フレームのスペースを活用した「アドオン式EVシステム」 トレーラーの燃費/電費効率を上げる最も有効な方策か 【THE 視点】ZFは9月20日、牽引トレーラー自体を駆動する電動アクスルユニットの最新型「AxTrax 2」を発表した。電動アクスルとモジュラーバッテリーユニットをトレーラーに搭載し、牽引のサポートはもちろん回生機能による補助ブレーキとしても作動する。 牽引トラクタ自体はディーゼルエンジンで駆動されるものが主流だが、「AxTrax 2」を備えたトレーラーを連結すれば、実質的にハイブリッド車化できる。システムのスペックは最高出力210kW(286ps)/最大トルク2,651.3kgm。燃料とCO2を最大16%節約でき、オプションのプラグインバージョンでは最大40%節約できるという。 EVのトラクタにももちろん適応可能で、駆動力の増強と航続距離の延伸が期待できる。EVのトラクタとトレーラーを同時に導入すれば、電動化による輸送コストの削減も大きくなるかもしれない。導入を検討しているトレーラーメーカーも数社あるようだ。 EVトラックやEVトラクターヘッドについてはこれまで幾度も触れてきたが、牽引されるトレーラーに電動駆動装置が付くのは初めて報じる。 今回ZFが発表したこのトレーラーは、完全に独立した電動ユニットを持つ画期的なものとなる。このシステムはEVだからこそ実現できたものだろう。平たいバッテリーとコンパクトな電動アクスルをトレーラーのフレーム内に全て収めることができるので、上に積まれるコンテナや荷箱への影響がない。さらに荷箱の上にソーラーを載せるシステムを組めば発電が可能になるので、より航続距離を伸ばすことも期待できる。エンジン式で同様の補助動力装置を組もうとすると、構造がもっと難しくなるのではないだろうか。 これは新たな発想の「アドオン式EVシステム」と言えよう。輸送業界に大きな変革をもたらすシステムとなるのではないか。構造も複雑そうではないので、トレーラーメーカーが導入しやすく普及もさせやすいはずだ。 トレーラーに関連する車両の「連接バス」にも応用ができそうである。さまざまな活用方法が考えられるユニットだ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本とカナダが包括的な蓄電池サプライチェーンの構築に協力 ……西村経済産業大臣が、カナダのシャンパーニュ産業大臣らと「上流から下流までカバーする包括的な蓄電池サプライチェーンに関する協力覚書」に署名した。覚書の主な内容には「重要鉱物等の蓄電池サプライチェーンにおける緊急時の協力」などが含まれる。 ★ロータス、新型SUV「エレトレ」の展示ツアーを開催 ……9月8日の「ロータス東京・原宿ショールーム」を皮切りに「名古屋東」「大阪」「福岡」「練馬」「三重」「茨城」「所沢」の正規ディーラーで展示する。展示車両は「エレトレS」「エレトレR」のいずれかを予定。 ★ポルシェ、「タイカン4S・クロスツーリスモ」がオーストラリアを横断 ……ダーウィンからボンダイビーチまでの5,000kmを走破した。期間は19日間で、充電によるストップは27回だったという。 ★メルセデス・ベンツ、物流のフェデックスからEVバンを大型受注 ……商用EVバンの「eスプリンター」を98台受注した。イギリス/スペイン/フランス/オランダの各地域に配車するようだ。 ★テラモーターズ、長野県飯綱市/京都府南丹市と連携協定 ……両市内にEV用充電器を設置する。飯綱市では「いいづなコネクトWEST」などのレジャー施設計3ヵ所に。南丹市では市役所本庁舎などの公共施設計6ヵ所に導入する。 ★日産、「アリア」の世界ツアーカーが赤道を突破 ……探検家夫婦が、「アリア」を相棒に2023年3月に北極をスタートし南極まで向かうツアーが赤道を通過したという。南極到着予定は年内とのこと。 ★プロテニスプレイヤーのチームカーに「メルセデス・ベンツ・EQE」が活躍 ……メルセデス・ベンツと15年間のパートナーシップを結んでいるプロテニスプレイヤーのロジャー・フェデラーが契約を延長したという。チームカーとして「EQE 500 4MATIC SUV」2台を導入した。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.25]
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