#SUV
TEXT:小川フミオ
シンプルすぎる? インテリアの秘密とは。新型EV「EX30」製品責任者が語る、ボルボのDX化

EX30のシンプルなインテリアへの驚きを、小川フミオはプロダクト責任者へ話す。ユーザーエクスペリエンスを第一に考えた、と応えるヘルマンソン氏の言葉には、クルマのDX化へのコンセプトが見える。 シンプルなインテリアにある新たな体験 ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。BEVとして開発された車両なので、さまざまな部分でデジタライゼーションが進んでいる。 そのうちのひとつが、ユーザーエクスペリエンス。EX30の特徴として、物理的なスイッチを極力減らして、ダッシュボード中央のモニターに多くの機能を集約している。 一見、あまりにもシンプルに見えるかもしれないが、じつは使うひとのことをより深く考えた結果のデザインなのだと、EX30のプロダクト全体の責任者であるヨアキム・ヘルマンソン氏は言う。 −−今回のEX30のインテリアデザインを初めて見たとき、あまりにもシンプルなのにびっくりしました。マーケットでも、ややシンプルすぎないかという批評はありませんか。 「UX(ユーザーエクスペリエンス)については、センターディスプレイにでてくる情報を必要なものが必要なときにだけ表れるというふうにしました。そのとき必要でないと思われる情報は表示しない。駐車場にいるときは、駐車のために車両をするにあたって必要な情報だけ。ハイウェイではハイウェイ、カントリーロードではカントリーロードを走行するときに必要な情報だけが出てくるようにしています」 −−ミラノでのEX30の発表会のとき、詳しく説明してもらったことがあります。画面がいくつかに分割されますね。トップにくる情報とか、もっとも大きくモニターに表示される情報とか。そこが興味ぶかかったです。 「必要なものだけに集中できるようにデザインしています。縦型のモニターのレイアウトを活かして、表示をいくつかに分けています。もっとも眼がいきやすいところに、その時点でもっとも重要と思われる情報を出します。もちろん、情報を見るだけでなく、オーナーは、アンペア数、最大充電レベル、充電を開始するタイミングなどをモニターで設定することもできます。使いやすさこそ重要だというのが、私たちの結論でした」 オーナーとクルマがつながる −−コネクティビティも強化しているのですね。 「アプリケーションを充実させて、EX30用に開発されたアプリケーションをダウンロードしてもらうことで、ユーザーがパーソナライゼーション、つまり自分仕様に仕立てやすいようにしています。発注の時点で、オーダーした車両にコネクトできるようになっているのです」 −−それはユニークな考えです。 「納車までにいろいろな仕様を整えることが出来ます。そして納車された時点で、クルマのセンターディスプレイにQRコードが表示されています。それを自分のスマートフォンでスキャンすれば、オーナーとクルマとがコネクトするのです。サードパーティのアプリケーションも、Google搭載の最新版のインフォテインメントシステムも使用できます。さらにオーバージエア(OTA)によるアップデートも可能です」 −−クルマを自分仕様に、というアイディアが最初から確立されているのが興味ぶかいです。ちなみにOTAでアップデートされるものは何でしょうか。 「インフォテイメント関連が中心ですが、なかにはアクティブセーフティのシステムも含まれてくると思います。あいにく現時点で詳細をお伝えすることはできません。どうぞ楽しみにしていてください」 <了>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:小川フミオ
「小さなボルボ」は本当に安全? プロダクト責任者が語るボルボ独自の取り組み

ボルボが長年培ってきた安全性を、コンパクトBEVの分野へどのように投じたのか。プロダクト責任者が語る小ささに込めた安全設計。 「安全のボルボ」を、コンパクトなBEVへ EX30とともに本社から来日した、ヨアキム・ヘルマンソン氏へのインタビュー第2弾。 2023年中に日本で発売される予定の、コンパクトサイズのバッテリー駆動のSUVであるEX30。日本でも大きな成功が期待されている。 そこで、開発の舞台裏を、プロダクト全体の責任者であるヘルマンソン氏に訊ねてみた。 −−ボルボがいかに安全性について長年の経験を謳っても、EX30と、大型SUVであるEX90は、どちらもBEVですから、従来のICE車とは違うむずかしさもあったのでは、と想像しました。 「そうです。たとえば、ボディはさまざまな高張力鋼板を使って、スチールケージ構造にしました。EX30には、従来のICEと違い、大型のバッテリーというあらたな“乗員”もいます。衝突においてはこれを守らなくてはなりません。最新のコンセプトに基づいてアルミニウムによるハニカム構造の、バッテリープロテクションも採用しています」 −−バッテリー搭載のシャシーと、ボディとは分離した設計が採用されていますか? たとえば、フォルクスワーゲンがいま使っているMEBプラットフォームのように、バッテリーを敷き詰めたシャシーのうえにキャビンを置くようなイメージのアーキテクチャーでしょうか。 「そうです。いわゆるプラットフォームというバッテリーを敷き詰めた部分と、キャビンを含めたボディとは分離したかたちの設計です。私たちはエレクトリックアーキテクチャーと呼んでいますが、いわゆるプラットフォームには、バッテリーとモーターを搭載しています」 行き交う人々へも。都市ならではのリスクを回避する −−安全性についてもういちど、教えてもらいたいことがあります。衝突時の安全性、いわゆるパッシブセーフティについて、そうとう研究を重ねた模様ですが、事故を回避するアクティブセーフティについてはどんなことを実現しましたか。 「EX30は全長4,235ミリしかない、小さなパッケージでありながら、ボルボ独自の安全基準を満たしています。とくにここで強調したいのは、都市部で走る際の安全機能です。たとえば、通行中の自転車や電動キックボードなど他の交通利用者の前でドアを開けようとすると、音と視覚で警告する『ドア・オープニング・アラート』をすべての前後左右のドアに搭載。最先端の技術により、都市部を走行する際の安全性を、さらに、次のレベルにまで引き上げています」 −−すりぬけ時に、歩行者をはじめ、自転車やバイクと接触事故が起きる、というのは、都市部でありがちな事故ですね。 「前方を他の車両が不意に横切った際、自動ブレーキで車を停止させ、衝突の回避や軽減をサポートする新たな機能が加わった「インターセクション・サポート」も搭載。ドライバーサポートの面では、DAC(ドライバー・アラート・コントロール)なる安全装備も搭載しました。ボルボ独自のアルゴリズムで作動する特別なセンサーを使い、 1 秒間に約 13 回、ドライバーの眼や顔の動きを検知し、注意散漫や眠気などが認められたばあい、それについて警告するのがDACです」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:生方 聡
戸惑うくらいに新鮮! 次世代電気自動車のiXはデザインも斬新 [BMW iX試乗記]

“次世代電気自動車”を謳う「BMW iX」だけに、エクステリアもインテリアも戸惑うくらいに新鮮さが溢れている。 グリルは大きく、ライトは細く BMWのエクステリアを特徴づけているものといえば、“キドニーグリル”と呼ばれるラジエターグリル。最近はその大型化が著しく、このiXも例に漏れない。写真で見るかぎりは、「ちょっとやりすぎでは?」というのが正直な感想だった。しかし、実車を目の当たりにすると、「これはありかも!」と思えてくるから不思議である。 EVのiXでは、エンジン車のように大量の空気を取り込む必要はない。実際、大型のギドニーグリルにはラジエターに空気を取り込む開口部がなく、透明のカバーで覆われているから、その印象はさらに強烈だ。しかし、ギドニーグリルの大型化は単にデザイン上のメリットだけでなく、機能性の向上にも貢献している。その背後には運転支援システム用のカメラやレーダーが収まり、さらに降雪時には雪を融かすヒーターがパネルに一体化されているのだ。これに、細長いLEDヘッドライトが組み合わされたことで、iXのフロントマスクはこれまでのモデルとは大きく異なる表情を見せているのである。 押しの強いフロントマスクとは対照的に、塊感が強いiXのエクステリアからはシンプルでクリーンな印象を受ける。BMWのSUVとして初めてサッシュレスドアを採用したり、ドアハンドルをドアパネルに一体化したり、リアピラーの黒い部分に「iX」のロゴを刻んだりするのも、サイドビューの新しさを際だたせている。右リアのフェンダーには、フラップの奥に普通充電と急速充電のコネクターが収まっている。 ドアを開けるとCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)のサイドシルが目に入る。テールゲートを開けたときにもCFRPのボディに視線を奪われ、そのたびにiXが特別なクルマであることを強く印象づけられる。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:小川フミオ
ボルボEX30がついに上陸!日本を意識したコンパクト・モデルへの思いをプロダクト責任者に訊く

ボルボEX30の発表にはスウェーデン本社からプロダクトに関わる人物たちが出席。様々な部門からインタビューをとおして、コンパクトBEVを創り上げたスカンジナビアン流儀を深掘りしていく。 日本重視のEX30 ボルボ・カー・ジャパンが2023年8月24日に新型BEV「EX30」を日本で発表した。 東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」にジャーナリストを集めて行われた発表会には、スウェーデン本社からも重要な関係者が何人も出席。 ボルボ本社が日本市場をいかに重要視しているか。それが、開発やデザインやマーケティングといった部門で重要なポジションに就くひとたちの顔ぶれからも知れる気がした。 日本でまず発表されたのが、NMCバッテリー+シングルモーターで、最大480kmの航続距離を持つ中間グレード。「Ultra Single Motor Extended Range」などとも呼ばれる。 本国のラインナップでは加えて、やや性能は劣るが廉価のLFPバッテリー+シングルモーター(リアモーターで後輪駆動)の「市街地向け」仕様がその下に。 上には、315kW(428ps)のハイパワーを持つNMCバッテリー+ツインモーターによる全輪駆動仕様で、スポーツカーなみに静止から時速100kmまで3.6秒しかかからない高性能仕様もある。 ボルボ・カー・ジャパンによると、2023年の導入にあたっては、NMCバッテリーとシングルモーターの中間グレード(サブスクキャンペーン対象車でもある)のみ展開。 「追って、ほかのモデルの導入も計画しています」(広報担当者)とのこと。導入モデルを決定した背景は、「とりあえず日本でもっともニーズが高そうなスペックスなので」(同氏)と説明された。 標準的な機械式立体駐車場に対応するサイズに加え、ボルボ車に期待される安全性、サステナビリティ、最先端のテクノロジー、さらに、こだわりのスカンジナビアンデザインなどが、ボルボ・カー・ジャパンが挙げるEX30の特徴。 NMCバッテリーとシングルモーター車のベース価格は559万円。「プレミアムな電気自動車のSUVを、内燃エンジン搭載車両とほぼ同等の価格帯でご購入いただけます」(ボルボ・カー・ジャパン)とのこと。 じっさいに自治体の補助金を受けられれば、400万円台で購入できる可能性もあり、競争力の高いモデルといえる。 ヘルマンソン氏が語るコンパクト・ボルボへの哲学 冒頭で触れたとおり、EX30とともに本社から来日したひとりが、ヨアキム・ヘルマンソン氏。EX30プロダクト全体の責任者である。 「小さいことには大きな哲学があると私たちは信じています」とするのは、ボルボカーズのジム・ローワンCEO。 はたして、EX30には、どんな開発哲学が背景にあったのか、ヘルマンソン氏に、一問一答形式のインタビューで語ってもらった。 −−プロダクトの開発において、もっともたいへんだったのはどんなところですか。 「すぐに思いつくのは、安全設計です。EX30は、いちばん小さなボルボのSUVですが、これまでのプロダクトで重視してきた安全性を、ここでも、妥協せず最適化していくことに努力しました。小さいからといって、何かが簡単になるわけではないのです。なにしろボルボ車といえば安全性というイメージが強いので、それを裏切ってはいけません」 ヨアキム・ヘルマンソン(Joachim Hermannsson)プロフィール ボルボ・カーズEX30プロダクト全体責任者。ボルボでインテリア・ビジネス、製品定義など、複数分野でのマネージャーやマテリアル・エキスパートとして23年の経験を持つ。ボルボが手がけるEX30のプロダクト全体責任者として、技術面、デザイン、品質、コストを総合的に優れた製品へと導く役職を担っている。 <Vol.2へ続く>

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:烏山 大輔
「ボルボ EX30」のデザインに、テスラの影がちらつく

8月24日にいよいよ日本で発表されたEX30のデザインを観察すると、テスラのような合理化が見えてきた。良い意味でのコストダウンにもなっているこのデザインの考え方のほとんどに賛成だ。 ある意味テスラ超えの部分も 「テスラ モデルY」の物理スイッチは、ステアリングホイールのスポークにある二つと頭上のハザードスイッチ、ドアにはパワーウィンドウスイッチとドアオープナースイッチくらいだ。 そして今回のEX30は、ドアにスイッチはない。あるのはインナーハンドルだけだ。それではパワーウィンドウのスイッチはというと、フロント用のそれはアームレストの先端にあり、リア用はセンターコンソールの後端にある。 こうすることでドアのスイッチを無くし、コストダウンとともにすっきりしたデザインと物入れスペースを実現した。ドアからスピーカーをなくし、ダッシュボード上部の左右に広がるそれに置き換えたのも、「ドアからなるべく電装品を取り除くため」と考えると合点がいく。BEV(バッテリー電気自動車)はICE(内燃機関)車と異なり、車体前部のダッシュボード空間に余裕があるし、ドアから電装品を取り除くことは余分な配線をなくし軽量化につながるからだ。 ドアのロック/アンロックスイッチは、フロントのアームレスト先端にまとめられている。ドアミラーの角度調整や格納は、センターディスプレイでの操作になっているのだろう。テスラでさえ物理スイッチとして残していたハザードスイッチもディスプレイの右下に“収納”された。 このスイッチの統合は良いと思う。しかし実際の使用を想定すると、一つだけ難点なのは後席乗員が窓を開閉する際に、上体を前に倒しスイッチまで手を伸ばさなければならないことだ。 フタ付きのアイデアが新しいセンターコンソールのデザイン ICE車とは異なり、BEVではプロペラシャフトやマフラーを通すことを考える必要がなくなり、自由度が格段に向上したセンターコンソールをどうするかが、デザイナーの腕の見せ所ではないかと思っている。 EX30の場合は、2台のスマホ置き場がある。無線充電ができて、画面はきちんと見えやすい角度に作られており、かつスマホを差し込む部分が柔らかいゴム製のレバーのような構造で、スマホが動きにくい設計になっている。   さらにその手前のバッグなどが置けるスペースは、実は観音開きのフタになっていて、ここを開けるとUSB-C端子が2つ備わる収納スペースが現れる。使用頻度が少ないものや車から離れる際に、人目につかないようにしておきたいものをしまうのに重宝するだろう。 そんなセンターコンソールの上に位置するアームレストには、可動式の2つ分のカップホルダーがある。この可動部にはダンパーがついていてゆっくり前に出てくる、かつしっかりした作りで全く「ちゃちさ」を感じさせない。こういうふうに、コストをかけるところとコストをかけずともデザインでカバーできるところを、しっかり分けているのが素晴らしい。 デザインにコストをかけているところをもう一つ。筆者が体験した最近のクルマには、多数の色の中から1色を選択できるアンビエントライト機能を備えるモデルがあった。EX30では、5つのテーマを持つ同機能が装備されているのだが、それはただ1色で光るだけではなく、グラデーションするのだ。 例えばスウェーデンブランドらしいノーザンライト(オーロラ)モードでは、緑から青や紫へと色が変わっていく。夜間に高速道路のサービスエリアで充電中に、この優しい光と、それぞれのテーマに合ったアンビエントサウンドの流れる車内にいたら、とてもリフレッシュできるのではないかと思う。光り方が気になる方はボルボのウェブサイトを確認して欲しい。

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:生方 聡
100%電気自動車「iX」がBMWの未来を切り拓く [BMW iX試乗記]

BMWが新しい「テクノロジー・フラッグシップ」と位置づける電気自動車専用モデル「iX」に試乗。まずはその特徴を探ってみよう。 「iNEXT」から「iX」へ 同じドイツのメルセデス・ベンツとともに、いま急激にEVのラインアップを拡大しているBMW。同社のEVはモデル名が「i」で始まり、現在、iXに加えて、「i7」「i5」「i4」「iX3」「iX1」の6モデルを日本で販売しているが、iXは「テクノロジー・フラッグシップ」としてこれらを代表する存在である。 その誕生は2018年のロサンゼルスショーに登場した「ヴィジョン iNEXT」に遡り、その後、「iNEXT」を経て、2021年に市販版の「iX」が登場。日本でも2021年11月に発売となった。BMWの他のモデルが電気自動車とともにエンジン車を用意しているのに対して、iXは電気自動車専用モデルであり、さまざまな新技術を搭載することで、テクノロジー・フラッグシップであることを特徴づけている。 たとえば、高張力鋼板とアルミニウム、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み合わせた軽量構造ボディをはじめ、最新技術を投入したパワートレインである第5世代のBWM eDrive、他のモデルに先駆けて搭載するBMWカーブド・ディスプレイや6角形のステアリングホイールなど、挙げればきりがない。 さらに、大型化したキドニー・グリルや、クリアで力強さが漲るエクステリアがその存在を強烈に印象づけ、いやがうえにも新しい時代の幕開けを予感させるのが、このiXなのだ。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:烏山 大輔
ボルボ、「EX30」を発表!272ps、559万円のRWDから発売開始。立体駐車場に入る全高1,550mm

ボルボ・カー・ジャパンは、8月24日に3番目のBEV(バッテリー電気自動車)となる「EX30」を発表した。月額95,000円のサブスクリプションは10月2日から受付、通常販売は11月中旬より開始予定。年内の納車開始を予定している。 AWDモデルはおあずけ これまでTHE EV TIMESでも注目してきたEX30がついに日本で発表された。SUVのボディスタイルにもかかわらず、全高が1,550mm、全幅も1,835mmに抑えられたため、都市部に多い立体駐車場にも入る大きさだ。全長も4,235mmなので狭い道での取り回しも良さそうだ。 この1,550mmの全高は日本市場用に調整や“車高短化”されたわけではなく、もともとのサイズ。日本の担当者も「まさに日本のためのサイズ!」と胸をはっていた。 EX30には、ボルボ史上最速である0-100km/h加速3.6秒のAWDモデルもあり、注目していたが、このタイミングでの日本導入には至らなかった。関係者に聞くと「今後の展開を楽しみにしてください」とのことなので、いずれ日本にも入ってくることは間違いなさそうだ。 最初に日本導入されるのはRWDの中でも航続距離が480km(欧州参考値)と長い、エクステンデッドレンジバッテリーモデルだ。このモデルのバッテリー総容量は69kWhで、最大153kWの急速充電に対応しており、26分で10%から80%まで充電できる。 本国のウェブサイトを確認すると、バッテリーが51kWhのモデルもあるので、よりリーズナブルであろう「ノーマルバッテリー」モデルの導入があるのか、今後の発表を待ちたい。 2ヶ月で2,000台の意欲的な受注目標 10月2日から受付が始まるサブスクリプションは、300台限定で用意される。その内訳はモスイエローのボディカラーが100台、10月16日から受付開始となるクラウドブルーが200台だ。 サブスクリプションは、申込金や頭金が不要で、任意保険や諸費用も含まれ、最長24ヶ月の契約期間となる。3ヶ月前からの申し出で、ペナルティ無しでの解約も可能だ。ライバル車にあったように、年数が固定のリースではないところが、契約のハードルを下げることにつながるだろう。 通常の販売も11月中旬から開始予定だ。「オンラインで入手可能」だった「XC40 Recharge」と「C40 Recharge」とは異なり、ディーラーでじっくり実車を確認し、内外装カラーやオプションなどを営業マンと相談したいユーザーにとってはありがたい。 このような販売方法により、ボルボ・カー・ジャパンは、サブスクリプションの300台を含め、年内に2,000台の受注目標を掲げた。 昨年1年間に日本で新車販売されたBEVが約31,000台(軽自動車は除く、普通乗用車のみ)だったことを考えると、もし仮にこのペースで1年間販売できるとすれば、3台に1台がEX30になってしまうのだからすごい。 国や自治体の補助金を使えば、車両本体への支払額が400万円台に抑えられる559万円という価格、フレキシブルでハードルの低いサブスクリプション、日本に適したサイズも相まって、どこまでEX30が人気を呼ぶかに注目だ。 ボルボ EX30 Ultra Single Motor Extended Range 全長:4,235mm 全幅:1,835mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,650mm 車両重量:1,790kg 乗車定員:5名 一充電走行距離:480km(欧州参考値) 最高出力:200kW(272ps)/6,500-8,000rpm 最大トルク:343Nm(35.0kgm)/0-4,500rpm バッテリー総電力量:69kWh モーター数:後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:RWD フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ディスクブレーキ リアブレーキ:ディスクブレーキ タイヤサイズ:前後245/45R19 最小回転半径:5.4m 荷室容量:318L 車両本体価格:5,590,000円

TAG: #EX30 #SUV #ボルボ
TEXT:TET 編集部
EVに“速さ”を求める人へ。「メルセデスAMG EQE SUV」がアメリカで発売。日本価格は2,000万円超か

メルセデス・ベンツの米国部門は8月1日(現地時間)、電動高性能SUV「メルセデスAMG EQE SUV」を米国で発表した。AMGモデルということで気になるのは、そのパフォーマンス。航続距離は400km以上確保しつつ、パワーは600hpを余裕で超える性能が与えられているのだ。日本導入前にその内容をチェックしておきたい。   AMGモデルに相応しい豪華ぶり 「EQS」、「EQS SUV」、「EQE」に続く、バッテリー電気自動車(BEV)専用プラットフォーム「EVA2」を使った4番目のモデルとして登場したEQE SUVは、その名のとおり、ミドルクラスセダンEQEのSUVバージョンで、内燃機関モデルでいうと「GLE」に相当するモデルとなる。 既にグローバル市場では通常のメルセデス・バージョンである2WDの「EQE 300」および「EQE 350+」、4WDの「EQE 350 4MATIC」および「EQE 500 4MATIC」がリリースされていたが、今回パフォーマンスを極限まで高めたAMGバージョンが米国で発表された。 現地でのグレード構成は、具体的な名称こそ未詳ながら(欧州では『EQE 53 4MATIC+ SUV』の名で展開)、標準仕様と豪華装備を盛り込んだトップグレードの2種類が設定される。もちろん、標準仕様とはいえAMGモデルだけに装備はかなり充実しており、「AMG RIDE CONTROL+ アダプティブダンピングシステム付きエアサスペンション」、「アクティブリアアクスルステアリング」に加え、AMG以外のEQE SUVではオプションとなる「MBUXハイパースクリーン」も標準装備となる。特に、インストゥルメントパネルが1枚のガラスで覆われるMBUXハイパースクリーンは、高価なものの、アリとナシでコクピットの印象がガラリと変わるから全車標準化はうれしい。 これに加え、トップグレードでは、AMG独自のコンテンツを含んだヘッドアップディスプレイや、4ゾーンエアコンディショニングシステム、アクティブアンビエントライティングなどが装備され快適度がさらにアップする。米国での価格は標準仕様が10万9,300ドル(約1,565万円)、トップグレードが11万2,600ドル(約1,612万円)とされ、両者の差はわずかだから、おそらくほとんどのオーナーがトップグレードを選ぶのではないだろうか。 >>>次ページ 電動SUVにして最高速度は240km/hを達成

TAG: #SUV #メルセデスAMG #発売前モデル
TEXT:生方 聡
コンパクトSUVセグメントをリードするのは「iX1」かもしれない [BMW iX1試乗記]

強豪揃いのコンパクトSUVセグメントに戦いを挑む「BMW iX1」。走らせてわかったのは、その高い完成度。このセグメントのベンチマークといえる出来映えである。 車重を感じさせない軽快な走り エンジン車の「X1」とEVの「iX1」は、いずれも前:ストラット式、後:マルチリンク式のサスペンションが採用されている。このうち、X1のM Sportと、iX1の全グレードに「アダプティブMサスペンション」が搭載されている。標準に対して車高が20mm下がるとともに、長距離ドライブでの快適性やスポーティなハンドリングに貢献するという。 iX1のアダプティブMサスペンションは、電子制御ではなく、機械的にダンピングを変化させるため、走行モードを切り替えてもその特性は変わらない。標準サイズの18インチアルミホイールと225/55R18タイヤが装着される試乗車は、やや硬めの乗り心地に躾けられるぶん、高速走行時の姿勢変化は少なく、安定感はバッチリ。一方、一般道を比較的低い速度で走行する場面では軽いショックを伝えてきたり、目地段差を通過した際のハーシュネスをいなしきれなかったりすることも。それでも、街乗りで十分許容できるレベルの快適さを確保している。 前1,030kg、後1,000kgとほぼ均等な前後重量バランスと、床下にバッテリーを積む低重心の設計のiX1は、車両重量や背の高さを感じさせない軽快感あるハンドリングを示す。このあたりのスポーティな味付けは、さすがBMWと感心させられるところだ。

TAG: #BMW #iX1 #SUV
TEXT:生方 聡
「BMW iX1」に“駆けぬける歓び”はあるか? [BMW iX1試乗記]

BMWなら、どんなモデルであってもスポーティな走りを期待する人は多いはずだ。EVの「iX1」でも“駆けぬける歓び”を感じ取ることはできるだろうか? 乗り手次第でジェントルにもスポーティにも “ドライバーオリエンテッド”なコクピットに収まり、さっそくブレーキを踏みながらスタートボタンを押すと、iX1は“走行スタンバイ”、すなわち走行可能な状態に。まずは基本のパーソナルモードのままDレンジにシフトし、ブレーキペダルから足を離すと、クルマはいわゆる“クリープ”の状態でゆっくりと動き出した。 軽くアクセルペダルを踏むぶんには穏やかな動きを見せるiX1だが、さらに右足に力をこめると、2,030kgのボディを軽々と加速させる頼もしさで、この時点でiX1のスポーティな性格が予感できる。ここからアクセルペダルを深く踏み込むと、iX1は期待以上に勢いよく加速し、“駆けぬける歓び”がこのクルマにも標準装備されていることが確認できた。 ここでステアリングホイールの左にあるパドルを手前に引くと、“スポーツ・ブースト”機能が起動し、10秒のカウントダウンが始まった。すぐにアクセルペダルを奥まで踏み切ると、より伸びのある加速が味わえる。 「My Mode」でパーソナルモードからスポーツモードに切り替えると、パーソナルよりもアクセル操作に素早く、かつ、力強く反応。一方、エフィシェントモードではより穏やかな反応を示す。いろいろ切り替えてみたが、最終的には扱いやすさと加速を両立するパーソナルモードに落ち着いた。

TAG: #BMW #iX1 #SUV

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