#THE視点
エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した(photo=日本電気)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
商用車にも公共のEV充電器を……エネオス・NEC・日通がEVトラックの経路充電を実証実験[2023.09.11]

市中にある充電器は乗用EV向けで大型車は近寄れない EVトラック専用の充電器の拡充があってこその普及 【THE 視点】エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した。 EVトラックは、EV全体の中でもCO2の排出削減に大きく貢献できるとされている。しかし、EVトラックに対応した充電設備を持つステーションは場所が限られているため、普及の足枷となっている。そこで、エネオスをはじめ3社合同でEVトラックの経路充電の有効性の確認・運用方法の確立を目指して実証実験を行なう。 実証期間は9月5日より1ヵ月。エネオスの 「Dr.Drive セルフ水城店」<福岡県太宰府市>に設置された急速充電器を用いる。実施車両は「日本通運・福岡支店」<福岡市>に導入されている EVトラック「三菱ふそう・e-キャンター」1台となる。 検証・確認項目は以下。 ・EVトラックの長距離輸送における経路充電の有効性 ・EV運用支援アプリの必要機能・有効性 ・出発地から配送先へのルート検索や電気消費量シミュレーション ・シミュレーションを踏まえた充電ステーションの検索 ・ドライバーへのバッテリー切れリスクの通知 この実証を通じて、NECは日本通運のEVトラックの実運行データを活用して開発したEV運用支援アプリケーションの価値向上を目指す。エネオスは、EVトラックユーザーの充電ニーズに応じた経路充電ネットワークの拡充を図る。日本通運は、EVトラックの運行データを活用して環境配慮車両の導入を積極的に進め、サプライチェーン全体を通じて環境負荷の少ない物流を提案していく構えだ。 商用車はその車体が大きいことから、立ち寄った休憩場所にEV用充電器があってもその機器にアクセスできないという問題がある。この実証実験を通じて、EVトラックの普及の上で欠かせない運用支援アプリケーションや充電ネットワーク、運送業者のEVトラック導入のハードルといった課題が具体的に見えてくるだろう。 1社のみの奮闘ではEVトラックの普及はできない。参画企業がそれぞれの技術を持ち寄り、現場での情報を共有しフィードバックすることが、普及拡大のためには必要な手順である。 今年は、EVトラック元年ともいえる。三菱ふそうからは第二世代の「e-キャンター」が発売され、いすゞからも「エルフEV」が発表された。商用EVはまだ普及の初期段階にある。この実証を将来に繋げてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、北米で充電規格を採用 ……テスラが展開する充電規格「NACS」を北米向けのEVに採用する。2025年中にNACSに対応したEVを発売するという。ホンダは、欧州などのメーカーとともに北米に充電インフラの合弁会社を設立し、「NACS」への対応を進めている。 ★★フォード、新型EV「マスタング・マッハ-E・ラリー」を発表 ……EVの「マスタング・マッハ-E」のオフロードモデルをアメリカ本国で発表した。悪路を本気で走れる仕様となっているのが特徴。足回りやホイールは専用品を設定。駆動方式は前後2モーター式のAWDで、ラリー専用の走行モードも備えている。 ★★パナソニックとゼンリンがEVビジネスで協業 ……EVのエネルギーマネジメントを共同開発する。まずは、EV用充電器メーカーやEV用充電器の管理・運用を行なう企業向けに「EVチャージ需要マップ」の提供を開始した。 ★ベルエナジー、現場充電サービスの実証をレクサスユーザーなどを対象に開始 ……EVユーザーの希望場所・時間にEV用急速充電器を積んだサービスカーを派遣し、30分間の充電を行なう実証実験を開始する。対象は「トヨタ・bZ4X」「レクサスUX300e」「RZ450e」を所有するユーザーで、100名を抽選するという。対象エリアは愛知県全域となる。 ★中国新興シャオペン、ドイツに進出 ……2024年にドイツ市場に正式に参入する。進出の皮切に、スポーツセダンの「P7」、SUVの「G9」の2機種を導入する。 ★ステランティス、イタリアにバッテリーテクノロジーセンターを開設 ……今後、ステランティスのEVに搭載するバッテリーの開発・試験を行なう施設となる。8,000m2の敷地に32の気候テストセルを備えている。ステランティスは、本施設に4,000万ユーロ(約64億円)を投じている。 ★フォード、家庭でのEV充電コストを抑えるプランをテスト運用 ……アメリカ本国で導入。デュークエナジー社との共同施策で、充電時間の最適化や再生可能エネルギー由来の電力を使用。料金を月額固定とし充電コストを抑えるという。 ★ポルシェ、EVユーザー向けコネクトサービス「ポルシェ・コネクト・パートナー・サービス」を欧州と米国で展開 ……電力ピーク時を避けた充電量・料金の調整・最適化や充電コストの提供、EV向けのルート作成、確定申告に使用できる経費書類の作成代行などが利用できるという。 ★F1ウィリアムズの子会社WAE、高性能FCEV用プラットフォームを発表 ……FCEV向けのプラットフォーム「EVRh」を開発した。最高出力585psのパワートレインに対応し、車重1,990kg以下で航続距離600km、0-100km/h加速は2.5秒未満の性能を実現できるという。 ★アイモバイル、EV充電事業を開始 ……宿泊施設などで利用可能な「ふるなびEVスタンド」を開始した。「ふるなびトラベル」と提携する宿泊施設等にEV用充電器を導入。ふるさと納税サイト「ふるなび」の返礼品として用意する旅行プランなどに活用するという。 ★コンチネンタル、高効率のエコタイヤを公開 ……新タイヤ「ウルトラコンタクトNXT」を「IAAモビリティ」にて発表した。再生可能素材とリサイクル素材などを65%配合。転がり抵抗・ウェットブレーキ・車外ノイズにおいて、EVタイヤラベルの最高ランク「A」を獲得した。全19サイズを用意。 ★パーク24、EVに対するアンケート結果を公表 ……毎月9日に実施したアンケートにてEVに対する調査を公表した。EVの運転経験が「ある」の回答は21%。EVの購入を希望するタイミングは「価格が手頃になったら」が最多(25%)で、次いで「EVステーションが増えたら」(18%)という結果だった。 ★トヨタ、アメリカ・カリフォルニアでグリーン水素を生成 ……グリーン水素の生成施設「トライジェン」を、カリフォルニア・ロングビーチ港に竣工した。フューエル・セル・エナジー社との共同事業で、運営も同社が行なう。施設には、2.3MWの発電能力を持つFC発電所および水素ステーションも併設した。 ★電動キックボードシェアリングのループ、CO2フリーの電気100%で稼働へ ……使用電力を再生可能エネルギーに変更し、J-クレジットも取得したことで、稼働電力を実質CO2フリーとした。 ★スズキ、本社工場をCO2フリー電力で稼働 ……静岡県内で稼働する本社を含む工場に再生可能エネルギー由来の電力「静岡Greenでんき」を導入した。中部電力グループ所有の水力発電所の電力を使用している。 ★イベント「みんなでつくろう!再生エネの日!」開催 […]

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いすゞ・エルフEVボトルカー(photo=伊藤園)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
電気で走れ、いすゞのボトルカー……伊藤園が飲料製品の配送車に「エルフEV」を導入[2023.09.08]

架装に茶殻を配合した部品を用いるお茶メーカーならではの工夫 EVの採用は配送現場の働きやすさ改革につながる 【THE 視点】伊藤園は8月31日、自社の飲料製品を積載・配送する営業車(ボトルカー)に「いすゞ・エルフEV」を採用したと発表した。架装部分に茶殻を配合した軽量パネルを採用しているのが特徴。10月より順次導入を開始する。 2023年10月に、CO2フリープランの営業拠点に第1号車両を導入し、2023年度内に東京地区の営業拠点に30台配備する計画だ。 伊藤園は、気候変動への対応として2050年度までにカーボンニュートラルとする中長期環境目標を策定している。この中で「全車両中の電動車使用比率を2030年度に50%とする」と定め、積極的に電動車の導入を推進している。 ボトルカーのEV化は、充電設備や走行距離の問題があり、導入には課題があったようだ。しかし、架装部分のスライドドアやバックドアに茶殻をアップサイクルした「茶殻配合軽量パネル」を使用し軽量化を図ることで環境対策と電費向上を狙った。従来のボトルカーと比較して最大で110kgの軽量化が可能だという。ちなみに「エルフEV」自体は、40kWh〜60kWh分のバッテリーを搭載することが可能で、どの仕様を選択したのかは明らかになっていないが、気になるところ。 また、空容器積載スペースを架装内に設置し、屋根昇降および高所作業をなくすことで、社員の業務負荷軽減と働きやすさを向上させているとのこと。屋根に大きな荷物が乗らないということは空力に影響が少なく、それだけで電費向上の効果が期待できるかもしれない。 伊藤園は地域密着型営業のビジネスモデルを採用しており、ボトルカーを含む約3,350台の車両を使用している。 これまでエコドライブの徹底やルート効率の向上でCO2排出量削減に努めてきたというが、今後はEVボトルカーを使用することで、CO2排出量のさらなる削減と社員の働き方を見直し、地球環境の課題解決と企業価値向上の両立に取組んでいく構えだ。 30台のEVボトルカーを導入するという事は、伊藤園全体の車両の1%に当たる台数を電動化する事になる。ボトルカーは、住宅地やビルの地下駐車場にも出入りしているため、静かで排気ガスが出ない(臭くない)メリットを生かせる。茶殻配合軽量パネルの架装で電費も向上させられれば、ランニングコストの低減や茶殻ごみの廃棄問題にも貢献できるはず。車両だけではなく地球環境にやさしい架装の開発も積極的に継続してほしい。 ボトルカーは、自動販売機に飲料商品を入れる作業の時間などを考えると、一日の走行距離はそんなに多くないと思われる。EVトラックの使い方としてはちょうど良いのではないか。 それに走り出しから最大トルクを出せるモーターの特性は、加速時にアクセルを踏んづける必要がなく、逆にアクセルを離せば排気ブレーキのように回生が働いてブレーキペダル操作を軽減してくれるので、ドライバーの疲労軽減効果もあるかもしれない。 伊藤園と同じように業界全体で取り組めば、大幅に台数導入が見込まれ、国内のEV化が促進される。飲料メーカー全体で取り組んで欲しいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、次世代EV「ノイエ・クラッセ」を世界初公開 ……「IAAモビリティ2023」にて次世代EV「ノイエ・クラッセ」を発表した。ボディはセダンタイプで、次世代のオペレーティング・システム「iDrive」といった先進装備を搭載。2025年に発売予定と発表されている。「ジャパン・モビリティ・ショー2023」<東京ビッグサイト/10月26日〜11月5日>への出展も発表された。 ★★ジャガー、SUV型のEV「I-ペイス」を改良 ……2024年モデルとしてマイナーチェンジし、9月7日にオンライン限定で受注を開始した。発売以来初の改良で、フロントシールドや新色のフロントチークなどを採用した。 ★★ダイムラー・トラック、アメリカ国内でバッテリーセルを生産へ ……アクセレラ(カミンズ)・パッカーとの3社でバッテリーセル生産の合弁会社をアメリカに設立した。持ち株比率は各30%ずつ。ニッケルやコバルトを使用しない低コスト・長寿命のリン酸リチウムイオン・バッテリーを生産する。 ★BMW、FCEV「iX5ハイドロジェン」が砂漠でテスト ……アラブ首長国連邦でのテストが完了した。45℃以上に達する気温や砂・ホコリといった厳しい条件下を無事に走り抜け、燃料電池システムをはじめ水素タンク・モーター・バッテリーに異常がないことを確認したという。 ★エネチェンジ、ユーミーコーポレーションと協業 ……不動産建設のユーミーコーポレーションが展開する「ユーミーマンション」にエネチェンジのEV用充電インフラを導入する。2030年までにユーミーコーポレーションの全管理物件に設置することを目指す。 ★STマイクロエレクトロニクス、SiCパワー半導体をボルボに供給 ……SiC(炭化ケイ素)パワーMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)をボルグワーナーの「Viperパワー・モジュール」に供給する。ボルボは今後、同モジュールをEVに採用していくという。 ★BYD、静岡県に正規ディーラー第1号店をオープン ……「BYD AUTO 静岡」(静岡市葵区御幸町6-10)を10月20日(金)にオープンする。場所は、静岡市の中心街にある商業施設「静岡モディ」の1階。「アット3」のほか「ドルフィン」も常設展示を行なう。 ★電子計測器の製造・販売の小野測器、「BYD・アット3」の計測データを販売 ……新サービス「ベンチマーキングレポート販売」でEVビジネスに参入する。本サービスは今年6月に開始し、8月に「BYD・アット3」のデータを含む第二弾の提供を開始した。「音響・振動」に関する計測・解析技術を活用した計測データが小野測器最大の強みだという。 ★システック、商用車への太陽光パネル搭載・普及がNEDOの委託事業に ……デジタコの販売などを行なうシステックが展開するトラックなどの商用車を対象としたソーラーパネル発電事業が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「太陽光発電主力電源化推進技術開発」の委託事業に採択された。トラックの架装にソーラーパネルと発電設備を設け、その出力でバッテリーへの充電を行いオルタネーターの駆動を行なうという機構が対象となる。CO2削減効果が期待できるという。 ★学生フォーミュラ日本大会2023、EVクラス優勝は名古屋大学 ……大学生が自作したフォーミュラマシンの競技会「学生フォーミュラ日本大会2023」が、8月28日(月)〜9月2日(土)の期間、エコパ(小笠山総合運動公園)<静岡県掛川市・袋井市>で4年ぶりに開催された。EVクラスには12チームが参加。クラス優勝となったは名古屋大学は、0-75m加速で3.469秒の大会新記録を出したという。 ★ブレイズ、千葉県鴨川市でEVバイクをレンタル ……鴨川市内の「カーライフ・サポート・ササキ」が運営するバイクレンタルサービス「カモ・タイム」に「ブレイズ・スマートEV」と「ブレイズ・EVスクーター」が導入された。レンタル料金は3時間3,850円から。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.08]

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「Power Exporter e: 6000」(photo=本田技研工業)
TEXT:福田 雅敏
エレキギターも良い音が出せる!……ホンダ、EV・FCEVとセットで使う給電機を発売[2023.09.07]

2017年のLUNA SEAのコンサートで実際に使用した機器の廉価版 メーカーに関係なくあらゆるEV・FCEVから電気を取り出せる 【THE 視点】本田技研工業(ホンダ)は9月1日、電動車両(バッテリー式EV・燃料電池車(FCEV)・PHEV)と接続して使用する可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発売した。全国のHonda Carsにて購入が可能。価格は88万3,960円(税込)。 ポータブル発電機の開発でこれまでに培った独自の正弦波インバーター技術を採用。精密機器や楽器など、電気の“質”が求められる製品にも対応可能な電力を供給する。 EV・FCEV・PHEVといった電動車両と接続することで最高6kVAの電力を出力でき、平時はイベント・コンサート・レジャーなどにおける電源として、有事の際には避難所・小規模オフィス・店舗の非常用電源として活用できる。 現在販売している「パワー・エクスポーター 9000」に対して約10kgの軽量化を実現したほか、車両と接続する給電ケーブルの長さを1.2mから2.1mへ伸長するなど、使い勝手の向上を図った。 出力は100Vの電圧に加えて200Vに対応し、その両方を同時に使用可能。家電はもちろん、より大きな電力が必要なオフィス用エアコンや店舗用冷蔵庫なども動かすことが可能だ。 以前のイベントレポートで紹介した試作機がついに発売となった[詳細はこちら<click>]。出力が6kVAと、「9000」の9kVAよりも少し小さくなったが、価格や重量面でのメリットが増え、購入へのハードルが下がったと言える。 筆者の乗る「クラリティFUEL CELL」にも接続が可能だ。実は車両購入時に「9000」の購入も検討したが、本体重量がおよそ50kgと重く値段も高価(税込120万1,750円)だったことから購入を諦めた経緯がある。 2017年のことだが、ホンダは「クラリティ FUEL CELL」の電力を「パワー・エクスポーター 9000」を介してロックバンド「LUNA SEA」のコンサートで使用したことがある。SUGIZO氏のギターに電力を供給したようだ。会場は「埼玉スーパーアリーナ」と大きな会場だった。電気の質が音を左右するエレキギターの電力としてプロも納得の上で使用できることは、本品の完成度の高さを物語っている。 「パワー・エクスポーター」シリーズは、ホンダ車に限らず「トヨタ・ミライ」「日産リーフ」「メルセデス・ベンツ・EQS」などメーカーを跨いだEV・FCEVからも電力が取り出せるのが特徴。団体などで1台でも備えておけば、平時はイベントなどの電源として使用し、災害時は命綱になる。ビルのエレベーターなども動かせるかもしれない。活用方法は色々と考えられる。 ただ、1台の値が張るのがネックである。「CEV補助金」の対象にはなっているが(3分の1を補助)、現在、令和5年5月22日の到着分をもって申請受け付けが終了してしまったようだ。猛暑の夏はそろそろ終わるが、次は冬が到来し電力逼迫と共に大雪による災害が予想できる。補助金受付の早急な再開を検討してはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、次世代EV「ノイエ・クラッセ」に次世代の自動運転プラットフォームを採用へ ……自動運転プラットフォームのAWSのシステムを採用する。このプラットフォームを用いて先進運転支援システムを開発するという。「ノイエ・クラッセ」は2025年に発売予定。 ★★横浜ゴム、グリーンエネルギーでEV用タイヤを生産 ……EV向けサマータイヤ「アドバン・スポーツEV」の生産を新城南工場<愛知県新城市>で開始。同工場には4月に太陽光発電システム(出力1.1MW)が導入済みで、その電力を使用して生産する。年間約599トンのCO2を削減できるという。 ★★ナビタイム、冠水を回避する機能を実装 ……1時間に30mm以上の降水の可能性がある場合、スマートフォン向けアプリ「カーナビタイム」上で「冠水注意地点回避ルート」を提案する機能を実装した。注意地点は全国3,600ヵ所に及ぶ。水大敵のEVに乗る際はぜひ活用したい機能だ。 ★トヨタ、「クラウンFCEVセダン」の右ハンドル仕様を初公開 ……スーパー耐久第5戦もてぎ<モビリティリゾートもてぎ/9月2日〜3日>の会場にて右ハンドルの日本仕様車を初公開した。同時にJAFも水素ロードサービストラックを展示し注目を集めた[詳細はこちら<click>]。 ★ボルボ、シンガポールにテックハブを開設 ……本施設は、2030年の完全電化メーカーを目指すために、ソフトウェア開発などを重点的に行なうグローバル・イノベーション・センターとして機能するという。 ★パイオニア、EV充電ビジネスを推進 ……ネクストドライブと「EV中放電制御システム」の開発でパートナーシップを結んだ。パイオニアは、同社のプラットフォーム「パイオマティクス・フォー・グリーン」を活用し、EVの充電状態や消費電力量を予測。そのデータを基に、ネクストドライブのコントローラー「アット」が充電機器を操作する仕組みをとる。 ★米ハイゾン・モーターズ、液体水素を使用したFCEVトラックの商用運転に成功 ……アメリカのFCメーカーのハイゾン・モーターズが開発した液体水素を使用するFCEVトラックが、540マイル(約870km)の営業運転に成功した。液体水素の活用について日本国内では、トヨタが「スーパー耐久シリーズ」に参戦している「カローラ」の内燃エンジン用の燃料としているが、FCでの利用はしていない。一歩先に行かれた形となる。 ★ヴォグゾール、英国内でのEV販売が好調 ……8月のEVの販売台数を公表した。ハッチバックの「コルサ・エレクトリック」は2,220台、SUVの「モッカ・エレクトリック」は6,062台を販売した。商用車であるバンタイプの「ヴィヴァーロ・エレクトリック」は、今年8月までに3,211台を販売した。いずれの車種も英国内の各カテゴリーで販売上位だという。 ★自動運転EVのチューリング、打倒テスラを掲げてエンジニアを募集 ……9月下旬から10月にかけて、東京・横浜・名古屋でエンジニア向けの採用説明会を実施する。同社の経営陣も参加する懇親会も開く予定だ。発行されたプレスリリースには「We Overtake Tesla」と毛筆で書かれたイラストが掲示されている。国産EV開発を加速する意気込みを感じる。 ★旭化成、台湾のEVバイクに樹脂部品を提供 ……中国Giken Mobilityが7月16日に発売したEVスクーター「Iso UNO-X」に樹脂製部品を提供。リチウムイオン・バッテリー用カバーに「ザイロン 443Z」、モーターカバー向けに「レオナ 53G33」を供給。旭化成の高品質な樹脂成形技術が評価された。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.07]

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「SOLATOカーシェア」(photo=レクシヴ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVならではの独立エネルギー稼働……レクシヴと太陽石油がオフグリッド型カーシェアを開始[2023.09.06]

カーボンフリーエネルギーを活用したEVカーシェアリングサービス 災害・緊急時は電力のデリバリーが可能になり人命を救える可能性 【THE 視点】レクシヴは9月1日、太陽石油向けにEVカーシェアリングシステムの提供を開始した。太陽石油の「SOLATOカーシェア」にレクシヴのプラットフォームを活用し専用のシステムを開発。オフグリッド型ソーラーカーポートで発電した電力でEVを稼働するカーシェアリングサービスを展開する。 2023年9月1日より愛媛県内にて開始され、今後は同県内における法人・自治体とカーシェアの実証に順次取り組む予定。レクシヴは今後も各企業や全国の行政と連携しながら脱炭素社会の実現に貢献していくという。ちなみにレクシヴは本実証において、「SOLATO」専用のEVカーシェアシステムおよびユーザー向けのウェブ・スマホアプリを開発した。 オフグリッド型ソーラーカーポートは、一般の電力系統から完全に独立して稼働する。太陽光発電なのでカーボンフリー電力となり、平常時はEV給電用として、災害時は非常用電源として活用が可能だ。 「SOLATOカーシェア」は、オフグリット型ソーラーカーポートを用いる点が最大の特徴だろう。今回の実証に導入した「日産・サクラ」はV2Hにも対応している。災害時などではソーラーカーポートが給電ポイントになるだけではなく、サクラからもV2H機器を介して施設に給電できるようになる。 電力が遮断された中で、必要とする施設・場所に「サクラ」が電力を届けるという活用方法も期待できる。生命維持のための機器はもちろん、通信機器や救助道具類を稼働するための電力をデリバリーするといった様々な活用法が考えられる。オフグリッド型ソーラーカーポートとEVの組み合わせは、緊急時に人の命を救える命綱になる可能性があるということだ。 ちなみに日産は、日立ビルシステムとの共同実証で、サクラの電力を使用しエレベーターを15時間連続稼働させることに成功している。「SOLATOカーシェア」は、本来のカーシェア事業以外にも導入メリットのあるサービスと言えそうだ。 レクシヴは、EVシェアリング立ち上げ支援サービスも行なっている。EVカーシェア事業者向けに、フルパッケージ型のEVカーシェアリング・プラットフォームを提供している。EV用充電器や電気工事の手配・EV調達・カーシェアリングの市場調査までサポートするという。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新型EV「iX1 eDrive20」を発表 ……コンパクトSUV「X1」のEVモデル。最高出力は150kW(204ps)。バッテリーの容量は64.7kWhで、航続距離は最大475km。11kWのAC充電に対応し、0〜100%までの充電を6.5時間で完了できるという。2023年11月から生産を開始する。[詳細はこちら<click>] ★★トヨタ、「ハイラックスFCEV」のプロトタイプを公開 ……日本でもヒットモデルとなっている「ハイラックス」を燃料電池車(FCEV)化した。水素タンクは3つ搭載し、航続距離は600km以上。「ミライ」のFCユニットを使用しているという。このプロジェクトはトヨタの英国子会社TMUKが行なった。 ★★メルセデス・ベンツ、「CLAクラス」のEVコンセプトを発表 ……「IAAモビリティ」にて発表。メルセデス・ベンツのエントリーグレードに位置付けられる。MMAプラットフォームを初採用した。800V電圧に対応し15分で400km以上の電力を充電可能。航続距離は750km以上(WLTP1)となるという。 ★★ルノー、新型EV「セニック E-テック」や新型か「カングー」のEVバージョンを発表 ……「IAAモビリティ」にて公開。「セニック」はコンパクトMPVであったが、発表された新型はSUVタイプとなった。モデル伝統のファミリーユース性を踏襲し、航続距離は620km(WLTP)以上になるという。2024年初めに発売予定。  新型「カングー」には従来のICEのほかEVが設定される。EVバージョンは航続距離265kmで、8年間または16万kmの補償付き。この期間中に容量が70%以下となった場合は無償交換になるという。 ★オペル、「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」「コルサ・エレクトリック」「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」などを世界初公開 ……ドイツ・ミュンヘンで開催中の「IAAモビリティ」にて発表。「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」はクーペ風のボディを持つコンセプトモデル。  「コルサ・エレクトリック」は5ドアハッチバックモデルで、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」はステーションワゴンとなる。そのほか、小型EVの「ロックス・e-エクストリーム」と「ロックス・エレクトリック・カーゴ」も出展している。 ★ポールスター、ミニカーのホットウィールとコラボしたEVスーパースポーツカーを公開 ……コンセプトモデル「ポールスターシナジー」を発表。600以上のエントリーから3つに絞り、それらを融合したデザインを1分の1スケールのモデルとして発表した。デザインコンテストは今後も継続して行なっていくという。 ★ボルボ、パワーエレクトロニクスのスタートアップに出資 ……炭化ケイ素(SiC)技術を使用したパワーモジュール設計の専門「Leadrive」に投資する。ボルボは2030年までに完全電動メーカーになることを目標としており、基幹技術の一つとなるインバーターなどの技術開発を強化する構えだ。 ★JA三井リースとプラゴ、EV充電サービスの法人を共同設立 ……「株式会社プラゴサービス」を8月24日に設立。自宅だけではなく、生活環境一体をユーザーの充電スポットとみなす「マイ充電ステーション」の拡充を図る。また、再生可能エネルギー由来の電力をより取り入れることも目指すという。 ★テラモーターズ、群馬県大泉町と連携協定 ……EV充電サービス「テラチャージ」の導入を共同で進める。充電器を無料で導入できアフターサービスも24時間356日対応可能という点が評価され提携に至った。 ★Jvolt、EVの充電スポットに立ち寄りポイントを獲得できるサービスを立ち上げ ……スマートフォン向けアプリ「Volty」の事前予約を開始した。充電スポットへの立ち寄りで貯めたポイントは、提携先のサービスで使用可能。「ナナコ」「ファミペイ」「ポンタ」「T-マネー」「ワオンポイント」などと交換できる。 ★BMW、「ウルトラ・ジャパン2023」と「XM」がコラボ ……ダンスミュージックフェスティバルの「ウルトラ・ジャパン2023」に「XM」を出展する。展示ブースではミラーマテリアルと光が織りなす背景を前に「XM」の撮影が可能。また、イベントのラッピング仕様車が都内を走行する。 ★トヨタ、「TOKYOもしもFES渋谷2023」に出展 ……防災・減災をテーマとした啓発イベント。トヨタは給電機能を持つ電動車(プリウスなど)を出展し、災害時の活用方法などを紹介した。イベントには2日間で2,400人が来場したという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.06]

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ダスキンが導入したASF2.0(photo=ダスキン)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
女性に優しい独自の荷室設計……ダスキン、軽商用EV「ASF2.0」で移動コストなどを検証[2023.09.05]

コスモ石油が資本業務提携をするEVを使用 利便性の向上は商用EVの販売台数に直結 【THE 視点】ダスキンは8月31日、営業車両に2台のEVを導入し、実証実験を行なうと発表した。EV導入によるCO2排出量削減効果・ランニングコスト・実用性等について2024年2月29日まで検証、その結果を基にEV導入計画を作成するという。車両は軽商用EVの「ASF 2.0」を使用する。 同社の営業車両は、全国で1万台以上が稼働しており、低排出ガス認定自動車導入の推進やドライバーへのエコドライブの教育などを行っている。しかし、CO2排出量削減をさらに推進するため、EVのスタートアップASFの協力を得て、訪販グループの東京エリア2拠点(ダスキン入谷支店<足立区>、ダスキン高松支店<練馬区>)に計2台のEVを導入することを決定した。 検証内容は、環境負荷軽減(CO2排出量削減)効果・季節変動要因による航続可能距離・ランニングコストの検証・EV運用における各種基礎データの取得及び業務における実用性・車両性能検証などである。 ちなみにダスキンは「ダスキン環境目標 2030(DUSKIN Green Target 2030)」において、2030年度までにグループ拠点におけるCO2排出量を46%減(2013年度比)という目標を掲げている。 ASFは、コスモ石油と資本業務提携をしており、同社でリース販売を行なうほか、佐川急便も7,000台程度の導入を発表しており、納入が始まっている。 「ASF2.0」は営業車両としての利便性を重視した設計になっているが、ダスキン仕様はさらに改良を加え、資材の出し入れがしやすい独自の荷室を採用した。女性スタッフにも使いやすい設計だという。 商用車にも使用できる軽EVバンは、ホンダ・トヨタ・ダイハツ・スズキ・三菱からも発売が予定されているカテゴリーだ。軽貨物便などで全国の街を駆け巡っている軽EVは、狭い路地に入り急坂を上り下りするほか、ストップ&ゴーが繰り返されるなど非常にタフな使い方がなされる。 そういった使用に耐えうる耐久性はもちろんだが、何より車両を仕事場とするドライバーにとって使いやすいモデルが一番売れるEVバンになるはずだ。そういう意味では、ダスキン仕様「ASF2.0」が一歩先に出たと言える。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★エネオス、EV充電サービス用スマホアプリをリリース ……エネオスの経路充電サービス「エネオス・チャージ・プラス」に対応したスマートフォン用アプリ「エネオス・チャージ・プラス・EV充電アプリ」のサービスを9月5日にリリースする。月額料金はなく、充電器の操作から決済までアプリで完結できる。なお、本アプリの開発はエネチェンジが担当した。 ★★アウディ、新型EV「Q6 e-tron」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティ」にて発表。新開発の「プレミアムプラットフォームエレクトリック」と「E3アーキテクチャー」をベースに開発した初のモデルとなる。インテリアは、人間工学と造形美を追求した先進的なデザインを採用した。 ★★クプラ、新型コンセプトEV「ダークレーベル」を発表 ……「IAAモビリティ」にて公開する。シューティングブレークのボディを持つスポーツモデル。全体的に鋭角的で近未来を彷彿とさせるボディデザインが特徴。 ★ベクトリクス・ジャパン、配送用の三輪EVスクーター「I-カーゴ」を発売 ……前一輪・後二輪のスクーター。後部の荷台には700Lの大型カーゴを装備している。運転席はルーフで覆い雨などから運転者を守る。航続距離は最大80kmで、価格は138万5,000円。 ★パナソニック、公共向けEV用充電スタンドを改良 ……パブリックエリア向けモデル「エルシーヴ・パブリック・モード3」を改良。最高出力を従来の3kWから6kWに向上した。価格は42万9,000円〜。 ★ボルボ、2023年08月の販売台数を公表 ……EVの販売台数は、8月の全販売台数(5万1,636台)の13%。ヨーロッパの販売台数は1万6,051台でEVのシェアは26%となった。 ★トヨタ自動車グループのトヨタ鉄鋼、グリーンスローモビリティを開発へ ……シェアサイクルプラットフォーム「ハロー・サイクリング」を展開するオープンストリートと共同開発する。車両は2023年4月の道交法改正によりできた「移動用小型車」に適合させたものとなる。 ★自動運転EV開発のチューリング、アマゾンの開発支援プログラムに採択 ……アマゾン・ウェブサービス・ジャパン(AWS)の大規模言語モデル(LLM)開発支援プログラムに採択。LLMは大量のテキストデータを学習し、人間のような文章や会話を行うシステムで、完全自動運転の実現に不可欠なものとされている。 ★レクシブ、EVタクシーを運営する第一交通産業をサポート ……EVタクシーのエネルギーマネジメントをサポートする。充電時間によりEVタクシーの運行に影響が出ないよう、運行管理に合わせたマネジメント等を行なう。同時にEV導入による経済効果や電気代などの検証も行なう。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.05]

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ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
ぶっちゃけトークの夜がやっぱり本番⁉︎……72台のEVが集まった「ジャパンEVラリー白馬」

レポート第2回は「ジャパンEVラリー白馬2023」初日の模様をお届け 前回のレポートでは、現在筆者が愛車としている「ホンダ・クラリティFUEL CELL」で開催前日に移動したことをレポートした。初めての長距離移動であったが、乗り始めて以来最高の燃費を記録することができた。さて、今回は「ジャパンEVラリー白馬2023」の初日の模様をお届けする。いよいよイベント本番だ。 EVユーザーを優しく受け入れてくれる長野県白馬村 「ジャパンEVラリー白馬」は、今年で10回目(プレイベントを含めると12回目)となった。筆者の参加は3回目である。 白馬村にて開催される理由は、村が観光と環境対策に力を入れているから。飲食店・宿泊施設・村役場などにEV用充電器を積極的に導入し、「白馬EVクラブ」(主催団体)もあるため、EVのイベントを開くにはちょうど良いのだ。もちろん雄大な自然と景色が非日常感も演出してくれる。 今年のラリーの参加台数は72台。10時から16時までに、エントリーしたEV・PHEVが初日のゴール地点である「白馬ジャンプ競技場」に到着した。ちなみに試乗車・展示用広報車も全て自走にて会場入りしている。

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「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」(シン・モビリティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
セルを浸して性能向上……台湾シン・モビリティがEVに搭載可能な液冷式バッテリーを開発[2023.09.04]

テスラとパナソニックの元技術者が立ち上げたベンチャー企業 急速充電や寿命を左右する冷却技術の究極系 【THE 視点】産業用途向け液浸冷却バッテリー技術のパイオニアである台湾シン・モビリティーは、ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティショー」で、新型バッテリー「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」を発表する。液浸冷却式のバッテリーで、高いエネルギー密度・放熱性・安全性を有する。 エネルギー密度は、最大200Wh/kgというトップクラスを持ち、20〜80%の充電は15分以内で済むという。その要因は特許取得済みの液浸冷却技術で、効率的に熱を除去し個々のセル内の熱暴走やパック全体の火炎伝播を防止することができる。鉱油で冷却する先進的な高ニッケル正極円筒形リチウムイオンセルの技術を活用しているという。 ボディは高張力エンジニアリングプラスチック製で、耐久性と信頼性を確保する精巧なセルマネージメントユニットを備えている。このユニットには各セルの温度・電圧・電流を監視・制御するシステムが組み込まれている。 乗用車・スポーツ車・商用車・トラックといった様々な車両とその用途に合わせてカスタマイズが可能。希望の顧客とのディスカッションから始まり、試作・試験・審査を経て、ニーズに最適化された製品を製造する。その後、現場での製品の実性能のモニターを続け、その情報に基づいてさらなる改良を加え最適化を行なうとのこと。 シン・モビリティーは、テスラとパナソニックの技術者によって2015年に設立された特殊用途向けのEV用バッテリー企業。極限のパフォーマンスを求められるレーシングカーやスーパースポーツカーを研究開発プラットフォームとして使用している。 この発表を聞いて、最初に頭に浮かんだのがテスラの初代「ロードスター」だ。バッテリーは液冷式を採用していたと聞く。しかも旧サンヨー(現パナソニック)のものだ。シン・モビリティーはテスラとパナソニックの技術者により設立されている。もしかしたら似た構造を持つのかもしれない。ちなみに日本のチューニングメーカー大手のHKSがエンドーザーに参画している。 最近のEVのバッテリーの多くがサーマルマネージメントされている。特に冷却は重要で、急速充電や寿命を大きく左右する機能となる。この液冷式を取り入れたパックの200Wh/kgというエネルギー密度は非常に高い。液冷式は重いというイメージを覆す数値だ。液冷式のサーマルマネージメント開発が成功したのだろう。詳細はIAAモビリティでの正式発表を待ちたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新型EVの「クーパー」と「カントリーマン」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで行なわれる「IAA」モビリティで2台の新型EVを発表する。「クーパー」はMINI伝統の衣裳を踏襲したオーソドックスな3ドアモデルで、「カントリーマン」は5ドアのSUVとなっている。「エースマン」は2024年4月に発表予定。 ★★テスラ、「モデル3」の改良新型を発表 ……かねてから噂のあった改良新型を日本でも発表し先行受注も開始した。ラインナップは「RWD」(561万3,000円)と「ロングレンジ(デュアルモーターAWD)」(651万9,000円)の2機種。今回は外観と内装のアップグレードがメインのようだ。納車は2023年12月から。 ★★ロータス、「エレトレ」の国内販売を開始 ……「エレトレS」(2,332万円)と「エレトレR」(2,585万円)の2機種を用意する。SUVクーペスタイルの高性能SUVで、0-100加速の最高タイムは2.95秒(R)で航続距離は600km(S)。すでに100台受注し、来年夏以降の納車を予定している[詳細はこちら<click>]。 ★伊藤園、配送車両にEVトラックを導入 ……飲料を配送する車両に「エルフEV」を採用し、10月より順次導入を開始する。架装の一部(スライドドア・バックドア)に茶殻を使用し、軽量化と環境負荷の低減を狙っている。2023年度内に東京地区の営業拠点に30台を導入するという。 ★オペル、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」の受注を開始 ……ステーションワゴン(5ドア)タイプの新型EVで、価格は4万3,490ユーロ(約680万円)。月額339ユーロ(約5万3,515円)のリースプランも用意する。最高出力115kW(156ps)・最大トルク270Nm(27.5kgm)で最高速度は170km/h。バッテリーの容量は54kWhで航続距離は413km(WLTP1)となっている。 ★ホンダ、可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発表 ……バッテリー式EV・FCEV・PHEVに接続し家電などが使用できるよう電力を取り出す機器。バッテリーではないため、電動車とセットで使用する必要がある。シガーソケットを使用するインバータのようなイメージだ。最高6kVAの電力を出力でき、イベント機器用の電源として機能させることができる。交流100V・200Vの同時出力が可能。 ★ZF、マグネットフリーのモーターを開発 ……誘導電流ユニットにより磁力を作るため、磁石とレアアース類が必要ない。現在のEVの主流である永久磁石の動機モーターと同等の性能を持ち、モーター本体を小型化できる。電圧800Vにも対応する。 ★太陽石油、EVのカーシェアリングの実証を開始 ……レクシブの法人・自治体向けプラットフォーム「SOLATOカーシェア」を使用し愛媛県内で実証を開始する。ソーラーカーポートの発電による電力を使用したオフグリッド型の電力にてEVを稼働させるのが本実証の特徴。車両は「日産サクラ」を使用する。 ★東京ガス、群馬県太田市などとEV充電マネジメントを共同検証 ……東京ガス・太田市・太田都市ガス・日本カーソリューションズの4団体が共同で実施する。簡易型車載器を活用して車両の稼働状況を調査するほか、その結果に基づくEV導入計画の策定、充電マネジメント導入時の電力コストの算定・効果検証などを行なう。 ★日本ゼオン、リチウムイオン・バッテリー用バインダーの生産設備をアメリカに構築 ……リチウムイオン・バッテリーの正極・不極・機能層・シーリング用材料として使われるバインダーを現地生産・消費を目指す。日本ゼオンにとって、米国で初めての設備となる。 ★ネクストドライブ・eモビリティパワー・東京大学大学院工学系研究科、EVユーザーの基礎充電行動を研究へ ……スマートメーターのBルートのデータを活用し、自宅での充電頻度や充電量を把握可能な行動推定モデルを構築する。自宅のコンセントは通信機能がないため、Bルートにネクストドライブの機器を設置してデータの収集を試みる。モニターの募集はeモビリティパワーが行ない、推定モデル構築は東京大学が行なう。このデータを収集することで、自宅外での充電ニーズを把握することが可能になるという。 ★モーション、2.5億円を新たに資金調達 ……EVの充電を制御・最適化し電力コストを低減するソリューション「オプティーブ」の開発に充てるという。調達先は環境エネルギー投資・兼松コミュニケーションズ・大和自動車交通・フェアーの4社。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.04]

TAG: #THE視点 #テクノロジー #バッテリー
充電インフラ整備促進に向けた指針(仮称)の案(出展=経済産業省)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV用充電器が2030年に30万口・平均出力80kWへ……経産省が新指針でインフラを強化[2023.09.01]

いよいよ本腰を入れるEV用充電インフラの大幅拡充 充電規格についてもガイドラインを制定し利便性を担保 【THE 視点】経済産業省は8月28日、充電インフラ整備促進に向けた指針(仮称)の案について公表した。 経産省はこれまで、2030年までに「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置する」との目標を掲げ、約3万基の整備を進めてきた。 今回の発表では、充電器設置目標を倍増(2030年までに15万口→30万口)させ、充電器全体の総数・総出力数を現在の10倍(約40万kW→約400万kW)にするという。電動化社会構築に向け、国主導で充電インフラ整備を加速させる構えだ。 急速充電は、高速道路上の機器を高出力化する(最高出力90kW以上、150kWも設置)。高速以外でも50kW以上を目安とし、平均出力を倍増(40kW→80kW)させることで充電時間を短縮し、利便性の高いインフラを整備する。 同時に、限られた補助金で効果的に設置を進めるため、費用対効果の高い案件を優先(入札を実施)して費用低減を促進し、充電事業の自立化を目指す。課金方式については、充電した電力量(kWh)に応じた従量課金を2025年度に実現するとしている。 商用EVについては、エネルギー・マネジメントを中心的に進めてコストを低減し、ユーザー・事業者双方にとって有利な料金制度を実現する。エネマネにより商用車の充電に伴う負荷を平準化・分散化させる。 さらに超急速充電(350kW等)やさらなる高電圧化への対応は今後の選択肢の一つとし、普通充電器についても従来の6kWから10kWに見直す。 急速充電規格については、国内は「CHAdeMO」がほとんどを占めているが、海外では「CCS2」/(欧州)「NACS」(米国)/「GB/T」(中国)が過半数を占めている。この事情を鑑みて、CHAdeMO協議会を中心に充電事業者やOEMなどの意見を取り入れたガイドラインの作成を行なう。 充電の通信規格についても、オープンプロトコルの「OCPP」や「ECHONET」を用いることを求めていく。車両と充電器の組み合わせで生じる不具合の解決などについては、2023年度中のマッチング・テストセンターを設置し準備を進める。 これらは、パブリックコメントを経て、10月上旬を目処に指針を策定する。ちなみに充電器の数の表現だが、1基で複数口の充電口を持つ機器が増えたことから、「基」から「口数」に変更された。 EVの普及において、これまで「卵が先か鶏が先か」、つまり車両の普及とインフラの整備のどちらが先をいくべきかの議論がされてきたが、今回の経済産業省の発表が実現するとすれば、「インフラの問題でEVが普及しない」とは言えなくなる。今後7年間で10倍と言うことは、毎年約4万基ずつ増えることになる。これまでの設置数以上の数が毎年増加する計算だ。 充電器の高出力化で充電渋滞の緩和なども見込まれる。高速道路外への一時退出を許可する充電の検討や、マッチング・テストセンターの設置の準備など、EVユーザーの利便性についても検討されていることが、今回の発表により明らかとなった。国はEVの普及に向けて本腰を入れたとみて間違いない。 この発表が絵に描いた餅とならぬよう、国主導でインフラの拡充を引き続き推進・実現してもらいたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、「ポータブルバッテリー from LEAF」を発売 ……9月1日(金)より日産の正規ディーラーにて販売開始。「リーフ」のバッテリーを再利用し、JVCケンウッド/フォーアールエネジーと共同開発。最大容量は633Whで、AC出力は最大900W。一般的な100VのコンセントのほかUSB-A/-Cのポートも搭載。充電は家庭の電源はもちろんシガーソケットからも行なえる。 ★★ダスキン、営業車両に軽商用EVを導入 ……軽自動車規格の商用EV「ASF2.0」2台を導入し9月1日(金)より実証実験を行なう。CO2の排出量削減効果とランニングコストを検証する。ASFはコスモ石油が資本業務提携するEVのスタートアップ企業。[関連記事はこちら<click>] ★★オペル、3台のEVをワールドプレミアへ ……ドイツ・ミュンヘンで開催するモーターショー「IAAモビリティ2023」にて「ビジョナリー・オペル・エクスペリメンタル・コンセプトカー」「コルサ・エレクトリック」「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」を出展する。 ★経産省・産総研(NEDO)、商用EVを用いた実証「スマモビプロジェクト」を開始 ……国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、トラック・バス・タクシー事業者から、商用EVの車両・走行データの受け入れを開始した。運行管理とエネルギーマネジメントシステムの検討とシミュレーション技術の開発に活用する。バスは大阪市高速電気軌道など、トラックはCJPT、タクシーはGOが参画。 ★ユアスタンド、「愛・地球白公園(モリコロパーク)」の駐車場内にEV用充電器を設置 ……9月1日(金)より、「モリコロパーク」<愛知県長久手市>においてEV用充電器を稼働。最高出力6kWの機器を4台設置し、会員登録なしのQRコード決済にて利用可能。 ★ユビ電、三井住友オートサービスと富士電機より資金調達 ……「シリーズB 3rd」ラウンドにて、2社より合計2億円の資金を調達。累計調達額は14億6,800万円となり、電力環境と充電インフラの拡充を目指す。 ★自動運転EVのチューリング、5.2億円を新たに調達 ……山本一成CEO・田中大介COO・エンジェル投資家5名の計7名より資金調達し、累計額は15.2億円に。2025年に販売予定(100台限定)の自社開発EVの開発資金に充てる。 ★ヒョンデ、小型SUVの新型EV「コナ」を代官山T-SITE<東京都渋谷区>に展示 ……年内の国内発売を前に9月28日(木)まで先行展示。「ヒョンデ・カスタマー・エクスペリエンス・センター横浜(CXC横浜)」でも展示を行なう。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.01]

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「産業用蓄電システム単相連系タイプ(V2X対応)」(photo=パナソニック・ホールディングス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVをビルの「電力システム」に……パナソニック、ビル向けの自家発電・消費システムを発表[2023.08.31]

太陽光発電の電力でビル施設とEVを稼働し電気代を低減 災害による停電時はエレベーターも動かせるライフラインに 【THE 視点】パナソニック・エレクトリックワークスは8月28日、「産業用蓄電システム単相連系タイプ(V2X対応)」の受注を2023年12月21日より開始すると発表した。EVの電力をビルや施設内などへ供給するV2Xシステムと定置型バッテリー・太陽光発電を連携させ、エネルギーの自家消費率を上げるシステムとなる。 本製品は、EVと蓄電池による同時充放電を実現した。協調制御により同一共用分電盤に最大4システム接続でき、最高出力24kW(従来比約4倍)を達成。施設の負荷に合わせたシステムの構築も可能だ。 また、単相負荷に対する追従制御で、外部制御装置なしでも太陽光発電の全量自家消費を実現した。電力の逆流によるシステム停止リスクを低減することで、太陽光発電の継続利用ができる。これらの機能により、系統からの電気代を抑えることと、停電リスクの低減に貢献できる。 V2Xスタンドは、エアコン室外機1台分より小さい床面積で設置可能なコンパクトなもの。駐車場の限られたスペースにも設置しやすい。屋外工事のみで済むので、EVの購入に合わせて設置することができる。 走るバッテリーであるEVを定置型バッテリーのように活用できるメリットは大きい。太陽光発電による電力で走行すれば移動コストはタダに近い。定置型バッテリーの“増槽”として使用すればピークカットができ、総合的に電気代が安くなるメリットがある。 システムの最高出力が24kWと大きいことから、災害時などに定置型バッテリーとEVに蓄えられた電力でエレベーターの稼働も可能なはずだ。もし近くのEV用急速充電器が生きていれば、そこで充電した電力をEVがデリバリーするという手段もとれる。 筆者は以前、災害によるマンションの停電で、自宅階まで苦労して上った記憶がある。そのような場合に、最低限エレベーターが動くメリットの大きさは、肌で体感している。 機器の導入コストを電気代の削減分で賄えるか、という問題もあろう。しかし、毎夏・冬に発表される電力逼迫や、誤差の範囲内とはみなせなくなった電気代の高騰、そして人の命を脅かすようになった温暖化、台風・豪雨などにより全国で頻発する停電事故を考えると、このような設備の導入・普及は必要かもしれない。 EVの導入を考えている企業は、こういったシステムの導入を前向きに考えてはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★HIS、空飛ぶクルマの運行実現に向けて評価・検証を実施……大阪府・大阪市・兵庫県の補助事業に採択、関西エリアにおける需要分析やルートの検討などを実施[詳細はこちら<click>] ★★ボッシュ、800Vの電圧に対応したモーターとインバータの量産を開始……熱損失を50%削減、電力密度35%向上 ★★プロテリアル、EVに使用可能な高出力フェライト磁石モーターを開発……最高出力100kW超えを確認、レアアースを使用せず低コスト ★台湾シン・モビリティ、液浸冷却式のバッテリーを発表……エネルギー密度200Wh/kgで急速充電は15分(0〜80%)、スポーツ車や商用車にも最適化が可能 ★テラモーターズ、茨城県水戸市にEV用急速充電器を導入……「市立サッカー・ラグビー場」と「青柳公園」に最高出力50kWの機器を2024年度に設置予定 ★エネチェンジ、商工中金から包括的サポート……ESG推進のデット・プログラムに参加 ★小型EVのブレイズ、本社<名古屋市中村区>にて試乗会を開催……9月2日(土)〜3日(日)・9日(土)〜10日(日)、 ★日産、来季フォーミュラEのドライバーにオリバー・ローランドを再起用……サッシャ・フェネストラズとのコンビに デイリーEVヘッドライン[2023.08.31]

TAG: #THE視点 #V2X #充電インフラ
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
「ホンダ・クラリティ FUEL CELL」でEVイベントに参加……長距離走の燃費を計測してみた

第10回「ジャパンEVラリー白馬2023」に東京からFCEV自走で参加 7月22日(土)〜23日(日)、長野県白馬村にて日本EVクラブ/白馬EVクラブ共催によるEVのイベント「第10回ジャパンEVラリー白馬」が開催された。 筆者はこのイベントに関係者として数回参加をさせていただいている。いつもであれば東京より試乗車を自走で運ぶのであるが、今回は、現在日常の足として使用しているホンダの燃料電池車(FCEV)「クラリティ FUEL CELL」で参加した。 バッテリー式EVの長距離電費テストは本媒体でも行なっているが、FCEVでのそのようなレポートは少ないように思う。今回から数回に分けて、給水素事情も含めたFCEVの長距離インプレッションとともに、今年の「ジャパンEVラリー白馬」についてもレポートする。 準備はイベントの前々日から 「ジャパンEVラリー白馬」のスタッフを務める筆者は、開催の前日の7月21日に移動した。ただ、水素ステーションの開業時間との兼ね合いもあり、20日に水素をチャージしなけらばならなかった。22日に試乗車としても貸し出すため洗車も行なった。21日の移動は、途中1回の給水素を挟む予定である。 20日のチャージの時点での水素価格は1,210円/kg。その時点では現在のガソリン価格のように大きな価格変動はなかった。それにしても、ガソリンスタンドなら移動当日朝に給油できるが、開業時間の限られている水素ステーションを利用するFCEVではそうはいかないのがいささか不便だ。 水素満タン時点での「クラリティ」の後続可能距離は619kmと表示されていた(※撮影のタイミングにより写真と若干のズレがあります)。筆者の自宅から白馬村の目的地までの距離は275km。航続距離としては十分だが、試乗車として使用するので一度給水素を行なう。 関越自動車道と上信越自動車道のSAには水素ステーションがないので、須坂長野東ICを降りた先にあるステーションを利用する。そこまでの距離はナビ上で222km。長野県唯一の水素ステーションで、そこで給水素ができなければ試乗車としての使用と帰還が危機的状況になってしまう。ちなみにこのステーションが昨年新しくできたからこそ、FCEVでの参加を決断した。 筆者の自宅を10時に出発し、16時に白馬に到着する計画だが。うまくゆくか……。

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