太陽光発電の電力でビル施設とEVを稼働し電気代を低減 災害による停電時はエレベーターも動かせるライフラインに 【THE 視点】パナソニック・エレクトリックワークスは8月28日、「産業用蓄電システム単相連系タイプ(V2X対応)」の受注を2023年12月21日より開始すると発表した。EVの電力をビルや施設内などへ供給するV2Xシステムと定置型バッテリー・太陽光発電を連携させ、エネルギーの自家消費率を上げるシステムとなる。 本製品は、EVと蓄電池による同時充放電を実現した。協調制御により同一共用分電盤に最大4システム接続でき、最高出力24kW(従来比約4倍)を達成。施設の負荷に合わせたシステムの構築も可能だ。 また、単相負荷に対する追従制御で、外部制御装置なしでも太陽光発電の全量自家消費を実現した。電力の逆流によるシステム停止リスクを低減することで、太陽光発電の継続利用ができる。これらの機能により、系統からの電気代を抑えることと、停電リスクの低減に貢献できる。 V2Xスタンドは、エアコン室外機1台分より小さい床面積で設置可能なコンパクトなもの。駐車場の限られたスペースにも設置しやすい。屋外工事のみで済むので、EVの購入に合わせて設置することができる。 走るバッテリーであるEVを定置型バッテリーのように活用できるメリットは大きい。太陽光発電による電力で走行すれば移動コストはタダに近い。定置型バッテリーの“増槽”として使用すればピークカットができ、総合的に電気代が安くなるメリットがある。 システムの最高出力が24kWと大きいことから、災害時などに定置型バッテリーとEVに蓄えられた電力でエレベーターの稼働も可能なはずだ。もし近くのEV用急速充電器が生きていれば、そこで充電した電力をEVがデリバリーするという手段もとれる。 筆者は以前、災害によるマンションの停電で、自宅階まで苦労して上った記憶がある。そのような場合に、最低限エレベーターが動くメリットの大きさは、肌で体感している。 機器の導入コストを電気代の削減分で賄えるか、という問題もあろう。しかし、毎夏・冬に発表される電力逼迫や、誤差の範囲内とはみなせなくなった電気代の高騰、そして人の命を脅かすようになった温暖化、台風・豪雨などにより全国で頻発する停電事故を考えると、このような設備の導入・普及は必要かもしれない。 EVの導入を考えている企業は、こういったシステムの導入を前向きに考えてはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★HIS、空飛ぶクルマの運行実現に向けて評価・検証を実施……大阪府・大阪市・兵庫県の補助事業に採択、関西エリアにおける需要分析やルートの検討などを実施[詳細はこちら<click>] ★★ボッシュ、800Vの電圧に対応したモーターとインバータの量産を開始……熱損失を50%削減、電力密度35%向上 ★★プロテリアル、EVに使用可能な高出力フェライト磁石モーターを開発……最高出力100kW超えを確認、レアアースを使用せず低コスト ★台湾シン・モビリティ、液浸冷却式のバッテリーを発表……エネルギー密度200Wh/kgで急速充電は15分(0〜80%)、スポーツ車や商用車にも最適化が可能 ★テラモーターズ、茨城県水戸市にEV用急速充電器を導入……「市立サッカー・ラグビー場」と「青柳公園」に最高出力50kWの機器を2024年度に設置予定 ★エネチェンジ、商工中金から包括的サポート……ESG推進のデット・プログラムに参加 ★小型EVのブレイズ、本社<名古屋市中村区>にて試乗会を開催……9月2日(土)〜3日(日)・9日(土)〜10日(日)、 ★日産、来季フォーミュラEのドライバーにオリバー・ローランドを再起用……サッシャ・フェネストラズとのコンビに デイリーEVヘッドライン[2023.08.31]