THE EV TIMES

コラム
share:

電気自動車(EV)は「ドリ車」になるか、現役EVエンジニアが考察[THE視点]


TEXT:福田雅敏 PHOTO:トヨタ自動車、日産自動車、BMW、VW、ボルボ、ABT werke
TAG:

エコが売りの電気自動車でも、タイヤを鳴らして限界まで攻めて走ってみたい、というのはクルマ好きの隠すことのできない願望だろう。しかし果たしてそれは現実的なのか、エンジニアによる考察をお届けする。

電気自動車(EV)の後輪駆動化が世界でトレンド

昨今、電気自動車(EV)は後輪駆動(RWD)が増えている。新型車はもちろんだが改良型においてもだ。例えば新型車では「フォルクスワーゲン ID.4」がそうだし、「ボルボ XC40リチャージ」は欧州で従来の前輪駆動(FWD)からRWDに変更された。何より「東京オートサロン2023」では「トヨタ AE86型カローラ・レビン」のEVが展示された。

RWDは車好きにとってはひとつのステータスだろう。さらに言えば「EVでドリフトは可能なのか」と考えるマニアもいるのではないだろうか。そこで今回は「EVのドリフト」について現役EVエンジニアの視点から考えてみた。

駆動装置(イー・アクスル)などの小型化が後輪駆動化に寄与

これまで販売されてきたEVは、FWDもしくは四輪駆動(AWD)が多かった。理由のひとつは従来のエンジン車のプラットフォームを使用していたこと。多くのエンジン車はFFが主流なので、EVもそのままFWDとなったと考えられる。

もうひとつの理由は制御系統。従来のインバーターや駆動用モーターはサイズが大きかった。それらをボンネットの下にまとめた方が効率的なのだ。そしてFWDの方が回生ブレーキの効率が高いことも理由にあると思う。

しかし技術はあっという間に進歩し、今後の主流となるであろう機電一体の駆動装置「e-AXLE(イー・アクスル)」に小型高出力のものが出てきた。そのおかげでユニットを前輪・後輪のどちらにも載せやすくなり、RWD化が進むようになった。RWDのメリットは後輪のトラクションの良さだ。ちなみに筆者も長くBMW(エンジン車)に乗っており、RWDはお気に入りである。

またRWD化では意外なメリットがある。それが積載性。小型の「e-AXLE」を使えばボンネットの下にスペースができることから、テスラのようにフロントにトランク(通称フランク)を持たせるEVが増えてきている。なんと先日発表されたEVピックアップトラック「ラム1500REV」にもフランクが備えられた。フランクは荷物を載せるのに大変便利である。この利便性の向上も少なからず影響しているのではないだろうか。

ともあれ、クルマ好きにとってRWDとくれば「ドリフト走行」を考える人は多いのではないだろうか。「東京オートサロン2023」で公開された「AE86」は、筆者にEVのドリフトマシンの登場を想像させてくれた。この「AE86」は、エンジンをモーターに変えただけの仕様。つまりFRレイアウトのEVであり、そのままドリフト走行が可能だ。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
米ピータービルト、EVのトレーラーヘッド「579EV」をダラスの業者に納入……デイリーEVヘッドライン[2023.03.24]
「ポールスター2」に230台限定のスポーツモデル「BSTエディション230」登場……デイリーEVヘッドライン[2023.03.23]
HWエレクトロ、中型EVバン「エレモ-K」の先行予約を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.03.22]
more
ニュース
大日本印刷と島田理化工業、EV用ワイヤレス給電の実証実験装置を共同開発
横幅いっぱいに表示されるヘッドアップ・ディスプレーをBMWが開発中。「BMWパノラミック・ビジョン」が次期「ノイエクラッセ」に
ランチア、本格的なブランド再生に向け、名門復活の狼煙を上げる
more
コラム
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第8回:e-208GTは楽しい!生活で魅力が増していくEV。
お得な充電カードを探せ [ID.4をチャージせよ!:その10]
企業同士の協力が新エネルギーを普及させる……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek」探訪後編[THE視点]
more
インタビュー
「こうなる! 2023年の自動車業界!」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第8回
「分断はやめて、楽しもうよと(笑)」 モデル3オーナー、石井さんに聞くEVコミュニティ事情
「なぜテスラはうまくいったのか?」伝説の自動車アナリスト、中西孝樹教授に訊く:第7回
more
試乗
レベルの高い走り 乗り心地には要改善点も [日産アリア試乗記:その4]
電気自動車の商用車「フォロフライ」EV F1 VANを試乗
「アリア」のベースグレードを買っても後悔しない? [日産アリア試乗記:その3]
more
イベント
企業同士の協力が新エネルギーを普及させる……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek」探訪後編[THE視点]
ホンダの電動戦略のカギは脱着式可搬バッテリーにあり……現役EV開発エンジニアによる「スマートエネルギーWeek 春」探訪前編[THE視点]
EVだってもっと自由に楽しめる! CUSCOブランドが提案するEVチューニングの世界
more
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

ARCHIVE

月を選択