EVヘッドライン
share:

本物のオフローダーに還った野生馬……フォード「マスタング・マッハ-E・ラリー」を発表[2023.09.13]


TEXT:福田 雅敏/ABT werke
TAG:
「マスタング・マッハ-E・ラリー」(photo=フォード)

SUVの「マスタング」を肯定し「シェルビーGT」と双璧をなせる新バージョン
趣味に振ったモデルが出るということはEVの新段階突入を意味する

【THE 視点】フォードモーターは9月7日、SUVタイプのEV「マスタング・マッハE」のラリー仕様「マスタング・マッハ-E・ラリー」を米国で発表した。

前後2モーター式AWDの「マスタング・マッハ-E GT」をベースに、最高出力358kW(487ps)・最大トルク最大トルク881Nm(89.7kgm)に性能を引き上げた。バッテリー容量は91kWhで、航続距離は400km。バッテリー容量の10~80%を、36分で急速充電できる。

足まわりは、専用のショックアブソーバーとスプリングにより車高を20mmアップ。直径385mmのフロントブレーキローターとレッド塗装のブレンボ製のキャリパーを装備。白いラリースタイルのアロイホイールを採用し、タイヤはミシュラン「クロスクライメート2」(235/55R19)を履く。フォードのこれまでのラリーカーをオマージュしたスタイルとなっている。

外観面での特徴は、車体上半身と下半身のモールディング/ユニークなフロントスプリッター/黒塗装のスチールルーフ/フォグランプ内蔵のフロントフェイシアなどを装備し、ラリーカーのテイストをふんだんに盛り込んだ。特にリアスポイラーは、「フォーカスRS」からインスパイアされたスタイルだという。

ちなみにフォードは、このモデルを開発するためにアメリカ・ミシガン州の試験場にラリーコースを新設したという。ラリークロスのベテランによる設計で、実際の公道に近い状況を再現した。「マッハ-E・ラリー」のプロトタイプを用いて800km走行してコースを作り上げたようだ。

EVにもいよいよラリーカーが出てきた。フォードはこれまで、「フォーカスRS」といったスポーツバージョンを販売してきたが、今度はそこにEVが加わった。

本気のラリーEVを設定するとは、フォードのEVが開発黎明期を過ぎ、普及期に入ったことを表すのではないだろうか。エコや実用ではなく、思い切り趣味、さらに言えばオンロードではなくダートに振ったスポーツモデルを設定することは、余裕がなければできないはずである。

いずれにしろEVでモータースポーツへの参戦ができる事を示しており、EVも新たな段階に入ったことを意味する。こういったとんがったEVは、スポーツカー好きなら一度は乗ってみたくなるのではないか。「マッハ-E・ラリー」ははっきり言って、一台のクルマとしてかなり魅力的だ。

「マスタング」には、オンロードのマッスルカーのイメージを強く抱く人も多いと思う。しかしEVの「マスタング・マッハ-E」は、新世代の「マスタング」が再現し昇華した伝統のマッスルスタイルを覆すような格好となってしまい、その名を冠することに疑問を抱く往年のファンもいたのではないだろうか。

しかし「マッハ-E・ラリー」が出たことで、そのSUVスタイルが肯定されたように思う。それも中途半端な“ガワ”だけのスタイルではなく、中身も本気でチューニングしてきたとあれば、ファンは納得するように思う。「シェルビーGT」の対極にある立派な“チューニング・マスタング”と言えるのではないだろうか。まさにエンブレムどおり“野生馬”である。

他社も「マッハ-E・ラリー」に負けないガチンコモデルをどんどんリリースして、EVにモータースポーツのイメージを植え付けてほしい。それがEV普及の後押しにつながるだろう。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★EVのホットハッチ「アバルト500e」、10月初旬にいよいよ日本に
……発売に向けて特別サイトをオープン。記念グレード「ローンチエディション」も導入。発表同日に同サイトにて先行予約受付を開始する。

★★ステランティス、「フィアット・600e」の生産を開始
……ポーランド・ティヒにある工場で生産を開始した。生産第1号はオレンジカラーの「ラ・プリマバージョン」だという。「600e」はSUVの新型EVで、「500」の伝統的なスタイルを踏襲している。航続距離は400km(WLTPモード)。

★★オランダのVDLグループ、FCEVトラックにトヨタのシステムを採用
……トヨタモーター・ヨーロッパとVDLグループが協業。トヨタのFCシステムを搭載したFCEVトラックを発表した。2023年から5年間、ルートトライアルを行なうという。

★BMWグループ、MINIのオックスフォード工場をEV専用に
……イギリスにある「MINIプラントオックスフォード」を2030年にEV専用工場にする。投資額は6億ポンド(約1,100億円)。EVモデルの「クーパー・3ドア」と「エースマン」は2026年から同工場で生産。

★愛・地球博記念公園<愛知県長久手市>でEVの「ネコバス」が運行
……トヨタ自動車・MONET Technoligies・豊栄交通・スタジオジブリ・愛知県が、EVバス「APMネコバス」の運行に合意した。同公園内「ジブリパーク」周辺を走る。車両はトヨタの短距離・低速型EVを改造した6人乗りの車両となる。

★小型EV開発のGLM、長野県野沢温泉村と実証実験
……小型EV「ミモス」をはじめとした3種類の電動モビリティを実験に投入。狭路・坂道・気候といった条件化での利点と課題を洗い出すという。

★東北大学、太陽光発電とEVの組み合わせが脱炭素化に有効と発表
……住宅向け太陽光発電に加えてEVを蓄電池として活用するフランスの施策「SolarEVシティー構想」で、この組み合わせが脱炭素化に大きく貢献できると試算した。周辺地域のイル・ド・フランス全体で最大76%削減できるという。

デイリーEVヘッドライン[2023.09.13]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ヒョンデ新型EVは第4の刺客にして真打ち登場か? サイズも価格も軽EVを徹底的にマークした「インスター」
EVとしては使えなくなってもまだまだ再利用できる! 日産リーフのバッテリーを再利用したポータブル電源が「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定
ジープ初の電気自動車「アベンジャー」に限定色「レイク」をまとった100台の特別限定車が登場
more
コラム
全国の高速道路でたった「520口」かよ! EVが売れてないのにそこかしこで「急速充電待ち」が発生するワケ
「ガソリン旧車価格が爆騰」「クルマを所有しなくなる」 数十年後の自動車社会はどうなるのか現実的に想像してみた
テスラが日本を変える可能性! ヤマダデンキで「パワーウォール」を販売する裏にある壮大な計画
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択