の小型EVトライク「ソレックス RT-01」を展示・販売(5月7日(日)まで) ★電動船が大阪で就航……EV販売株式会社が船舶検査に合格、ドイツ・トルキード製の電動システムを搭載した観光旅客船(全長21.38m)

TAG: #THE視点 #クボタ #バッテリー
TEXT:栁 蒼太
使用後EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始

能勢町、豊能町、株式会社能勢・豊能まちづくり、株式会社 E-konzal(イー・コンザル)、EC SENSING株式会社、住友三井オートサービス株式会社(以下「SMAS」)は、2023年4月より、リユース EVを活用した運用実証を開始する。 適材適所な再リース・再々リース 世界中で脱炭素化や循環型社会実現への期待が高まる中で、限りある資源を有効活用する「サーキュ ラーエコノミー」の考え方が注目されている。それらの課題を解決しうる施策の一つとして「1台のEVを長く使い続けるコンセプト」が掲げられている。 再リース・再々リースの対象となるリユースEV車両について、公用車としての活用可能性を共同して検証する。 リユースEVは新車時と比較してバッテリー性能は低減するが、用途や条件によっては十分に車両電源として再び利用できる。EVの二次利用・三次利用の可能性を見極めることで、EV利用の選択肢を広げ、脱炭素化と循環型社会の実現に貢献することを目的としている。 EVを基軸に6者がコラボ 地域における脱炭素化に向けた対応が急務となる中、地方自治体でもEV導入の事例が増加している。地方自治体では、公用車の走行範囲が限定的となる利用実態をふまえて、今般リユースEVの活用可能性を検証すべく、共同して本実証に取り組む。 それぞれ、地域の脱炭素化ならびに循環型社会の実現に向けた取り組みを推進することで、地域社会の持続的発展に資することを目指している。EVを基軸にした6者のコラボレーションによって、全国に展開できる可能性の高い取り組みができるのではないだろうか。   (1)実証期間 2023年4月より2024年3月までの1年間 ※豊能町は、7 月より運用実証に参加予定 (2)実証内容 1.テーマ 地方自治体における脱炭素化ならびに循環型社会実現に向けた具体的施策としてのリユース EV導入の有効性検証および使用・要件の確立 2.検証項目 ・リユースEVに関する品質・性能面、心理面での課題検証 ・ガソリン車・新車EV等との経済性に関する比較検証 ・リユースEVのメインテナンスに関するトレーサビリティ ・EVバッテリーの劣化状態などに関するトレーサビリティ (3)主な役割 ・能勢町・豊能町 :公用車としてのリユースEVの使用実証および各種運用データの提供 ・能勢・豊能まちづくり:リユースEV充放電データの収集・提供 ・株式会社 E-konzal :実証実験の効果検証、取りまとめ ・EC SENSING 株式会社 :リユースEVのバッテリー劣化診断 ・SMAS:リユースEVの提供、仕様・保守要件および利用価値最大化に関する考察  

TAG: #SDGs #リユースEV
TEXT:烏山 大輔
北洲、HEV駆動用バッテリーをリユースした太陽光発電蓄電池システムE-Pillar(イーピラー)を開発 

宮城県の住宅メーカー・建設資材販売の北洲(ほくしゅう)は、太陽光発電蓄電池システムE-Pillarを開発したと発表した。このシステムは、東北大学の田路和幸名誉教授が考案したもので、HEV(ハイブリッド車)に搭載されていた中古の車載リチウムイオン・バッテリーを再利用することで実現している。環境負荷の低減に資する設備などの開発費用を補助する宮城県の補助事業に採択されている。 世界各国が気候変動対策としてEVの普及を加速させている中、車載用リチウムイオン・バッテリーの将来的な大量廃棄が懸念されている。そこで、北洲は家づくりを通して脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進め、このようなリユースやリサイクルによる取り組みを行うことで、CO₂排出削減に貢献できると考え、開発に着手した。 今後は、事業化に向けた準備を進め、提携先企業を探していく予定だ。この取り組みが実現すれば、車載用リチウムイオン・バッテリーのリユースの受け皿としてだけでなく、住宅において自家発電・自家消費の仕組みを築くことで、CO₂排出削減に寄与することが期待される。 E-Pillar(イーピラー)の概要 【主に4つの使い方を想定】 1. 太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介してEVに給電(H2V) 2. EVに蓄えられた電力をE-Pillarを介して家電に放電して活用(V2H) 3. 平時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarに蓄電することも可能 4. 非常時には太陽光発電で発電した電力をE-Pillarを介することで安定的に住宅内へ供給

TAG: #V2H #バッテリー #蓄電池

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