ボルボ・カーのサステナビリティ責任者のステュアート・テンプラー(Stuart Templer)氏インタビューの続編。ボルボのクルマ作り、そしてアフターセールスの考え方を尋ねる。 全部門にサステナビリティ担当者を配置 THE EV TIMES(TET):自動車業界の内外で参考にされている企業や団体があれば教えてください スチュアート・テンプラー(ST):たとえばスウェーデンのブランドであるイケアは、企業のサステナビリティにおける世界的リーダーとして知られています。サステナビリティが企業の血流として文化として根付いているからです。私のようにサステナビリティにかかわる肩書きを持つ人たちだけでなく、全社員がそれを貫いているのです。 サステナビリティの中心的なチームには15人ほどの社員がいます。しかし私たちはサステナビリティ戦略をまとめているだけで、事実上、会社のすべての担当者が参加しているといえます。私たちのサステナビリティの目標を実現するためには、社内のさまざまな分野に焦点を当てた人材が必要です。例えば、研究開発部門にはサステナビリティ・センターと呼ばれるものがあります。これは、世界的に有名なセーフティ・センターと同じ位置づけです。また、調達、設計、人事、財務の各部門にサステナビリティ担当者を配置しています。小売店ネットワークにおける排出量を削減するチームを社内のすべての部署に置いています。 私たちの使命は、全従業員が気候変動対策、循環型経済、倫理的で責任あるビジネスのそれぞれに関する非常に高い目標について、どのようにすれば達成できるかを考えるようにすることだと思います。 最もよく知られているのは、2030年までに完全な電気自動車メーカーになるというものです。気候の面では、先ほど申し上げた40%削減という目標がありますが、これは企業のトップレベルの目標である循環型経済が必要です。例えば、私たちのクルマにはリサイクル素材を使用するという目標があります。例えば、2025年までに再生プラスチックを25%、再生鉄を25%、再生アルミニウムを40%使用するというものです。これらは業界においてトップレベルの目標です。そして新しいEX 90は、プラスチックの15%を再生プラスチックまたはバイオベース材料とし、スチールの15%をリサイクル、アルミニウムの25%をリサイクルするという循環経済目標に向けて順調に前進しています。EX 90は、私たちのサステナビリティへの意欲を反映したものですが、私たちの旅の終わりではなく次のステップなのです。