#SUV
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
BYD「ドルフィン」は日本製EVの脅威となるか。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

コンパクトSUV「ATTO 3」を携えて、いよいよ本年日本での本格展開をスタートしたBYD。彼らが送り込む第2のモデルが、コンパクトハッチバックタイプの「ドルフィン」だ。2023年9月20日より販売を開始する小さな“刺客”は、いかなる実力を備えているのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオがいち早くプロトタイプに試乗した。価格に関する記事はこちら。 フォルクスワーゲン ゴルフに近いサイズ感 BYDが「ドルフィン」なるBEVハッチバックを、2023年9月20日から日本で発売する。このリポートはひと足先に「プロトタイプ」(発売前のモデルをそう呼ぶこともある)に試乗してのものだ。 ひとことで乗った感想を書くと、驚いた。驚いただけでは、やっぱり、短すぎる。驚いた理由は、期待以上によく出来ていたからだ。快適で、操縦性が高く、利便性も高そうだ。 ドルフィンは、全長4290mm、全幅1770mm、全高1550mm。近い数値のクルマを探すと、フォルクスワーゲン・ゴルフが全長4295mm、全幅1790mm、全高1475mmだ。 ゴルフと比較すると明確にわかるのは、ドルフィンは全高が高く、ハッチバックというよりSUV的な、いわゆるクロスオーバー車型であることだ。 電気モーターをフロントに搭載した前輪駆動方式で、ドライブトレインがコンパクトにできるBEVゆえパッケージングに秀でており、ホイールベースはゴルフより80mm長く2700mmもある。 BYD車は、駆動モーター、トランスミッション、DC-DCコンバーター、モーターコントロールユニット、車両コントロールユニット、オンボードチャージャー、バッテリーマネージメントシステム、高圧配電モジュールをまとめた「8-in-1電動パワートレインシステム」を採用。そのメリットとして、メーカーでは「重量は15%、体積は20%低減し、空間効率の最大化を実現」したとしている。 「e-プラットフォーム3.0」と呼ばれるシャシーに、BYDが独自開発したブレードバッテリーという薄いセルを集めたバッテリーパックを敷き詰めるようにして搭載。 ブレードバッテリーは、熱安定性の高いリン酸鉄リチウムを使っていて、「熱安定性の問題を解決している」と、BYD。 ちなみに、2023年1月に日本導入された初のBYDモデルである「ATTO 3」は、全長が4455mm、全高が1615mm、ホイールベースが2720mmと、ドルフィンより大きい。 ドルフィンのメリットは、数値からわかるとおり、よりパッケージングの効率がいいことと、立体式駐車場にも入れられるところにある。シャークアンテナの形状を変更して、1550mmに全高を抑えているそうだ。

TAG: #BYD #SUV #コンパクトカー
TEXT:TET 編集部
新モデル「iX1 eDrive20」がBMWのEVに追加。実質500万円前後で購入可能かも?

独BMWは9月5日、バッテリー電気自動車(BEV)である「iX1」に、新グレード「iX1 eDrive20」を設定し、発表した。 BMWの新たな電動エントリーSUV BMWがSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶSUVシリーズのうち、最もサイズの小さい「X1」をベースに、パワートレーンを電動化した「iX1」。今年2月にフルモデルチェンジした同モデルに、お手頃な新グレード「iX1 eDrive20」が追加された。 全長4,500mm×全幅1,835mm×全高1,620mmというボディサイズは、都市生活者にもピッタリのサイズ感だったが、従来のグレード構成は、前後ツインモーターのAWDパワートレインが最高出力272psを発揮する「iX1 xDrive30」のみ。スタート価格はBMWのBEVの中では最も安価ではあったものの、698万円となかなかの高額となっていた。 こうした状況のなか、よりリーズナブルなEVを求める人に朗報となるのが、今回本国で発表されたeDrive20だ。パワートレーンは204hp(約207ps)を発揮するシングルモーターによるFWD。xDrive30に比べると2割程パワーで及ばないが、0-100km/h加速は8.6秒、最高速度は170km/h(リミッター作動)と、街乗りには十分なスペックを確保している。駆動方式も頻繁にスキー等のレジャーへ出かけるのでなければ、FWDで必要十分と考える人もいるだろう。 eDrive20のフロアに搭載されるバッテリーの容量は64.7kWh。日本仕様のxDrive30が66.5kWhであるのに対し、若干小さい容量となるが、その差は微々たるもの。また、eDrive20の航続距離(WLTP暫定値)は、最大475kmとアナウンスされており、日本仕様のxDrive30(最大465km)よりも若干伸びている。基準等の差異による影響はあるにしても、xDrive30とeDrive20はほぼ同程度の航続距離と考えていいだろう。 >>>次ページ 車両価格は約600万円。補助金を利用できるとすれば……

TAG: #iX1 #SUV #ニューモデル
TEXT:小川フミオ
「EQE SUV」が日本発表! 取り回し良し、使い勝手良し、スタイリング良しのBEV SUV

スタイリングはいい意味で“フツウ” メルセデス・ベンツが手がける「EQE SUV」は、余裕あるサイズのSUVタイプのBEV。2023年8月25日に日本で発表・発売された。 特徴について「リアアクスルステアリングによって、最小回転半径は4.8メートルと、よりコンパクトなクルマなみの扱いやすさ。日本の道路事情によく合ったサイズです」 発表会場で登壇した、メルセデス・ベンツ日本営業企画部の上野麻海部長は、上記のように述べて、このモデルへの期待をにじませた。 印象的だったのは、スタイリングだ。いい意味で“フツウ”。奇をてらわないデザインだ。 「メルセデスの革新的な美しさと、伝統的なSUVデザインをみごとに融合したエクステリアには、新世代のダイナミズムとメルセデスならではのエレガンスが息づいています」 上野部長は、同時にお披露目された「EQE350 4MATIC SUV」と、高性能の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」の前に立ち、デザイン的な特徴について簡潔にまとめた。 メルセデス・ベンツが「ブラックパネルユニット」と名付けた、ICEならフロントグリルに相当する、独自の黒色のパネルがユニークだ。マスクのようにも見えるパネルの裏にはカメラをはじめセンシングユニットが収められている。 上記2モデルは、フロントマスクも差異化されている。 「AMGライン」エクステリアが標準となるEQE350 SUV のフロントバンパーは、「Aウイング・デザイン」とメーカーから呼ばれるテーマが採用されている。左右エアインテークとフリックを拡大。さらに下部にクロームトリムをアクセントに配したのが特徴だ。 EQE53 4MATIC+ SUVは、よりスポーティ。左右一文字のLEDによる「ライトバンド」がまず目をひく。ブラックパネルは、AMGバッジをもつ専用縦型。Aウイングは、ハイグロスブラックタイプとなる。 電気自動車専用プラットフォームならではのインテリア 室内は、デジタライゼーションがあらゆるところにほどこされている。代表的な装備は「MBUXハイパースクリーン」。コックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、助手席用有機ELフロントディスプレイあをわせて3枚の高精細パネルを1枚のガラスで覆った「ワイドスクリーン」採用だ。 おもしろいのは、センターコンソールのデザイン。前部はダッシュボードにつながって、いっぽう下側は宙に浮いたような形状としている。 「これは、電気自動車専用プラットフォームの採用により、従来のようなセンタートンネルが必要なくなったことを視覚的に示しています」と、プレス向け資料ではBEVの要素がデザインに取り込まれたと説明している。 もうひとつのデジタライゼーションは、メーターディスプレイ。走行モードなどで変更可能だ。 EQE 350 SUV では、「スポーティ」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の7 つ。 EQE53 4MATIC+ SUVのばあい「TRACK PAC」「Supersport」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の8つとなる。 上記といちぶが重なるドライブトレインの設定(EQE 350 SUVでは、「Comfort 」「Sports」「ECO」「Individual 」「Offroad」)で、パワートレイン、ESP、サスペンション、ステアリングの特性変更が選べる。 日本ではまず「ローンチエディション」が発売される。 「EQE 350 SUVローンチエディション」は、1369万7000円で、デリバリーは発表日と同日から。「EQE53 4MATIC+ SUVローンチエディション」は1707万円で、デリバリーは10月からと、メルセデス・ベンツ日本ではしている。 <了>

TAG: #EQE SUV #SUV #メルセデス・ベンツ
TEXT:烏山 大輔
ロータスの電動SUV「エレトレ」が日本上陸!価格は2,332万円から、年内に500台の受注目標

ロータスの日本における代理店エルシーアイは9月1日、同ブランド初のSUVかつBEV(バッテリー電気自動車)の「エレトレ」を日本で初披露した。 素のエレトレは後日発表 「エレトレ」には、エレトレ、エレトレS、エレトレRの3つのグレードがあるが、今回導入されたのはエレトレS(2,332万円)とエレトレR(2,585万円)だ。 「素のエレトレ」は、価格やスペックも含めて今後発表される。 3グレードともに前後にモーターを搭載したAWDで、エレトレとエレトレSは450kW(612ps)/710Nm、0-100km/h加速4.5秒、最高速度258km/h、航続距離600km(WLTP)というスペックだ。 エレトレRは、675kW(918ps)/985Nm、0-100km/h加速2.95秒、最高速度265km/h、航続距離490km(同)の性能を誇る。 6月17日に開始した予約販売開始以来、これまでに約100台を受注している。さらに年末までに合計500台と意欲的な受注目標に掲げている、と関係者から話を聞くことができた。納車は来年の夏以降を予定している。

TAG: #SUV #エレトレ #ロータス
TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツ「EQE SUV」を発売!BEV7車種目は、日本の道路事情に合ったサイズとAMGモデルを設定

メルセデス・ベンツ日本は、8月25日にSUVタイプのBEV「EQE SUV」を発売した。「EQE350 4MATIC SUV」「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」の2モデルを投入。 EQE SUVにはAMGモデルを設定 メルセデス・ベンツが手がけるSUVタイプのBEV「EQE SUV」が、2023年8月25日に国内発売された。500キロを超える巡航距離、AMGモデルの設定、V2H給電システムの採用と、特徴の多いモデルだ。 これで、BEVは7台目になるので、たいしたいきおいだ。「日本市場の可能性は大きい」と、東京都内の大きなホテルの発表会の席上で、来日したメルセデス・ベンツ・グループのオラ・ケレニアス取締役会会長は語っている。 日本に導入されるEQE SUVは、2モデル。「EQE350 4MATIC SUV」と、高性能版の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」だ。 EQE SUVは、2022年9月に日本導入されたBEVのセダン「EQE」と基本プラットフォームを共用。さらにセグメントではより上級のEQS SUVとも同じプラットフォームを使う。 EQS SUVとの差異は、サイズと走行距離。EQS450 4MATIC SUVと比較した場合、全長4,880ミリのEQE SUVはマイナス250ミリとなる。 航続距離では、528キロのEQE SUVはマイナス65キロというぐあい。いっぽう、メルセデスAMGによる高性能モデルの設定はEQEのみだ。 ボディサイズは、EQE350 4MATIC SUVの場合、全長4,880ミリ、全幅2,030ミリ。さきにEQS SUVよりコンパクトとしたが、それでもじゅうぶん余裕あるサイズだ。   シームレスデザインでCD値0.25 EQE SUVにおけるパワートレインのレイアウトは、メルセデス・ベンツ仕様も、メルセデスAMG仕様もともに、2基のモーターを使い、全輪駆動と共通。 前後アクスルに「eATS」なる電動パワートレインを搭載。三相の巻線を2つ備える六相式により「きわめて強力」(メルセデス・ベンツ)と謳われる電気モーターには永久磁石同期モーター(PSM)を採用。ACモーターのローターに永久磁石を採用しているため、ローターに通電の必要がないというのも特徴といえる。 ユニークなのは、ICEでいえば燃料消費率に相当する一充電あたりの走行距離を長くするための工夫。 前記「eATS」にディスコネクトユニットなる機構を組み込んでいる。低負荷時にフロントモーターをクラッチを用いて切り離すことで、走行抵抗を低減するというもの。 CD値0.25という極端に低い空気抵抗値のボディデザインも”省エネ”対策といえる。ボディは各パネル間のギャップを可能なかぎり埋めるという凝った設計で、格納式ドアハンドルなどとともに、質感と空力に大きな影響をもたらしているはず。 EQE350 4MATIC SUVは、システム最高出力215kW、システム最大トルク765Nm。駆動用バッテリーは、リチウムイオンタイプで、容量は89kWhと大きい。 メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUVは、よりスポーティだ。駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は90.6kWhに上がる。が、8月25日の発表段階では、「まだ認証がおりていない」と、日本仕様における最高出力と最大トルク、それに走行距離は未発表。 サスペンション形式は、フロントが4リンク、リアがマルチリンク式。連続可変ダンパーとエアサスを組み合わせた「AIRMATIC」が標準装備となる。 AMG EQE53 4MATIC+ SUVでは、さらに専用装備として、前後にアンチロールバーをそなえ、さらに、走行状況に応じて結合あるいは切り離しを電子制御する「AMGアクティブライドコントロール」が組み合わせられる。     […]

TAG: #EQE SUV #SUV #メルセデスベンツ
TEXT:生方 聡
「iX」は走りも上質 プレミアムSUVと呼ぶにふさわしい出来映え [BMW iX試乗記]

CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み込んだ軽量構造ボディや4輪アダプティブエアサスペンションを標準装着する「iX」の走りをチェック。プレミアムSUVとしての実力は? 軽量化と低重心が生み出す極上の走り BMWが新しい「テクノロジー・フラッグシップ」と謳うiXには、最新のテクノロジーが惜しみなく投入されている。たとえば、高張力鋼板とアルミニウム、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み合わせた軽量構造ボディもそのひとつで、軽量化と高いボディ剛性を両立しているという。とはいえ、111.5kWhの大容量バッテリーを搭載するiX xDrive50の車両重量は2,560kgに及び、BMW自慢の“駆けぬける歓び”とはほど遠い走りを予想していたのだが……。 実際にクルマを走らせてみると、iXは動き出しが軽く、重量級であることをすぐに意識しなくなった。しかも、コーナーでは低重心のデザインと4輪アダプティブエアサスペンションにより、SUVに付きもののロールやピッチングはきっちりと抑え込まれ、安定しきった姿勢のまま、思いどおりに向きを変えるスポーティさはまさに駆けぬける歓びである。 一方、乗り心地はプレミアムSUVにふさわしい快適なもの。高速走行時により引き締まった乗り心地を望むならスポーティな設定を選ぶこともできるが、それでも乗り心地が損なわれることはなく、しなやかにボディの動きをコントロールする巧みさには感心するばかりだ。 テクノロジー・フラッグシップのiXだけに、運転支援システムの充実もうれしいところ。高速道路の渋滞時、速度が60km/hを下回ったところで、ステアリングホイールから手が放せる「ハンズオフ・アシスト」は完成度も高く、渋滞のストレスが格段に低減。利用できる速度の上限がさらに上がると文句なしである。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:生方 聡
速いだけじゃない! BMW iXの知的な回生ブレーキにも注目だ! [BMW iX試乗記]

システム最高出力523psを誇る「BMW iX xDrive50」。その加速は想像以上だった! アクセルひとつで高級車にもスポーツカーにも スタートボタンを押す儀式が省かれたEVが増えるなか、このiXはキラキラと輝くクリスタル製のスイッチを操作してはじめて走行可能な状態になる。やはりクリスタルのシフトレバーでDレンジを選んでブレーキペダルを緩めると、iXはゆっくりとクリープを始めた。 まずは様子見でアクセルペダルを軽く踏んでみると、iX xDrive50は余裕ある加速を見せ、2,560kgの車両重量が嘘のように思えるほどである。しかも動きは滑らかで、走り出した瞬間からiXの高級車としての資質を思い知らされた。 一般道でも高速道路でも、アクセルペダルを深く踏み踏み込む必要はなく、たいていのシーンではパワーメーターの表示上せいぜい25%程度で、加速は事足りてしまう。しかも、アクセルペダル操作に対してモーターは瞬時に反応し、即座にスピードを上げるiXは、ストレスとは無縁である。 アプローチが短い高速の合流などの場面で、アクセルペダルに載せた右足に力をこめると、圧倒的な加速に襲われる。その際、キャビンに響くブーンという効果音がなんとも未来的だ。iX xDrive50のパフォーマンスはスポーツカー顔負けといえるが、その実力を解き放つ機会がなかなかないというのが悩ましいところである。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:小川フミオ
シンプルすぎる? インテリアの秘密とは。新型EV「EX30」製品責任者が語る、ボルボのDX化

EX30のシンプルなインテリアへの驚きを、小川フミオはプロダクト責任者へ話す。ユーザーエクスペリエンスを第一に考えた、と応えるヘルマンソン氏の言葉には、クルマのDX化へのコンセプトが見える。 シンプルなインテリアにある新たな体験 ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。BEVとして開発された車両なので、さまざまな部分でデジタライゼーションが進んでいる。 そのうちのひとつが、ユーザーエクスペリエンス。EX30の特徴として、物理的なスイッチを極力減らして、ダッシュボード中央のモニターに多くの機能を集約している。 一見、あまりにもシンプルに見えるかもしれないが、じつは使うひとのことをより深く考えた結果のデザインなのだと、EX30のプロダクト全体の責任者であるヨアキム・ヘルマンソン氏は言う。 −−今回のEX30のインテリアデザインを初めて見たとき、あまりにもシンプルなのにびっくりしました。マーケットでも、ややシンプルすぎないかという批評はありませんか。 「UX(ユーザーエクスペリエンス)については、センターディスプレイにでてくる情報を必要なものが必要なときにだけ表れるというふうにしました。そのとき必要でないと思われる情報は表示しない。駐車場にいるときは、駐車のために車両をするにあたって必要な情報だけ。ハイウェイではハイウェイ、カントリーロードではカントリーロードを走行するときに必要な情報だけが出てくるようにしています」 −−ミラノでのEX30の発表会のとき、詳しく説明してもらったことがあります。画面がいくつかに分割されますね。トップにくる情報とか、もっとも大きくモニターに表示される情報とか。そこが興味ぶかかったです。 「必要なものだけに集中できるようにデザインしています。縦型のモニターのレイアウトを活かして、表示をいくつかに分けています。もっとも眼がいきやすいところに、その時点でもっとも重要と思われる情報を出します。もちろん、情報を見るだけでなく、オーナーは、アンペア数、最大充電レベル、充電を開始するタイミングなどをモニターで設定することもできます。使いやすさこそ重要だというのが、私たちの結論でした」 オーナーとクルマがつながる −−コネクティビティも強化しているのですね。 「アプリケーションを充実させて、EX30用に開発されたアプリケーションをダウンロードしてもらうことで、ユーザーがパーソナライゼーション、つまり自分仕様に仕立てやすいようにしています。発注の時点で、オーダーした車両にコネクトできるようになっているのです」 −−それはユニークな考えです。 「納車までにいろいろな仕様を整えることが出来ます。そして納車された時点で、クルマのセンターディスプレイにQRコードが表示されています。それを自分のスマートフォンでスキャンすれば、オーナーとクルマとがコネクトするのです。サードパーティのアプリケーションも、Google搭載の最新版のインフォテインメントシステムも使用できます。さらにオーバージエア(OTA)によるアップデートも可能です」 −−クルマを自分仕様に、というアイディアが最初から確立されているのが興味ぶかいです。ちなみにOTAでアップデートされるものは何でしょうか。 「インフォテイメント関連が中心ですが、なかにはアクティブセーフティのシステムも含まれてくると思います。あいにく現時点で詳細をお伝えすることはできません。どうぞ楽しみにしていてください」 <了>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:小川フミオ
「小さなボルボ」は本当に安全? プロダクト責任者が語るボルボ独自の取り組み

ボルボが長年培ってきた安全性を、コンパクトBEVの分野へどのように投じたのか。プロダクト責任者が語る小ささに込めた安全設計。 「安全のボルボ」を、コンパクトなBEVへ EX30とともに本社から来日した、ヨアキム・ヘルマンソン氏へのインタビュー第2弾。 2023年中に日本で発売される予定の、コンパクトサイズのバッテリー駆動のSUVであるEX30。日本でも大きな成功が期待されている。 そこで、開発の舞台裏を、プロダクト全体の責任者であるヘルマンソン氏に訊ねてみた。 −−ボルボがいかに安全性について長年の経験を謳っても、EX30と、大型SUVであるEX90は、どちらもBEVですから、従来のICE車とは違うむずかしさもあったのでは、と想像しました。 「そうです。たとえば、ボディはさまざまな高張力鋼板を使って、スチールケージ構造にしました。EX30には、従来のICEと違い、大型のバッテリーというあらたな“乗員”もいます。衝突においてはこれを守らなくてはなりません。最新のコンセプトに基づいてアルミニウムによるハニカム構造の、バッテリープロテクションも採用しています」 −−バッテリー搭載のシャシーと、ボディとは分離した設計が採用されていますか? たとえば、フォルクスワーゲンがいま使っているMEBプラットフォームのように、バッテリーを敷き詰めたシャシーのうえにキャビンを置くようなイメージのアーキテクチャーでしょうか。 「そうです。いわゆるプラットフォームというバッテリーを敷き詰めた部分と、キャビンを含めたボディとは分離したかたちの設計です。私たちはエレクトリックアーキテクチャーと呼んでいますが、いわゆるプラットフォームには、バッテリーとモーターを搭載しています」 行き交う人々へも。都市ならではのリスクを回避する −−安全性についてもういちど、教えてもらいたいことがあります。衝突時の安全性、いわゆるパッシブセーフティについて、そうとう研究を重ねた模様ですが、事故を回避するアクティブセーフティについてはどんなことを実現しましたか。 「EX30は全長4,235ミリしかない、小さなパッケージでありながら、ボルボ独自の安全基準を満たしています。とくにここで強調したいのは、都市部で走る際の安全機能です。たとえば、通行中の自転車や電動キックボードなど他の交通利用者の前でドアを開けようとすると、音と視覚で警告する『ドア・オープニング・アラート』をすべての前後左右のドアに搭載。最先端の技術により、都市部を走行する際の安全性を、さらに、次のレベルにまで引き上げています」 −−すりぬけ時に、歩行者をはじめ、自転車やバイクと接触事故が起きる、というのは、都市部でありがちな事故ですね。 「前方を他の車両が不意に横切った際、自動ブレーキで車を停止させ、衝突の回避や軽減をサポートする新たな機能が加わった「インターセクション・サポート」も搭載。ドライバーサポートの面では、DAC(ドライバー・アラート・コントロール)なる安全装備も搭載しました。ボルボ独自のアルゴリズムで作動する特別なセンサーを使い、 1 秒間に約 13 回、ドライバーの眼や顔の動きを検知し、注意散漫や眠気などが認められたばあい、それについて警告するのがDACです」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:生方 聡
戸惑うくらいに新鮮! 次世代電気自動車のiXはデザインも斬新 [BMW iX試乗記]

“次世代電気自動車”を謳う「BMW iX」だけに、エクステリアもインテリアも戸惑うくらいに新鮮さが溢れている。 グリルは大きく、ライトは細く BMWのエクステリアを特徴づけているものといえば、“キドニーグリル”と呼ばれるラジエターグリル。最近はその大型化が著しく、このiXも例に漏れない。写真で見るかぎりは、「ちょっとやりすぎでは?」というのが正直な感想だった。しかし、実車を目の当たりにすると、「これはありかも!」と思えてくるから不思議である。 EVのiXでは、エンジン車のように大量の空気を取り込む必要はない。実際、大型のギドニーグリルにはラジエターに空気を取り込む開口部がなく、透明のカバーで覆われているから、その印象はさらに強烈だ。しかし、ギドニーグリルの大型化は単にデザイン上のメリットだけでなく、機能性の向上にも貢献している。その背後には運転支援システム用のカメラやレーダーが収まり、さらに降雪時には雪を融かすヒーターがパネルに一体化されているのだ。これに、細長いLEDヘッドライトが組み合わされたことで、iXのフロントマスクはこれまでのモデルとは大きく異なる表情を見せているのである。 押しの強いフロントマスクとは対照的に、塊感が強いiXのエクステリアからはシンプルでクリーンな印象を受ける。BMWのSUVとして初めてサッシュレスドアを採用したり、ドアハンドルをドアパネルに一体化したり、リアピラーの黒い部分に「iX」のロゴを刻んだりするのも、サイドビューの新しさを際だたせている。右リアのフェンダーには、フラップの奥に普通充電と急速充電のコネクターが収まっている。 ドアを開けるとCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)のサイドシルが目に入る。テールゲートを開けたときにもCFRPのボディに視線を奪われ、そのたびにiXが特別なクルマであることを強く印象づけられる。

TAG: #BMW #iX #SUV

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