EVヘッドライン
share:

完全低床フルフラットバスが実現へ……ZF、EVバス用の新型駆動ユニットを発表[2023.09.22]


TEXT:福田 雅敏/ABT werke
TAG:
ZF・CeTrax 2デュアル電動セントラルドライブ(photo=ZF)

3速のギアボックスを内蔵しEVバスの走行範囲を広げる小型ユニット
車内の前端から後端までをフルフラット化できる可能性

【THE 視点】ZFは、ベルギー・ブリュッセルで開催される「バスワールド」<10月7日~12日>で、バス向けの次世代電動駆動装置を含むバス関連製品を発表する。

注目となる初公開の製品は「CeTrax 2デュアル電動セントラルドライブ」。EVバスおよび長距離EVバス向けの駆動装置だ。モーターとギアボックスが一体となった装置で、最高出力は380kW(517ps)のモーターに3段変速のギアを備えている。急坂走行がよりしやすくなり、高速域での巡航速度の向上も期待できる。

また、デジタルソリューションとして、オンデマンド・モビリティ・サービス用の「SCALAR」 および 「Bus Connect」、デジタル・フリート管理ソリューション、市内バス向けの衝突被害軽減システム(CMS)を紹介予定だ。

「SCALAR」は、オンデマンドの移動サービスの管理に用いられるAIベースのソリューション。「ZF Bus Connect」は、路線バスおよび長距離バス向けの ZFのデジタル車両管理ソリューション。CMS は、バスの乗客をサポートしながら衝突を軽減・回避するシステムだという。いずれの技術もバスの電動化を見据えたものであることは間違いない。

現在、低床バスは2通りあり、乗降口が低床で後ろが階段になっている「LE(ローエントリー)タイプ」、そして乗降口やその後ろまで低床な「LF(ローフロアー)タイプ」がある。今回、ZFが提案する「CeTrax 2デュアル電動セントラル ドライブ」は、「LFタイプ」が成立する電動アクスルだと思われる。

日本で「ノンステップバス」と言われるものの多くは「LEタイプ」で、「LFタイプ」の導入は、東京都交通局など一部だ。車内後部まで低床な場合、乗客が客室後方まで立ちやすく定員を事実上多くとることができる。

ただ、エンジンを含めたパワートレインのスペースは別に用意する必要がある。都営バスが導入した「LFタイプ」のバスは、後方までフルフラットではあるものの、代わりに最後尾の座席のさらに後方にパワートレイン系を敷き詰めて配置している。その分「LEタイプ」よりも最後尾の座席が前に配置されている形となっている。パワートレインの配置を変えた分、後方のスペースが犠牲になっているのだ。

しかし、今回のZFの「CeTrax 2デュアル電動セントラルドライブ」は、バスの後端まで完全低床のEVバスが実現できると思われる。ギアボックスも内蔵しているとあり、走れる道路や距離も延伸でき、EVバスの実用性を上げることが可能になるだろう。

ちなみに筆者は、世界最大のバスの展示会「バスワールド」に過去5回ほど行っている。今年はコロナの影響で4年振りの開催となる今年のイベントも参加予定だ。このZFの展示を含めたバスワールドの模様は、別途レポートする予定。ご期待いただきたい。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★メルセデス・ベンツ、EV用プラットフォーム「MMA」を中国生産に
……「メルセデス・モジュラー・アーキテクチャ」(MMA)プラットフォームを採用したモデルを中国・北京で生産するという。生産工程の管理はエヌヴィディアの仮想工場プラットフォーム「NVIDIA Omuniverse」技術を取り入れる。「MMA」は、「IAAモビリティ」で公開したEV「コンセプトCLAクラス」に活用している。

★★アウディ、「Q4 e-tron」を本国でアップデート
……2024年モデルとして、サスペンションチューニングの変更/エネルギー効率の向上/サウンドの見直しなどを図った。航続距離は「Q4 スポーツバック45 e-tron」で562km(WLTPモード)となった。

★★ZF、トレーラーをEV化
……トレーラー(被牽引車)用の電動駆動ユニット「eトレーラー」を開発した。電動アクスルとバッテリーをトレーラーに搭載し、トラクタの牽引をアシストし回生ブレーキの使用も可能となる。

★ムサシなど、二輪EV用駆動ユニットの製造・販売合弁会社を設立
……武蔵精密工業/デルタ・エレクトロニクス/豊田通商の3社が合同で設立した。インド市場での製造・販売を目的としている。

★リマックがアメリカのワーゲングループ店で購入可能に
……EVハイパーカーメーカーのブガッティ・リマックは、フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカと独占販売契約を結んだ。アメリカ全土で「リマック・ネヴェーラ」の購入が可能になる。

★自動運転EVのチューリング、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」にコンセプトカーを出展
……完全自動運転EV実現へのマイルストーンとして製作した「チューリングマシン・アルファ」を出展するという。

★充電インフラのDUALホールディングスとWi-Fiのファイバーゲートが提携
……宿泊・医療・介護施設向けのサービスを展開している点で共通する両社が業務提携し、相互のビジネスネットワークを活用して事業発展を加速させる構え。

★ヴィテスコ・テクノロジーズ、低コストで信頼性の高いパワーモジュールを開発
……SiC(炭化ケイ素)チップ技術とオーバーモールド成形を組み合わせ、低コストで軽量、高電力密度のパワーモジュールを開発した。2025年半ばから大手自動車メーカーに納入するという。

★東洋テクニカ、EVの充電の試験設備を開設
……東京都江東区のR&Dセンターに充電のテストラボを開設し、EV充電の評価サービスも開始した。施設内で実車の評価ができ、さまざまな充電規格にも対応しているという。

★JMC、EVの製造に用いる「ギガキャスト」製品の試作に対応
……大型部品の鋳造が可能な「低圧鋳造設備」を導入した。自硬性砂型鋳造による大型鋳造部品の量産に向けて、大型試作品の供給体制を整備していく。現在、国内ではギガキャストの試作を受注可能な企業が少ないという。

★エネチェンジ、大和ハウスグループのゴルフ場にEV用充電器を導入
……ダイワロイヤルゴルフ運営のゴルフ場10施設に最高出力6kWタイプの普通充電器を導入する。

★BYD、ゲームイベントのMVPに「ドルフィン」を進呈
……ゲーム・音楽・ファッションを融合したイベント「APEX LEGENS e-elements DREAM MATCH〜王様からの招待状〜」<幕張メッセ(千葉市美浜区)/10月8日>の冠スポンサーとなり、「APEX LEGENS」プレイヤーの中から選ぶMVPに進呈するという。

★エナリス、2026年容量市場(発動指令電源)への参加企業を募集
……蓄電池やEVなどの分散電源の制御を含めたデマンドレスポンスによる電力供出への参加企業を募集している。募集締め切りは2024年1月末で、対象年度は2026年度となる。自社内へ電力を供給できるV2X設備を持つ企業などが対象。

デイリーEVヘッドライン[2023.09.22]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
日産が不況にあえいでいるのがまるで嘘のようなほど絶好調! 2024年に日本一売れたEVは3年連続で日産サクラだった
1度乗ればわかるJCWの圧倒的パフォーマンス! お台場にて「JCW RACING NIGHT presented by MINI」を5月9日に開催
全国41番目の正規ディーラーがオープン! 三重県内では四日市に続き2店舗目となる「BYD AUTO 松阪」
more
コラム
EV買い替えたらアレ? ケーブル届かないじゃん! フロントだったりリヤだったり右に左にとEVの充電口が各車バラバラなのはなぜ?
「サイバートラック乗りたいぞ」じゃあ並行輸入……とはいかない! エンジン車と違ってEVの並行輸入に存在する高いハードルとは
コスパで比較するとEVはヒョンデが圧倒! スズキやホンダの新EV登場でますます激化する日本の電気自動車市場
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択