曽宮 岳大 記事一覧

TEXT:曽宮 岳大
トヨタ、本気かも!? ランクルのEVや次世代スポーツなど、モビリティショー出展車をまとめて紹介

ジャパンモビリティショーへと名実ともに生まれ変わった日本最大規模の自動車見本市が、10月25日(水)のプレスデイで幕を開けた。プレスコンファレンスをトップバッターで実施したのは、トヨタ自動車。さっそくその発表内容をご報告しよう。 クルマ屋らしいEVをつくる プレスコンファレンスで佐藤恒治社長は、「クルマ屋らしいEVをつくる」と改めて強調し、その強みを、「コンポーネントの小型軽量化を実現し、それを最適なパッケージングにつなげていくこと」と表現した。なるほど、トヨタはこれまでにラダーフレームフレームやモノコックフレーム、FF、FR、MR、4WDと様々なモデルを世に送り出してきただけに、パワートレインやその他パーツの搭載位置の違いにより、車内の広さや走りがどのように変化するかを熟知している。そうした経験をBEVの開発にも活かしていくということだろう。 さらに佐藤社長は、「これからのEVは拡張性高く、ユーザー一人ひとりのニーズに寄り添う形で進化していく」と述べた。これからのクルマは、場面や用途に応じて形を変えたり、ソフトウェアのアップデイトにより、購入後もユーザーの使用環境に沿った進化を遂げたりするようだ。 さて、そうしたビジョンが具体的なカタチとして落とし込まれたコンセプトカーたちを順に見ていこう。 ランドクルーザー Se(エスイー) ランドクルーザーのBEV版ともいうべきモデルが、モビリティショーで初披露された。それが「ランドクルーザー Se」だ。従来のランクルと異なり、車体骨格にはモノコックボディを採用。低重心かつモーターならではの巨大なトルクを強みに、新しいオフローダーの姿を提案するモデルとなっている。 厚みのあるフロントフェイスにはランクルらしさが見て取れるが、一方で全体的に先進性に溢れるデザインに仕上げられている。例えば、地上高を十分に確保しながらもフロントガラスの傾斜が強く、全高は低めに設計されており、スポーティさを感じさせるプロポーションに仕上げられている。 ボディサイズは全長5,150mm×全幅1,990mm×全高1,705mmで、全高以外はランクル300を凌ぐ大きさ。その広さを活かし、室内は3列シートを備えた7人乗りとなっている。世界中で人気が高く、バリエーションが拡大しているランドクルーザーシリーズだが、将来的にはEV版も加わることになるのは間違いなさそうだ。 >>>次ページ ピックアップやSUVのEVがお披露目

TAG: #ジャパンモビリティショー #新型車
TEXT:曽宮 岳大
日本の電気自動車界を牽引してきた日産・リーフは、最新のライバルの前では分が悪い!?[TET消費者派チェック]

日本で電気自動車と言ったらこの日産「リーフ」を外す訳にはいかない。伝統あるこのクルマは最新の海外ライバル、ヒョンデ「アイオニック5」とテスラ「モデルY」に対してどんな得手・不得手があるのだろうか。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。アイオニック5の回はこちら。モデルYの回はこちら。 乗る前に考えたこと EVに求めるものというのは人それぞれで、先進的なデザインやパッケージングを求める人もいれば、親しみのある従来のエンジン車に近いカタチを求める人もいると思う。リーフは後者の最右翼で、目を見張るような新しさはないが、反対に、長く親しんできたモノに宿る安心感のようなものがある。この安心感、親しみ、ホッとする感じ。これはひとつの大きな魅力として挙げられるだろう。なんでも尖っていればいいというわけではないと思うのだ。 電費 あくまでも今回我々が設定した区間での計測という前提だが、事前の予想では車重が一番軽いこと(モデルYとは320kg差、アイオニック5とは420kg差)かつ、全高と全幅も一番小さいこと(=前面投影面積が小さい)、2輪駆動のFWDであることから、電費はリーフが圧倒的な大差をつけるかと予想していた。 ※電費比較表:単位はkm/kWh、1kWhでどれほど走行できるか。数字が大きいほど電費が良い。 しかし結果は80km/h巡航が3位、100km/h巡航は2位だった。Cd値(空気抵抗係数)は2番目であることも考えあわせると、ともに2022年登場のライバルとはやはり基本設計の差が出たのだと考えられる。実際に交流電力消費率はリーフが一番大きい(=電費が悪い)ので、不利だった面は否めない。3代目リーフに期待したい。 Cd値:リーフ 0.28、アイオニック5 0.32、モデルY 0.23 交流電力消費率:リーフ 161、アイオニック5 142.4、モデルY 150(単位はWh/km、1km走るのにどれだけ電力を消費するか)   パッケージング 全高とホイールベースが最小のリーフには分が悪かった。前席ヘッドクリアランスは5cmを確保できたが、後席は天井に頭がつっかえてしまった。後席膝前は19cmと足を組めるほどの余裕はある。 全長が一番短いこともあり荷室も一番小さかった。そして土手(荷室とバンパーの高さの差)が22cmもあるので、荷物の積み降ろしも一番しづらいが、あくまでも今回のライバルと比較したからの結果だ。容量自体は435Lを確保している。なおフランク(ボンネット下の荷室)は用意されていない。 運転してわかったこと 乗る前に感じた印象は、運転した感想と重なる。新世代感の漂う他2台は、乗ると確かにワクワクする。リーフにはそのワクワク感は薄いが、乗り込んだ途端、そして走らせても、“いつも通りの雰囲気”というか、家に戻ってきた時のようなホッとする安心感がある。この安心感は嫌いじゃない。いつも自分の側にあって、道具のように当たり前に使える感覚。そのうえ進化を重ねた機械としての信頼感もある。例えば毎日の移動や、仕事の足として使うような用途には向いていると思う。

TAG: #リーフ #日産 #消費者派チェック
TEXT:曽宮 岳大
アイオニック5オーナー、ななみんさんにスマートハウスのコスパについて教えてもらった

ご自宅をスマートハウス化し、ヒョンデ アイオニック5を“動く蓄電池”として愛用されているななみんさん。前編では、そのお家を見せてもらったが、実際に住まわれて、どのようなメリットを感じ、コスパについてはどうなのかなど、気になる質問をぶつけてみた。ご本人いわく、「これで電力会社に依存することなく、安心して快適に過ごせる」と満足そう。詳しくうかがってみた。   電力フローの可視化により、楽しく節電 約10kW(システム容量9.5kW)の大容量な太陽光パネルを設置されたということですけど、具体的にはどれぐらい発電でき、電気代はどの程度セーブできたのでしょうか? 「季節によりますが、我が家の1ヶ月の電力消費量は600〜1,200kWh以上です。スマートハウス化してからは買電量が200kWh以下まで下がりました!特に今年の7月は猛暑にも関わらず買電電力量を100kWh未満に抑えられて感動しました。電気自動車の電力も太陽光で賄っているため、クルマの維持費がガソリン車と比較してかなり抑えられていますし、売電収入も入っています」 「買電に関して補足すると、東京電力は消費電力量に応じて第1段階、第2段階、第3段階と単価が上がっていくんです。スマートハウス化する前は、我が家は常に300kWh以上の第3段階の単価だったのですが、それが第2段階、あるいは第1段階まで下げられると、ポイ活のようにわくわく楽しくなりました」 世間一般的には電気代が上昇していますが、そういうニュースを見ても心が揺れなくなりましたか? 「以前は、今月の電気代はいくらだろう、もしかしたら10万円超えてしまうか、などと話をしていたんですけど、最近は落ち着いてニュースを見られるようになりました(笑)。やはり自給自足って大事だね、と。今後もし水道料金が高騰することになったとしたら井戸を掘ろうかとか。そんな冗談のような会話をしています(笑)」   電力会社に頼らない生活ですね。 「そうですね、天候に左右されるので、完全なオフグリッドまでは難しいとしても、なんちゃってオフグリッドというか、電力の自給自足をできる範囲の中で楽しく続けることが目標ですかね」   設備投資にも相当な費用がかかっていると想像しますが、どれぐらいの期間で元が取れそうでしょうか? 「太陽光パネル導入にかかる費用一式で、一般的に1kWあたり20万円以下だったら妥当な価格と考えて良いと思います。我が家の場合は太陽光パネルは足場の設置など含めた施工費やパワーコンディショナーなど含め、トータルで210万円ぐらい。V2Hは施工費含め160万円ぐらいでした。ただ、V2Hは工事費込みで半分ぐらい補助金が出ています。電気料金の減額分と売電収入などを計算すると約10年で元が取れ、それ以降はボーナスタイムです。なお、EVでなくてもクルマを購入すると費用が発生しますので、ここにクルマの費用は含んでいません」 費用面以外に、何かスマートハウスのメリットを感じていますか? 「災害があった場合の安心感も大きいと感じています。もし停電があったとしても、アイオニック5に蓄電しておけば数日は暮らせるだけの電力量がありますし、太陽が出てくれば昼間は勝手に発電してくれるので、スマホも家電も問題なく使えるでしょう。仮に停電しても電力が使えるという安心感は大きいですね。我が家はアクアリウムをやっていますし、年老いた猫さんも居て、電力が使えないと困るので。これはコスパでは測りきれないメリットだと思います」 「あとは私自身がガジェット好きなので、こうしてスマートフォンなどで、太陽光パネルの発電量や、消費電力量がリアルタイムで見られることにも魅力を感じています。例えば、コーヒーメーカーや電子レンジを動かすと、消費電力量が増えるのが瞬時に分かったり、電力のフローが可視化されるので、太陽の出ているうちに洗濯をしようとか、節電も楽しくできるんですよ」 >>>次ページ “自家消費率”を上げて賢くおトクに

TAG: #アイオニック5 #オーナーインタビュー #ヒョンデ
TEXT:曽宮 岳大
アイオニック5オーナー、ななみんさんにスマートハウス化されたご自宅を見せてもらった

ご自宅のスマートハウス化に向け、「蓄電池を買うよりコスパが良い」ということでEVに興味を持つようになり、ヒョンデ アイオニック5を“動く蓄電池”として、そして移動手段としても愛用されているななみんさん。前編に続き、今回は立派なご自宅を見せていただいたので、ご紹介したい。 リフォームと併せて約10kWの太陽光パネルを設置 大きな戸建てのご自宅には、リフォームの際に家庭用としては大容量の10kWの太陽光パネルが装着されている。そこで発電した電力は、家庭の使用環境に合うようにパワーコンディショナーにより直流から交流に変換され、屋内の分電盤に送電される。また屋外のV2Hにも接続されており、クルマへの充電やクルマから自宅への放電が可能となっている。   ななみんさんは、そもそもなぜスマートハウス化をやってみようと思ったのですか? 「以前は都内の戸建てに住んでいたんです。私は元々ガジェットや家電好きで、おうちハック(自宅時間を効率的に過ごすためのノウハウ)を色々と試してみたのですが、賃貸物件だったので、例えば節電をしようとしても、できることに限界を感じていたんです。そこでリモートワークが可能になったのを機に、郊外の大きめのおうちに引っ越し、太陽光パネルを導入してスマートハウス化を実現しよう!という流れになりました」 スマートハウス化にあたり、必要となる様々な設備の仕様やスペックはどのように決めたのですか? 「重量鉄骨の一戸建てを購入し、住む前に家をリフォームしたので、その際にハウスメーカーさんと相談しながら決めていきました。担当の方から“この屋根の面積と強度があれば家庭用の最大容量である10kWの太陽光パネルを載せられますよ”とお聞きしたので、エクソルの太陽光パネルを約10kW分載せることにしました。施工にあたっては、屋根の塗り替えをするために足場を組むので、それをそのまま活用して太陽光パネルの設置工事をしてもらいました」   パワーコンディショナーはどのように決めたのですか? 「パワーコンディショナーはいくつか候補がありましたので、その中から保証期間の長いものを選択しました。というのも、パワーコンディショナーは常時作動するもので、故障の可能性があると聞いていましたので、保証期間が15年のオムロンの製品を選びました。4kWと5.5kWの2台のパワーコンディショナーを設置し、システム容量は9.5kWとなります」   「あとはHEMS(ヘムス=ホームエネルギーマネジメントシステム)という、電力の使用状況を見える化する機器を導入しました。そこまではハウスメーカーさんの取り扱い機種の中から選択し、リフォームの中で対応しました」 >>>次ページ V2HはニチコンのEVステーションをチョイス

TAG: #アイオニック5 #オーナーインタビュー #スマートハウス
TEXT:曽宮 岳大
「私は家電感覚でこのクルマを選びました」アイオニック5オーナー、“ななみん”さんに聞くEV活用法

そのクルマの魅力や楽しみ方をオーナーさんに語ってもらうオーナインタビュー企画。今回ご登場いただくのは、「ヒョンデ アイオニック5」を所有されている“ななみん”さん。聞けば彼女は、自宅の“スマートハウス化”という壮大なプランを計画し、その一環として電気自動車(EV)を導入したのだという。詳しくお話をうかがうべく、彼女のご自宅におうかがいした。   「蓄電池を買うよりEVの方がおトク」ということで購入 “ななみん”さんが自動車免許を取得されたのは、30代を過ぎてから。お仕事が忙しかったのもあるが、それほどクルマ好きというわけではなかったことも、免許取得が遅れた理由だった。そんな彼女がアイオニック5を“愛機”として迎えるに至ったのは、スマートハウスの実現に向け、色々調べていくなかで、「蓄電池を買うより、EVを買う方がおトク」という結論に行き着いたから。EV導入の際に重視したことは、性能云々より、蓄電池としてのコスパだったのだ。そのあたりの経緯をうかがった。 「もともと都内に住んでいたんですけど、コロナ禍を機に勤めている会社がリモートワークを継続する方針を発表したので、それで都内より広い家に住めるよう千葉の郊外に引っ越したんです。その際、戸建てを購入するなら、スマートハウス化をやりたいなという思いがありました。太陽光パネルや家庭用蓄電池のことを色々調べていったところ、求めるバッテリー容量の蓄電池が高額で、電気自動車以上の価格だったんです。だったら電気自動車を買ってそれを“動く蓄電池”としても使おう、その方が一石二鳥だということになって、それで電気自動車の購入を検討し始めました」 EVの中でもアイオニック5を選んだ理由は? 「EVを導入しようとしたのは去年(2022年)。その時点で販売されている電気自動車を色々調べました。蓄電池として使うからにはバッテリー容量が大きい方が良いんですけど、バッテリー容量が上がるにつれて車両価格が高くなってしまう。十分なバッテリー容量があり、その中で価格とのバランスが良かったのがアイオニック5でした」 他に検討したクルマはどのあたりですか? 「日産リーフとアリアを検討しましたね。アリアだと90kWh仕様という選択肢もあったのですが、900万円近くなってしまい、蓄電池用途ではコスパがあまりよくないと考えました。リーフの方は実は購入直前まで行ったんですけど、納期の問題からパスさせていただくことに。あとこれは後で運用してみて分かりましたが、我が家の屋根に積んだ約10kWの太陽光パネルに対し、バッテリー容量が40〜60kWhクラスだとちょっと心許ないんです。結果的に、バッテリー容量とコスパと納期がアイオニック5を選んだ大きな決め手ではありましたけど、72.6kWhのバッテリー容量があるアイオニック5にして正解だったなと思っています」 >>>次ページ 車中泊しても快適です

TAG: #アイオニック5 #オーナーインタビュー #ヒョンデ
TEXT:曽宮 岳大
世界最上級クラスのEV!? メルセデス、普通では飽き足らないセレブに向けた「メルセデス-マイバッハEQS SUV」を披露

メルセデス・ベンツの米国法人は、メルセデス-マイバッハ初のEVである「メルセデス-マイバッハEQS SUV」に、専用の内外装を施したデザインパッケージ「ナイトシリーズ」を設定し、2023年後半に発売すると発表した。典型的なラグジュアリーデザインとは一線を画す、ナイトパッケージの世界観に迫る。 高級でありながら随所に滲み出るダークな雰囲気 メルセデスの高級ブランドとして君臨するメルセデス-マイバッハ。現在はメルセデスの上級モデルをベースに、内外装をより豪華に設えたモデルを展開。現在のところ国内では、「Sクラス セダン ロング」と「GLS」の2モデルが展開されている。 ベースモデルを厳選しつつラインナップを拡大してきているメルセデス-マイバッハが、ブランド初の電気自動車として2023年4月に発表したのが「メルセデス-マイバッハEQS SUV」だ。メルセデス・ベンツ・ブランドで展開されるEQSのラインナップが「EQS 450+ SUV」、「EQS 450 4MATIC SUV」、「EQS 580 4MATIC SUV」の3グレード構成なのに対し、マイバッハ版は「EQS 680 SUV」を名乗り、最上級モデルのEQS 580 4MATIC SUVより114ps(84kW)/90Nm増となる最高出力658ps(484kW)、最大トルク950Nmという堂々たるスペックアップを果たし、インパクトを与えた。 もちろんメルセデス-マイバッハEQS 680 SUVは、パワートレインに加えて、内外装も豪華にグレードアップされている。カスタマイズの方向性は典型的なラグジュアリー路線だ。それに対し、このたび北米で発表された「ナイトシリーズ」は、豪華ではあるものの、ややダークな雰囲気を漂わせ、遊び(夜遊び?)を忘れないオトナに向けたプレミアムラインといった趣が特徴となる。 「Sクラスセダン」「GLS」そして「EQS SUV」の3モデルに設定されるナイトシリーズには、共通したいくつかの特徴がある。例えばホイールには光沢を抑えたダーククロームが使用され、ブランドロゴを模様としてデザインしたマイバッハ・パターンがあしらわれる。 またインテリアは上質ながら色味を抑えたトーンとされ、随所にヘリンボーン柄のアクセントが散りばめられていたり、室内の雰囲気に見合ったアンビエント照明が取り入れられていたりする。またMBUXのスタートアップ画面もナイトシリーズ専用のアニメーションとなる。 >>>次ページ 贅を極めたインテリア

TAG: #BEV #メルセデスマイバッハ #発売前モデル
TEXT:曽宮 岳大
神奈川県、法人向けに令和5年度「事業用EV導入費補助金」を開始。EVのバス・トラック・軽トラック・タクシーが対象

神奈川県は、県内でバス事業、トラック事業、タクシー事業を行なっている法人・個人事業主を対象に、事業用EV導入のための経費の一部を補助する補助金制度を開始した。 最大で導入経費の1/3まで補助 神奈川県は、人流や物流のゼロカーボン化を促進するため、CO2削減効果が大きい事業用EV(EVバス、EVトラック、EV軽トラック、EVタクシー)の導入を促す「神奈川県事業用EV導入費補助金」を展開中だ。 この制度は、神奈川県内でバス事業、トラック事業、タクシー事業を行なっている法人・個人事業主を対象に、EV導入のための経費の一部を、車両により1/3を上限に補助するもの。申請には条件が設定されているので、内容を詳しくみていこう。 まず補助率は、車両により異なり、EVバスとEVタクシーは1/3、EVトラックは1/4、EV軽トラックは定額となっており、いずれも上限額が設定されている。詳しくは下記の一覧表を参照されたい。 また申請可能な台数の上限は、EVトラックは1申請あたり原則5台まで、EV軽トラックは10台までと定められている。 対象は、事業用バス事業、トラック事業、タクシー事業のいずれかを営む事業者が導入するEV(新車)で、いわゆる緑ナンバー、黒ナンバーのみ。個人が購入する自家用EVは対象とはならない。車検証上、自家用・事業用の項目が「事業用」、燃料の種類は「電気」と記載される4輪以上の車両となる。 ローンやリースによる導入も対象に含まれる。なおリースで導入する場合は、補助金の申請はリース事業者が行う。 >>>次ページ EVバス、EVタクシーはEVとわかるラッピングが必要

TAG: #EVバス #神奈川県 #補助金
TEXT:曽宮 岳大
大人7人が乗れる電動プレミアムSUV「メルセデス・ベンツEQS SUV」が発売

メルセデス・ベンツ日本は5月29日、電気自動車専門ブランド「EQ」シリーズ6番目のモデルとなるラージサイズSUV「EQS SUV」を発表、同日販売を開始した。世界初となるEQ専売拠点として2022年12月にオープンした「EQ横浜」(神奈川県・東神奈川)にて開催された、発表会の模様を報告する。 長距離移動をこなす最大593kmの航続距離 「EQS SUV」は、EQシリーズの最上級にあたるEQSシリーズのSUVモデルだ。ボディサイズは全長5,130mm×全幅2,035mm×全高1,725mm(EQS 450 4MATIC SUV)と、同クラスにあたる内燃機関モデルの「GLS」(同5,210mm×1,955mm×1,825mm)に並ぶサイズ感となる。 実車を目の前にすると、EQS SUVはかなり大柄に見える。ただドヤ顔ではないため、見る者を圧倒するような威圧感はなく、むしろリッチなクルマ感が際立って見えた。登壇したメルセデス・ベンツ日本 上野金太郎 代表取締役社長 兼 CEOは、「大人7人が快適に過ごせる広い室内空間や多くの荷物を載せられる積載性など、SUVとしての魅力に磨きをかけた」と述べる。 このやや丸みを帯びたプレーンなデザインは空力の向上にも寄与しており、EQS SUVは背高ボディにもかかわらず、空気抵抗の目安となるCD値は0.26と優れた値を達成。ヘッドライトと一体化したブラックパネル・フロントグリルがEQシリーズの一員であることを伝える。 ホイールベースは、既にデビュー済みのEQSセダンと同等の3,210mmに達する。EQS SUVは、EQシリーズ専用に開発されたプラットフォームを採用しており、広い床下に敷き詰められた107.8kWhの大容量リチウムイオン・バッテリーにより、1充電あたりの航続距離は最大でEQS 450 4MATIC SUVが593km、EQS 580 4MATIC SUVスポーツは589kmを達成している。 インテリアは、メインや助手席のディスプレイに有機ELを採用したデジタル感の溢れたコクピットに仕上げられている。EQSセダンに対して約5cm引き上げられた全高と、3列7人乗りのパッケージングにより、車内はセダンよりも広々しており、積載性にも優れている。 シートはダイヤモンドステッチをあしらったナッパレザーを採用。またオプションのショーファーパッケージを搭載すると、MBUXリアエンターテインメントシステムやリアタブレットが装備され、2列目シートの快適性がアップする。加えて、1列目、2列目に加え、3列目シートにまでシートヒーターを採用しており、最上級セグメントらしい高級感ある室内空間が追求されている。 ラゲッジルーム容量は、3列目シート使用時で195Lを確保。3列目シート格納時にはゴルフバッグが4つ積載可能とのこと。さらに2列目シートも格納すると2,020Lの広大なスペースが出現し、大型の荷物も積載可能だ。 >>>次ページ オフロード走行支援機能が充実

TAG: #BEV #EQ #新型車
TEXT:曽宮 岳大
BMWジャパン、5シリーズの電気自動車「i5」の受注を開始。初回限定車を販売、年内に納車開始

ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は5月25日、新型5シリーズの電気自動車版となる「i5」の初回限定車「BMW i5 eDrive40 THE FIRST EDITION(アイファイブ・イードライブヨンマル・ファーストエディション)」の予約受付けを、BMWオンラインストアを通じて開始した。車両価格は1,098万円(消費税込み)で、納車開始は2023年第4四半期を予定する。  EV化した“ビジネスマンズ・エクスプレス” BMWのアッパーミドルクラスとして50年以上の歴史をもつ「5シリーズ」に、いよいよ電気自動車(BEV)が設定される。BMWジャパンの電動モデル「i」シリーズのラインナップには、SUVやクーペの「i4」などの設定はあったものの、昨年7月の「i7」に続き、このたびの「i5」と、伝統的にBMWの中核をなしてきたプレミアムセダンも、いよいよ電動化を遂げる時が来たというわけだ。 5シリーズは、目的地まで早く、最小限の疲労でたどり着ける瞬足&快適ツアラーであることから “ビジネスマンズ・エクスプレス”などと呼ばれてきた。当然EVの「i5」にも同様の特性が求められているはずで、航続距離のみならず、プレミアム・スポーツセダンに相応しい動力性能やハンドリング、快適性が備わっていることが期待される。 初回限定モデルの「i5 eDrive40 THE FIRST EDITION」は、内燃機関搭載のハイブリッドモデル「523i THE FIRST EDITION」と同時にデビューしており、これは内燃機関モデルと並行してEVの開発が進められた証左である。そうした意味でも、新型は8世代目に渡り進化してきた5シリーズ史上、もっともエポックメイキングな1台といえるだろう。 さて新型5シリーズの概要は既報の通りで、ここではローンチエディションについて紹介しよう。i5 eDrive40 THE FIRST EDITIONは、i5 eDrive40 M Sportをベースに、特別装備が与えられた100台限定モデルとなる。 >>>次ページ 充実装備で、早期納車が実現するファーストエディション

TAG: #BEV #i5 #新型車
TEXT:曽宮 岳大
新生ランチア発動。新型EVコンセプト「ピューラHPE」を世界初披露

ランチアは4月15日、新しいコンセプトカー「Pu+Ra HPE(ピューラHPE)」を初披露した。いくつかのティザー(登場予告)を経て公開された同モデルは、ランチアが今後進む方向性を示したデザインスタディだ。ランチアでは、エクステリアデザイン、くつろげるインテリア、持続可能性、電動化、快適技術の5つをブランドの重要なキーワードとして掲げ、今後登場する市販モデルも、これらの要素を踏まえたモデルになりそうだ。さっそくピューラHPEの中身を見ていこう。 ヘリテージと前衛的デザインの融合 全体のプロポーションは、未来的な流線型フォルムを取り入れており、かなり攻めたデザインといえる。直線的なラインと曲面を組み合わせ、随所に歴代モデルに通ずるディテールを取り入れたものとなっている。ちなみに車名の「HPE」とは、1970年代に「ランチア・ベータ」で初めて使われたネーミングで、“ハイパフォーマンス・エステート”の頭文字をとったもの。ルーフエンドをドライバー頭上よりはるかに後方に位置させたフォルムは、なるほどエステート風だが、ルーフをリアエンドまで延長せず、リアエンドに向けてなだらかな傾斜を持たせることで、クーペ調のデザイン要素も併せ持つ。捻りを加え、他のどのモデルにも似ていない個性を放つところはランチアらしさを感じさせる。 ディテールには随所に歴代モデルのモチーフを見ることができる。フロント中央から3方向へと広がるYの字ラインも、歴代モデルと見比べてみると、ヘリテージを受け継いだものであることがわかる。またこのデザイン要素は2022年に発表されたデザインコンセプト「Pu+Raゼロ」でも提案されていた。 また左右のリアコンビネーションランプの間にLANCIAの文字を配したそのデザインは、「ストラトス」を彷彿とさせるもの。リアウインドウは「ランチア ベータHPE」を思い起こさせる形状とした。なお、ランチアのロゴやバッジも新デザインに変更されている。 インテリアは、イタリアの高級家具メーカー、カッシーナとのコラボレーションにより仕上げられたもの。フロントシートは、ヴィコ・マジストレッティの手になるカッシーナの高級ソファ「マラルンガ」に着想を得ている。リビングのソファのようにお尻を優しく包み込む形状で、上質な素材や明るい色彩もイタリアらしい仕上がりだ。 ちなみにピューラHPEはリアにも独立した2座を備え、ナイトテーブルのようなスタイリッシュなテーブルを備えている。このほかオーディオや空調、照明などを集中管理し、ボタンやボイスコマンドで操作できる機能など最新技術も取り入れている。

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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