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ホンダ・モトコンパクト(photo=アメリカン・ホンダ・モーター)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
「モトコンポ」がEVで復活……米ホンダ、超小型電動スクーター「モトコンパクト」を発表[2023.09.21]

ラストワンマイルに特化した仕様だが従来のコンセプト通りの機能性 EVならではのゼロベースの二輪開発は原付一種に変革をもたらすか 【THE 視点】本田技研工業のアメリカ現地法人アメリカン・ホンダ・モーターは9月14日、超小型EVスクーター「モトコンパクト」を発表した。1980年代に日本で販売していた折りたたみ型の第一種原動機付自転車「モトコンポ」が事実上復活したことになる。 「モトコンパクト」は、かつての「モトコンポ」をオマージュしながら、都市型の近距離モビリティとして再デザインされた。ラストワンマイルの移動を主な用途とし、航続距離は20kmに設定されている。充電は家庭用コンセントで3.5時間だという。専用充電器を本体内に収納可能だ。 ボディは、旧型の「モトコンポ」よりさらにコンパクトで折りたたむとスクエアな箱型となり、キャリングケースのように持ち運べる。もちろん乗用車のトランクに積載可能だ。 パワートレインには、永久磁石式のダイレクトドライブ(インホイールモーター)を採用し前輪を駆動する。最高出力は0.49kW(0.7ps)で最高速度は24km/h、車重は18kgとなっている。 今回の「EVモトコンポ」の発売は大歓迎である。 旧型「モトコンポ」の元オーナーである筆者は羨ましさを感じている。エンジン版モトコンポは、クルマの中に入れるとどうしてもガソリンの匂いがしてしまったが、EV版「モトコンポ」ではそれに悩むことはない。 元々「モトコンポ」は、ハンドル等を畳み車載できることがコンセプトだ。あのスクエアなデザインは、そのための機能性重視のデザインなのだ。 その観点でみれば、「モトコンパクト」は「モトコンポ」の正常進化系であり、名前は違えど後継車と言って問題なかろう。むしろ電動化でよりコンパクトになり積載がしやすくなった点を考えれば、「モトコンポ」の究極の姿と言えるかもしれない。 残念なのは、現在のところ「米国でのアナウンスのみ」という点である。 現在、原付一種という日本独自のカテゴリは存在意義が薄れている。普通免許で原付二種(125cc)に乗れるようにする動きもあり、原付一種はメーカーにとってもお荷物のようなカテゴリになっている。 しかし、電動技術を活用すれば原付一種の存在意義が出てくる。今回の「モトコンパクト」が良い例だ。 EVバイクは、これまでのバイクの車体設計を踏襲する必要がない。車体の中でかなりの場所をとってしまうエンジン/トランスミッション/燃料タンクがないため、パワートレインやエネルギー系統のレイアウトが比較的自由にできる。「バイクはこうじゃなければいけない」という固定概念から外れ、より自由でユニークなモビリティをゼロベースで設計・提案することができるのだ。これはメーカーにとって商機なのである。 「モトコンパクト」が日本で発売されたら筆者自身もぜひ欲しいと思う。もう少し要望を言わせてもらうと、バッテリーは「ホンダモバイルパワーパックe」のように取り外しが可能で、バッテリーのみを持ち運んで充電しモバイル機器などにも給電できるような機能をつけてほしい。 いずれにせよ、日本での発売を待つしかないのがもどかしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、FCVの「ミライを」2024年パリオリンピックに提供 ……2024年に開催予定の「パリオリンピック」並びに「パラリンピック」に500台を提供する。トヨタは「パリオリンピック」の公式パートナーとなっており、前回の大会よりもCO2を50%削減することを目標としている。 ★★レクサス、次世代EVを「ジャパン・モビリティショー」で公開 ……2026年初頭に次世代のバッテリー式EVをレクサスから投入するという。車体のモジュール構造を変え、生産方法も見直し、ソフトウエアプラットフォームも全面刷新したEVとなるようだ。この車両を「ジャパン・モビリティショー2023」にてワールドプレミアする。 ★★BYD、コンパクトEV「ドルフィン」を日本発売 ……「アット3」に続く日本導入第二弾となる。価格は363〜407万円で、9月20日より全国の正規ディーラー(開業準備室含む)で注文が可能となっている[詳細はこちら<click>]。 ★経済産業省、電気代の値引きを継続 ……エネルギー価格の高騰を受けて、9月分に対する措置を今年12月分まで延長することを決定した。値引き額は、低圧3.5円/kWh/高圧1.8円/kWhを据え置く。 ★「DS 3」の特別仕様車「ESPRIT DE VOYAGE」が欧州で発売 ……EVの「DS 3 E-テンス」にも設定される。価格は4万5,050ユーロ(約714万円)。彫刻のような薄いグレーの内外装を纏っているのが特徴。 ★フィアット、小型EV「トポリーノ」の受注をイタリアで開始 ……オンラインのみでの受注となり、宅配まで行なわれる。2023年末にはイタリア/フランス/ドイツの3ヵ国でオープントップ/クローズドの2種類の注文が可能になるという。 ★ヒョンデ、新型EV「コナ」のPRにアーティストを起用 ……「コナ」のPRとして、アーティストのyama氏とキタニタツヤ氏とコラボし、楽曲「憧れのままに」を制作した。SUVの「コナ」は年内の日本発売予定。 ★ボルボ、ディーゼルエンジンの生産を終了 ……2024年初頭を最後にディーゼルエンジンの生産を終了するという。完全電動メーカー化に向けて一歩前進した形となる。 ★テスラ、みなとみらいとおおたかの森で特別展示会を実施 ……「リビングタウンみなとみらい」<横浜市西区みなとみらい4-2-1>で9月29日(金)・30日(土)に行なう。「モデル3」と「モデルY」を展示する。オンラインから試乗予約も可能。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.21]

TAG: #EVバイク #THE視点 #ニューモデル
三菱ふそう・eキャンター(photo=三菱ふそうトラック・バス)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
900台が実戦配備……ヤマト運輸、「三菱ふそう・eキャンター」を導入し電動化も一歩前へ[2023.09.20]

三菱ふそう側も前例のない大規模導入で業界への影響は必至 その数字が物語るのは「eキャンター」の完成度の高さか 【THE 視点】三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、EVトラック「eキャンター」をヤマト運輸に900台納入すると発表した。新型の「eキャンター」としては初導入となる。 ヤマト運輸は、2017年に従来型の「eキャンター」を25台を導入し、宅急便などの集配業務で活用してきた。それらの実績を踏まえ、今年3月9日に発売した第3世代目の新型「eキャンター」の大規模導入を決定した[関連記事はこちら<click>]。9月より全国に順次導入していく。 導入車両は、ドライ・冷蔵・冷凍機能の3室を備えた「標準キャブ仕様」で、電池容量は同社の仕様の中で最小の41kWhとなる。 新型で新たに追加した「標準キャブ仕様」は、キャブ幅が最も狭く小回りが利くため、街中での配送に適している。最高出力110kW(150ps)・最大トルク430Nm(43.9kgm)で、最高速度89km/h、急速充電の使用で最短40分で90%まで回復でき、普通充電(最高出力6kW)は8時間で満充電にできる。航続距離は116km(国土交通省審査値)。 またMFTBCは、新型「eキャンター」の専用リースプラン「FUSOグリーンリース」の提供も開始した。車両本体の費用/コネクテッドサービス「トラックコネクト」/フルカバーメンテナンスサービス/充電器と充電器設置費用/任意保険料がプランに含まれる。 フルカバーメンテナンスサービスでは、車両のメンテナンスに加え、ロードサービス費用/電欠時の代替輸送費用の補償サービス/充電管理システムも利用できる。今回のヤマトの導入はこのプランを利用しての導入となる。 「eキャンター」は、2017年の発売以降世界各国で450台程度販売されたと伝えられている。今回は、その数を大きく上回る台数がヤマト運輸に納入されることになる。 ヤマト運輸は、これまでにもドイツ・ストリートスクーター社のEVバンを500台導入したり、「日野・デュトロZ EV」を導入してきた経緯がある。 しかし今回の900台という数字は、実験という意味合いはなく本格的な実践配備と理解できる数字である。「eキャンター」自体の使いやすさや信頼性、高い完成度がなければ、このような台数を決断できないだろう。筆者はまだ「eキャンター」に乗ったことはないが、相当のクオリティを持つEVトラックとなっていると想像できる。 今回のヤマト運輸の決断は、同業他社のEVトラック導入に拍車をかけると予想している。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、EVの開発現場を公開 ……「ものづくりワークショップ」でEV関連の製造設備を持つ工場を公開した。貞宝工場に製造設備をもち、2028年までの実用化を目指している全固体電池は、量産工法の最終段階だという。元町工場では「BEVハーフ構想」の具体例を示した。車体をフロント/センター/リヤに分けて組みつけることで、生産設備もより単純化できるという。明知工場のギガキャスト設備を公開した。 ★★フィアット、SUVの新型EV「600e」を本国で発売 ……Bセグメントに分類される小型SUV。航続距離はWLTP値で400km以上、都市サイクルでは600km以上となる。従来よりも静粛性を50%高めた新型モーターを採用。「スポーツモード」を選択可能なパワーモード選択機能も備えている。 ★★ブリヂストン、再生可能タイヤをソーラーカーレースに投入 ……再生資源・再生可能資源比率63%の「ENLITEN」技術を採用したタイヤを、ソーラーカーレース「2023ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」に投入する。モータースポーツへの投入は初めてだという。 ★ノースボルト、トラックメーカーのスカニア向けバッテリー生産工場を開設 ……両社が共同開発した大型商用EV向けの高性能バッテリー製造工場をスウェーデン・セーダーテリエに建てた。車両製造ラインに隣接した設備で、EVトラックの生産効率を高めることができる。毎秒1つのバッテリーセルを製造できるという。 ★アウディ、ダカールラリー用のEVでヨーロッパを巡業 ……ダカールラリーに出場予定のバギー型EV「RS Q e-tron」のPRで、スペイン・マドリード/フランス・パリ/ドイツ・ストックホルムを巡業した。市街地を実際に走行しドリフトなどのデモを行なった。 ★ヒョンデ、Jネットレンタカーの店舗で納車が可能に ……同店舗でヒョンデのEVの試乗と納車が可能になる。サービス開始は9月22日から。対象店舗は「越谷レイクタウン店」「所沢店」「沼津店」「浜松和田店」「イオンタウン四日市泊店」の計5店舗。 ★エネチェンジ、スーパーの平和堂グループにEV用充電器を設置 ……平和堂の40店舗に加えてグループの飲食店2店舗に6kWタイプの普通充電器を導入した。一般的な充電器よりも倍速で充電が可能。 ★ボードリー、北海道苫小牧市で自動運転バスを実証実験 ……「苫小牧駅」〜「道の駅ぷらっとみなと市場」間を実証運行する。期間は9月20日(水)〜10月15日(日)。1日5便ずつの運行となり、無料で利用が可能。 ★メルセデス・ベンツ、CO2を削減したリサイクル鋼をEVモデルに使用 ……米アラバマ州のタスカルーサ工場で年間5万トン以上のCO2削減鋼を米SDI社から調達する。同工場では「EQS SUV」と「EQE SUV」を製造。リサイクル素材を70%含有したSDIの鋼を既に使用しており、早けれは今年9月からCO2削減リサイクル鋼を使用するという。 ★MKタクシーの専用充電ステーションにEV用超急速充電器を設置 ……パワーエックスは、エムケイ<京都市>のEVタクシー・ハイヤー専用充電ステーションに、蓄電池型のEV用超急速充電器「ハイパーチャージャー」を導入するという。最高出力150kWの充電器で、車両の稼働ロスを減らすことが期待できる。 ★ダイムラー・トラック、「三菱ふそう・eキャンター」の販売トレーニングを欧州で実施 ……ヨーロッパ全土のディーラーでEVトラック「eキャンター」の販売トレーニングを行なう。その中には運転訓練も含まれている。 ★東洋テクニカ、バッテリーの検査評価機器を発売 ……中国のリチウムイオンバッテリー評価装置メーカーIEST社と代理店契約を結び、評価機器の輸入・販売を行なう。製造過程での様々な測定項目を一元的に評価できる機器となる。 ★米ジョビー・アビエイションの「空飛ぶクルマ」に日の丸技術 ……航空産業のタマディックが、試作機生産および量産検証に用いられる最終組み立て用治具などの設計製作を2021年6月に受注。現在は量産試作機の生産に使用されている。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.20]

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リマック・ネヴェーラ(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
美しき豪速EV「リマック・ネヴェーラ」が日本発売……0-100km/h加速1.8秒[2023.09.19]

最高出力1,940ps・0-100km/h加速1.8秒・価格約3億1500万円と脅威の数字の羅列 日本初公開となった個体は鬼神的数値と相反する美しい佇まい 【THE 視点】ハイパーカーの輸入・販売を手掛けるビンゴは9月13日、クロアチアのEVメーカー「リマック オートモビリ」の市販モデル「ネヴェーラ」の日本導入を発表した。実車は15日まで「ARTA MECHANICS & INSPIRATIONS」<東京都江東区新木場>にて展示した。 このデイリーEVヘッドラインでも伝えてきたハイパーEVが、筆者の想像より早く日本に上陸した[詳細はこちら<click>]。注目の高性能スポーツEVだけに、いち早く現車を確認すべく会場に向かった。 「ネヴェーラ」のスペックは驚異的である。4つのホイールにそれぞれモーターを搭載した4モーターのAWDで、最高出力1,427kW(1,940ps)・最大トルク2,360Nm(240.7kgm)を発生し、最高速は412km/h、0-100km/h加速は1.81秒を誇る。ちなみに展示車のナンバープレートは、そのパワーにちなんだ「1400KW」が刻印されていた。 最大容量120kWhバッテリーを搭載し、航続距離は490km(WLTP)。ボディサイズは4,750×1,986×1,208mmでホイールベースは2,745mm、車両重量は2,300kg。生産台数は150台で、価格は200万ユーロ(約3億1,500万円)からとなっている。日本でのデリバリーは2024年第三四半期以降になるとのこと。 日本初上陸となったマシンは、地中海に面したクロアチアらしさを感じる個体だった。0-100km/h加速はマッスルカーも裸足で逃げ出すような鬼神的な数字を叩き出しながらも、ボディと内装はその数値と相反するように美しい。 筆者の勝手な印象だが、クロアチアの「アドリア海の真珠」と称される港町「ドゥブロヴニク」を彷彿とさせるカラーを纏っている。外装はアドリアブルー(勝手に令名)をまとい、内装はレンガ作りの建物を彷彿とさせるベージュの内装。“クロアチアの誇り”と言わんばかりの佇まいである。 コクピットに座ることができたが、車内にある3つのディスプレイは、ボディカラーと同じアドリアブルーに発色され、とてもエレガントにも感じた。 この個体は、関東にも台風が上陸した9月8日に日本に空輸され、それからデパートでの内覧会を経て13日〜15日まで一般公開された。一種の「デモカー」のような個体だという。 海外の試乗会ですでに約3万km走行し、展示後は「モビリティリゾートもてぎ」で、購入希望者向けの試乗会を行ったようだ。日本で既に数台のオーダーが入っているという。来年後半には、公道でも見られるかもしれない。 なお、「ネヴェーラ」の詳細は別項を立ててリポートしたい。また、本媒体のスタッフが、「もてぎ」の試乗会で、実際にに同乗することができたようだ。そちらのレポートもお待ちいただきたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アイシン、EV関連事業に5,000億円を投資 ……9月14日に開催した「中長期事業戦略説明会」で、今後3年間で5,000億円を投資しEVなどへの対応を加速すると発表した。2027年に第3世代の「eアクスル」を投入するという。 ★★ジャガー、エンジン車の受注を今年末で終了 ……「F-タイプ」「XE」「XF」「XFスポーツブレイク」の生産を2024年モデルをもって終了する。「F-タイプ」は11月21日(火)、他3車種は12月19日(火)をもって受注も終了するとのこと。2025年以降はピュアEVのみを扱うブランドとなる。 ★★ルノー、商用車「トラフィック」のEVを発表 ……新型商用EV「トラフィック・バン・E-テック・エレクトリック」を本国で発表した。最高出力90kW(122ps)・最大トルク245Nm(25.9kgm)で、航続距離は297km(WLTP値)。最高速度を90km/hに抑えたロングレンジ(322km)モデルも用意するという。 ★★AESC、バッテリーのマザー工場を茨城県茨城町に竣工 ……年間6GWhの生産能力を持つ工場で、従来品に比べてエネルギー密度を1.3倍、充電速度を35%短縮した次世代バッテリーの生産を2024年3月から開始するという。 ★スズキとパナソニックが電動車を共同開発 ……スズキとパナソニック サイクルテックが、電動アシスト自転車の駆動ユニットを活用した新型電動モビリティの共同開発に合意した。スズキが企画・実験と担当し、パナソニックが試作車の製作・駆動ユニットの提供を行なうという。 ★ホンダ、「モトコンポ」が復活 ……折りたたみのユニークなスクーター「モトコンポ」の後継となる新型EVスクーター「モトコンパクト」をアメリカで発表した。価格は1,000ドル(約14万8,000円)未満だという。 ★ZF、EVバス向けのモジュラー型ドライブユニットを発表 ……最高出力380kW(517ps)で3速のギアボックスを内蔵したユニット。急坂に対応し航続距離の延伸も期待できる。ユニット自体も小型なため、フルフラットの車内設計がしやすくなる。 ★ポルシェ、「タイカン」がEVの最大高度変化の新記録を樹立 ……「タイカン4・クロスツーリスモ」が、中国にある海抜マイナス218.845mのアイディン湖から、標高5,355.134mチベット・ホントゥダバン山の登山に成功し、ギネス記録を打ち立てたという。 ★エネチェンジ、病院へのEV用充電器の導入を推進 ……医療品物流のアルフレッサと協業し、同社の持つ医療機関ネットワークにEV用充電器の設置を進めるという。 ★新電元、商用EV向け急速充電器を改良 ……最高出力50kWの「SDQCシリーズ」を13年ぶりに改良。「SDQC2F50」として11月より発売する。課金決済をしないスタンドアロンタイプで、長時間の使用が可能。 ★プラゴ、EV充電ステーション事業推進のために新たに資金調達 ……日本政策金融公庫・新宿支店/三井住友銀行/りそな銀行・池袋支店から新たに協調融資を受けた。累計の調達額は13億1,700万円となった。 ★東京ガス、相模大野のマンションにEV用充電器を大量導入 ……野村不動産管理の新築分譲マンション「プラウドタワー相模大野クロス」<神奈川県相模原市南区>に、東京ガスのEV充電サービス「イーブイレスト」の導入が決定した。物件の平置き駐車場の全207区画に設置される。 ★京都のアパートメントホテルがEV用充電器を導入 ……全16室の高級アパートメントホテル「ホテルマステイ神宮道」<京都市東山区>に、テラモーターズのEV用充電設備「テラチャージ」を3基導入した。最高出力3kWの普通充電タイプとなる。 ★神戸市で自動運転小型EVバス「ミカ」の一般試乗会を開催 …神戸市の須磨海岸で9月23日(土)〜29日(金)まで開催する。走行区間は須磨海岸内管理用通路(JR須磨駅〜願いの椰子の木)で、運賃は無料。小型EVバス「ミカ」はエストニア製の車両で定員は8名。自動運転レベル4に対応している。 ★日産、「アリア」の駆動システムがアメリカで受賞 ……電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」が、アメリカの自動車媒体ワーズ社の「10ベストエンジン&推進システム」に選出されたという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.19]

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GLM・ミモス(photo=GLM)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
超小型EVは道が入り組んだ観光地に最適か……GLMと野沢温泉村が「ミモス」などで検証[2023.09.15]

小水力発電所を自前で用意している野沢温泉村とタッグ 大企業にはできない機動性の高い検証・開発に期待 【THE 視点】EVの開発を行うGLMは9月12日、長野県野沢温泉村と共に、カーシェアリング向けの軽自動車規格EV「ミモス」をはじめとした各種超小型電動モビリティを用いた実証実験を同村にて開始した。 サイズや形状の違う3種類の電動モビリティを投入し、坂道や狭路といった道路事情や気候、実際の利用シーンでのそれぞれのモビリティの利点・問題点を持つのかを検証し、本格導入に向けての指標とすることに加えて、次世代車両開発に向けてのデータを収集することが狙いだ。 野沢温泉村は、2022年に村主導で小水力発電所を開設するなど環境対策の模索を独自に行なっている。令和4年策定の「野沢温泉村地球温暖化防止実行計画」を基に、「自然と共に暮らす村」として再生可能エネルギーの活用による様々な取り組みを積極的に進め、村の主要産業である観光との共存を図ると共に、ビジョンに則した実行手段として次世代車両による村内移動手段の構築を急務と捉えている。 今回の実証実験は、環境に配慮した先進的な観光地確立への第一歩となる。 世界的に自動車のEV化が進むが、その一方でエネルギー問題も大きく取り沙汰されるようになっている。エネルギー危機ともなれば、EVもその影響をまともに受けて機能しなくなる。しかし野沢温泉村は小水力発電所を自前で設置しているため、世の中のエネルギー危機の影響を受けづらい特徴がある。このエネルギーを活用してEVを稼働すれば、文字だけではない「ゼロエミッションの村づくり」の達成へと近づく。 また、次世代の移動手段として電動モビリティが全国で導入され始めているが、地域の環境に合わせたモビリティを導入しなければ、その利点を100%活用することは難しい。 野沢温泉村には特に、複雑に入り組んだ狭路や坂道の多さなど特殊な道路環境がある。季節によっても道路条件が大きく違うため、電動モビリティの活用は村独自に検証をしなければならない。 そこで野沢温泉村と野沢温泉観光協会と議論した上で性質の異なる3種類のモビリティ(取扱車両1機種、研究開発用保有車両2機種)をGLMが提供し、村に最も適したモビリティの選択へ向けた課題を洗い出す。 野沢温泉というと筆者にとってはスキーのイメージが強い。とにかく自然豊かな街で、ゼロエミッションを十分に達成できるような自然エネルギーがあふれている。自前で水力発電所を動かすだけでも、ほかの地方自治体よりも一歩先を行っていると思うが、その電力でEVを動かす取り組みとなればかなり先進的な取り組みとなるのではないか。 それも大手メーカーと組むのではなく、小規模なメーカーと組むのが面白い。小さなチームになるとは思うが、逆に機動性に優れているといえ、関係者同士のコミュニケーションと開発速度を高められると思う。 実証実験には特定小型原付のキックボードや「光岡自動車・ライク-T3」なども入るようだ。小さなメーカーだからこそできるスピーディな開発・対応力を存分に発揮してほしい。 この取り組みは、特定の観光地に特化したEV利用の理想形のようなものだと思う。この実証をひとつの好例とし、全国各地でこのような取り組みが広がることを望む。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★マツダ、「MX-30・ロータリー-EV」の予約を開始 ……9月14日から予約受注を開始した。発売は11月の予定。ロータリーエンジンのレンジエクステンダーを搭載したEVで、普段はバッテリーのみのEVとして使用することができる。実車のレポートはこちらで公開[詳細はこちら<click>]。 ★★トヨタ、航続距離800kmの次世代EVを2026年に生産開始 ……「パフォーマンス・リチウムイオン・バッテリー」を採用し、車重と空力を改善することで航続距離が800km以上に。コストを40%削減したリン酸リチウムイオン・バッテリーも開発中という。 ★★ヒョンデ、EVタクシーの保証を延長 ……EVタクシー専用の延長保証プログラム「Hyundai EVタクシー延長保証」の提供を開始した。保証範囲は新車購入後5年間・走行距離30万kmで、その期間内にバッテリー容量が70%以下となった場合は無償交換となる。 ★ボルボ・ポールスター、「YouTube」と「アマゾン・プライム・ビデオ」が利用可能に ……インフォテイメント・システム用のアプリとして、「プライム・ビデオ」は9月18日から利用可能。ボルボの日本モデルも対応するようだ。また、「YouTube」も近日中に利用可能になるとのこと。 ★ヨネ、EV火災の消火訓練を実施 ……火災車両に被せて消火する「超耐熱ファイヤーブランケット」を使用し、愛知県消防学校で9月27日に行なう。消えにくいEVの火災対策用にヨネが導入した本品を使用し公開訓練を行なうのは初めてだという[関連記事はこちら<click>]。 ★アウディ、ミュンヘンに5ヵ所目の充電拠点を開設 ……最高出力320kWの充電施設「アウディ・チャージング・ハブ」の5ヵ所目をドイツ・バイエルンの州都ミュンヘンに開設した。kWhあたり0.35ユーロ(約55円)で、クレジットカードほか「アップル・ペイ」「グーグル・ペイ」での支払いに対応するという。 ★東京都、EVバス導入で東京電力と連携 ……東京都交通局と東京電力ホールディングスが、EVバス導入モデルの構築で連携協定を結んだ。充電環境の整備やエネルギーマネジメントシステムの開発、グリーン電力での充電、災害時のEVバス活用、仮想発電所の構築に取り組む。 ★東京都、FCEVバス用の水素ステーションを整備・運営事業者を決定 ……東京都交通局が希望していたバス営業所内の水素ステーション整備・運営業者を岩谷コスモ水素ステーション合同会社に決定した。2025年4月に開所予定。 ★ボルボ・トラック、EVトラックの量産を開始 ……ベルギー・ゲント工場で「FH」「FM」「FMX」の3つのモデルを生産。総重量44トンの大型トラックとなる。すでに6大陸42ヵ国で合計約6,000台の購入意向があるという。 ★ボッシュ、燃料電池のリサイクルを計画 ……燃料電池(FC)セルの触媒に用いられる白金(プラチナ)素材を耐用年数切れのFCから回収し、新たなFCセルに再利用。プラチナの採掘に比べてCO2排出を95%削減できるという。 ★NTT東日本、災害時に府中市にEVを提供 ……NTT東日本と府中市は「災害時における給電車両貸与に関する協定」を結んだ。給電機能を持つ「日産・リーフ」「三菱・アウトランダーPHEV」を無償で貸し出し、避難所などの電源車として活用する。 ★日産、不動産の大京とEVの活用で共創 ……日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」施策の一環。EV用充電コンセントを備える大京のマンションギャラリーを、EVを活用して防災拠点とする。 ★第3回サステナブル・カーライフイベント「KARUIZAWA TOTOR GATHERING 2023 Autumn」が開催 ……「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」<長野県軽井沢町/10月7日(土)〜9日(月・祝)>で開催する。アウディ/ポルシェ/BYD/ASF/HWエレクトロといったメーカー各社がEVを含めた電動車を展示する予定。 ★テスラ、特別展示試乗会を千葉県浦安市で開催 ……で9月24日(日)、浦安住宅公園<浦安市東野2-28-1> で10時30分〜16時30分。「モデルY」と「モデル3」を用意。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.15]

TAG: #THE視点 #実証実験 #超小型EV
ベルエナジー・ローディV2と日産・サクラ(photo=ベルエナジー)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
電欠のお助け隊から充電インフラへ……ベルエナジー、「電気の宅配便」の実証実験を開始[2023.09.14]

スペースさえあれば電話一本でどこにでも駆けつけその場で急速充電 充電スポットに行くという枷を取り払う新たなインフラとなるか 【THE 視点】ベルエナジーは、EV向け出張充電サービス「電気の宅配便」の実証実験を2023年9月19日から、茨城県つくば市内限定で開始する。 米国スパークチャージ社と共同で、「どこでも急速充電」をコンセプトに外部入力設備不要・完全スタンドアローン設計のEV急速充電器「ローディV2」の普及に取り組んでおり、EVユーザーに対する新サービス「電気の宅配便」の実装を見据えたニーズ調査をするという。 サービスの本格展開は2024年度内を目指している。ベルエナジーの拠点があるつくば市でまず実証を行ない、実験終了後は広範囲な事業展開を視野に入れサービスパートナーの募集を開始する予定だ。 「電気の宅配便」とは、急速充電器を搭載した専用車両がユーザーの車両の元にに出向き、その場で充電するというもの。事前予約が必要だが、わざわざ充電スポットに出向く必要がなく、自宅・事業所・そのほか出先で用を済ませる傍ら、急速充電サービスを受けられる。 実証期間は2023年9月19日から11月30日まで。使用機材のポータブルEV急速充電器「ローディV2」は、「CHAdeMO規格」に対応し最高20kWの出力が可能となる。充電容量は最大13.4kWh。この機器を「日産・サクラ」に搭載しユーザーの元に出向く。 ベルエナジーが展開するポータブル充電器「ローディV2」と「電気の宅配便」サービスは、この「デイリーヘッドライン」で幾度か取り上げているとおり、“電欠した際のお助け隊”のイメージが強かった。しかし今回の発表でそのイメージが変わった。このサービスは充電設備のない場所にもバッテリー残量を気にせず出かけられ、さらにその出先で充電時間をより有効に使えるようになる。 充電器のないショッピングモールやスーパーなどの買い物などにも有用だろう。普通充電のインフラでは十分な充電量が得られない場合にも有効な手段だ。取引先が社用EVで来社した際に利用すれば相手に喜ばれるはず。活用方法は色々と考えられる。 このサービスに「日産・サクラ」が使われているのも良い点だ。軽自動車なので機動性が抜群だし、小型なボディは充電時のスペース確保にも役立つ。これを機に、EVユーザーの充電の保険代わりとして、充電インフラの一形態として、全国での導入が始まってほしいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ・BMW・フォード、アメリカで合弁会社を設立 ……EVを活用した電力ネットワーク企業「チャージスケープ」を3社合同でアメリカに立ち上げた。複数の自動車メーカーと、アメリカ・カナダにある電力会社を結ぶ情報共有プラットフォームを構築し、EVユーザーの電力料金を削減するという。2024年初頭の稼働を目指す。 ★★三菱ふそう、新型「eキャンター」をヤマト運輸に900台納入 ……ヤマト運輸としても標準的に使用している最大積載量2トンのモデルを、全国に順次導入する。「eキャンター」専用に用意した「FUSOグリーンリース」を利用して契約する。 ★★ハイパーEVメーカーのリマック、日本上陸 ……ハイパーEVの「リマック・ネヴェーラ」が日本発売となる。輸入元は、ハイパーカー「ケーニグセグ」の正規代理店を務めるビンゴ。9月13日(水)から15日(金)まで、「ARTA MECHANICS & INSPIRATIONS」<東京都江東区新木場>でローンチイベントを開催する。 ★★プジョー、新型EV「E-3008」を発表 ……SUVタイプの新型EV。ステランティスの「SLTAミディアム・プラットフォーム」を初採用し、航続距離は最大700km。グレードは、2WDの基準車/ロングレンジと、デュアルモーターAWDの計3種類を用意した。 ★★住友商事、「EVバッテリー・ステーション千歳」を稼働 ……北海道千歳市に開設した。EVのバッテリーを再利用した大規模な系統用蓄電池設備。EVのバッテリー約700台分を収容し、約2,500世帯の1日分の電力を貯めることができるという。 ★東京センチュリーと関西電力、使用済みEVを利活用できるパートナーを募集 ……両社はEVの使用済みバッテリーを活用したバッテリーシステムの構築を共同研究するとともに、バッテリーを除いたEVの車体を利活用できるパートナーの募集を開始した。 ★ジェイテクト、燃料電池車向けの「高圧水素供給バルブ」を開発 ……第3世代となる「高圧水素バルブ」と「高圧水素減圧弁」を開発した。商用車向けの高流量対応品となる。供給バルブは従来比200%、減圧弁は従来比130%の性能となり、長時間の使用にも耐えられるという。 ★富士ソフト、パナソニックエレクトリックワークスのEV充電器シェアサービスに開発協力 ……EV用充電シェアリングサービス「everiwa Chager Share」のWEB・アプリの開発に協力した。同サービスは、あるオーナーが所有する充電器を登録してあるEVユーザーに貸し出す、いわゆるマッチングサービスになる。 ★スマートドライブ、マレーシアでEV充電事業を本格開始 ……ランカウェイ島と東部パハン州クワンタンに計3基の充電器を設置した。今後順次拡大するという。同社は2020年に現地法人を立ち上げている。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.14]

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「マスタング・マッハ-E・ラリー」(photo=フォード)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
本物のオフローダーに還った野生馬……フォード「マスタング・マッハ-E・ラリー」を発表[2023.09.13]

SUVの「マスタング」を肯定し「シェルビーGT」と双璧をなせる新バージョン 趣味に振ったモデルが出るということはEVの新段階突入を意味する 【THE 視点】フォードモーターは9月7日、SUVタイプのEV「マスタング・マッハE」のラリー仕様「マスタング・マッハ-E・ラリー」を米国で発表した。 前後2モーター式AWDの「マスタング・マッハ-E GT」をベースに、最高出力358kW(487ps)・最大トルク最大トルク881Nm(89.7kgm)に性能を引き上げた。バッテリー容量は91kWhで、航続距離は400km。バッテリー容量の10~80%を、36分で急速充電できる。 足まわりは、専用のショックアブソーバーとスプリングにより車高を20mmアップ。直径385mmのフロントブレーキローターとレッド塗装のブレンボ製のキャリパーを装備。白いラリースタイルのアロイホイールを採用し、タイヤはミシュラン「クロスクライメート2」(235/55R19)を履く。フォードのこれまでのラリーカーをオマージュしたスタイルとなっている。 外観面での特徴は、車体上半身と下半身のモールディング/ユニークなフロントスプリッター/黒塗装のスチールルーフ/フォグランプ内蔵のフロントフェイシアなどを装備し、ラリーカーのテイストをふんだんに盛り込んだ。特にリアスポイラーは、「フォーカスRS」からインスパイアされたスタイルだという。 ちなみにフォードは、このモデルを開発するためにアメリカ・ミシガン州の試験場にラリーコースを新設したという。ラリークロスのベテランによる設計で、実際の公道に近い状況を再現した。「マッハ-E・ラリー」のプロトタイプを用いて800km走行してコースを作り上げたようだ。 EVにもいよいよラリーカーが出てきた。フォードはこれまで、「フォーカスRS」といったスポーツバージョンを販売してきたが、今度はそこにEVが加わった。 本気のラリーEVを設定するとは、フォードのEVが開発黎明期を過ぎ、普及期に入ったことを表すのではないだろうか。エコや実用ではなく、思い切り趣味、さらに言えばオンロードではなくダートに振ったスポーツモデルを設定することは、余裕がなければできないはずである。 いずれにしろEVでモータースポーツへの参戦ができる事を示しており、EVも新たな段階に入ったことを意味する。こういったとんがったEVは、スポーツカー好きなら一度は乗ってみたくなるのではないか。「マッハ-E・ラリー」ははっきり言って、一台のクルマとしてかなり魅力的だ。 「マスタング」には、オンロードのマッスルカーのイメージを強く抱く人も多いと思う。しかしEVの「マスタング・マッハ-E」は、新世代の「マスタング」が再現し昇華した伝統のマッスルスタイルを覆すような格好となってしまい、その名を冠することに疑問を抱く往年のファンもいたのではないだろうか。 しかし「マッハ-E・ラリー」が出たことで、そのSUVスタイルが肯定されたように思う。それも中途半端な“ガワ”だけのスタイルではなく、中身も本気でチューニングしてきたとあれば、ファンは納得するように思う。「シェルビーGT」の対極にある立派な“チューニング・マスタング”と言えるのではないだろうか。まさにエンブレムどおり“野生馬”である。 他社も「マッハ-E・ラリー」に負けないガチンコモデルをどんどんリリースして、EVにモータースポーツのイメージを植え付けてほしい。それがEV普及の後押しにつながるだろう。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★EVのホットハッチ「アバルト500e」、10月初旬にいよいよ日本に ……発売に向けて特別サイトをオープン。記念グレード「ローンチエディション」も導入。発表同日に同サイトにて先行予約受付を開始する。 ★★ステランティス、「フィアット・600e」の生産を開始 ……ポーランド・ティヒにある工場で生産を開始した。生産第1号はオレンジカラーの「ラ・プリマバージョン」だという。「600e」はSUVの新型EVで、「500」の伝統的なスタイルを踏襲している。航続距離は400km(WLTPモード)。 ★★オランダのVDLグループ、FCEVトラックにトヨタのシステムを採用 ……トヨタモーター・ヨーロッパとVDLグループが協業。トヨタのFCシステムを搭載したFCEVトラックを発表した。2023年から5年間、ルートトライアルを行なうという。 ★BMWグループ、MINIのオックスフォード工場をEV専用に ……イギリスにある「MINIプラントオックスフォード」を2030年にEV専用工場にする。投資額は6億ポンド(約1,100億円)。EVモデルの「クーパー・3ドア」と「エースマン」は2026年から同工場で生産。 ★愛・地球博記念公園<愛知県長久手市>でEVの「ネコバス」が運行 ……トヨタ自動車・MONET Technoligies・豊栄交通・スタジオジブリ・愛知県が、EVバス「APMネコバス」の運行に合意した。同公園内「ジブリパーク」周辺を走る。車両はトヨタの短距離・低速型EVを改造した6人乗りの車両となる。 ★小型EV開発のGLM、長野県野沢温泉村と実証実験 ……小型EV「ミモス」をはじめとした3種類の電動モビリティを実験に投入。狭路・坂道・気候といった条件化での利点と課題を洗い出すという。 ★東北大学、太陽光発電とEVの組み合わせが脱炭素化に有効と発表 ……住宅向け太陽光発電に加えてEVを蓄電池として活用するフランスの施策「SolarEVシティー構想」で、この組み合わせが脱炭素化に大きく貢献できると試算した。周辺地域のイル・ド・フランス全体で最大76%削減できるという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.13]

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WAE EVRh(photo=WAE)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
ニュル7分20秒が照準……F1ウィリアムズ傘下のWAEがハイパーFCEVを開発へ[2023.09.12]

最高出力748psを発生するハイパー燃料電池(FC)ユニットを提案 FCトップランナーの日本勢も見過ごせないのでは 【THE 視点】F1チームを運営するウィリアムズの子会社ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング・テクノロジーズ(WAE)は9月5日、高性能スポーツ燃料電池車(FCEV)のプラットフォーム「EVRh」を発表した。 「EVRh」は、最高出力120kWの水素燃料電池と同430kWの液冷式バッテリーを組み合わせたエネルギーシステムを採用し、車両全体の最高出力は550kW(748ps)になるという。車重1,900kg以下、0-100km/h加速は2.5秒以下で、航続距離は600kmとのこと。 駆動方式は複数のモーターを備えたAWDを採用するようだ。水素タンクとバッテリーを車両中央部に配置することで重量配分の最適化を行ない、ドイツの「ニュルブルクリンク・北コース」のラップタイムは7分20秒以下がターゲットとのこと。 実は今回発表された「EVRh」は、昨年WAEが開発・公開したEV用の革新的なプラットフォーム「EVR」に続くものとなる。同社は、革新的な技術開発を行なうとともに、カーボンフリー車両の開発を重要視している。特に「EVRh」はOEM生産に対応し、コストパフォーマンスを最適化した上でスピーディに市場に投入できるモデルとなるようだ。 「EVRh」のプラットフォームは、今年の「人とクルマのテクノロジー展」で東京アールアンドデーが発表した「FCEVスポーツコンセプト」にも似ている。スポーツカーのプラットフォームの前後に水素タンクを搭載し、二次バッテリーを積むハイブリッドFCEVという構造だ[関連記事はこちら<click>]。 スポーツFCEVは、「トヨタ・ミライ」や「ホンダ・クラリティ・フューエルセル」「BMW iX5ハイドロジェン」といった実用車とは一線を画す独自の構造を持ったカテゴリーになる。EVでもハイパーカーが登場するようになってきたが、「ハイパーFCEV」が登場するのも時間の問題だろう。走る楽しさを追求している日本のメーカーも負けてはいられないのではないか。 FCEVにも様々なカテゴリのクルマが増えれば選択肢が増え、普及拡大にもつながるだろう。実際にFCEVに乗る筆者も、こういった楽しいFCEVが出ることは歓迎である。「EVRh」ベースの「FCEVスポーツコンセプト」の実車が見れることを楽しみにしている。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ベルエナジー、「電気の宅配便」本格稼働 ……「日産・サクラ」に「チャデモ」対応の充電器およびバッテリーを搭載して電気を宅配する実証実験を9月19日から開始する。場所は茨城県つくば市内限定で、ユーザーが自宅以外に駐車した場合に限る。本サービスは2024年度内に開始予定。 ★メルセデス・ベンツ・トラック、新型EVトラック「eアクトロス」を発表へ ……10月10日に世界初公開予定と発表した。長距離輸送用のEVトラックで、航続距離は500kmになるという。 ★レクシヴ、日産とEVで協業 ……EVのデータ連携に関する実証実験を共同で行なう。日産のEVの車両データをサーバーを通じて連携。車載デバイスなどが必要なくなり、車両管理やエネルギーマネジメントがしやすくなるという。 ★指月電気、V2X対応のEV用充放電機を発表 ……「グリーンファクトリーEXPO」<幕張メッセ…9月13日(水)〜15日(金)>で新製品「エクシーブ」を公開する。ピーク電力カットや災害時にEVの電力を使用できる機器となる。 ★三菱重工、90MPaの水素昇圧ポンプを市場投入へ ……水素ステーション向けの「90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプ」の長期耐久試験をクリア。ポンプの起動・停止運転を300回実施。累計250時間の運転を達成したという。本実験は米カリフォルニアにあるファーストエレメント・フュエル社の水素供給施設で行われた。来年まで継続するという。 ★あいおいニッセイ同和損保・MS&ADインターリスク総研・法政大学、空飛ぶクルマを共同研究 ……空飛ぶクルマの社会実装に向けて共同研究契約を締結した。MaaS事業の保険・サービスの開発や人材育成などを行なう。特に法政大学は、次世代航空人材向け教育カリキュラムへ研究成果の活用を検討するという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.12]

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エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した(photo=日本電気)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
商用車にも公共のEV充電器を……エネオス・NEC・日通がEVトラックの経路充電を実証実験[2023.09.11]

市中にある充電器は乗用EV向けで大型車は近寄れない EVトラック専用の充電器の拡充があってこその普及 【THE 視点】エネオス・NEC・日本通運の3社は、EVトラックの普及拡大に向けた経路充電の実証実験を9月5日より福岡県内で開始した。 EVトラックは、EV全体の中でもCO2の排出削減に大きく貢献できるとされている。しかし、EVトラックに対応した充電設備を持つステーションは場所が限られているため、普及の足枷となっている。そこで、エネオスをはじめ3社合同でEVトラックの経路充電の有効性の確認・運用方法の確立を目指して実証実験を行なう。 実証期間は9月5日より1ヵ月。エネオスの 「Dr.Drive セルフ水城店」<福岡県太宰府市>に設置された急速充電器を用いる。実施車両は「日本通運・福岡支店」<福岡市>に導入されている EVトラック「三菱ふそう・e-キャンター」1台となる。 検証・確認項目は以下。 ・EVトラックの長距離輸送における経路充電の有効性 ・EV運用支援アプリの必要機能・有効性 ・出発地から配送先へのルート検索や電気消費量シミュレーション ・シミュレーションを踏まえた充電ステーションの検索 ・ドライバーへのバッテリー切れリスクの通知 この実証を通じて、NECは日本通運のEVトラックの実運行データを活用して開発したEV運用支援アプリケーションの価値向上を目指す。エネオスは、EVトラックユーザーの充電ニーズに応じた経路充電ネットワークの拡充を図る。日本通運は、EVトラックの運行データを活用して環境配慮車両の導入を積極的に進め、サプライチェーン全体を通じて環境負荷の少ない物流を提案していく構えだ。 商用車はその車体が大きいことから、立ち寄った休憩場所にEV用充電器があってもその機器にアクセスできないという問題がある。この実証実験を通じて、EVトラックの普及の上で欠かせない運用支援アプリケーションや充電ネットワーク、運送業者のEVトラック導入のハードルといった課題が具体的に見えてくるだろう。 1社のみの奮闘ではEVトラックの普及はできない。参画企業がそれぞれの技術を持ち寄り、現場での情報を共有しフィードバックすることが、普及拡大のためには必要な手順である。 今年は、EVトラック元年ともいえる。三菱ふそうからは第二世代の「e-キャンター」が発売され、いすゞからも「エルフEV」が発表された。商用EVはまだ普及の初期段階にある。この実証を将来に繋げてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ホンダ、北米で充電規格を採用 ……テスラが展開する充電規格「NACS」を北米向けのEVに採用する。2025年中にNACSに対応したEVを発売するという。ホンダは、欧州などのメーカーとともに北米に充電インフラの合弁会社を設立し、「NACS」への対応を進めている。 ★★フォード、新型EV「マスタング・マッハ-E・ラリー」を発表 ……EVの「マスタング・マッハ-E」のオフロードモデルをアメリカ本国で発表した。悪路を本気で走れる仕様となっているのが特徴。足回りやホイールは専用品を設定。駆動方式は前後2モーター式のAWDで、ラリー専用の走行モードも備えている。 ★★パナソニックとゼンリンがEVビジネスで協業 ……EVのエネルギーマネジメントを共同開発する。まずは、EV用充電器メーカーやEV用充電器の管理・運用を行なう企業向けに「EVチャージ需要マップ」の提供を開始した。 ★ベルエナジー、現場充電サービスの実証をレクサスユーザーなどを対象に開始 ……EVユーザーの希望場所・時間にEV用急速充電器を積んだサービスカーを派遣し、30分間の充電を行なう実証実験を開始する。対象は「トヨタ・bZ4X」「レクサスUX300e」「RZ450e」を所有するユーザーで、100名を抽選するという。対象エリアは愛知県全域となる。 ★中国新興シャオペン、ドイツに進出 ……2024年にドイツ市場に正式に参入する。進出の皮切に、スポーツセダンの「P7」、SUVの「G9」の2機種を導入する。 ★ステランティス、イタリアにバッテリーテクノロジーセンターを開設 ……今後、ステランティスのEVに搭載するバッテリーの開発・試験を行なう施設となる。8,000m2の敷地に32の気候テストセルを備えている。ステランティスは、本施設に4,000万ユーロ(約64億円)を投じている。 ★フォード、家庭でのEV充電コストを抑えるプランをテスト運用 ……アメリカ本国で導入。デュークエナジー社との共同施策で、充電時間の最適化や再生可能エネルギー由来の電力を使用。料金を月額固定とし充電コストを抑えるという。 ★ポルシェ、EVユーザー向けコネクトサービス「ポルシェ・コネクト・パートナー・サービス」を欧州と米国で展開 ……電力ピーク時を避けた充電量・料金の調整・最適化や充電コストの提供、EV向けのルート作成、確定申告に使用できる経費書類の作成代行などが利用できるという。 ★F1ウィリアムズの子会社WAE、高性能FCEV用プラットフォームを発表 ……FCEV向けのプラットフォーム「EVRh」を開発した。最高出力585psのパワートレインに対応し、車重1,990kg以下で航続距離600km、0-100km/h加速は2.5秒未満の性能を実現できるという。 ★アイモバイル、EV充電事業を開始 ……宿泊施設などで利用可能な「ふるなびEVスタンド」を開始した。「ふるなびトラベル」と提携する宿泊施設等にEV用充電器を導入。ふるさと納税サイト「ふるなび」の返礼品として用意する旅行プランなどに活用するという。 ★コンチネンタル、高効率のエコタイヤを公開 ……新タイヤ「ウルトラコンタクトNXT」を「IAAモビリティ」にて発表した。再生可能素材とリサイクル素材などを65%配合。転がり抵抗・ウェットブレーキ・車外ノイズにおいて、EVタイヤラベルの最高ランク「A」を獲得した。全19サイズを用意。 ★パーク24、EVに対するアンケート結果を公表 ……毎月9日に実施したアンケートにてEVに対する調査を公表した。EVの運転経験が「ある」の回答は21%。EVの購入を希望するタイミングは「価格が手頃になったら」が最多(25%)で、次いで「EVステーションが増えたら」(18%)という結果だった。 ★トヨタ、アメリカ・カリフォルニアでグリーン水素を生成 ……グリーン水素の生成施設「トライジェン」を、カリフォルニア・ロングビーチ港に竣工した。フューエル・セル・エナジー社との共同事業で、運営も同社が行なう。施設には、2.3MWの発電能力を持つFC発電所および水素ステーションも併設した。 ★電動キックボードシェアリングのループ、CO2フリーの電気100%で稼働へ ……使用電力を再生可能エネルギーに変更し、J-クレジットも取得したことで、稼働電力を実質CO2フリーとした。 ★スズキ、本社工場をCO2フリー電力で稼働 ……静岡県内で稼働する本社を含む工場に再生可能エネルギー由来の電力「静岡Greenでんき」を導入した。中部電力グループ所有の水力発電所の電力を使用している。 ★イベント「みんなでつくろう!再生エネの日!」開催 […]

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TEXT:小川フミオ
ナタリー・ポートマンがBMW“ビジョン・ノイエクラッセ”に乗り込んだ「IAA」のワンシーンを目撃!

「ノイエクラッセ」を発表したBMW、電動化の「ミニ・クーパー」で若い層へアピールするMINI、ファミリー層のルノーと、それぞれでEVあるライフスタイルを見せるなかで、環境問題に積極的なナタリー・ポートマン氏がサステイナビリティを強力発信! 「環境問題について私の意見を聞いてもらいたかったから」とポートマン氏 2023年9月にドイツ・ミュンヘンで開催された自動車ショー「IAAモビリティ」では、自動車に反対する環境団体がメッセ会場に押しかけるなど、緑の党をもつ国ならではの光景も見られた。 主催者も、環境に焦点を充てたカンファレンスを積極的に開くなど、2023年のショーがお気楽な自動車の展示会でないことをアピールしていたのが印象的だ。 そのうちのひとつが、俳優のナタリー・ポートマン氏を招いて、環境問題に取り組むことの重要性を考えるトークショー。 環境問題に積極的に発言をしているポートマン氏は「ここ(ショー)に足を運んだのは、サステナビリティについて(業界の)取り組みをみたかったし、環境問題について私の意見を聞いてもらいたかったから」と話していた。 「ノイエクラッセ」―電動化へ新解釈するBMW 映画「レオン」や「スターウォーズ」シリーズで知られるポートマン氏は、トークショーのあと、ドイツ・メーカーのブースに足を運んだ。そのうちのひとつがBMW。 オリバー・ツィプセ取締役会会長の案内で、会場におかれた「ビジョン・ノイエクラッセ」に細身のからだで乗りこんでいたのを、フォトグラファーが取り囲んでいたのがおもしろかった。 「興味ぶかかったのは、自動車産業がどこへ向かっているかと、世界のさまざまな場所で(環境問題解決のための)イノベーションが生まれているという事実です」 言葉を続けてポートマン氏は言う。 「私は(環境問題における)アクティビストと言われています。なんでそうかというと、ユダヤ人だからです。ユダヤ人の家庭では、不正義を見て、自分が出来ることがあれば、すぐに行動に移すべし、と教えられるのです」 近い将来に量産化に移るというノイエクラッセ(かつてのBMW1500シリーズなどの総称を再び使用)は、「これは新しい章でなく、まるごと新しい本を書き始めるようなもの」と、BMWの意気込みを感じさせるモデルだ。 第6世代のBMW eDriveを搭載し、バッテリーは乾電池型。従来の20%増しの密度だそうだ。充電速度も30%向上する。総合すると、効率は25%ちかく上がるという。

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いすゞ・エルフEVボトルカー(photo=伊藤園)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
電気で走れ、いすゞのボトルカー……伊藤園が飲料製品の配送車に「エルフEV」を導入[2023.09.08]

架装に茶殻を配合した部品を用いるお茶メーカーならではの工夫 EVの採用は配送現場の働きやすさ改革につながる 【THE 視点】伊藤園は8月31日、自社の飲料製品を積載・配送する営業車(ボトルカー)に「いすゞ・エルフEV」を採用したと発表した。架装部分に茶殻を配合した軽量パネルを採用しているのが特徴。10月より順次導入を開始する。 2023年10月に、CO2フリープランの営業拠点に第1号車両を導入し、2023年度内に東京地区の営業拠点に30台配備する計画だ。 伊藤園は、気候変動への対応として2050年度までにカーボンニュートラルとする中長期環境目標を策定している。この中で「全車両中の電動車使用比率を2030年度に50%とする」と定め、積極的に電動車の導入を推進している。 ボトルカーのEV化は、充電設備や走行距離の問題があり、導入には課題があったようだ。しかし、架装部分のスライドドアやバックドアに茶殻をアップサイクルした「茶殻配合軽量パネル」を使用し軽量化を図ることで環境対策と電費向上を狙った。従来のボトルカーと比較して最大で110kgの軽量化が可能だという。ちなみに「エルフEV」自体は、40kWh〜60kWh分のバッテリーを搭載することが可能で、どの仕様を選択したのかは明らかになっていないが、気になるところ。 また、空容器積載スペースを架装内に設置し、屋根昇降および高所作業をなくすことで、社員の業務負荷軽減と働きやすさを向上させているとのこと。屋根に大きな荷物が乗らないということは空力に影響が少なく、それだけで電費向上の効果が期待できるかもしれない。 伊藤園は地域密着型営業のビジネスモデルを採用しており、ボトルカーを含む約3,350台の車両を使用している。 これまでエコドライブの徹底やルート効率の向上でCO2排出量削減に努めてきたというが、今後はEVボトルカーを使用することで、CO2排出量のさらなる削減と社員の働き方を見直し、地球環境の課題解決と企業価値向上の両立に取組んでいく構えだ。 30台のEVボトルカーを導入するという事は、伊藤園全体の車両の1%に当たる台数を電動化する事になる。ボトルカーは、住宅地やビルの地下駐車場にも出入りしているため、静かで排気ガスが出ない(臭くない)メリットを生かせる。茶殻配合軽量パネルの架装で電費も向上させられれば、ランニングコストの低減や茶殻ごみの廃棄問題にも貢献できるはず。車両だけではなく地球環境にやさしい架装の開発も積極的に継続してほしい。 ボトルカーは、自動販売機に飲料商品を入れる作業の時間などを考えると、一日の走行距離はそんなに多くないと思われる。EVトラックの使い方としてはちょうど良いのではないか。 それに走り出しから最大トルクを出せるモーターの特性は、加速時にアクセルを踏んづける必要がなく、逆にアクセルを離せば排気ブレーキのように回生が働いてブレーキペダル操作を軽減してくれるので、ドライバーの疲労軽減効果もあるかもしれない。 伊藤園と同じように業界全体で取り組めば、大幅に台数導入が見込まれ、国内のEV化が促進される。飲料メーカー全体で取り組んで欲しいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、次世代EV「ノイエ・クラッセ」を世界初公開 ……「IAAモビリティ2023」にて次世代EV「ノイエ・クラッセ」を発表した。ボディはセダンタイプで、次世代のオペレーティング・システム「iDrive」といった先進装備を搭載。2025年に発売予定と発表されている。「ジャパン・モビリティ・ショー2023」<東京ビッグサイト/10月26日〜11月5日>への出展も発表された。 ★★ジャガー、SUV型のEV「I-ペイス」を改良 ……2024年モデルとしてマイナーチェンジし、9月7日にオンライン限定で受注を開始した。発売以来初の改良で、フロントシールドや新色のフロントチークなどを採用した。 ★★ダイムラー・トラック、アメリカ国内でバッテリーセルを生産へ ……アクセレラ(カミンズ)・パッカーとの3社でバッテリーセル生産の合弁会社をアメリカに設立した。持ち株比率は各30%ずつ。ニッケルやコバルトを使用しない低コスト・長寿命のリン酸リチウムイオン・バッテリーを生産する。 ★BMW、FCEV「iX5ハイドロジェン」が砂漠でテスト ……アラブ首長国連邦でのテストが完了した。45℃以上に達する気温や砂・ホコリといった厳しい条件下を無事に走り抜け、燃料電池システムをはじめ水素タンク・モーター・バッテリーに異常がないことを確認したという。 ★エネチェンジ、ユーミーコーポレーションと協業 ……不動産建設のユーミーコーポレーションが展開する「ユーミーマンション」にエネチェンジのEV用充電インフラを導入する。2030年までにユーミーコーポレーションの全管理物件に設置することを目指す。 ★STマイクロエレクトロニクス、SiCパワー半導体をボルボに供給 ……SiC(炭化ケイ素)パワーMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)をボルグワーナーの「Viperパワー・モジュール」に供給する。ボルボは今後、同モジュールをEVに採用していくという。 ★BYD、静岡県に正規ディーラー第1号店をオープン ……「BYD AUTO 静岡」(静岡市葵区御幸町6-10)を10月20日(金)にオープンする。場所は、静岡市の中心街にある商業施設「静岡モディ」の1階。「アット3」のほか「ドルフィン」も常設展示を行なう。 ★電子計測器の製造・販売の小野測器、「BYD・アット3」の計測データを販売 ……新サービス「ベンチマーキングレポート販売」でEVビジネスに参入する。本サービスは今年6月に開始し、8月に「BYD・アット3」のデータを含む第二弾の提供を開始した。「音響・振動」に関する計測・解析技術を活用した計測データが小野測器最大の強みだという。 ★システック、商用車への太陽光パネル搭載・普及がNEDOの委託事業に ……デジタコの販売などを行なうシステックが展開するトラックなどの商用車を対象としたソーラーパネル発電事業が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「太陽光発電主力電源化推進技術開発」の委託事業に採択された。トラックの架装にソーラーパネルと発電設備を設け、その出力でバッテリーへの充電を行いオルタネーターの駆動を行なうという機構が対象となる。CO2削減効果が期待できるという。 ★学生フォーミュラ日本大会2023、EVクラス優勝は名古屋大学 ……大学生が自作したフォーミュラマシンの競技会「学生フォーミュラ日本大会2023」が、8月28日(月)〜9月2日(土)の期間、エコパ(小笠山総合運動公園)<静岡県掛川市・袋井市>で4年ぶりに開催された。EVクラスには12チームが参加。クラス優勝となったは名古屋大学は、0-75m加速で3.469秒の大会新記録を出したという。 ★ブレイズ、千葉県鴨川市でEVバイクをレンタル ……鴨川市内の「カーライフ・サポート・ササキ」が運営するバイクレンタルサービス「カモ・タイム」に「ブレイズ・スマートEV」と「ブレイズ・EVスクーター」が導入された。レンタル料金は3時間3,850円から。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.08]

TAG: #EVトラック #THE視点 #商用EV
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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