#中国
TEXT:TET 編集部
広島県初のショールームを備えたBYD正規ディーラー誕生! 「BYD AUTO 広島」がオープン

「ATTO 3」と「DOLPHIN」を展示 2024年6月7日(金)、BYD Auto Japanの正規ディーラーであるワールドモータースグループは「BYD AUTO 広島」をオープンする。「BYD AUTO 広島」は全国で30店舗目、広島県で初となるショールームを備えたBYD正規ディーラー店舗だ。JR広島駅北側、新幹線口前の高層複合ビル「GRANODE広島」の1Fに位置しており、JR広島駅まで徒歩4分、広島空港リムジンバス乗り場まで徒歩3分という好立地。 「BYD AUTO 広島」のショールームには、現在発売中のミドルサイズSUV「ATTO 3」と、コンパクトEV「DOLPHIN」を展示する。 BYDに関する幅広い専門知識を持つセールススタッフが常時待機していて、商談や試乗の受付などを行う。 クルマの整備は「BYD Academy」というBYDのEVに関する高度なトレーニングを受けたプロフェッショナルなサービススタッフが担当。 「BYD AUTO 広島」は店舗全体で、顧客の快適なEVライフをサポートしていく。 「BYD AUTO 広島」概要 所在地:〒732-0057 広島県広島市東区二葉の里3丁目5番地7号 1F 営業時間:10:00~18:30 定休日:毎週火曜日、毎月第2水曜日 電話番号:082-263-4666 メールアドレス:byd-hiroshima@wm-group.jp

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TEXT:高橋 優
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった

2024年第一四半期決算報告から見えるBYDの戦略 中国BYDの2024年第一四半期の決算が発表され、前四半期比で、EV販売台数だけではなく営業利益率についても悪化が確認されました。その一方で、テスラの決算と比較することで浮かび上がってくるBYDの経営戦略について解説をします。 現在BYDは、バッテリーEVとPHEVのみをラインアップするというEV専業メーカーであり、中国国内だけではなく、日本市場をはじめとした海外展開を加速している状況です。他方で、BYDに対する逆風というのが、2023年冒頭にテスラが始めた、中国国内におけるEVの値下げ戦争です。しかも、その2023年初頭までは、バッテリーの原材料であるリチウムのコストが暴騰していたことによって、まさに値下げ圧力と原材料コストの高騰というダブルパンチを受けてしまっていたわけです。 そして、当初BYDに関しては、2023年シーズンにおける販売台数360万台を目標としていたものの、結局は、2023年シーズン通しで300万台をわずかに突破するというレベルで落ち着いていました。いずれにしても、2024年シーズン以降、BYDがどれほど販売台数と収益性を両立させることができるのか。とくにEV減速と世間でいわれながら、EVで利益を出すことも難しいといわれるなかにおいて、世界最大のEVメーカーが、どれほどのパフォーマンスを実現できるのかに世界が注目しているという背景が存在しました。 このような背景において公開されたBYDの2024年第一四半期における決算内容について、まず初めに、BYDの月間販売台数の変遷についてを確認してみると、2月については販売台数を大きく落としてしまっている様子が見て取れます。これは、春節が2月に丸々被ってしまったことによって、自動車マーケット全体が大きく落ち込んでしまっていたことが要因です。 実際に、四半期別の販売台数を見てみると、とくに紫のラインで示されたテスラについては、まさかの前年同四半期比でマイナス成長に留まってしまっていたものの、BYDについては着実に成長。とくにバッテリーEVに絞った販売台数については着実に成長していることが見て取れます。 一方、その売り上げに関しては1249.4億元、日本円でおよそ2.7兆円と、前年同四半期比でたったの4%程度しか成長することができていません。この販売台数の増加に対する売り上げの伸び悩みについては、間違いなく値下げ戦略が影響しています。 というのも、BYDは春節が明けた2月中旬から、2024年モデルとしてHonor Editionを全モデルに対して適用。内外装のアップデートを行いながら、全モデルの大幅値下げも断行しました。したがって、その全モデルに対する大幅値下げの影響もあって、販売台数が伸びているにもかかわらず、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。 他方で、BYDの底力が見て取れるのが、その収益性という点です。とくに注目するべきは粗利益と売り上げに占める粗利益率であり、直近の2024年Q1については、前年同四半期と比較しても粗利益を増加させることに成功。その粗利益率に関しても21.88%と、過去最速水準を実現しています。 この数字の何がすごいのかといえば、大幅値下げによって台あたりの売り上げは低下してしまっているものの、その売り上げ低下以上に、台あたりの原価低減に成功しているという点です。これは間違いなく、バッテリーの原材料価格の低下とともに、そのバッテリー生産における垂直統合がさらに進んでいるということ、およびDenza、Fangchengbao、そしてYangwangといった高級車ブランドの販売比率が増加していることが要因として考えられます。 いずれにしても、BYDはEV値下げ戦争がさらに熾烈化する中国国内主体の販売構成であるにもかかわらず、むしろ収益性を改善してきているという驚愕するべきデータが明らかになったといえるでしょう。 その一方で、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益という観点では、かなり苦戦しているのではないかという指摘も存在します。 実際に、この営業利益と営業利益率を示したグラフでも明らかな通り、Q1の営業利益率は4.64%と、前年同四半期比でわずかに改善しているものの、史上最高水準に達していた粗利益率と比較すると、確かに伸び悩んでいるように見えます。 この営業利益の伸び悩みに関しては、大きくふたつの理由が存在します。 まずひとつ目が販売管理費が大幅に増加しているという点です。というのも、BYDは現在、Denza、Fangchengbao、そしてYangwangブランドという新規プレミアムブランドについて、その販売拠点やアフターサービス拠点を大幅に拡充している状況です。その上、BYDは2023年シーズン以降、日本をはじめとして海外展開を加速中であり、その分だけ販売管理費がさらに増大。いずれにしても、その販売ブランドの多角化、および海外展開の加速という両方を同時に推し進めていることで、販売管理費が大きく圧迫している状況が推測できます。 そして、それ以上に重要であるのが、ふたつ目の研究開発費という観点です。というのも、BYDは2022年以降、売り上げに占める研究開発費の比率を急拡大している状況です。 このグラフのとおり、2023年Q1については、その研究開発比率は5.19%とすでに過去最高水準の比率を実現していたものの、その後の研究開発費に対する投資額の伸びは凄まじく、2023年Q4では140億元以上、日本円でおよそ3000億円以上という、歴史上最高の研究開発費にすら到達。その研究開発比率についても驚異の8%オーバーです。 そして、直近の2024年Q1については、その研究開発比率はこれまた驚きの8.49%に到達し、歴史上最高の比率を更新。前年同四半期比でもなんと70%以上という研究開発費用の増加であり、いずれにしても、この研究開発に対する投資額の爆増も、営業利益を大きく圧迫している要因であり、もはや第二創業期とも呼ぶべき、EVスタートアップのような投資比率である様子も見て取れます。 このようにして、BYDに関しては、競合のテスラが販売台数を落とすなかにおいて、販売台数をむしろ増加させることに成功したものの、大幅値下げを行ったHonor Editionの導入によって、売り上げをほとんど伸ばすことができなかったわけです。

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TEXT:高橋 優
ファーウェイ&シャオミのEVは価格も性能も戦略も強烈!! スマホ系電気自動車メーカーの勢いがヤバい!

シャオミEVが中国メーカー勢の中心に躍り出た 中国で開催された北京モーターショーにおいて、さまざまな新型EV、および最新EVテクノロジーが発表されました。とくに中国メーカー勢のなかでも、シャオミがその人気の中心となりながら、さらにファーウェイについても、新たなEVブランドであるSTELATOの立ち上げを発表し、ハイエンドセダンS9を発表するなど、中国スマホメーカーという第三勢力の最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、中国国内で4月末から5月上旬にかけて開催された北京モーターショーです。この中国最大のオートショーについては、上海と北京において隔年で開催されており、昨年の上海モーターショーについては「上海ショック」と題して、多くの日本メディアが、その中国製EVの完成度の高さを報じていました。 そして、今回とくに取り上げていきたいのが、2024年の中国EV市場で台風の目となっているスマホメーカー勢という第三勢力の存在です。まず初めに取り上げていきたいのが、シャオミの存在です。 すでにシャオミについては、4月初頭から初の量産EVであるSU7の納車をスタートしており、順調に生産体制を拡張中です。そして、正式発売がスタートしてから28日が経過した段階で、詳細な注文動向であったり、初のOTAアップデートのタイムライン内容や2024年シーズンにおける納車台数目標、および自動運転のアップデートに至るまでの最新動向が公表されました。 まず初めに、4月24日時点における5000元(約10.8万円)の予約金の返金が不可となる、いわゆるロックインオーダー数が7万5723台に到達している状況です。とくに直近の4日間で5000台以上のロックインオーダーが追加されており、初期注文だけではなく、継続的に確定注文台数が増加していることが示唆されています。 そして、シャオミに対する大きな懸念点でもあったその納車体制について、正式発売をスタートしてから28日間の間に5781台を納車することに成功。とくにEVの量産に関しては、テスラがモデル3において生産地獄に直面し、倒産寸前にまで追い込まれていたという背景が存在したことで、大量の需要を獲得したとしても、それを満足に捌けないのではないかといわれていました。しかし、蓋を開けてみると、納車をスタートしてからものの20日間程度の間に6000台近い車両を納車することに成功したわけです。 その上、当初予定していた生産スピードを引き上げて、6月度においては1万台の納車台数を達成すると主張。2024年シーズンについては、合計10万台の納車台数を実現するという目標も設定してきました。 さらに、すでに納車されたユーザーの内訳について、女性の割合がすでに28%を実現しており、今後その女性率は40%から50%に到達するとも予測されています。その女性率の高さについて理由を調べてみると、エクステリアデザインのよさ、日焼け対策、そして収納の多さという理由が占められています。まさにSU7の強みを、女性ユーザーが高く評価していることが見て取れるわけです。 さらに、ドイツ御三家BBAのオーナーが29%を占めているという点も極めて注目に値します。つまり、ドイツブランドからSU7に流れている様子が見てとれ、これはアメリカでモデル3の爆発的人気とともに、3シリーズやA4、Cクラスの販売台数が低下した流れとまったく同様に感じます。 さらに、アップルユーザーが51.9%と過半数を占めており、やはりこれはCarPlayにも対応しているHyper OSという独自OSを採用しているシャオミの懐の深さが功を奏しているわけです。これによって、SU7を購入したアップルユーザーが、次のスマホの買い替えの際に、シャオミ製のスマホに乗り換えたり、シャオミ製家電を購入する動機づけにもなることから、シャオミのビジネス全体にも好影響を与えるポテンシャルを秘めているわけです。 そして、販売ネットワークについても、2024年末までに46都市、219店舗をカバーする予定です。また、サービスネットワークに関しても、2024年末までに82都市、139店舗をカバー予定。より多くのユーザーにSU7を触れてもらえるような販売ネットワークの拡充とともに、SU7を購入したあとのアフターサービスに関しても、急ピッチで拡充しようとしています。 さらにOTAアップデートについて、ついに初めてのOTAアップデートを5月初旬に配布予定であり、ここではワイヤレスカープレイであったり、エンドトゥーエンドのバレーパーキング、およびそれ以外のスマートな運転体験を配布予定です。 それに続いて、2回目のOTAアップデートについても5月末に実施予定であり、その際にはいよいよ高速道路だけではなく、市街地における自動運転「市街地NOA」をリリース予定です。まずは主要10都市において解放、その後2024年末にかけて、順次、中国全土でのリリースを予定しています。 その上、SU7については、浙江省のトラックレースにおいて1分42秒163という好タイムを記録しています。これはポルシェ・タイカンターボS、およびテスラ・モデルSプラッドを上まわるタイムです。これより上となると、アウディRS e-tron GT、ロータスEletre R+、Zeekr 001 FR、そしてトップのロータスEmeya R+くらいしか存在しないという、EVのなかでもトップクラスのタイムを記録しています。 さらにその上、このラップタイムはあくまでもピレリP ZERO 5という、SU7 Maxに装着される純正タイヤであり、さらに高性能なレーシングタイヤであるミシュランパイロットスポーツCUP2 Rを装着すると、そのタイムは1分38秒043にまで短縮。何といっても、SU7 Maxは29.99万元と明らかに安いわけであり、パフォーマンス性能に対するコスト競争力が抜群に高いことが見て取れます。 そして最後に、この北京オートショーにおける発表会で、シャオミオートへの参画を改めて募集したところ、なんと48時間以内に5000件以上ものレジュメが送られてきているそうです。 いずれにしてもシャオミについては、今後15年以上をかけて世界の自動車メーカートップ5の一角を構成するという野心的な目標を掲げており、採用を強化して、SU7以降のEV開発に繋げていこうとしているわけです。

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TEXT:高橋 優
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身

BYDの支配力が極大化している中国市場 中国市場における最直近の3月度における電気自動車の販売動向が判明し、歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しながら、BYDとテスラの支配が続いている様子も判明。そして、BYDの在庫切れ、ファーウェイとシャオミの台頭というキーワードから、4月以降の展望について解説します。 中国市場に関しては、2月中は春節が丸々かぶってしまっていたために、自動車市場全体が停滞していました。その煽りを受けてとくに値下げ競争や新型車攻勢の強いEVに対しては様子見ムードが広がってしまい、EVの販売比率が低下してしまっていたという背景が存在します。そして、春節が明けてから各社の販売体制が本格化したことを受けて、2024年初めてといってもいいい、本格的な1カ月において、どれほどのEV販売台数を実現しているのかに大きな注目が集まっていたわけです。 まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数に関しては70.9万台と、前年同月に記録していた54.6万台という販売台数と比較しても、なんと30%もの販売台数の増加を記録しました。 そして、その新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は、黄色のラインで示されているとおり42.03%と、歴史上最高の電動化率を更新。さらに、2021年以降の3月単体での電動化率は、それぞれ10.6%、28.1%、34.3%、そして今年である2024年の42%と、着実に成長している様子が見て取れるわけです。 とくに2024年シーズンについては、前年同月比で電動化率が7.7%も上昇。2023年シーズンは前年同月比で6.2%の上昇であったことから、むしろ電動化率の上昇度合いが加速しているレベルです。 いずれにしても、春節が明けてからは一気に新エネルギー車への需要が増大している様子が見て取れます。 一方で注目するべきは、その新エネルギー車のなかでも、ピンクで示されたバッテリーEVと、水色で示されたPHEVの販売割合です。 黄色のラインで示されているのが、新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVの販売比率です。このとおり数年前というのは9割近い割合がバッテリーEVでした。つまり、新エネルギー車=バッテリーEVであったものの、最直近である2024年3月単体では60.37%と、そのシェア率が大きく減少しています。 現在は、新エネルギー車のうち6割がバッテリーEVであり、残りの4割がPHEVという、水色のPHEVの販売シェアが急速に増加している様子が見て取れます。 実際に、バッテリーEVに絞った月間販売台数の変遷を見てみると、このとおり最直近である2024年3月単体では25.37%を達成。2021年から、9%、22.7%、24.3%、そして今回の25.4%という流れをみると、そのバッテリーEVシェア率の伸びが鈍化してしまっている様子が見て取れます。 販売状況が安定化する3月単体を見ても、やはり中国市場に関しては、新エネルギー車全体のボリュームは着実に上昇し、むしろそのペースが増加傾向にすらあるものの、バッテリーEVという観点では微増に留まっており、この1年ほどはシェア率25%以上の壁を大きく突破することができていないわけです。 つまり中国市場において、なぜPHEVの販売シェア率が急上昇を見せているのかを考察する必要があるわけです。 また、この新エネルギー車の販売シェア率の好調ぶりとともに懸念するべきは、内燃機関車の販売動向です。じつは内燃機関車の販売台数については、前年同月比で6.4%もの落ち込みを記録。新エネルギー車が30%もの増加を記録していることを踏まえると、明確に販売シェアを奪われている様子を確認可能です。 そして、それ以上に気になるのは、週間保険登録台数の数値との比較という観点です。このグラフは2024年シーズンに突入してからの、新エネルギー車の販売比率を週間ベースで示したものです。この通り、とくに3月に突入している第9週以降、歴史上最高の48.38%を最高点として、40%中盤というシェア率をキープしています。 その第9週から第13週通しでの新エネルギー車の販売比率は45.5%と、すでに新車全体の半数近くが新エネルギー車に置き換わってしまっている状況です。 また、3月の月間販売比率を見てみると、そのシェア率は42%であったことから、週間保険登録台数の数値の方が、新エネルギー車の販売比率が高いことが見て取れます。これは何を意味するのかというと、内燃機関車の保険登録台数が、小売台数よりもかなり下まわっていることを示しています。 要するに、とりあえず3月の販売台数を最大化するために出荷してはいるものの、在庫車両として内燃機関車がより多くディーラーなどに溜まってしまっている可能性があるということです。それを総合すると、じつは42%という数値以上に、新エネルギー車のほうに勢いがある、もしくは内燃機関車の売れ行きが想像以上に悪いことを示唆している可能性があるわけです。 それでは、この中国市場においてどのようなEVが人気となっているのかを確認しましょう。まず3月単体のNEV販売でトップに君臨したのが、BYDの大衆セダンQin Plusです。春節が明けた2月中旬に、2024年モデルであるHonor Editionを発売し、このQin Plusの兄弟車であるDestroyer 05とともに、爆発的な販売台数を達成中です。 在庫車は完売で納期が伸びてしまっている状況ですが、すでにBYDは問題解決へと乗り出しており、4月以降の生産能力をアップすることで、さらに販売台数が伸びる見込みです。 また、テスラモデルYが第2位にランクインし、世界でもっとも人気の自動車としての存在感を示すなか、第3位以降については、Song Plus、Seagull、Song Pro、Yuan Plus、Han、そしてDestroyer 05と、すべてBYDのEVが支配している状況です。トップ10のうち、BYDのEVが7車種という、これまでにも増してBYDの支配力が極大化している状況なわけです。 実際にこのグラフは、中国国内における主要な大衆車ブランドの四半期別の販売台数の変遷を比較したものです。黄色で示されたBYDが、2022年第四四半期以降、一貫してトップの座に位置。直近の2024年第一四半期に関しても例外ではなく、前年同四半期と比較しても6万台以上販売台数を伸ばすことにも成功。2位につけるフォルクスワーゲンとの差をさらに広げている状況です。 他方で、この主要メーカーのなかで気になるのがトヨタとホンダの存在です。まず水色で示されているホンダについては、四半期で23.4万台と販売規模が明確に縮小し、トヨタにも大きな差をつけられてしまっている状況です。 そしてそれ以上に、緑で示されたトヨタについては、この主要メーカーのなかで唯一、前四半期と比較して販売台数を落としている状況です。2023年シーズンは、既存メーカーのなかで唯一といってもいいほど販売規模をなんとか維持することができていたことから、いよいよトヨタをもってしても、販売規模を維持することが難しくなり始めているのではないかと推測できるでしょう。 このグラフは、1月から3月までの、販売の伸びが鈍化しているバッテリーEVの累計販売台数を示したものです。3カ月間で10万台というモデルYの盤石ぶりが見て取れるものの、その後については、Seagull、Yuan Plus、Hong Guang Mini EVを挟んで、ドルフィン、Qin Plus EVと、やはりBYDが圧倒的な存在感を示している状況です。 また、個人的に注目したのは、中国ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekr の存在です。第18位にシューティングブレークのZeekr 001、第20位にはミッドサイズセダンのZeekr 007がランクイン。どちらも極めて競争力が高いことから、競争の激しい中国市場においても、しっかりと販売台数を伸ばしている様子が見て取れます。

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TEXT:TET 編集部
マツダが中国向けに開発した流麗な新型電動車! 「MAZDA EZ-6」と「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開

「MAZDA EZ-6」は2024年中に発売予定 北京モーターショー2024において、マツダが出資する現地法人「長安マツダ汽車有限公司」が、新型電動車「MAZDA EZ-6」、新型電動車のコンセプトモデル「MAZDA 創 ARATA」を初公開した。 「MAZDA EZ-6」は、マツダと合弁事業のパートナーである重慶長安汽車股份有限公司の協力のもと、長安マツダが開発・製造を行う新型電動車の第1弾。電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の2種類をラインアップし、2024年中に中国で発売予定だ。 デザインテーマ「Authentic Modern」にもとづき、魂動デザイン特有の生命感やエレガンスを表現しながら、電動化時代に相応しいスタイリングに注力。シンプルで伸びやかなクーペフォルムを通じて、新しさもありながらクルマが本来持つ魅力を表現。 ドライバーの意図に対してクルマがリニアに反応するようブレーキやステアリングをチューニングし、マツダらしい”人馬一体”を感じさせるダイナミック性能を実現したという。 50:50の前後重量配分(BEV)、フロントはストラット式、リヤはマルチリンク式のサスペンション、高速走行時の安定性を向上させる電動リヤスポイラーを採用。 運転支援および事故被害の低減を図るインテリジェントドライブ機能、車外からでも音声操作が可能なインテリジェントパーキング機能、音声、タッチ、ジェスチャーと、さまざまな方法での操作が可能なスマートキャビンなど、安全・利便性を高める機能も充実している。 BEVモデルは約600km、PHEVモデルは1回の給油で1000km以上の航続距離を想定。

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TEXT:高橋 優
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較

EVの常識を変えかねないLi AutoのMEGA 中国のLi Autoが初のバッテリーEVとなるミニバンのMEGAを正式発売しました。最大充電出力520kW、充電時間12分という地球上最速級の充電スピードを実現しながら、ミニバンの究極の利便性を追求することによって、中国市場に新たなEVブームを引き起こす可能性を秘めた、2024年にもっとも注目に値する新型EVの最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、2014年に立ち上がった中国のEVスタートアップであるLi Autoです。すでに4種種ものEVを発売することによって、2023年12月単体における中国国内の販売台数は5万台オーバーを実現しました。 そして、2024年シーズンについては、年間で80万台という販売台数目標を掲げてきており、この販売台数は、日本のマツダやスバルなどに近づく規模感であり、まさに現在、中国EVスタートアップとしてはもっとも成長著しい自動車メーカーとなります。 他方で、このLi Autoについてはこれまで、レンジエクステンダーEVのみをラインアップ。あくまでも、Li Autoの販売の中心であるファミリーの富裕層に対しては、現状のバッテリーEVの性能では、航続距離や充電時間という観点で、まだ満足させることができないとして、バッテリーEVの販売をあえて遅らせていたという背景が存在します。 そして、そのLi Autoがついに満を持して正式発売をスタートさせてきたのが、初のバッテリーEVであるMEGAです。 MEGAは、全長5350mm、全幅1965mm、全高1850mm、ホイールベースが3300mmという巨大なミニバンです。 これまで中国市場においては、ミニバンはそこまで大きなセグメントではなかったものの、Zeekr 009やDenza D9など、ミニバンEVがスマッシュヒットを記録。現在、電気自動車によって、ミニバンセグメントが盛り上がりを見せ始めている状況です。 そしてLi Autoのメインターゲット層である裕福なファミリー層に対して、このMEGAであれば、バッテリーEVならではの静粛性や振動のなさによる快適な移動空間という、新たなライフスタイルを提案することができるわけであり、初のバッテリーEVについては、高級ミニバンセグメントで勝負を挑んできた格好です。 それでは、今回正式発売がスタートしたMEGAについて、とくに気になるEV性能を、競合のバッテリーEVのミニバンである、Xpeng X9、Denza D9、Zeekr 009、さらに現在Li Autoの最大のライバルとなっているファーウェイAITOのフラグシップSUVであるM9とをそれぞれ比較していきましょう。 まず初めに、MEGAはAWDのMaxグレードのみという、すべての装備内容をコミコミにしたワングレード設定です。そして、102.7kWhの中国CATL製のQilin Batteryを搭載することによって、その満充電あたりの航続距離は710kmと、空力性能で不利となるミニバンとしては、かなり長い航続距離を確保することに成功しています。 この航続距離の長さを実現している要因というのが、空力性能のよさを示すCd値で、それは0.215とミニバンとしてはありえないレベルの空力を達成しています。それこそポルシェタイカンのCd値が0.22であることから、あのスポーツセダンであるタイカンよりも空力性能が高いとイメージしてみれば、その凄さが見て取れると思います。 さらに、もうひとつ重要な充電性能という観点についても、そのQilin Batteryによる高性能な熱マネージメントのおかげによって、最大充電出力は520kWに到達しています。よって、充電残量10%から80%まで充電するのにかかる時間も12分間と、現在地球上で発売されているほとんどすべてのEVのなかで最速の充電時間を実現しています。 充電残量が80%の段階でも、まだ300kW程度の充電出力を流すことができるという信じられないほどのフラットな充電カーブも相まって、12分間の充電時間でミニバンEVの500km分の航続距離を回復可能となったわけです。 そして、Li Autoについては、その最大520kWという充電出力を発揮可能な超急速充電ステーションの建設を急ピッチで進め、2024年末の段階でその設置数を2000ステーションと大幅拡充する方針を表明しています。

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TEXT:TET 編集部
ホンダの「H」マークが様変わり! 新たなEVシリーズを2024年末以降に発売予定

まずは発売予定の2車種とコンセプトを1車種発表 ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司が2024年4月16日、新たに中国市場へ投入する新型EV(電気自動車)モデルとして「烨(yè:イエ)シリーズ」を発表。イエシリーズの第1弾となる「イエP7」と「イエS7」だけでなく、第2弾のコンセプトモデルとなる「イエGTコンセプト」も世界初公開した。 また、イエシリーズは今回発表された3車種を含め、2027年までに計6車種を中国市場に投入する予定であることも同時に発表された。 今回公開された3つのモデルは、今月下旬に中国・北京で開催予定の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)で一般に向けてお披露目される予定だ。 イエシリーズは、四輪製品の電動化が進む中国において、現在展開中の「e:N(イーエヌ)」シリーズに続く、ホンダの新たなEVシリーズとなる。中国語で「明るく光り輝く」という意味をもつ「烨(イエ)」の字をシリーズ名称とし、「クルマを運転するすべての人が、操る楽しさを通じて心の内に秘めた想いを解放し、それぞれの個性を明るく輝かせてほしい」という想いが込められて命名された。 また、電動化への変化が速い中国において「挑戦と進化」を絶えず追い求め、変革を加速させるという決意を込めて、イエシリーズには次世代EV向けの新たなHマークが採用される。このマーク、今年1月のCES2024で発表された全世界向けのEVシリーズ「ホンダ0(ゼロ)」に掲げられて、2026年から順次市場に投入されるとアナウンスされていたのだが、その「ホンダ0」を出し抜いてイエシリーズが先に掲げることになったのだから驚きだ。 イエシリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求し、ホンダのクルマづくり理念である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」に基づき、人を中心としたパッケージングがなされている。加えて走行性能においては、中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに突き詰めたとしている。また、先進のAIによるサポートをはじめとした智能化技術で、すべての乗員が快適に移動できる空間を目指したという。 それでは発表されたイエシリーズ第1弾のP7とS7、および第2弾のコンセプトモデル「GTコンセプト」について概要を記そう。 イエシリーズ第1弾モデルとなるイエP7/イエS7は、新開発のEV専用プラットフォームを採用し、1モーターによる後輪駆動モデルと、2モーターによる四輪駆動モデルが設定された。両モデルとも操る喜びを追求し、後輪駆動モデルは軽快ですっきりしたハンドリングの実現、四輪駆動モデルでは高出力でありながらも、意のままに操ることができるハンドリングとの両立をそれぞれ目指して開発が行われた。 車内は前後席ともにゆとりのある空間が得られ、快適な移動環境を整えている。AIや各機能と連動してインストルメントパネルやドアパネルのLED発光パターンを変えることで、知性を感じられる運転体験の実現も同時に目指したという。 デザインにおいては、それぞれのモデルが目指す世界観を反映している。抽象的な表現にはなるが、イエP7はシームレスで洗練されたスマートな未来感を、イエS7は見る人に刺激を与えるエモーショナルな未来感を表現したという。なるほど、両車の方向性はヘッドライト周りのデザインに現れている。 なお今回の発表でイエP7とイエS7の発売予定は、2024年末以降だと明らかにされている。

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TEXT:高橋 優
固体電池を早くも実用化! 中国のEVセダンは競争激化で「価格も航続距離も性能も」驚異的な世界に突入していた

中国EVセダンはゼロヒャク2秒台が当たり前の時代に突入 今回取り上げていきたいのが、中国のEV専門ブランドであるIMモーターの存在です。このIMモーターについては、中国の大手国有企業であるSAICのプレミアムEV専門ブランドとして、同じく中国のテック企業であるアリババなどと共同出資することで設立しました。 2022年の7月中にも、ブランド初のEVとなる中大型セダンのL7の納車をスタートさせながら、2023年の3月中にも、そのL7のSUVタイプとなるLS7の納車をスタートしました。 他方で、IMモーターに関しては、SAICの傘下に属しながらも、その知名度の点で苦戦。よって販売台数も不振が続いていたわけです。 ところが、2023年の9月にワールドプレミアが開催された、3車種目のEVとなるミッドサイズSUVのLS6に関しては、最大電圧875Vという、市販EVでもトップレベルの高電圧プラットフォームを備えることによって、100kWhバッテリー搭載グレードに関しては最大396kWという超急速充電に対応。 また、LS6の発売とともに、高速道路だけではなく市街地における自動運転支援「IM AD」の提供をスタートし、すでに上海などの一部大都市圏において、市街地ADASをリリース済みです。しかも2024年中に、中国全土での市街地ADASをリリース予定でもあります。 さらに、内外装の質感や装備内容に関しても極めて競争力が高く、それでいて、現在LS6は日本円に換算して462万円から発売されていることで、多くの新型EVにとってのベンチマーク的な存在となっています。 そして、このLS6の納車がスタートして以来、IMモーター全体の販売台数も急拡大し、12月については初めて月間1万台の壁を突破するという快挙も達成しました。 さらに、LS6の販売によって勢いづいているIMモーターが、2月末に欧州において開催されたジュネーブモーターショーで初お披露目を行ったのが、ミッドサイズセダンであるL6の存在です。 L6については、全長4931mm、全幅1960mm、ホイールベースが2950mmという、すでにラインアップしていたL7よりもひとまわり小さい、LS6のセダンタイプとなります。いよいよ来月開催される北京オートショーにおいて、中国市場でもお披露目される予定です。 そして、このL6に関するスペックについて、いくつか特筆するべき内容が公開されてます。まずは、0-100km/h加速が2秒台に達するということです。じつはこのミッドサイズセダンセグメントについては、すでに0-100km/h加速のベンチマークが3秒前半から2秒台へと移行している状況です。 もともとのベンチマークはテスラモデル3パフォーマンズが実現していた3.3秒であったものの、それこそ2023年末から納車がスタートしている、ファーウェイのLuxeed S7の最上級グレードRSについても、同じく3.3秒を実現。 そして、2024年元旦から納車がスタートしている、ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekrのミッドサイズセダン007についても、0-100km/h加速は2.84秒と、いよいよ2秒台に突入しています。 また、モデル3に関しても、おそらく第二四半期中にもパフォーマンスグレードのモデルチェンジが行われる見込みであり、それによって、0-100km/h加速も2秒台に突入する見通しです。 よって、この2024年に発売されるプレミアムEVセダンについては、ゼロヒャク2秒台というスペックがベンチマークとなっていくわけであり、今回のL6もそのトレンドに追随してきた格好なわけです。

TAG: #セダン #中国
TEXT:高橋 優
50万円EVでお馴染みの「ウーリン」が500km走れるコンパクトEVを200万円でリリース! BYDも驚異の値下げでEV価格戦争が激化している

激安EVで話題になったウーリンに再び脚光 中国市場において、あの50万円から買える超小型EVをスマッシュヒットさせた中国メーカーが、なんと航続距離500km以上を実現するコンパクトEVを200万円で発売してきました。そして、このコスパ最強EVに対して、中国BYDがシーガルとドルフィンをさらに値下げして新参EVを挟み撃ちする戦略を取ったそうです。熾烈な中国第二次EV値下げ戦争を解説します。 まず、今回取り上げていきたいのが中国の自動車メーカーである「Wuling(ウーリン)」の存在です。このWulingについては、2020年から発売をスタートした超小型EVであるHong Guang Mini EVの存在がもっとも印象的でしょう。 その当時の値段設定で50万円程度から発売したことによって、中国の農村地帯における足としての需要を中心にスマッシュヒットを記録しました。いずれにしても、中国のEV販売台数急上昇の火付け役となったことで、Wulingの知名度が世界に広まったという背景が存在します。 そして、今回新たに明らかになってきたことというのが、そのWulingが新たな格安EVを発売してきたということで、それが、Bingo PlusというコンパクトカーセグメントのEVです。 じつは、すでにWulingは2023年初頭にもBingoを発売済みでした。この中国国内のコンパクトカーセグメントの月間販売台数の変遷を示したグラフを見てみると、緑で示されたBingoについては、発売開始後、瞬く間に販売台数を伸ばして、2023年12月単体で2.7万台以上の販売台数を実現するという、これまたHong Guang Mini EVに続くスマッシュヒットを達成していました。 このBingoは、全長3950mm、全幅1708mm、ホイールベースが2560mm、4人乗りのコンパクトEVであり、最小17.3kWh、最大31.9kWhというバッテリーを搭載することで、中国CLTCサイクルベースで203kmから最長333kmという航続距離を実現しています。 そして、その値段設定が、6万元未満、日本円でおよそ123万円からのスタートと、驚異的なコスト競争力を実現しています。 一方でこのBingoは、発売当初から絶対的なライバルとの競争に晒され続けていたという点が極めて重要です。その絶対的なライバルというのが、中国BYDが同じ時期に発売をスタートしたシーガルです。 そのシーガルは、Bingoを遥かに凌ぐ販売ペースを実現。2023年12月単体で4.1万台という尋常ではない販売台数を叩き出しており、まさにBingoとともに、中国コンパクトカーセグメントを席巻している状況です。 その勢いは、これまでコンパクトカーとして存在感を示していたホンダ・フィットやトヨタ・ヤリスの販売台数が低迷してしまっていることからも明らかです。中国国内でコンパクトカーといえば、すでにバッテリーEVの選択肢が圧倒的となっており、それをリードしているのが今回のBingoとシーガルなわけです。 そしてBYDは、シーガルよりもひとまわり大きいサイズ感で日本でも発売中のドルフィンもラインアップしており、Bingoはシーガルとドルフィンに完全に挟み撃ちされてしまっている状況です。Wulingについては、ドルフィンの対抗車種となる、Bingoよりもひとまわり大きくてEV航続距離を伸ばした上級グレードの設定が待望されていたわけです。 そしてWulingが追加設定してきたのが、Bingo Plusと名付けられた上級グレードです。全長4090mm、全幅1720mm、ホイールベースが2610mmと車両サイズをひとまわり大きくしながら、その上で搭載バッテリー容量を大幅に増量し、EV性能も向上させています。まさに、ドルフィンのガチンコの競合として、BYDの包囲網に対抗してきた格好です。 Bingo Plusについては、37.9kWhと50.6kWhという大容量バッテリーをラインアップすることによって、その航続距離はなんと最大で510kmと、コンパクトカーとしては驚異的な航続距離を実現しています。 もちろん急速充電にも対応させながら、個人的に注目したいのが、車両剛性および衝突安全性に直結する車両ボディに対する高張力鋼の使用比率です。 今回のBingo Plusについては74.8%と、その配合割合を大幅に高めてきており、ドルフィンも78.2%と非常に割合が高いです。 よって、ドルフィンの衝突安全性は、Euro NCAPにおいても最高評価の5つ星を獲得していることからも、その車両剛性の高さが見て取れるわけです。 いずれにしても、ただ安いだけではなく、その衝突安全性の高さにも注力していることが見て取れると思います。 ただし、Bingo Plusには、運転席と助手席、および1列目のサイドエアバッグこそ標準搭載なものの、シーガルとドルフィンについてはさらにサイドカーテンエアバッグも搭載されていることから、エアバッグの搭載数という点では、BYDがより安全装備を徹底している様子も見て取れます。

TAG: #コンパクト #中国 #激安EV
TEXT:高橋 優
BYDのターゲットは内燃機関車! 最大125万円級の大幅値下げを全モデルで開始ってマジか

アップグレードして値下げするBYDの戦略 中国BYDが2024年モデルへの切り替えとともに、ほとんどすべての車種で最大125万円級の大幅値下げを行い、いよいよ、内燃機関車との値下げ戦争に終止符を打ってきました。とくに日本メーカーの収益源であったトヨタ・カムリやホンダ・アコードに大打撃を与えるであろう、新型Hanの存在、またトヨタRAV4やホンダCR-Vに大打撃を与えるであろうSong Plusなどのアップデート内容を中心として、中国EV値下げ戦争をリポートします。 今回取り上げていきたいのが、中国最大の自動車メーカーであり、世界最大のEVメーカーでもあるBYDの動向です。 すでにBYDについては、売れ筋モデルの大衆セダンQin Plusに対して、Honor Editionと名付けられた2024年モデルを投入し、内外装の装備内容をアップデートしながら、それでいてむしろ値段設定を一律で引き下げてくるといった大規模な値下げ戦略を断行していました。 とくに、PHEVバージョンであるQin Plus DM-iに関しては、EV航続距離55kmのエントリーグレードが7万9800元、日本円でおよそ166万円という、2023年モデルと比較しても一律で41万円以上もの値下げを行ってきていたわけです。 問題は、この大衆セダンセグメントにおいて強さを発揮していたのが、我々日本メーカーであるという事実です。 とくにこれまでは、日産シルフィ、トヨタ・カローラ、ホンダ・シビックなどという安価な内燃機関車が人気だったのですが、PHEVであれば、中国国内で車両を購入する際にかかってくる車両購入税が免除されるという税制優遇措置、およびガソリンよりも電気自動車のほうが安いという経済的なメリットによって、PHEVを選択肢に入れるユーザーが急増しているとのことです。 そして、今回のQin Plusの大幅値下げによって、いよいよ競合の内燃機関車と遜色のない値段設定になったというわけです。 このグラフは、大衆セダンセグメントの人気車種それぞれの値段設定、およびPHEVの場合はEV航続距離との相関関係を示したものになります。 このとおり、PHEVであるQin Plusについては、内燃機関車であるシルフィやカローラと同等の値段設定を実現していることから、同じ値段設定であれば、内燃機関車よりもPHEVを選ぶのは当然です。 そして、それ以上に注目するべきは、このシルフィやカローラなどの内燃機関車たちは、メーカー小売価格ではなく実際の販売ディーラーにおいて値引きが行われたあとの値段設定であるという点です。つまり、内燃機関車たちについては、これ以上値下げする余力が残されていないということを意味します。 2024年中旬からは、本格的にシルフィやカローラなどの日本メーカーの大衆セダン販売台数に大きな悪影響が出てくる可能性が濃厚なわけです。 そして、このBYDの2024年モデルであるHonor Editionが、それ以外のモデルに対しても続々とスタートしている状況です。 まず、2月末に発売がスタートしたのが、BYDのフラグシップセダンであるHan、およびフラグシップSUVであるTangです。とくにHanに関しては、2020年7月の登場以降、急速に販売台数を伸ばしており、月間3万台ペースという中国国内のトップセラーの一角に君臨しています。 他方で、2023年に突入すると、このHanに対抗するためにトヨタ・カムリやホンダ・アコード、フォルクスワーゲン・パサートなどの内燃機関車が、大幅値下げを展開していました。しかもBYDは、Hanとそこまで装備内容やEV性能に遜色がないプレミアムセダンのSealの発売により、HanとSealのカニバライズも発生してしまいました。 とくにHanのバッテリーEVモデルについては、PHEVとプラットフォームを共有しているために、2023年で重要な指標となっていた超急速充電に対応することができていないということ、またプレミアムセグメントにおけるさらなる重要指標である高速や市街地を含めた自動運転支援であるレベル2プラスに対応できていないということで、商品力のテコ入れが急務となっていたという背景が存在したわけです。 そして、今回のHonor Editionについては、BYDブランドのフラグシップモデルとして、内外装の質感とEV性能、ADAS性能のすべてにテコ入れしてきました。 まず、内外装の質感については、新色を追加設定しながら、スマホのワイヤレス充電を50Wへと急速充電化、シートヒーターやベンチレーションだけではなく、シートマッサージ機能も追加設定。EV性能についても620Vシステムにアップグレードすることによって、最大155kWの急速充電出力へと改善。 そして、目玉となるのがプレミアムセグメントにおける必須機能であるレベル2プラスのADAS機能です。 今回のHanのHonor Editionでは、BYDが出資しているHorizon Robotics製のJourney 5のADASプロセッサーを搭載。その演算能力は毎秒128兆回と、テスラのハードウェア3.0に匹敵する能力を有することで、高速道路上における、追い越しや分岐を含む自動運転に対応させる、いわゆるレベル2プラスにBYDブランドとしては初めて対応してきました。 すでに高級ブランドであるDenzaやYangwangについては対応済なものの、いよいよ大衆ブランドであるBYDでも、レベル2プラスの導入を始めてきた格好となります。

TAG: #中国 #値下げ #新車

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