トヨタ 記事一覧

現行「MIRAI」のFCシステム(photo=トヨタ自動車)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
商用燃料電池(FC)の普及にさらにテコ入れ、トヨタが次世代FCセルを開発[2023.06.15]

航続距離1,000kmで次期型「ミライ」にも採用の可能性 FCEVのほか定置式発電機としての活用も視野 【THE 視点】トヨタ自動車は、次世代燃料電池(FC)システムを開発し2026年中の実用化を目指す。東富士研究所(静岡県裾野市)にて「トヨタテクニカルワークショップ2023」を開催し、次世代FCシステムについての計画を発表した。 トヨタは現在、商用車を中心に、国内外のメーカーと協力しながらFCEVの実装を推進している。今回発表した内容は、それに加えてFCの普及を促す範囲を拡大するというもの。FCEVのみならず、定置式発電器としてのFCの開発・実証実験も進めているという。 今回のトピックは、次世代のFCの開発を発表したことだ。高寿命・低コスト・低燃費性能を追求し、商用ユースに応えられる業界トップクラスのFCセルを開発。そのFCは、メインテナンスの容易さや、現行比1/2のスタックコストの低減、航続距離の20%向上を見込み、2026年中の実用化を目指すという。 FCEVの「ミライ」とも無関係ではない。初代が登場したのは2014年。そして2代目は2020年にデビュー。このサイクルに乗ると、2026年に3代目が登場することになる。新世代FCの実用化目標と重なっているのだ。 現在の「ミライ」の車体価格は710万6,000円からで安価とは言えないが、新世代FCの低コスト化が実現できれば、その価格を下げられるかもしれない。そして航続距離は、現行の850km(参考値)をベースに考えると、1,020kmとなる。 トヨタは、FCを商用を軸に普及させる姿勢だ。確かにFCEVは、水素充填の時間が短いため、シビアな時間管理が求められる配送用途に向いている。しかしそのメリットは乗用車でも同じで、「ミライ」においても5分の充填時間で1,000km走れることは大きなセールスポイントになろう。 FCEV普及の枷となっている要因は水素ステーションの少なさ(現在約170ヵ所)だが、1,000km走れるFCEVが実現できれば、それに泣くことも少なくなると思う。1,000kmの距離があれば、東京・大阪間の移動も不自由なく行えるはずだ。 しかし、どれだけFCが進歩しようとも、水素ステーションが少ないようではFCEVの普及は難しい。2030年には国策として水素ステーションを1,000ヵ所に増やすとしているが、もう少し早まらないだろうか。FCの開発スピードに負けず、水素インフラの整備も急いでほしいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★プラゴ、EV用充電器「プラゴ・ボックス」の提供を開始……最高出力4/5/50kWの3種類の機器を用意、専用のスマートフォン向けアプリにて出力を遠隔制御可能 ★★BYD、フランスにEVモデルを5機種投入……「アット3」「ハン」「タン」「ドルフィン」「シール」の5モデル ★ステランティス、商用バンの新型EV「ラム・プロマスターEV」を2023年後半に発表……アメリカの配送企業「Merchants Fleet」と1万2,000台の納入を契約 ★リマック、EVスーパースポーツ「ネヴェーラ」をアメリカで納入……アメリカで初めての顧客向けに ★新電元、EV充電インフラ製品群を「人とくるまのテクノロジー展 2023 ONLINE STAGE 2」<6月28日(水)〜7月19日(水)>に出展……パワー半導体の製品群も ★パワーエックス、物流不動産企業のプロロジスより定置型バッテリーを受注……20フィートのコンテナサイズ型を1基、マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク草加」(埼玉県草加市)に設置 デイリーEVヘッドライン[2023.06.15]

TAG: #THE視点 #テクノロジー #燃料電池(FC)
TEXT:烏山大輔
トヨタ、GR H2 Racing Conceptを発表。エンジンはヤマハ製V8か?

トヨタが6月9日、ルマン24時間の決勝を翌日に控えるサルト・サーキットにおいて、水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 Racing Concept」を発表した。 静かで、迫力を失ってきたレースシーン 世界三大レースに数えられるルマン24時間は、ACO(フランス西部自動車クラブ)が主催団体だ。そのACOも水素の可能性を信じ、以前よりデモランでFCEV(燃料電池車)レースカー「ミッションH24」を走らせているが、いまだにデモランで終わっていること自体がFCEVレースカーの難しさを物語っているのかもしれない。 しかし、近年FCEVは大型トラックや建機への搭載に向けた開発が進んでいることはTHE EV TIMESでも度々伝えてきた。つまり現状のFCEVは一定の出力を出し続ける場面において力を発揮することが得意ということなのだろう。それは全開の加速と急激な減速を繰り返す、「一定の運転」とは真逆のレース界においては、まだ難しい技術なのかもしれない。 そして、レースの世界でも省エネが叫ばれるようになって久しい。ハイブリッド化やターボ化も進み、サーキットに行っても魅力的なエキゾーストノートを聞く機会が少なくなっている。 ルマンにおいても、あのフェラーリでさえ、今年からハイパーカークラスに参戦している499Pも、LM-GTEクラスでライバルと鎬を削っている488 GTE Evoもターボエンジンだ。F1においても2013年をもって、NAの甲高い咆哮は聞かれなくなった。

TAG: #レースカー #水素エンジン
TEXT:桃田 健史
大型BEVトラックは当面無理!? ダイムラー・トヨタ大連携の訳

トヨタ、ダイムラートラック、三菱ふそう、日野の4社は2023年5月30日、都内で共同会見を開き、「CASE技術開発の加速を目指すとともに、三菱ふそうと日野を統合する基本合意書の締結」について発表した。その背景に何があるのか? トップシークレットでのサプライズ まさか、このタイミングでここまで大きな話が動くとは! 5月30日午後3時15分に4社が一斉にプレスリリースを出し、またトヨタから午後4時30分から会見がある旨の連絡が入った。 午後4時に会見会場のホテルに到着すると、すでに在京キー局のテレビカメラがズラリとスタンバイしており、テレビ、新聞、通信社などの経済部の記者が集まっていた。 彼らの口からは「まさか」「驚いた」「いつのまに」といった声が漏れてくる。 トヨタ含めた4社内でも、本件はトップシークレット扱いで、これまで機密保持を徹底してきたようだ。 それほどまでに、今回の4社連携は自動車業界のみならず、グローバル経済界に対するインパクトが大きいと言えるだろう。 会見の概要は、ダイムラートラックとトヨタが、三菱ふそうと日野を対等な立場で統合するための株式会社(上場)を設立して、同会社の株式を50:50で保有する。2024年3月期中に最終契約を締結し、2024年中に統合を完了させることだ。 質疑応答を含めて2時間弱に渡る共同会見の中で、興味深い点がいくつかあった。 まず、統合に向けた口火を切ったのは、ダイムラートラックで、時期は昨年だったという。昨年といえば、日野がエンジン認証不正によって”揺れに揺れていた”時期である。 そのタイミングで、ダイムラートラックは日野ではなく、日野の親会社のトヨタに対して”友好的な関係”を持ちかけてきたことになる。 ダイムラートラックとトヨタとの交渉が、三菱ふそうと日野を含めて最終的にまとまった大きな理由を、4社のCEOは「未来はみんなでつくること」という共通を想いが共有できたと表現した。 そもそも、4社が係わる小型・中型・大型のトラック・バス市場は乗用車市場と比べるとかなり小さい。記者からの質問に対して、トヨタの佐藤恒治社長は市場規模を「年間300~350万台程度」と表現したほどだ。 だからこそ、4社は「スケールメリットが必要だ」と強調した。

TAG: #ダイムラートラック #トヨタ #三菱ふそう #日野 #統合
TEXT:福田 雅敏
「下町ロケット」の魂、日の丸サプライヤーの縁の下の技術をメーカーは見逃すな[THE視点]

来場者数6万3,810人・出店社数484社と、昨年を上回る規模での開催となった「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい地区)/5月24日〜26日>。 本レポートの第1回[詳細はこちら]ではメーカー、第2回[詳細はこちら]ではサプライヤーの第1弾としてモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)の展示を紹介してきたが、最終回となる今回は、サプライヤーの中でも、普段はあまり注目されないバッテリー・カバーなど、縁の下を支える部品を紹介する。 自動車技術会……EVのホワイトボディを展示 本イベントの主催である自動車技術会のコーナーには、ホワイトボディ(骨格のみのボディ)の展示があった。 展示されていた車種は、「日産アリア」「トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ」(兄弟車)、「マツダCX-60」「いすゞ・エルフ」の4車種。 この中から、EV、PHEVに関連する、3車種のホワイトボディを紹介する。 「日産アリア」は、最新のEV用プラットフォーム「EV-PF」を採用している。 エアコン関連(HVAC)のモジュールを、モーター・ルーム(ボンネット)に収め、室内はフラットフロアを実現。フロント周りのサブフレームの一部およびバッテリーパックには、アルミを使用し軽量・高剛性化も実現した。 「トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ」は、トヨタとスバルの技術を融合し共同開発されたプラットフォームを使用している。 バッテリーパックをボディの一部として活用しているのが特徴で、高い安全性と操安性を実現している。バッテリーパックはスチール製だが、パックとボディをつなぐ部分には、アルミの押し出し材を使用する。 「マツダCX-60」は、PHEVではあるもののアルミ・ダイキャスト製のバッテリーパックを使用していることに目を引かれた。詳しくは後述する。

TAG: #イー・アクスル #人とくるまのテクノロジー展 #燃料電池車(FCEV)
TEXT:田中 誠司
EV市場はブルーオーシャン! フォロフライ×丸紅×太陽インキ製造が合同セミナー[前編]

商用EVを日本で開発し中国で生産して輸入するファブレス・メーカー、日本屈指の大手総合商社、そして電子部品基盤用絶縁材料を供給する化学メーカー。それぞれの関係性がつかみにくい3つの企業が合同で報道セミナーを東京・大手町で実施するという。 テーマは「急拡大するEV市場と、需要高まる注目セクション」ということで、一般的なB to Bのマーケティング・イベントならよくあるミックスかもしれないが、自動車分野では珍しい取り組みと言っていいであろうこのセミナーについて本誌編集者がリポートする。 毎年、およそ5兆円の半導体が自動車に消える 冒頭では現在のEVをめぐるスケール感と電子部品について、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ代表の柏尾南壮氏がゲストスピーカーとして登壇した。 現在、世界の半導体は全体で50兆円市場だという。そのうちスマートフォン用が35%を占め、次にPC用が15〜20%、自動車用は10%でそれらに続くという。 現在、年間に市場に送り出される普通乗用車の数は約1億台。平均的にそれらは1万5000点、ノートパソコンにして5台分の半導体を消費する。 柏尾氏が率いる会社は、電気自動車を購入して細かく分解して研究する事業を手掛けており、講演ではテスラ・モデル3、フォルクスワーゲンID.3、トヨタ・ミライのメイン・コンピューターの比較が示された。 テスラは自動運転機能などに用いるAIに関連するチップが多いのが特徴。VWは多くのメーカーがベンチマークとするだけあり、構成部品を可能な限り少なくした伝統的な考え方の配置だった。メインのチップには日本のルネサスが利用されていた。いっぽう、FCEVのトヨタ・ミライは信頼性を何よりも重視しており、島のような構造部であるメインコンピューターを2系統配置し、片方が故障してももう一方が機能を果たせる回路を採用している。 今後は自動運転がレベル3へ進化するにあたり、ソフトウェアの書き換えに対応する高速な無線機能が必須になり、半導体に求められる能力はさらに高まることが予想される。

TAG: #商用EV #国内ビジネス
TEXT:TET 編集部
トヨタ、定置用蓄電池システムを開発。東京電力ホールディングスなどとコラボし、秋田県で実証実験を開始

トヨタ自動車と東京電力ホールディングスは5月29日、両社の蓄電池技術を融合した定置用蓄電池システムを開発したと発表。本年秋頃より、トヨタ系商社の豊田通商および豊田通商の子会社で風力・太陽光発電事業を行うユーラスエナジーホールディングスとも連携し、秋田県鹿角市に立地する大規模風力発電所「ユーラス田代平ウインドファーム」において実証実験を開始するとのことだ。 拡大が見込まれる蓄電池市場 今回両社が実証実験に取り組むのは、蓄電池を直流電源として接続し電力系統や各種電気機器に交流電力を供給する「PCS」と呼ばれる設備と、複数台の電気自動車用バッテリーを組み合わせたシステム。カーボンニュートラル達成のためには利用拡大が必須の再生可能エネルギーだが、天候等に左右される風力発電や太陽光発電はどうしても発電量が不安定になりがちだ。 ただし、一旦発電した電力の一定量を蓄電池に蓄え、電力需要に応じて随時取り出すことが可能になれば、課題の多くが解決する。そのため、東京電力を始めとする電力会社にとって、大容量でコストが安く、効率に優れた蓄電池システムの開発は達成したいテーマのひとつなのだ。 一方、トヨタなど大手自動車メーカーは、既に電気自動車用バッテリーで様々なノウハウを蓄積しており、蓄電池技術については一日の長がある。さらに、自動車メーカー自身にとっても、電気自動車を廃車にする際などに発生する使用済み車載用バッテリーの処理は大きな課題。特に、今後電気自動車が広く普及していけば、大量の使用済みバッテリーが自動車メーカーの手元に残ることとなるから、蓄電池システムでのリユースを含め、その有効活用については今から見通しを付けておきたいところだろう。 こうした両社のニーズが一致して実現したと見られる今回の実証実験では、トヨタの電気自動車に採用されている車載用バッテリーや制御部品と、東京電力の系統接続に関する知見とを融合して、定置用蓄電池システム(1MW/3MWh)を共同開発。このシステムを設備容量7,650kWを誇るユーラス田代平ウインドファームに設置し、蓄電池の充放電に関する最適運用や電力系統の安定化に資する制御などを数年程度かけて確認していく。 >>>次ページ 車載用バッテリーのリユースも視野に

TAG: #SDGs #バッテリー #リユース
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
商用EVにも地殻変動か、三菱ふそうと日野が経営統合

それぞれの親会社のトヨタ自動車とダイムラー・トラックが合弁会社を設立 三菱ふそう車にトヨタのFCが載る可能性も 【THE 視点】日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう)は30日、経営統合することで基本合意したと発表した。三菱ふそうの親会社であるダイムラー・トラックと、日野の親会社であるトヨタ自動車の4社で基本合意書を同日付で締結した。 トヨタとダイムラー・トラックが合弁会社を設立し、日野と三菱ふそうの両ブランドを残しながら、商用車の開発・調達・生産分野で協業し、水素をはじめとする「CASE(※1)」技術開発を加速させる。 これで、トヨタの燃料電池(FC)を活用した日野のバス「ソラ」や、大型FCEVトラックの技術をダイムラー側が、一方で三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」の技術や、ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツ等がもつ大型バッテリー式EVトラック・バスの技術をトヨタ側が手に入れることになる。 今や単独で「CASE」技術を開発するには限界が見えたのだとみられる。双方が持つ技術を、双方が使えるようになれば、新たなシナジーも生まれよう。 筆者が予想するには、大型トラックの電動化はFCEV、中・小型トラックはバッテリー式EVという方向に明確に進むと思われる。大型車はやはり、充電時間と走行距離を考えると、バッテリー式は難しいところがある。 日本では、刺身にする鮮魚のような鮮度最優先の生鮮食品の輸送もある。充電に時間がかかるバッテリー式の大型EVトラックの場合、大きなタイムロスが発生してしまう。 なお同日行われた会見では、トヨタを中心とする「CJPT(※2)」への、三菱ふそう側の参加については発表やコメントがなかった。 日野は、バスに関してはいすゞと製造部門を統合した「ジェイ・バス」も抱えている。どのような影響が出るのかも気になるところだ。たとえばダイムラー・トラックは、傘下のメルセデス・ベンツ名義で大型EVバスをドイツで製造・販売して公共交通機関に納入するなどの実績を持つ。あわよくば、そのEVバスの導入もあり得る。 ともあれ、三菱ふそうとの事業統合は、国内の商用車業界に大きく影響しそうである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ※1:CASE……「コネクテッド」「自動化」「シェアリング」「電動化」の英語の頭文字をとった造語 ※2:CJPT……「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」の略語、トヨタが中心となりいすゞも参画する次世代商用車の開発団体 ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQS SUV」を日本で発売……7人乗りに対応、メーカー初のEV専用プラットフォームを採用[詳細はこちら<click>] ★関東鉄道、茨城県初の路線型の大型EVバスを導入……「BYD K8」(定員81人)を採用、6月1日より守谷営業所管内で運行開始 ★東京都、お台場や有明地区などの臨海部でEVバイクシェアリングを5月29日より開始……ドコモ・バイクシェアと共同事業、前二輪のトライクタイプの小型EVを導入 ★メルセデス・ベンツ、EVのトラクター・ヘッド「eアクトロス」シリーズの長距離テストを実施……ドイツのヴェルト工場からトルコのアクサライまで3,000km、秋に量産開始 ★東北大学、「カルシウム蓄電池」の500回以上の充放電に成功……レアメタル不使用の次世代型バッテリー、トヨタ北米先端研究所も研究に協力 デイリーEVヘッドライン[2023.05.31]

TAG: #THE視点 #商用EV #国内ビジネス
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ヤマト運輸など、FCEV大型トラックの実証実験を開始……デイリーEVヘッドライン[2023.05.19]

ヤマト運輸/アサヒグループ/ネクスト・ロジスティクス・ジャパン/西濃運輸の計4社が参画する大規模実証 短時間充填が可能な水素は物流に有効と判断 【THE 視点】ヤマト運輸/アサヒグループジャパン/西濃運輸/ネクスト・ロジスティクス・ジャパンの4社は5月17日、FCEV(燃料電池車)大型トラックの走行実証を開始すると発表した。FCEV大型トラックの走行は日本初だという。 本実証には、トヨタ自動車と日野自動車が共同開発した車両(「日野プロフィア」がベース)を使用する。各社の実際の輸送業務及びルートに使用し、水素燃料活用の可能性と実用性の検証を行う。 実証に用いるFCEV大型トラックの航続距離は約600km。トヨタの技術をベースに大型車用に最適化した燃料電池(FC)を2基搭載。高圧水素タンクも新開発のものを6本、さらに来年予定されている高速水素充填規格にも対応可能な水素充填口を装備している。 発表内容によれば、国内商用車全体の温室効果ガス排出量は、全体の約7割を大型トラックが占めているとのこと。特に幹線輸送に使われる大型トラックは、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求められるため、エネルギー密度の高い水素を燃料とするFCが有効であると判断したようだ。 当初、この実証試験は2022年春に開始と発表されていたが、1年遅れての出発となった。時を合わせたかのように、いすゞとホンダもFCEV大型トラックの共同実証を先日発表している[詳細はこちら]。これで日本国内でのFCEV大型トラックの開発が一気に走り出した形だ。 今回の発表で目に止まったのは、「高速水素充填規格」に対応することだ。車両が大型になれば水素充填量も多くなり、充填に時間が掛かるようになる。どれほど高速化するかは不明だが、もしかしたら国内レースの「スーパー耐久シリーズ」に出場している水素エンジンの「GRカローラ」を通して開発された急速充填技術が応用されているのかもしれない。 FCEVに乗る筆者は水素充填の際に、先行するFCEVバスの充填完了を20分待ったことがある。それが緩和されるということで、FC界隈の技術開発の進化を実感した。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、東京都江東区に納車拠点「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」をオープン……「A PIT オートバックス東雲」内に開設、試乗や購入相談も可能[詳細はこちら<click>] ★★ボードリー、自動運転レベル4(運転者を必要としない自動運転)対応のEV「ミカ」を国内導入……茨城県境町が2023年度中に導入、障害物回避機能も搭載 ★★東京R&D、FCEVスポーツコンセプトを「人とくるまのテクノロジー展」にて公開……「VEMAC RD200」の次期型を想定 ★ジヤトコ、トランスミッション付きのモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)を「人とくるまのテクノロジー展」にて世界初公開……並行軸タイプのイー・アクスルも ★テラモーターズ、栃木県那須塩原市にEV充電器を大規模導入……市役所や黒磯公民館など公共施設を中心に計100基 ★ステランティス、空飛ぶクルマに出資……全電動垂直離着陸(eVTOL)機開発のアーチャー・アビエーションに最大1億5,000万ドル ★ボルボ、「EX30」の安全機能を一部公開……ドア開放時に警告音、後続の自転車とのドアの接触を防止 ★BMW、EV船「THE ICON」を「第76回カンヌ映画祭」にて発表……走行中は船体が浮き上がる水中翼船方式、最高速度は55km/h ★NITTOKU、モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)用ヘアピンモーターの生産ラインを受注……中国のモーターメーカーより20億円分 ★ヒョンデ、「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」で試乗会を開催……5月20日(土)・21日(日)の2日間、「アイオニック 5 ラウンジAWD」と「同リミテッド・エディション」を用意 ★テスラ、軽井沢で試乗会を開催……5月27日(土)・28日(日)に「軽井沢・プロンスショッピングプラザ」<長野県軽井沢町>にて、「モデルY」「モデル3」を用意 ★アイシン、「イー・アクスル」や「回生協調ブレーキ」などを「人とくるまのテクノロジー展」に展示 ★ヤマハ、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」を再現したレンタルサービスを実施……TV番組と同カラーリングの「E-ビーノ」とヘルメットを貸し出し、代官山エリアと伊豆大島で展開 ※ 「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」……パシフィコ横浜(横浜市西区)にて5月24日(水)〜26日(金)に開催

TAG: #THE視点 #商用EV #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
トヨタ/ダイハツ/スズキ、軽自動車規格の商用EVバンを共同開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.18]

小型車企業がタッグを組み普及を加速 軽バンは日本の商用EVの強みとなるか 【THE 視点】トヨタ/ダイハツ/スズキは、3社共同開発の軽商用EVバンのプロトタイプを発表した。「G7広島サミット(主要国首脳会議)」と並行して行われる(一社)日本自動車工業会の展示イベントで実車を公開する。 この軽商用EVバンは、スズキとダイハツの小型車開発のノウハウと、トヨタのEV技術を持ち寄り共同開発。さらに商用EVの開発団体であるコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)も企画に参画することで、ラスト・ワンマイルの輸送に最適化したという。現在発表されている仕様では、最大航続距離が200km。生産はダイハツが請け負い、トヨタ/ダイハツ/スズキの3社が2023年度中に導入を目指すとのこと。 ダイハツの車体にスズキがバッジをつけることには驚いたが、この軽商用EVバンは今後競争が激化するカテゴリーであり、技術開発の加速や普及拡大のためには、これまでの垣根を超えたアライアンスは必然なのだろう。 三菱自動車も「ミニキャブMiEV」の再生産を開始し、ホンダも今年度より配送会社と実証試験を始め、来年には「N-VAN」ベースの量産EVを販売する計画だ。価格はホンダが100万円台を目指すと言っているが、200万円前後がこのジャンルの基準価格となると予想する。 ラスト・ワンマイルの配送には軽商用バンが最適なのは間違いない。日本の商用EV普及の鍵を握る重要なカテゴリーだと認識している。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQV」の登場を予告……バンモデル「Vクラス」のEVモデル、2023年夏に発表[詳細はこちら<click>] ★★日産、充電サポートサービス「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3」の利用料金を改定……日産のEVユーザー専用のサービスへ、1分単位の課金型に ★★EV用ワイヤレス充電が国内初の実用化……技研製作所が高知本社<高知市>にある超小型EV専用機械式駐車場「EVエコパーク」にて実証実験、ダイヘンのワイヤレス充電システムとトヨタの「C+Pod」を使用[詳細はこちら<click>] ★メルセデス・ベンツ、バンモデル専用のプラットフォーム「VAN.EA」を発表……2026年以降の中型・大型バンモデル全てに採用 ★ナビゲート、EV充電スポット検索アプリ「おでかけEV」をリリース……「iOS」「Android」双方に対応、有料会員登録でポイント獲得・交換も ★武蔵精密工業、ベトナムのEVスタートアップ企業「Son Ha Group」と協業……武蔵製のEVユニットを提供、ベトナム国内でEVバイクを開発 ★国際航業、パイオニアとV2H(EVの電力を家庭で利用可能にする機構)系のサービスで連携……国際航業のEV・V2H経済効果試算ツールと、パイオニアのEV消費電力推定技術を連携させ、高精度なEVの電力管理が可能に ★ヤマハ、EVトライアルバイク「TY-E2.1」を実戦投入……「FIMトライアル世界選手権 第3戦日本グランプリ」に出場、ライダーは黒山健一選手 ★アメリカ新興のルーシッド、ローンおよびリース契約の申し込みを開始……リースの場合1,299ドル(約17万7000円)/月(エア・ツーリング)から ★東陽テクニカ、モーターエミュレーターを「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市西区)/5月24日(水)〜26日(金)>に出展……インバーター開発向けのモーターのシミュレーター ★ヴァレオ、EVバイク「eMotorBike」を「人とくるまのテクノロジー展」に出展……48Vの駆動システムを搭載、最高出力は原付二種同等の9.5kW(13ps) ★ブレイズ、「憩の森マルシェ」<大高緑地公園 若草山芝生広場(名古屋市緑区)/5月21日(日)>に出展……「ブレイズ・スマートEV」など展示、試乗も可能 ★日産、千葉県とEV活用で包括連携協定を締結……「ブルー・スイッチ」施策で、災害時のEV活用など ★経済産業省、電力会社の値上げ申請を認可……北海道電力/東北電力/東京電力/北陸電力/中国電力/四国電力/沖縄電力の計7社が電気料金を値上げ

TAG: #THE視点 #ハイゼット #商用EV
TEXT:生方 聡
急速充電性能を改善、航続距離も把握しやすく:トヨタが「bZ4X」のソフトウェアをアップデート

トヨタ自動車は2023年4月22日、ミドルサイズSUVタイプのEV「bZ4X」のソフトウェアアップデートを5月以降に実施すると発表した。 ユーザーの声に応えるために 「bZ4X」は、トヨタが新開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用するミドルサイズSUVタイプのEVだ。ハイブリッド車で電動化をリードしてきたトヨタだけに、EVのbZ4Xも優れた走行性能を有しているが、その一方で、急速充電やメーター表示に関してユーザーから改善を求める声が寄せられていた。 おもなものとしてトヨタは、 1 急速充電性能 2 メーター上の航続距離 3 メーター表示 を挙げている。 「1 急速充電性能」は、bZ4Xでは1日あたりの急速充電によるフル充電回数を2回に制限してきた。ここでいうフル充電とは、150kWの急速充電器でバッテリー残量(SOC)10%から80%に充電することを指す。また、SOCが80%を超えてからの急速充電は速度を制限。いずれも急速充電によるバッテリー劣化を抑制する狙いがある。 「2 メーター上の航続距離」は、メーターに表示される航続距離が0kmになるタイミングが早いという指摘だ。トヨタによれば、“電欠”で走行不能になるのを避けるために、航続距離が0kmになっても、実際には充電場所までたどり着ける余裕を持たせているという。 「3 メーター表示」は、「感動よりも扱いやすさを [トヨタbZ4X試乗記:その3]」でも指摘しているように、メーター内にSOCの%表示がなかった。また、エアコン使用時の航続可能距離が大幅に短く表示される傾向にあった。

TAG: #bZ4X #ソフトウェア #充電
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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