#BMW
TEXT:岩尾 信哉
BMW 「ヴィジョン・ノイエクラッセ」は次期3シリーズの姿を占うデザイン・スタディだ!

ドイツ・ミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」のプレイベントにおいて、BMWはかねてから発表を予告していた「ヴィジョン・ノイエクラッセ(ドイツ語で新たなクラスの意)」を公表。それが示すBMWの将来像について想いを巡らせてみた。 内外装に漂う近未来のBMWデザイン BMWのコンセプトカー「ヴィジョン・ノイエクラッセ」は、2025年以降に発売予定とはいえ、次期3シリーズのベースとなることが想定されるだけあって、注目を浴びて登場した。デザイン・スタディの段階であっても「ノイエクラッセ」の名が与えられて姿を現せば、いよいよ正式な量産化に向けた詳細が少しでも明らかになるのではと期待された。だが、残念ながら今回はスペックや販売される価格帯などは紹介されずじまいだった。 それでも今回、コンパクトセダンであること以上の追加情報はなくとも、「ヴィジョン・ノイエクラッセ」のスタイリングなどには、将来に繋がる部分もあったので、いくつかのポイントを追ってみたい。 BEVとして設計された「ヴィジョン・ノイエクラッセ」 主たるコンセプトとして「ヴィジョン・ノイエクラッセ」(以下、ノイエクラッセ)でBMWが掲げたのは、将来に向けたデジタル化、電動化、循環性などの将来に向けた開発テーマだ。あくまでデザイン・スタディゆえに詳細なスペックは明らかにされていないノイエクラッセでは、目標として「30%の航続距離増加、30%の充電時間短縮、25%の車両全体の高効率化」と示されても具体的なイメージが湧きにくい。 BMWが新たな取り組みとして明確に掲げているのはBEV(バッテリー式電気自動車)としての進化だ。BEVであるノイエクラッセでは第6世代の電動パワートレインが採用される。高効率の電気モーターと新開発の円形バッテリーセルは、従来の角形仕様よりもエネルギー密度が20%以上高められているという。 セダンのスタイリングとして先を行く斬新さ BMWグループのデザインを統括する、エイドリアン・ファン・ホーイドンクは、「ノイエクラッセのデザインはBMWらしさを備えつつ、モデルの世代の推移を超越するような斬新さを備えています」とコメントする。そのスタイリングはBMWの将来のコンパクトセダン像を映し出していることがわかる。 前傾したシャークノーズのフロント先端部や「ホフマイスター・キンク」として知られるCピラー付け根にある跳ね上げられたラインなどは、従来から見られるBMW独自の手法。キドニーグリル内にダブルヘッドライトやセンサー類を収めたカバー部には、デジタルアニメーションが照明効果によって表示され、周囲の人々や交通に向けて車両情報を提供する。リサイクル性に配慮したブラックのバンパーとサイドスカートもエクステリアのアクセントとなっている。 ボディサイドから見ると、セダンのデザインとしてエッジの効いたプロファイルが見て取れる。キャラクターラインを境に上下で明確に分割された面で構成されたドアパネルや、前後オーバーハングを切り詰めた引き締まったボディラインは、シャープなイメージを際立たせている。

TAG: #3シリーズ #BMW #ノイエクラッセ
TEXT:小川フミオ
ナタリー・ポートマンがBMW“ビジョン・ノイエクラッセ”に乗り込んだ「IAA」のワンシーンを目撃!

「ノイエクラッセ」を発表したBMW、電動化の「ミニ・クーパー」で若い層へアピールするMINI、ファミリー層のルノーと、それぞれでEVあるライフスタイルを見せるなかで、環境問題に積極的なナタリー・ポートマン氏がサステイナビリティを強力発信! 「環境問題について私の意見を聞いてもらいたかったから」とポートマン氏 2023年9月にドイツ・ミュンヘンで開催された自動車ショー「IAAモビリティ」では、自動車に反対する環境団体がメッセ会場に押しかけるなど、緑の党をもつ国ならではの光景も見られた。 主催者も、環境に焦点を充てたカンファレンスを積極的に開くなど、2023年のショーがお気楽な自動車の展示会でないことをアピールしていたのが印象的だ。 そのうちのひとつが、俳優のナタリー・ポートマン氏を招いて、環境問題に取り組むことの重要性を考えるトークショー。 環境問題に積極的に発言をしているポートマン氏は「ここ(ショー)に足を運んだのは、サステナビリティについて(業界の)取り組みをみたかったし、環境問題について私の意見を聞いてもらいたかったから」と話していた。 「ノイエクラッセ」―電動化へ新解釈するBMW 映画「レオン」や「スターウォーズ」シリーズで知られるポートマン氏は、トークショーのあと、ドイツ・メーカーのブースに足を運んだ。そのうちのひとつがBMW。 オリバー・ツィプセ取締役会会長の案内で、会場におかれた「ビジョン・ノイエクラッセ」に細身のからだで乗りこんでいたのを、フォトグラファーが取り囲んでいたのがおもしろかった。 「興味ぶかかったのは、自動車産業がどこへ向かっているかと、世界のさまざまな場所で(環境問題解決のための)イノベーションが生まれているという事実です」 言葉を続けてポートマン氏は言う。 「私は(環境問題における)アクティビストと言われています。なんでそうかというと、ユダヤ人だからです。ユダヤ人の家庭では、不正義を見て、自分が出来ることがあれば、すぐに行動に移すべし、と教えられるのです」 近い将来に量産化に移るというノイエクラッセ(かつてのBMW1500シリーズなどの総称を再び使用)は、「これは新しい章でなく、まるごと新しい本を書き始めるようなもの」と、BMWの意気込みを感じさせるモデルだ。 第6世代のBMW eDriveを搭載し、バッテリーは乾電池型。従来の20%増しの密度だそうだ。充電速度も30%向上する。総合すると、効率は25%ちかく上がるという。

TAG: #BMW #MINI #ルノー
TEXT:生方 聡
「iX」は走りも上質 プレミアムSUVと呼ぶにふさわしい出来映え [BMW iX試乗記]

CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み込んだ軽量構造ボディや4輪アダプティブエアサスペンションを標準装着する「iX」の走りをチェック。プレミアムSUVとしての実力は? 軽量化と低重心が生み出す極上の走り BMWが新しい「テクノロジー・フラッグシップ」と謳うiXには、最新のテクノロジーが惜しみなく投入されている。たとえば、高張力鋼板とアルミニウム、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み合わせた軽量構造ボディもそのひとつで、軽量化と高いボディ剛性を両立しているという。とはいえ、111.5kWhの大容量バッテリーを搭載するiX xDrive50の車両重量は2,560kgに及び、BMW自慢の“駆けぬける歓び”とはほど遠い走りを予想していたのだが……。 実際にクルマを走らせてみると、iXは動き出しが軽く、重量級であることをすぐに意識しなくなった。しかも、コーナーでは低重心のデザインと4輪アダプティブエアサスペンションにより、SUVに付きもののロールやピッチングはきっちりと抑え込まれ、安定しきった姿勢のまま、思いどおりに向きを変えるスポーティさはまさに駆けぬける歓びである。 一方、乗り心地はプレミアムSUVにふさわしい快適なもの。高速走行時により引き締まった乗り心地を望むならスポーティな設定を選ぶこともできるが、それでも乗り心地が損なわれることはなく、しなやかにボディの動きをコントロールする巧みさには感心するばかりだ。 テクノロジー・フラッグシップのiXだけに、運転支援システムの充実もうれしいところ。高速道路の渋滞時、速度が60km/hを下回ったところで、ステアリングホイールから手が放せる「ハンズオフ・アシスト」は完成度も高く、渋滞のストレスが格段に低減。利用できる速度の上限がさらに上がると文句なしである。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:生方 聡
速いだけじゃない! BMW iXの知的な回生ブレーキにも注目だ! [BMW iX試乗記]

システム最高出力523psを誇る「BMW iX xDrive50」。その加速は想像以上だった! アクセルひとつで高級車にもスポーツカーにも スタートボタンを押す儀式が省かれたEVが増えるなか、このiXはキラキラと輝くクリスタル製のスイッチを操作してはじめて走行可能な状態になる。やはりクリスタルのシフトレバーでDレンジを選んでブレーキペダルを緩めると、iXはゆっくりとクリープを始めた。 まずは様子見でアクセルペダルを軽く踏んでみると、iX xDrive50は余裕ある加速を見せ、2,560kgの車両重量が嘘のように思えるほどである。しかも動きは滑らかで、走り出した瞬間からiXの高級車としての資質を思い知らされた。 一般道でも高速道路でも、アクセルペダルを深く踏み踏み込む必要はなく、たいていのシーンではパワーメーターの表示上せいぜい25%程度で、加速は事足りてしまう。しかも、アクセルペダル操作に対してモーターは瞬時に反応し、即座にスピードを上げるiXは、ストレスとは無縁である。 アプローチが短い高速の合流などの場面で、アクセルペダルに載せた右足に力をこめると、圧倒的な加速に襲われる。その際、キャビンに響くブーンという効果音がなんとも未来的だ。iX xDrive50のパフォーマンスはスポーツカー顔負けといえるが、その実力を解き放つ機会がなかなかないというのが悩ましいところである。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:生方 聡
戸惑うくらいに新鮮! 次世代電気自動車のiXはデザインも斬新 [BMW iX試乗記]

“次世代電気自動車”を謳う「BMW iX」だけに、エクステリアもインテリアも戸惑うくらいに新鮮さが溢れている。 グリルは大きく、ライトは細く BMWのエクステリアを特徴づけているものといえば、“キドニーグリル”と呼ばれるラジエターグリル。最近はその大型化が著しく、このiXも例に漏れない。写真で見るかぎりは、「ちょっとやりすぎでは?」というのが正直な感想だった。しかし、実車を目の当たりにすると、「これはありかも!」と思えてくるから不思議である。 EVのiXでは、エンジン車のように大量の空気を取り込む必要はない。実際、大型のギドニーグリルにはラジエターに空気を取り込む開口部がなく、透明のカバーで覆われているから、その印象はさらに強烈だ。しかし、ギドニーグリルの大型化は単にデザイン上のメリットだけでなく、機能性の向上にも貢献している。その背後には運転支援システム用のカメラやレーダーが収まり、さらに降雪時には雪を融かすヒーターがパネルに一体化されているのだ。これに、細長いLEDヘッドライトが組み合わされたことで、iXのフロントマスクはこれまでのモデルとは大きく異なる表情を見せているのである。 押しの強いフロントマスクとは対照的に、塊感が強いiXのエクステリアからはシンプルでクリーンな印象を受ける。BMWのSUVとして初めてサッシュレスドアを採用したり、ドアハンドルをドアパネルに一体化したり、リアピラーの黒い部分に「iX」のロゴを刻んだりするのも、サイドビューの新しさを際だたせている。右リアのフェンダーには、フラップの奥に普通充電と急速充電のコネクターが収まっている。 ドアを開けるとCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)のサイドシルが目に入る。テールゲートを開けたときにもCFRPのボディに視線を奪われ、そのたびにiXが特別なクルマであることを強く印象づけられる。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:生方 聡
100%電気自動車「iX」がBMWの未来を切り拓く [BMW iX試乗記]

BMWが新しい「テクノロジー・フラッグシップ」と位置づける電気自動車専用モデル「iX」に試乗。まずはその特徴を探ってみよう。 「iNEXT」から「iX」へ 同じドイツのメルセデス・ベンツとともに、いま急激にEVのラインアップを拡大しているBMW。同社のEVはモデル名が「i」で始まり、現在、iXに加えて、「i7」「i5」「i4」「iX3」「iX1」の6モデルを日本で販売しているが、iXは「テクノロジー・フラッグシップ」としてこれらを代表する存在である。 その誕生は2018年のロサンゼルスショーに登場した「ヴィジョン iNEXT」に遡り、その後、「iNEXT」を経て、2021年に市販版の「iX」が登場。日本でも2021年11月に発売となった。BMWの他のモデルが電気自動車とともにエンジン車を用意しているのに対して、iXは電気自動車専用モデルであり、さまざまな新技術を搭載することで、テクノロジー・フラッグシップであることを特徴づけている。 たとえば、高張力鋼板とアルミニウム、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み合わせた軽量構造ボディをはじめ、最新技術を投入したパワートレインである第5世代のBWM eDrive、他のモデルに先駆けて搭載するBMWカーブド・ディスプレイや6角形のステアリングホイールなど、挙げればきりがない。 さらに、大型化したキドニー・グリルや、クリアで力強さが漲るエクステリアがその存在を強烈に印象づけ、いやがうえにも新しい時代の幕開けを予感させるのが、このiXなのだ。

TAG: #BMW #iX #SUV
TEXT:烏山 大輔
水素が変える未来、BMWのFCEV開発者が語ったその詳細とは?

BMWはFCEV(燃料電池車)を、クルマの新たなパワートレインのひとつにするだけではなく、インフラとそのコスト、エネルギーを有効活用する手段としても考えていた。 FCEVは究極のエコカーと主張 FCEVは、水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した電気でモーターを回し、クルマを走らせる。排出するのは水だけなので「究極のエコカー」と言われている。 現在市販されているFCEVは、トヨタのミライとヒョンデのネッソの2車種だ。そしてBMWはiX5ハイドロジェンの開発と実証実験で得た知見を活かして、2020年代後半にFCEVを発売する予定だ。 7月25日に行われたiX5ハイドロジェンの日本での実証実験開始の会見において、BMWグループ 水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユルゲン・グルドナー氏の説明から、BMWの水素戦略をみていく。 BMWも他の欧米メーカーと同じようにBEV(バッテリー電気自動車)のラインナップを増やしており、現在日本ではiX、i7、i5、i4、iX3、iX1と6車種を展開している。 しかし、来たる電動化時代にはBEV100%では対応が厳しいとBMWは考えている。その理由の一つがインフラだ。全ての車両がBEVになったら、相当数の充電器が必要だ。そしてその充電器の設置にかかる費用も膨大なものになる。 グルドナー氏の説明によると、BEVとFCEVがそれぞれ500万台までのインフラコストではFCEVの方が高いが、1000万台になるとFCEVにBEVが追いついてきて、1500万台では逆転し、それ以上ではBEVの方が高くなっていることが分かる。 FCEVは充填速度が早いことを活かし、現状のガソリンスタンドのように短時間で多くのクルマを対応することができることをイメージすれば、このグラフを理解できる。 合わせてグルドナー氏は、BMWとしてもトラックやバスなどの大型車はほとんどFCEVに移行していくとの考えを示した。これまでTHE EV TIMESでもお伝えしてきたように、大型車は重いバッテリーを搭載する必要のあるBEVよりも、軽量な水素タンクにより積載空間や最大積載量、航続距離を確保できるFCEVの方が有利だ。 大型車がFCEV化してくれば、燃料の水素は、乗用のFCEVよりも多くの量が日々安定的に必要になるため、水素製造コストも下がる可能性も考えられる。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
BMWとトヨタの水素開発トップが参加した水素関連のシンポジウムの様子
TEXT:桃田 健史
BMWがトヨタとの燃料電池コラボ詳細を公開。2020年代後半登場予定の次世代BMW燃料電池車には、トヨタ第三世代燃料電池を搭載か?

BMWとトヨタが燃料電池に関するコラボレーションの実態について紹介するシンポジウムが開催された。両社は2013年4月に燃料電池の研究開発を含めて技術の協業を進めてきたが、これまで詳しい内容が公開されたことはない。2社どのようにコラボしているのか? 足掛け10年に及ぶ深い関係 BMWが燃料電池車「iX5ハイドロジェン」を日本初公開した翌日、BMWとトヨタの水素開発トップが揃った水素関連のシンポジウムが実施された。 両社は、2013年4月に、協業に関する正式契約を締結している。 大まかには、サスティナブル・モビリティの実現。 具体的には、「燃料電池システムの共同開発」、「スポーツカーの共同開発」、そして「軽量化技術の共同研究開発」としていた。 このうち、燃料電池については、両社の手持ち技術を出し合い、2020年を目標に燃料電池車の普及拡大を目指すとしていた。 実際には、初代「MIRAI」の技術を応用して、BMW「5シリーズGT」の燃料電池車を開発したのが、2社協業が見える化した第一弾だった。 さらに、今回登場した「iX5ハイドロジェン」は二代目「MIRAI」の燃料電池セル等を使う。 振り返ってみれば、ここまで到達するまで、すでに両社の技術提携は10年もの月日が流れていることになる。 BMWグループ水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユンゲル・グルドナー氏は「iX5ハイドロジェン」の研究開発には「スウェーデンでの冬季テストなど、各種の実走実験を含めてこれまで合計4年間を費やした」と燃料電池車の開発は粘り強く続けることが大事だと主張した。 その上で、登壇したトヨタの水素カンパニー・プレジデントの山形光正氏は「FCEV(燃料電池車)の課題解決に一体となり挑戦」という言葉を示して、BMWとの協業の重要性を強調した。

TAG: #BMW #トヨタ #燃料電池車(FCEV)
TEXT:烏山 大輔
BMWジャパン、日本でiX5ハイドロジェンの実証実験を開始。市販燃料電池車の開発に活かす

BMWジャパンは7月25日にBMW Tokyo Bay(東京都江東区)で開催した記者会見において、同日より燃料電池実験車両「BMW iX5ハイドロジェン」の公道走行による実証実験を開始すると発表した。 電気自動車の開発と同じステップを踏む BMWは、2020年代後半に予定しているFCEV(燃料電池車)の発売に向けて、今年の2月からドイツやアメリカでiX5ハイドロジェンの実証実験を行っている。今回、その実験実施国に日本が加わった。 日本に持ち込まれたiX5ハイドロジェンは3台で、日本各地での走行テストだけでなく、官公庁や行政機関、大学などとも連携し、専門家からのフィードバックを得る予定だ。集まったデータはドイツ本社に送り開発に役立てられる。なお、日本での公道テストは2023年末までの予定である。 BMWは、BEV(バッテリー電気自動車)の開発から発売に至る工程でも、「MINI E」と「BMW ActiveE」をパイロット車両として開発に用いて、BMW初の市販BEVである「i3」の発売につなげた。 FCEVでも同じステップを踏む。今回のiX5 ハイドロジェンはパイロット車両で、6年以内にリリースされる予定のFCEVの開発を支える役目を担う。 「iX5ハイドロジェンは、南フランスでのサマーテストを2回、スウェーデン北部でのウィンターテスト3回を含む4年にもわたる量産車と同じテストを実施しました。さらにこの車の開発プロジェクトは次の重要なフェーズである公道でのテストに入ります」と同車のプロジェクト・マネージャーのロバート・ハラス氏は述べた。 401psのRWD、0-100km/h加速は6秒以下 iX5ハイドロジェンを構成するシステムをみていこう。FCEVは、車両から供給する水素と空気中の酸素を燃料電池で化学反応させ、電気を作りだし、その電気でモーターを回転させることでクルマを走らせている。その要の燃料電池システムは125kW(170ps)を連続して出力することができる。燃料電池セルは2013年からFCEVを共同開発しているトヨタから調達したものだ。 「この安定した出力によりアウトバーンでの長距離移動も問題なくこなすことができます」とハラス氏が自慢げに語った。 水素タンクはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製で、センタートンネルと後席下に2基が設置され、700気圧の気体水素を6kg貯めることができる。もしタンクが空になっても満タンにするのに3分ほどしかかからない。航続距離(WLTP)は504kmだ。 リヤには第5世代の「BMW eDrive テクノロジー」が搭載される。これは電気モーター、トランスミッション、パワー・エレクトロニクスをまとめたものだ。この車両専用に開発したリチウムイオンバッテリーを組み合わせて、最高出力295kW(401ps)のパワートレインを実現した。これにより0-100km/h加速は6秒以下、最高速は約185km/hのパフォーマンスを発揮する。 車両重量の発表はなかったが、同クラスのBEVよりは軽く、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)と同等程度とのこと。 iX5ハイドロジェンはミュンヘンにあるBMWグループ研究革新センター(FIZ)のパイロット・プラントで製造される。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
TEXT:烏山 大輔
電費もちょうどいい感じ!BMW iX1 xDrive30 M Sport THE EV TIMES流・電費ガチ計測

エアコンは23℃で常時オン、定速走行によるTHE EV TIMES流電費計測を、6月某日にBMW iX1 xDrive30 M Sport(以下、iX1)で実施したので、その詳細を報告したい。試乗記でもお伝えしたように、取り回しや居住性、動力性能などを高次元でバランスさせたiX1は電費もほど良い結果を残した。 ※計測方法などについてはこちらをご覧ください。 100km/hでも420km走行できそう iX1の一充電走行距離は465km(WLTC)で、電池容量は66.5kWhだ。一充電走行距離の465kmを実現するには、電費が6.99km/kWh(目標電費)を上回る必要がある。 ※電費についてはテスラなどで表示されるWh/km単位の数値も併記している。 各区間の計測結果は下記表の通り。6.99km/kWhを上回った場合、赤字にしている。全ての区間で勾配の登りよりも下りの方が良い電費が出て、勾配に素直な結果となった。 80km/h巡航のBとC区間は両方とも復路が下り勾配で、特にC区間の復路は20.4km/kWhと20の大台を超えた。しかし347mを登る往路が足を引っ張り、区間平均ではより平坦なB区間(9.06)に届かなかったが、目標電費を超える8.54km/kWhを記録した。 標高差が25mとわずかなA区間(100km/h巡航)は、往路と復路の差も少なく平均では6.55km/kWhと目標電費にわずかに届かなかった。 同じ100km/h巡航で316mもの標高差があるD区間では、勾配を下る往路で14.5km/kWhと目標を大きく超えたが、復路が4.0km/kWhとなんと120km/h区間よりも悪くなり、区間平均も6.27km/kWhとA区間よりも悪くなった。やはりなるべく平坦な方が電費は良くなるようだ。 120km/h巡航のE区間は標高差こそ67mと比較的小さいが、速度上昇により電費が悪化した。下り勾配の往路が復路より0.2km/kWh良い電費だったが、平均では5.10km/kWhだった。 80km/h巡航なら東京から兵庫県や岩手県に到達できそうだ 各巡航速度の平均電費は下記の表の通りとなる。「航続可能距離」は電費にバッテリー容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は465kmに対して、どれほど良いのか、悪いのかだ。80km/h巡航のみが一充電走行距離を超える結果となった ※電費は小数点第二位を四捨五入して表示しているため、実際の計算とは多少のずれが生じる。 80km/h巡航は、一充電走行距離(カタログ値)の1.24倍となる578kmを走行できる計算になる。これは東名高速道路の東京IC(東京都世田谷区)を出発した場合、大阪府を通りすぎ、兵庫県南西部に位置する山陽自動車道の龍野IC(568km、兵庫県たつの市)に数字上は辿り着ける。東北自動車道の場合は、川口JCT(埼玉県川口市)から岩手県北西部の安代IC(565km、岩手県八幡平市)までの走行が望めるレベルだ。 100km/h巡航の場合は、一充電走行距離(カタログ値)を8%だけ割り込み、426kmとなった。東京ICからだと愛知県と三重県を通り越して、琵琶湖のほとりの名神高速道路、瀬田東IC(423km、滋賀県大津市)まで走行できそうだ。東北自動車道の場合は、宮城県を通過し、岩手県に入った最初のICである一関IC(422km、岩手県一関市)に到達できる見込みだ。 80km/hでも100km/hでもクルマよりも人間の方が先にトイレや食事などの休憩が必要になるであろうから、そのタイミングで充電が可能であれば、上記のようなロングドライブも十分可能だろうと考える。 120km/h巡航でも339km走行できる。現在、制限速度120km/h区間は新東名高速道路の静岡県内(御殿場JCTー浜松いなさJCT)が最長の145kmなので、十分な能力を持っている。 急ぎの場合は途中で充電しても飛ばした方が早く着く 各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると26%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.71倍の航続距離の伸長が期待できる。 仮に80km/h巡航で充電無しで走行できる587kmを100km/hや120km/hで走行した場合、途中で充電しても早く到着できるのかを計算してみると以下の結果となった。 80km/h 7時間14分 100km/h 6時間12分(80km/hより1時間2分早い、25分の充電※1を含む) 120km/h 5時間34分(80km/hより1時間40分早い、40分の充電※1を含む) ※現状、日本では120km/hでこれほどの長距離を走行できるところはないのであくまで仮定の話です。

TAG: #BMW #iX1 #電費計測

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