最高出力748psを発生するハイパー燃料電池(FC)ユニットを提案
FCトップランナーの日本勢も見過ごせないのでは
【THE 視点】F1チームを運営するウィリアムズの子会社ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング・テクノロジーズ(WAE)は9月5日、高性能スポーツ燃料電池車(FCEV)のプラットフォーム「EVRh」を発表した。
「EVRh」は、最高出力120kWの水素燃料電池と同430kWの液冷式バッテリーを組み合わせたエネルギーシステムを採用し、車両全体の最高出力は550kW(748ps)になるという。車重1,900kg以下、0-100km/h加速は2.5秒以下で、航続距離は600kmとのこと。
駆動方式は複数のモーターを備えたAWDを採用するようだ。水素タンクとバッテリーを車両中央部に配置することで重量配分の最適化を行ない、ドイツの「ニュルブルクリンク・北コース」のラップタイムは7分20秒以下がターゲットとのこと。
実は今回発表された「EVRh」は、昨年WAEが開発・公開したEV用の革新的なプラットフォーム「EVR」に続くものとなる。同社は、革新的な技術開発を行なうとともに、カーボンフリー車両の開発を重要視している。特に「EVRh」はOEM生産に対応し、コストパフォーマンスを最適化した上でスピーディに市場に投入できるモデルとなるようだ。
「EVRh」のプラットフォームは、今年の「人とクルマのテクノロジー展」で東京アールアンドデーが発表した「FCEVスポーツコンセプト」にも似ている。スポーツカーのプラットフォームの前後に水素タンクを搭載し、二次バッテリーを積むハイブリッドFCEVという構造だ[関連記事はこちら<click>]。
スポーツFCEVは、「トヨタ・ミライ」や「ホンダ・クラリティ・フューエルセル」「BMW iX5ハイドロジェン」といった実用車とは一線を画す独自の構造を持ったカテゴリーになる。EVでもハイパーカーが登場するようになってきたが、「ハイパーFCEV」が登場するのも時間の問題だろう。走る楽しさを追求している日本のメーカーも負けてはいられないのではないか。
FCEVにも様々なカテゴリのクルマが増えれば選択肢が増え、普及拡大にもつながるだろう。実際にFCEVに乗る筆者も、こういった楽しいFCEVが出ることは歓迎である。「EVRh」ベースの「FCEVスポーツコンセプト」の実車が見れることを楽しみにしている。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.09.12]