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ルノー・日産・三菱アライアンス、資本提携関係を見直し 日産、ルノーのEV子会社への出資を決定


TEXT:岩尾 信哉
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変化するルノー・グループと日産の関係

ルノー・グループ、日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社は2023年2月6日、英国ロンドンで会見を行い、ルノー・グループと日産の取締役会での承認を経て、3社のアライアンスをより高いレベルに引き上げることを目指す旨を発表した。

会見の内容として重要なのは、ルノー・グループと日産の資本比率がそれぞれ43%、15%から、どちらも15%に変更されたことだ。日産としては1999年のルノーとの資本提携から20年以上を経て、ようやく「不平等条約」の解消にこぎ着けたことになる。なかでも注目すべきは、ルノー・グループと日産が将来のEV開発に向けて、新たな取り組みを共同で実施するとしている。

世界市場での電動化モデル販売の拡大

今回のアライアンスの発表として、以下のような概要が明らかにされた。注力すべきマーケットとして、ラテンアメリカ、インドおよび欧州において、事業の拡大などのアライアンス強化を推進するとしている。

ラテンアメリカでは、ルノー・日産の協業によるアルゼンチンやメキシコでの新型車の投入を含むピックアップモデルの販売強化などを公表。メキシコでは、日産が20年ぶりにルノー・グループ向けに新型車を生産するとしている。EVに関しては、EV専用のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)-AEVプラットフォームをベースとした、日産とルノー・グループの「手頃な」AセグメントのEVを2車種投入するとされる。

市場拡大が見込まれるインドでは、ルノー・グループと日産は、複数の新型車プロジェクトでの協業を検討しつつ、中南米地域と同様にAセグメントEVの導入を検討するという。

ルノー日産による次期B/CセグメントのEV開発

ルノー・グループの主要市場であるヨーロッパについて見てみると、詳細は未公表ながら、将来への取り組みの検討が公表されている。

2026年以降のEVのラインナップに関しては、ルノー・グループと日産は、次世代CセグメントEVにおける協業の可能性を模索するとされる。将来的に技術水準となるような充電時間を達成するために、ルノーと日産は共通の800Vアーキテクチャーの採用を検討するなど、欧州市場向けモデルにおける技術の共有を継続するとした。

具体的には、2026年からルノーのEV生産子会社であるフランスの「ルノー・エレクトリシティ」で生産を予定。従来のCMF-BEVプラットフォームをベースとした将来の日産のコンパクトEV (Bセグメント) など、既存のプロジェクトとともに開発等を推進していくという。

いっぽう、ルノー・グループと三菱自動車は、ルノーの「キャプチャー」「クリオ」の資産を活用し、CMF-Bプラットフォームをベースとした次世代「ASX」「コルト」の2車種の新型車を開発予定としているが、電動化に向けた動きは明らかにされていない。

このように将来的にはアライアンス内でのEVのA/Bカテゴリーはルノー、C/Dは日産がカバーするとしており、三菱に関しては検討中となっている。

既存の長期ビジョンとしては、日産の「Nissan Ambition 2030」やルノーの「Renaulution」が謳われている。これらに基づき、アライアンス・メンバー各社の事業計画を補完するよう立案された今回のビジネスプランは、「各社の持続可能な成長や脱炭素化に向けた目標の実現に向けて、共通性や投資機会の面から活用されます」としている。

具体的には、各社の新たな取り組みに関して、異業種のパートナーが参加可能となるようなビジネス戦略を展開する。電動化や低排出技術について既存の戦略に沿って進めるとともに、ビジネスのうえで付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意したという。

前述のように、日産は2021年11月末に「Nissan Ambition 2030」を発表している。今後5年間で約2兆円を投資して電動化を加速するとして、2030年度までにEV15車種を含む23車種の新型EVを投入予定としている。日産はグローバルの「電動車」のモデルミックスを50%以上へ拡大。技術面では、次世代の高性能バッテリーとして注目される全固体電池を、2028年度に市場投入するなどとしている。

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