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「Power Exporter e: 6000」(photo=本田技研工業)
TEXT:福田 雅敏
エレキギターも良い音が出せる!……ホンダ、EV・FCEVとセットで使う給電機を発売[2023.09.07]

2017年のLUNA SEAのコンサートで実際に使用した機器の廉価版 メーカーに関係なくあらゆるEV・FCEVから電気を取り出せる 【THE 視点】本田技研工業(ホンダ)は9月1日、電動車両(バッテリー式EV・燃料電池車(FCEV)・PHEV)と接続して使用する可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発売した。全国のHonda Carsにて購入が可能。価格は88万3,960円(税込)。 ポータブル発電機の開発でこれまでに培った独自の正弦波インバーター技術を採用。精密機器や楽器など、電気の“質”が求められる製品にも対応可能な電力を供給する。 EV・FCEV・PHEVといった電動車両と接続することで最高6kVAの電力を出力でき、平時はイベント・コンサート・レジャーなどにおける電源として、有事の際には避難所・小規模オフィス・店舗の非常用電源として活用できる。 現在販売している「パワー・エクスポーター 9000」に対して約10kgの軽量化を実現したほか、車両と接続する給電ケーブルの長さを1.2mから2.1mへ伸長するなど、使い勝手の向上を図った。 出力は100Vの電圧に加えて200Vに対応し、その両方を同時に使用可能。家電はもちろん、より大きな電力が必要なオフィス用エアコンや店舗用冷蔵庫なども動かすことが可能だ。 以前のイベントレポートで紹介した試作機がついに発売となった[詳細はこちら<click>]。出力が6kVAと、「9000」の9kVAよりも少し小さくなったが、価格や重量面でのメリットが増え、購入へのハードルが下がったと言える。 筆者の乗る「クラリティFUEL CELL」にも接続が可能だ。実は車両購入時に「9000」の購入も検討したが、本体重量がおよそ50kgと重く値段も高価(税込120万1,750円)だったことから購入を諦めた経緯がある。 2017年のことだが、ホンダは「クラリティ FUEL CELL」の電力を「パワー・エクスポーター 9000」を介してロックバンド「LUNA SEA」のコンサートで使用したことがある。SUGIZO氏のギターに電力を供給したようだ。会場は「埼玉スーパーアリーナ」と大きな会場だった。電気の質が音を左右するエレキギターの電力としてプロも納得の上で使用できることは、本品の完成度の高さを物語っている。 「パワー・エクスポーター」シリーズは、ホンダ車に限らず「トヨタ・ミライ」「日産リーフ」「メルセデス・ベンツ・EQS」などメーカーを跨いだEV・FCEVからも電力が取り出せるのが特徴。団体などで1台でも備えておけば、平時はイベントなどの電源として使用し、災害時は命綱になる。ビルのエレベーターなども動かせるかもしれない。活用方法は色々と考えられる。 ただ、1台の値が張るのがネックである。「CEV補助金」の対象にはなっているが(3分の1を補助)、現在、令和5年5月22日の到着分をもって申請受け付けが終了してしまったようだ。猛暑の夏はそろそろ終わるが、次は冬が到来し電力逼迫と共に大雪による災害が予想できる。補助金受付の早急な再開を検討してはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、次世代EV「ノイエ・クラッセ」に次世代の自動運転プラットフォームを採用へ ……自動運転プラットフォームのAWSのシステムを採用する。このプラットフォームを用いて先進運転支援システムを開発するという。「ノイエ・クラッセ」は2025年に発売予定。 ★★横浜ゴム、グリーンエネルギーでEV用タイヤを生産 ……EV向けサマータイヤ「アドバン・スポーツEV」の生産を新城南工場<愛知県新城市>で開始。同工場には4月に太陽光発電システム(出力1.1MW)が導入済みで、その電力を使用して生産する。年間約599トンのCO2を削減できるという。 ★★ナビタイム、冠水を回避する機能を実装 ……1時間に30mm以上の降水の可能性がある場合、スマートフォン向けアプリ「カーナビタイム」上で「冠水注意地点回避ルート」を提案する機能を実装した。注意地点は全国3,600ヵ所に及ぶ。水大敵のEVに乗る際はぜひ活用したい機能だ。 ★トヨタ、「クラウンFCEVセダン」の右ハンドル仕様を初公開 ……スーパー耐久第5戦もてぎ<モビリティリゾートもてぎ/9月2日〜3日>の会場にて右ハンドルの日本仕様車を初公開した。同時にJAFも水素ロードサービストラックを展示し注目を集めた[詳細はこちら<click>]。 ★ボルボ、シンガポールにテックハブを開設 ……本施設は、2030年の完全電化メーカーを目指すために、ソフトウェア開発などを重点的に行なうグローバル・イノベーション・センターとして機能するという。 ★パイオニア、EV充電ビジネスを推進 ……ネクストドライブと「EV中放電制御システム」の開発でパートナーシップを結んだ。パイオニアは、同社のプラットフォーム「パイオマティクス・フォー・グリーン」を活用し、EVの充電状態や消費電力量を予測。そのデータを基に、ネクストドライブのコントローラー「アット」が充電機器を操作する仕組みをとる。 ★米ハイゾン・モーターズ、液体水素を使用したFCEVトラックの商用運転に成功 ……アメリカのFCメーカーのハイゾン・モーターズが開発した液体水素を使用するFCEVトラックが、540マイル(約870km)の営業運転に成功した。液体水素の活用について日本国内では、トヨタが「スーパー耐久シリーズ」に参戦している「カローラ」の内燃エンジン用の燃料としているが、FCでの利用はしていない。一歩先に行かれた形となる。 ★ヴォグゾール、英国内でのEV販売が好調 ……8月のEVの販売台数を公表した。ハッチバックの「コルサ・エレクトリック」は2,220台、SUVの「モッカ・エレクトリック」は6,062台を販売した。商用車であるバンタイプの「ヴィヴァーロ・エレクトリック」は、今年8月までに3,211台を販売した。いずれの車種も英国内の各カテゴリーで販売上位だという。 ★自動運転EVのチューリング、打倒テスラを掲げてエンジニアを募集 ……9月下旬から10月にかけて、東京・横浜・名古屋でエンジニア向けの採用説明会を実施する。同社の経営陣も参加する懇親会も開く予定だ。発行されたプレスリリースには「We Overtake Tesla」と毛筆で書かれたイラストが掲示されている。国産EV開発を加速する意気込みを感じる。 ★旭化成、台湾のEVバイクに樹脂部品を提供 ……中国Giken Mobilityが7月16日に発売したEVスクーター「Iso UNO-X」に樹脂製部品を提供。リチウムイオン・バッテリー用カバーに「ザイロン 443Z」、モーターカバー向けに「レオナ 53G33」を供給。旭化成の高品質な樹脂成形技術が評価された。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.07]

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「SOLATOカーシェア」(photo=レクシヴ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVならではの独立エネルギー稼働……レクシヴと太陽石油がオフグリッド型カーシェアを開始[2023.09.06]

カーボンフリーエネルギーを活用したEVカーシェアリングサービス 災害・緊急時は電力のデリバリーが可能になり人命を救える可能性 【THE 視点】レクシヴは9月1日、太陽石油向けにEVカーシェアリングシステムの提供を開始した。太陽石油の「SOLATOカーシェア」にレクシヴのプラットフォームを活用し専用のシステムを開発。オフグリッド型ソーラーカーポートで発電した電力でEVを稼働するカーシェアリングサービスを展開する。 2023年9月1日より愛媛県内にて開始され、今後は同県内における法人・自治体とカーシェアの実証に順次取り組む予定。レクシヴは今後も各企業や全国の行政と連携しながら脱炭素社会の実現に貢献していくという。ちなみにレクシヴは本実証において、「SOLATO」専用のEVカーシェアシステムおよびユーザー向けのウェブ・スマホアプリを開発した。 オフグリッド型ソーラーカーポートは、一般の電力系統から完全に独立して稼働する。太陽光発電なのでカーボンフリー電力となり、平常時はEV給電用として、災害時は非常用電源として活用が可能だ。 「SOLATOカーシェア」は、オフグリット型ソーラーカーポートを用いる点が最大の特徴だろう。今回の実証に導入した「日産・サクラ」はV2Hにも対応している。災害時などではソーラーカーポートが給電ポイントになるだけではなく、サクラからもV2H機器を介して施設に給電できるようになる。 電力が遮断された中で、必要とする施設・場所に「サクラ」が電力を届けるという活用方法も期待できる。生命維持のための機器はもちろん、通信機器や救助道具類を稼働するための電力をデリバリーするといった様々な活用法が考えられる。オフグリッド型ソーラーカーポートとEVの組み合わせは、緊急時に人の命を救える命綱になる可能性があるということだ。 ちなみに日産は、日立ビルシステムとの共同実証で、サクラの電力を使用しエレベーターを15時間連続稼働させることに成功している。「SOLATOカーシェア」は、本来のカーシェア事業以外にも導入メリットのあるサービスと言えそうだ。 レクシヴは、EVシェアリング立ち上げ支援サービスも行なっている。EVカーシェア事業者向けに、フルパッケージ型のEVカーシェアリング・プラットフォームを提供している。EV用充電器や電気工事の手配・EV調達・カーシェアリングの市場調査までサポートするという。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新型EV「iX1 eDrive20」を発表 ……コンパクトSUV「X1」のEVモデル。最高出力は150kW(204ps)。バッテリーの容量は64.7kWhで、航続距離は最大475km。11kWのAC充電に対応し、0〜100%までの充電を6.5時間で完了できるという。2023年11月から生産を開始する。[詳細はこちら<click>] ★★トヨタ、「ハイラックスFCEV」のプロトタイプを公開 ……日本でもヒットモデルとなっている「ハイラックス」を燃料電池車(FCEV)化した。水素タンクは3つ搭載し、航続距離は600km以上。「ミライ」のFCユニットを使用しているという。このプロジェクトはトヨタの英国子会社TMUKが行なった。 ★★メルセデス・ベンツ、「CLAクラス」のEVコンセプトを発表 ……「IAAモビリティ」にて発表。メルセデス・ベンツのエントリーグレードに位置付けられる。MMAプラットフォームを初採用した。800V電圧に対応し15分で400km以上の電力を充電可能。航続距離は750km以上(WLTP1)となるという。 ★★ルノー、新型EV「セニック E-テック」や新型か「カングー」のEVバージョンを発表 ……「IAAモビリティ」にて公開。「セニック」はコンパクトMPVであったが、発表された新型はSUVタイプとなった。モデル伝統のファミリーユース性を踏襲し、航続距離は620km(WLTP)以上になるという。2024年初めに発売予定。  新型「カングー」には従来のICEのほかEVが設定される。EVバージョンは航続距離265kmで、8年間または16万kmの補償付き。この期間中に容量が70%以下となった場合は無償交換になるという。 ★オペル、「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」「コルサ・エレクトリック」「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」などを世界初公開 ……ドイツ・ミュンヘンで開催中の「IAAモビリティ」にて発表。「ヴィジョナリー・オペル・エクスペリメンタル」はクーペ風のボディを持つコンセプトモデル。  「コルサ・エレクトリック」は5ドアハッチバックモデルで、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」はステーションワゴンとなる。そのほか、小型EVの「ロックス・e-エクストリーム」と「ロックス・エレクトリック・カーゴ」も出展している。 ★ポールスター、ミニカーのホットウィールとコラボしたEVスーパースポーツカーを公開 ……コンセプトモデル「ポールスターシナジー」を発表。600以上のエントリーから3つに絞り、それらを融合したデザインを1分の1スケールのモデルとして発表した。デザインコンテストは今後も継続して行なっていくという。 ★ボルボ、パワーエレクトロニクスのスタートアップに出資 ……炭化ケイ素(SiC)技術を使用したパワーモジュール設計の専門「Leadrive」に投資する。ボルボは2030年までに完全電動メーカーになることを目標としており、基幹技術の一つとなるインバーターなどの技術開発を強化する構えだ。 ★JA三井リースとプラゴ、EV充電サービスの法人を共同設立 ……「株式会社プラゴサービス」を8月24日に設立。自宅だけではなく、生活環境一体をユーザーの充電スポットとみなす「マイ充電ステーション」の拡充を図る。また、再生可能エネルギー由来の電力をより取り入れることも目指すという。 ★テラモーターズ、群馬県大泉町と連携協定 ……EV充電サービス「テラチャージ」の導入を共同で進める。充電器を無料で導入できアフターサービスも24時間356日対応可能という点が評価され提携に至った。 ★Jvolt、EVの充電スポットに立ち寄りポイントを獲得できるサービスを立ち上げ ……スマートフォン向けアプリ「Volty」の事前予約を開始した。充電スポットへの立ち寄りで貯めたポイントは、提携先のサービスで使用可能。「ナナコ」「ファミペイ」「ポンタ」「T-マネー」「ワオンポイント」などと交換できる。 ★BMW、「ウルトラ・ジャパン2023」と「XM」がコラボ ……ダンスミュージックフェスティバルの「ウルトラ・ジャパン2023」に「XM」を出展する。展示ブースではミラーマテリアルと光が織りなす背景を前に「XM」の撮影が可能。また、イベントのラッピング仕様車が都内を走行する。 ★トヨタ、「TOKYOもしもFES渋谷2023」に出展 ……防災・減災をテーマとした啓発イベント。トヨタは給電機能を持つ電動車(プリウスなど)を出展し、災害時の活用方法などを紹介した。イベントには2日間で2,400人が来場したという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.06]

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ダスキンが導入したASF2.0(photo=ダスキン)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
女性に優しい独自の荷室設計……ダスキン、軽商用EV「ASF2.0」で移動コストなどを検証[2023.09.05]

コスモ石油が資本業務提携をするEVを使用 利便性の向上は商用EVの販売台数に直結 【THE 視点】ダスキンは8月31日、営業車両に2台のEVを導入し、実証実験を行なうと発表した。EV導入によるCO2排出量削減効果・ランニングコスト・実用性等について2024年2月29日まで検証、その結果を基にEV導入計画を作成するという。車両は軽商用EVの「ASF 2.0」を使用する。 同社の営業車両は、全国で1万台以上が稼働しており、低排出ガス認定自動車導入の推進やドライバーへのエコドライブの教育などを行っている。しかし、CO2排出量削減をさらに推進するため、EVのスタートアップASFの協力を得て、訪販グループの東京エリア2拠点(ダスキン入谷支店<足立区>、ダスキン高松支店<練馬区>)に計2台のEVを導入することを決定した。 検証内容は、環境負荷軽減(CO2排出量削減)効果・季節変動要因による航続可能距離・ランニングコストの検証・EV運用における各種基礎データの取得及び業務における実用性・車両性能検証などである。 ちなみにダスキンは「ダスキン環境目標 2030(DUSKIN Green Target 2030)」において、2030年度までにグループ拠点におけるCO2排出量を46%減(2013年度比)という目標を掲げている。 ASFは、コスモ石油と資本業務提携をしており、同社でリース販売を行なうほか、佐川急便も7,000台程度の導入を発表しており、納入が始まっている。 「ASF2.0」は営業車両としての利便性を重視した設計になっているが、ダスキン仕様はさらに改良を加え、資材の出し入れがしやすい独自の荷室を採用した。女性スタッフにも使いやすい設計だという。 商用車にも使用できる軽EVバンは、ホンダ・トヨタ・ダイハツ・スズキ・三菱からも発売が予定されているカテゴリーだ。軽貨物便などで全国の街を駆け巡っている軽EVは、狭い路地に入り急坂を上り下りするほか、ストップ&ゴーが繰り返されるなど非常にタフな使い方がなされる。 そういった使用に耐えうる耐久性はもちろんだが、何より車両を仕事場とするドライバーにとって使いやすいモデルが一番売れるEVバンになるはずだ。そういう意味では、ダスキン仕様「ASF2.0」が一歩先に出たと言える。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★エネオス、EV充電サービス用スマホアプリをリリース ……エネオスの経路充電サービス「エネオス・チャージ・プラス」に対応したスマートフォン用アプリ「エネオス・チャージ・プラス・EV充電アプリ」のサービスを9月5日にリリースする。月額料金はなく、充電器の操作から決済までアプリで完結できる。なお、本アプリの開発はエネチェンジが担当した。 ★★アウディ、新型EV「Q6 e-tron」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティ」にて発表。新開発の「プレミアムプラットフォームエレクトリック」と「E3アーキテクチャー」をベースに開発した初のモデルとなる。インテリアは、人間工学と造形美を追求した先進的なデザインを採用した。 ★★クプラ、新型コンセプトEV「ダークレーベル」を発表 ……「IAAモビリティ」にて公開する。シューティングブレークのボディを持つスポーツモデル。全体的に鋭角的で近未来を彷彿とさせるボディデザインが特徴。 ★ベクトリクス・ジャパン、配送用の三輪EVスクーター「I-カーゴ」を発売 ……前一輪・後二輪のスクーター。後部の荷台には700Lの大型カーゴを装備している。運転席はルーフで覆い雨などから運転者を守る。航続距離は最大80kmで、価格は138万5,000円。 ★パナソニック、公共向けEV用充電スタンドを改良 ……パブリックエリア向けモデル「エルシーヴ・パブリック・モード3」を改良。最高出力を従来の3kWから6kWに向上した。価格は42万9,000円〜。 ★ボルボ、2023年08月の販売台数を公表 ……EVの販売台数は、8月の全販売台数(5万1,636台)の13%。ヨーロッパの販売台数は1万6,051台でEVのシェアは26%となった。 ★トヨタ自動車グループのトヨタ鉄鋼、グリーンスローモビリティを開発へ ……シェアサイクルプラットフォーム「ハロー・サイクリング」を展開するオープンストリートと共同開発する。車両は2023年4月の道交法改正によりできた「移動用小型車」に適合させたものとなる。 ★自動運転EV開発のチューリング、アマゾンの開発支援プログラムに採択 ……アマゾン・ウェブサービス・ジャパン(AWS)の大規模言語モデル(LLM)開発支援プログラムに採択。LLMは大量のテキストデータを学習し、人間のような文章や会話を行うシステムで、完全自動運転の実現に不可欠なものとされている。 ★レクシブ、EVタクシーを運営する第一交通産業をサポート ……EVタクシーのエネルギーマネジメントをサポートする。充電時間によりEVタクシーの運行に影響が出ないよう、運行管理に合わせたマネジメント等を行なう。同時にEV導入による経済効果や電気代などの検証も行なう。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.05]

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「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」(シン・モビリティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
セルを浸して性能向上……台湾シン・モビリティがEVに搭載可能な液冷式バッテリーを開発[2023.09.04]

テスラとパナソニックの元技術者が立ち上げたベンチャー企業 急速充電や寿命を左右する冷却技術の究極系 【THE 視点】産業用途向け液浸冷却バッテリー技術のパイオニアである台湾シン・モビリティーは、ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティショー」で、新型バッテリー「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」を発表する。液浸冷却式のバッテリーで、高いエネルギー密度・放熱性・安全性を有する。 エネルギー密度は、最大200Wh/kgというトップクラスを持ち、20〜80%の充電は15分以内で済むという。その要因は特許取得済みの液浸冷却技術で、効率的に熱を除去し個々のセル内の熱暴走やパック全体の火炎伝播を防止することができる。鉱油で冷却する先進的な高ニッケル正極円筒形リチウムイオンセルの技術を活用しているという。 ボディは高張力エンジニアリングプラスチック製で、耐久性と信頼性を確保する精巧なセルマネージメントユニットを備えている。このユニットには各セルの温度・電圧・電流を監視・制御するシステムが組み込まれている。 乗用車・スポーツ車・商用車・トラックといった様々な車両とその用途に合わせてカスタマイズが可能。希望の顧客とのディスカッションから始まり、試作・試験・審査を経て、ニーズに最適化された製品を製造する。その後、現場での製品の実性能のモニターを続け、その情報に基づいてさらなる改良を加え最適化を行なうとのこと。 シン・モビリティーは、テスラとパナソニックの技術者によって2015年に設立された特殊用途向けのEV用バッテリー企業。極限のパフォーマンスを求められるレーシングカーやスーパースポーツカーを研究開発プラットフォームとして使用している。 この発表を聞いて、最初に頭に浮かんだのがテスラの初代「ロードスター」だ。バッテリーは液冷式を採用していたと聞く。しかも旧サンヨー(現パナソニック)のものだ。シン・モビリティーはテスラとパナソニックの技術者により設立されている。もしかしたら似た構造を持つのかもしれない。ちなみに日本のチューニングメーカー大手のHKSがエンドーザーに参画している。 最近のEVのバッテリーの多くがサーマルマネージメントされている。特に冷却は重要で、急速充電や寿命を大きく左右する機能となる。この液冷式を取り入れたパックの200Wh/kgというエネルギー密度は非常に高い。液冷式は重いというイメージを覆す数値だ。液冷式のサーマルマネージメント開発が成功したのだろう。詳細はIAAモビリティでの正式発表を待ちたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新型EVの「クーパー」と「カントリーマン」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで行なわれる「IAA」モビリティで2台の新型EVを発表する。「クーパー」はMINI伝統の衣裳を踏襲したオーソドックスな3ドアモデルで、「カントリーマン」は5ドアのSUVとなっている。「エースマン」は2024年4月に発表予定。 ★★テスラ、「モデル3」の改良新型を発表 ……かねてから噂のあった改良新型を日本でも発表し先行受注も開始した。ラインナップは「RWD」(561万3,000円)と「ロングレンジ(デュアルモーターAWD)」(651万9,000円)の2機種。今回は外観と内装のアップグレードがメインのようだ。納車は2023年12月から。 ★★ロータス、「エレトレ」の国内販売を開始 ……「エレトレS」(2,332万円)と「エレトレR」(2,585万円)の2機種を用意する。SUVクーペスタイルの高性能SUVで、0-100加速の最高タイムは2.95秒(R)で航続距離は600km(S)。すでに100台受注し、来年夏以降の納車を予定している[詳細はこちら<click>]。 ★伊藤園、配送車両にEVトラックを導入 ……飲料を配送する車両に「エルフEV」を採用し、10月より順次導入を開始する。架装の一部(スライドドア・バックドア)に茶殻を使用し、軽量化と環境負荷の低減を狙っている。2023年度内に東京地区の営業拠点に30台を導入するという。 ★オペル、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」の受注を開始 ……ステーションワゴン(5ドア)タイプの新型EVで、価格は4万3,490ユーロ(約680万円)。月額339ユーロ(約5万3,515円)のリースプランも用意する。最高出力115kW(156ps)・最大トルク270Nm(27.5kgm)で最高速度は170km/h。バッテリーの容量は54kWhで航続距離は413km(WLTP1)となっている。 ★ホンダ、可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発表 ……バッテリー式EV・FCEV・PHEVに接続し家電などが使用できるよう電力を取り出す機器。バッテリーではないため、電動車とセットで使用する必要がある。シガーソケットを使用するインバータのようなイメージだ。最高6kVAの電力を出力でき、イベント機器用の電源として機能させることができる。交流100V・200Vの同時出力が可能。 ★ZF、マグネットフリーのモーターを開発 ……誘導電流ユニットにより磁力を作るため、磁石とレアアース類が必要ない。現在のEVの主流である永久磁石の動機モーターと同等の性能を持ち、モーター本体を小型化できる。電圧800Vにも対応する。 ★太陽石油、EVのカーシェアリングの実証を開始 ……レクシブの法人・自治体向けプラットフォーム「SOLATOカーシェア」を使用し愛媛県内で実証を開始する。ソーラーカーポートの発電による電力を使用したオフグリッド型の電力にてEVを稼働させるのが本実証の特徴。車両は「日産サクラ」を使用する。 ★東京ガス、群馬県太田市などとEV充電マネジメントを共同検証 ……東京ガス・太田市・太田都市ガス・日本カーソリューションズの4団体が共同で実施する。簡易型車載器を活用して車両の稼働状況を調査するほか、その結果に基づくEV導入計画の策定、充電マネジメント導入時の電力コストの算定・効果検証などを行なう。 ★日本ゼオン、リチウムイオン・バッテリー用バインダーの生産設備をアメリカに構築 ……リチウムイオン・バッテリーの正極・不極・機能層・シーリング用材料として使われるバインダーを現地生産・消費を目指す。日本ゼオンにとって、米国で初めての設備となる。 ★ネクストドライブ・eモビリティパワー・東京大学大学院工学系研究科、EVユーザーの基礎充電行動を研究へ ……スマートメーターのBルートのデータを活用し、自宅での充電頻度や充電量を把握可能な行動推定モデルを構築する。自宅のコンセントは通信機能がないため、Bルートにネクストドライブの機器を設置してデータの収集を試みる。モニターの募集はeモビリティパワーが行ない、推定モデル構築は東京大学が行なう。このデータを収集することで、自宅外での充電ニーズを把握することが可能になるという。 ★モーション、2.5億円を新たに資金調達 ……EVの充電を制御・最適化し電力コストを低減するソリューション「オプティーブ」の開発に充てるという。調達先は環境エネルギー投資・兼松コミュニケーションズ・大和自動車交通・フェアーの4社。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.04]

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充電インフラ整備促進に向けた指針(仮称)の案(出展=経済産業省)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV用充電器が2030年に30万口・平均出力80kWへ……経産省が新指針でインフラを強化[2023.09.01]

いよいよ本腰を入れるEV用充電インフラの大幅拡充 充電規格についてもガイドラインを制定し利便性を担保 【THE 視点】経済産業省は8月28日、充電インフラ整備促進に向けた指針(仮称)の案について公表した。 経産省はこれまで、2030年までに「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置する」との目標を掲げ、約3万基の整備を進めてきた。 今回の発表では、充電器設置目標を倍増(2030年までに15万口→30万口)させ、充電器全体の総数・総出力数を現在の10倍(約40万kW→約400万kW)にするという。電動化社会構築に向け、国主導で充電インフラ整備を加速させる構えだ。 急速充電は、高速道路上の機器を高出力化する(最高出力90kW以上、150kWも設置)。高速以外でも50kW以上を目安とし、平均出力を倍増(40kW→80kW)させることで充電時間を短縮し、利便性の高いインフラを整備する。 同時に、限られた補助金で効果的に設置を進めるため、費用対効果の高い案件を優先(入札を実施)して費用低減を促進し、充電事業の自立化を目指す。課金方式については、充電した電力量(kWh)に応じた従量課金を2025年度に実現するとしている。 商用EVについては、エネルギー・マネジメントを中心的に進めてコストを低減し、ユーザー・事業者双方にとって有利な料金制度を実現する。エネマネにより商用車の充電に伴う負荷を平準化・分散化させる。 さらに超急速充電(350kW等)やさらなる高電圧化への対応は今後の選択肢の一つとし、普通充電器についても従来の6kWから10kWに見直す。 急速充電規格については、国内は「CHAdeMO」がほとんどを占めているが、海外では「CCS2」/(欧州)「NACS」(米国)/「GB/T」(中国)が過半数を占めている。この事情を鑑みて、CHAdeMO協議会を中心に充電事業者やOEMなどの意見を取り入れたガイドラインの作成を行なう。 充電の通信規格についても、オープンプロトコルの「OCPP」や「ECHONET」を用いることを求めていく。車両と充電器の組み合わせで生じる不具合の解決などについては、2023年度中のマッチング・テストセンターを設置し準備を進める。 これらは、パブリックコメントを経て、10月上旬を目処に指針を策定する。ちなみに充電器の数の表現だが、1基で複数口の充電口を持つ機器が増えたことから、「基」から「口数」に変更された。 EVの普及において、これまで「卵が先か鶏が先か」、つまり車両の普及とインフラの整備のどちらが先をいくべきかの議論がされてきたが、今回の経済産業省の発表が実現するとすれば、「インフラの問題でEVが普及しない」とは言えなくなる。今後7年間で10倍と言うことは、毎年約4万基ずつ増えることになる。これまでの設置数以上の数が毎年増加する計算だ。 充電器の高出力化で充電渋滞の緩和なども見込まれる。高速道路外への一時退出を許可する充電の検討や、マッチング・テストセンターの設置の準備など、EVユーザーの利便性についても検討されていることが、今回の発表により明らかとなった。国はEVの普及に向けて本腰を入れたとみて間違いない。 この発表が絵に描いた餅とならぬよう、国主導でインフラの拡充を引き続き推進・実現してもらいたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、「ポータブルバッテリー from LEAF」を発売 ……9月1日(金)より日産の正規ディーラーにて販売開始。「リーフ」のバッテリーを再利用し、JVCケンウッド/フォーアールエネジーと共同開発。最大容量は633Whで、AC出力は最大900W。一般的な100VのコンセントのほかUSB-A/-Cのポートも搭載。充電は家庭の電源はもちろんシガーソケットからも行なえる。 ★★ダスキン、営業車両に軽商用EVを導入 ……軽自動車規格の商用EV「ASF2.0」2台を導入し9月1日(金)より実証実験を行なう。CO2の排出量削減効果とランニングコストを検証する。ASFはコスモ石油が資本業務提携するEVのスタートアップ企業。[関連記事はこちら<click>] ★★オペル、3台のEVをワールドプレミアへ ……ドイツ・ミュンヘンで開催するモーターショー「IAAモビリティ2023」にて「ビジョナリー・オペル・エクスペリメンタル・コンセプトカー」「コルサ・エレクトリック」「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」を出展する。 ★経産省・産総研(NEDO)、商用EVを用いた実証「スマモビプロジェクト」を開始 ……国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、トラック・バス・タクシー事業者から、商用EVの車両・走行データの受け入れを開始した。運行管理とエネルギーマネジメントシステムの検討とシミュレーション技術の開発に活用する。バスは大阪市高速電気軌道など、トラックはCJPT、タクシーはGOが参画。 ★ユアスタンド、「愛・地球白公園(モリコロパーク)」の駐車場内にEV用充電器を設置 ……9月1日(金)より、「モリコロパーク」<愛知県長久手市>においてEV用充電器を稼働。最高出力6kWの機器を4台設置し、会員登録なしのQRコード決済にて利用可能。 ★ユビ電、三井住友オートサービスと富士電機より資金調達 ……「シリーズB 3rd」ラウンドにて、2社より合計2億円の資金を調達。累計調達額は14億6,800万円となり、電力環境と充電インフラの拡充を目指す。 ★自動運転EVのチューリング、5.2億円を新たに調達 ……山本一成CEO・田中大介COO・エンジェル投資家5名の計7名より資金調達し、累計額は15.2億円に。2025年に販売予定(100台限定)の自社開発EVの開発資金に充てる。 ★ヒョンデ、小型SUVの新型EV「コナ」を代官山T-SITE<東京都渋谷区>に展示 ……年内の国内発売を前に9月28日(木)まで先行展示。「ヒョンデ・カスタマー・エクスペリエンス・センター横浜(CXC横浜)」でも展示を行なう。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.01]

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「産業用蓄電システム単相連系タイプ(V2X対応)」(photo=パナソニック・ホールディングス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVをビルの「電力システム」に……パナソニック、ビル向けの自家発電・消費システムを発表[2023.08.31]

太陽光発電の電力でビル施設とEVを稼働し電気代を低減 災害による停電時はエレベーターも動かせるライフラインに 【THE 視点】パナソニック・エレクトリックワークスは8月28日、「産業用蓄電システム単相連系タイプ(V2X対応)」の受注を2023年12月21日より開始すると発表した。EVの電力をビルや施設内などへ供給するV2Xシステムと定置型バッテリー・太陽光発電を連携させ、エネルギーの自家消費率を上げるシステムとなる。 本製品は、EVと蓄電池による同時充放電を実現した。協調制御により同一共用分電盤に最大4システム接続でき、最高出力24kW(従来比約4倍)を達成。施設の負荷に合わせたシステムの構築も可能だ。 また、単相負荷に対する追従制御で、外部制御装置なしでも太陽光発電の全量自家消費を実現した。電力の逆流によるシステム停止リスクを低減することで、太陽光発電の継続利用ができる。これらの機能により、系統からの電気代を抑えることと、停電リスクの低減に貢献できる。 V2Xスタンドは、エアコン室外機1台分より小さい床面積で設置可能なコンパクトなもの。駐車場の限られたスペースにも設置しやすい。屋外工事のみで済むので、EVの購入に合わせて設置することができる。 走るバッテリーであるEVを定置型バッテリーのように活用できるメリットは大きい。太陽光発電による電力で走行すれば移動コストはタダに近い。定置型バッテリーの“増槽”として使用すればピークカットができ、総合的に電気代が安くなるメリットがある。 システムの最高出力が24kWと大きいことから、災害時などに定置型バッテリーとEVに蓄えられた電力でエレベーターの稼働も可能なはずだ。もし近くのEV用急速充電器が生きていれば、そこで充電した電力をEVがデリバリーするという手段もとれる。 筆者は以前、災害によるマンションの停電で、自宅階まで苦労して上った記憶がある。そのような場合に、最低限エレベーターが動くメリットの大きさは、肌で体感している。 機器の導入コストを電気代の削減分で賄えるか、という問題もあろう。しかし、毎夏・冬に発表される電力逼迫や、誤差の範囲内とはみなせなくなった電気代の高騰、そして人の命を脅かすようになった温暖化、台風・豪雨などにより全国で頻発する停電事故を考えると、このような設備の導入・普及は必要かもしれない。 EVの導入を考えている企業は、こういったシステムの導入を前向きに考えてはいかがだろうか。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★HIS、空飛ぶクルマの運行実現に向けて評価・検証を実施……大阪府・大阪市・兵庫県の補助事業に採択、関西エリアにおける需要分析やルートの検討などを実施[詳細はこちら<click>] ★★ボッシュ、800Vの電圧に対応したモーターとインバータの量産を開始……熱損失を50%削減、電力密度35%向上 ★★プロテリアル、EVに使用可能な高出力フェライト磁石モーターを開発……最高出力100kW超えを確認、レアアースを使用せず低コスト ★台湾シン・モビリティ、液浸冷却式のバッテリーを発表……エネルギー密度200Wh/kgで急速充電は15分(0〜80%)、スポーツ車や商用車にも最適化が可能 ★テラモーターズ、茨城県水戸市にEV用急速充電器を導入……「市立サッカー・ラグビー場」と「青柳公園」に最高出力50kWの機器を2024年度に設置予定 ★エネチェンジ、商工中金から包括的サポート……ESG推進のデット・プログラムに参加 ★小型EVのブレイズ、本社<名古屋市中村区>にて試乗会を開催……9月2日(土)〜3日(日)・9日(土)〜10日(日)、 ★日産、来季フォーミュラEのドライバーにオリバー・ローランドを再起用……サッシャ・フェネストラズとのコンビに デイリーEVヘッドライン[2023.08.31]

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ワイヤレス充電システム(photo=ワイトリシティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「充電規格戦争」終了の“切り札”か……エネチェンジ、ワイヤレス充電導入の検討を開始[2023.08.30]

EV用充電インフラ大手がワイヤレス充電の普及に取り組む覚悟 「ユーザーがいつでもどこでも手軽に充電」の根幹を見失うな 【THE 視点】エネチェンジは8月23日、日本国内でのEV用ワイヤレス充電の導入を検討すると発表した。2022年7月に出資をした米ワイトリシティのシステムを使用する。 エネチェンジのEV充電サービス「EV充電エネチェンジ」は、現在、日本最大の普通充電(6kW)ネットワークを有している。2027年までに最大300億円を投じ、国内で3万台のEV用普通充電器の設置を目標に掲げている。 ワイヤレス充電は、EVユーザーの作業負担をほぼない状態にすることができる。EVユーザーの利便性を重視するエネチェンジは、ワイトリシティへの出資を通じて、既存および新規設備での実証実験を支援していくという。 ワイトリシティの充電システムは、地上に設置した充電パッド上にEVを止め、EVの車体下部に取り付けられた受電コイルを介して充電するというもの。磁気共鳴により作動するので、特別なケーブル類の接続がないのはもちろん、機器同士が触れることなく高効率な電力転送を行なえる。 充電パッドは、住宅や車道のほか立体駐車場用などの地上設置型と、駐車場や縁石の舗装に埋め込む地中設置型が用意されている。位置の許容範囲が広く、車両をパッドの真上などに完全に合わせる必要はない。トラックやバスにも対応できるという。 ワイヤレス充電については、先日のデイリー(6月29日)でもお伝えしているが、EV普及のうえでは欠かせない存在である[詳細はこちら<click>]。 ワイヤレス充電も、急速充電と同様に相互互換性(規格)の問題があったが、今やワイトリシティが世界標準になりつつあるようだ。多数の特許も取得済みでSAE、ISO、GB規格もクリア済み。ドイツの電子機器メーカーのシーメンスもワイトリシティに出資している。 日本最大の普通充電のEV普通充電器ネットワークを持つエネチェンジが、ワイトリシティへの出資並びに業務提携した意味は大きい。このワイヤレス方式が日本の標準的なシステムとなれば、EV用の普及をより促せるのではないだろうか。 急速充電器のプラグは、日本の「CHAdeMO」やテスラの「NACS」といった規格が乱立し、ユーザーにとっては不要な覇権争いが繰り広げられているように見える。ワイヤレス充電が普及すれば、そのような混乱も防げるのではないだろうか。ユーザーから見れば、「簡単に充電できること」が最重要だということを忘れてはならない。 ワイヤレス充電の普及にあたっては、車両側への機器取り付けの問題もある。しかしワイトリシティの機器は、OEM供給に対応できるという。多くの自動車メーカーが開発と普及に協力することを期待する。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、最高出力400kWの充電ステーションを今年秋に開設……独マンハイム/米アトランタ/中国成都にて10月から稼働、2024年末までに世界2,000ヵ所以上に充電ネットワークを展開へ ★★ポールスター、「ポールスター2」を改良(本国発表)……航続距離が最大22%向上、充電速度も34%スピードアップ ★★三菱自動車、「ミニキャブ・ミーブ」が最大97万2,000円の補助……「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」の対象、事業用に限る ★日置電気、本社工場(長野県上田市)と周辺公道にて自動運転EVバスの実証運行を開始……マクニカと協力し「ナビヤ・アルマ」を運行、9月8日(金)〜9日(土)は一般市民も乗車可能 ★ステランティス、米国内2,600ヵ所のディーラーにEV用充電器を導入へ……チャージ・エンタープライズ社が充電網を整備 ★二輪用品メーカーのデイトナ、電動キックボードの取り扱いを開始……オリジナルモデル「デイトナ・モビリティDK01」を開発、クラシカルな自転車風のデザイン デイリーEVヘッドライン[2023.08.30]

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企業に向けたEVに対する意識調査(出展=帝国データバンク)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EV化を「プラス」にとらえる企業はたった1割……帝国データバンクが約2万8,000社にアンケート[2023.08.29]

「マイナスの影響となった」と回答したのは13.6%の企業 EV導入に積極的ではない国内企業の姿勢が浮き彫りに 【THE 視点】帝国データバンクは8月25日、国内の企業に対してEVに対するアンケート調査の結果を公表した。調査期間は2023年7月18日~31日。全国2万7,768社を対象に調査を行ない、1万1,265社から回答を得られた(回答率40.6%)。EVに関する調査は、2021年6月、2022年7月に続いて今回で3回目となる。 調査結果および要旨は、EV普及による業績への影響として、「プラスの影響がある」と答えたのは全体の11.1%。「マイナスの影響」と答えたのは13.6%で、プラスよりも2.5ポイント多い数値となった。「影響はない」(41.0%)、「分からない」(34.3%)と回答したのは全体の7割を超える企業だった。 規模別では、「プラスの影響」と答えた大企業は16.3%で、中小企業を6.2ポイント上回った。従業員数が多いほど「プラスの影響」は大きい。 地域別での「プラスの影響」は、北関東の13.8%がトップ。「マイナスの影響」は既存の自動車産業の中心地である東海が20.6%で突出している結果となった。 EV事業への参入意向は、「参入済み」と「参入予定」を合わせて10%で、なんらかの形でEV市場に関わっていく意思があることがわかった。 規模別では、大企業の「参入済み」「参入予定」の割合が15.0%で、中小企業を5.9ポイント上回る。 地域別では、「参入済み」「参入予定」が最も高いのは北関東の14.0%。次いで東海の13.0%。 業界別では、最も高いのは製造の14.0%。次いで小売の13.5%となった。 そして「参入予定なし」は67.4%という結果となった。 自動車産業は、日本の全就業人口の約1割にあたる550万人の雇用を支える日本の基幹産業だ。海外では、新車販売にEVが占める比率が、中国で3割、EUで1割を超えた。北米や東南アジアにおいてもEVは無視できない存在となりつつある。 日本における同比率はいまだ2%に満たない。EVに関しては日本の自動車産業の出遅れ感が指摘されるようになっており、アンケートでそれが浮き彫りとなった。 それでも経営体力のある「大企業」ほどビジネス・チャンスと捉えて前向きな受け止め方をしていることや、北関東が積極的な姿勢を示している点は評価できる。 確かにEVへのシフトはタダで簡単にはできない。しかし補助金が充実しているし、EVシフトをサポートするサービスも増えてきている。現在、化石燃料の価格は天井知らずで上がっており、関係するコストは、誤差では済まない数字となって帳簿などに反映されていることと思う。 このまま我慢をするか、思い切ってEVに先行投資をするかは難しい判断になると思うが、EVシフトへの遅れが企業と社員の財布を直撃しているのは間違いないのではないか。例えば従業員の通勤のために支払う燃料手当。EV化でこの経費が浮けば、企業にどれだけの恩恵があるだろうか。 クルマを作る企業も使う企業も、生き残りをかけ、長期的視点に基づいて経営方針の修正や大旋回が必要であろう。このままでは、テスラやBYDといった海外の振興メーカーに国内勢が駆逐される日が現実となるような気がしてならない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★パナソニック、EVの電力をビル電源と連動する機器「産業用蓄電システム単相連携タイプ(V2X対応)」を発売……EVの電力を建物に活用するV2Xと蓄電池を連携、太陽光発電とも組み合わせて電力自家消費を加速 ★★ユアスタンド、自社の予約課金システムをSKシグネット製急速充電器と連携……1分単位の課金やQRコード決済が可能、10月よりサービス開始 ★メルセデス・ベンツ・トラック、EVトラック「eアクトロス600」が酷暑下でのテストに成功……スペイン・アンダルシアにて5週間のテスト ★パーク24、福岡市の公共施設「西部地域交流センター」にEVのシェアリングカーを配備……「日産リーフ」を2台 ★レクシヴ、「小田原市EV宿場コンソーシアム」へ参画……EVユーザーの観光誘客を推進する施策 ★トヨタ、給電車を活用した避難生活を提案……「TOKYOもしもFES渋谷2023」<代々木公園/9月02日(土)〜03日(日)>に出展、給電車を活用した避難用具の使用をデモ ★テラモーターズ、埼玉県美里町と連携しEV用充電器を導入……町役場など6ヵ所の公共施設に設置予定 デイリーEVヘッドライン[2023.08.29]

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「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」(photo=GMC)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
Born to be WILDER……無給電で1週間過ごせる「ハマーEV」のキャンパー登場[2023.08.28]

車両とは別電源で稼働する後付けキャンパーユニット 広大な大地が育てた本物のサバイバル仕様 【THE 視点】GMCは8月25日、「ハマーEVピックアップ」のキャンパー「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」を発表した。「ハマーEVピックアップ」 の車体に後付けしてキャンパー化することができるキットで、2024年に同車のユーザー向けにアースクルーザーを通じて販売するとのこと。 アースクルーザーは、アメリカ・オレゴン州にあるキャンパーのメーカー。「フォードF-350」のほか、「三菱ふそう・キャンター」「いすゞ・エルフ」などをベースに、オフロード走行も対応できるキャンパーを製作している。 この「ハマーEVピックアップ」向けキットの主な特徴は以下のとおり。 ・「ハマーEVピックアップ」向けに専用設計された軽量高剛性のカーボンファイバーボディ ・発電出力605Wの太陽光パネルと電力量6kWh/最大容量460Ah/電圧12Vのリチウムイオン・バッテリーを搭載。冷蔵庫などの家電製品を約1週間稼働可能 ・3層構造の断熱材を使用しあらゆる季節に対応可能なポップアップ・ルーフ ・機能性と部屋としてのデザインを追求したインテリア ・ダブルベッド/屋内外対応のシャワー/トイレといったアメニティの充実 ・使いやすさを追求した7インチの対角タッチスクリーン式コントロール・パネル ・1500Wのインバーターを装備 日本でも車中泊のブームが続いているが、世界でもトレンドのようで各社続々とEVのキャンパーを発表している。 フォルクスワーゲンは「ID.Buzz」のキャンパーを公開したし、メルセデス・ベンツは、「Vクラス」のEV「EQV」にキャンパーモデルの「マルコポーロ」の追加を匂わせている。日本ではHWエレクトロが「エレモ-L」のキャンパーを発表した。 今回、GMCが発表したのは「ハマーEVピックアップ」の後付けキャンパーキットだった。ハマーが持つ悪路の走破性を生かして、人里離れた自然の中で1週間も人道的な車中泊が楽しめるのは、このEVならではの特徴であろう。しかも走行距離に影響がない独立の電源なので、ユニットの電力が底をついても自走での帰還が可能だ。 日本に置き換えて考えれば、軽トラックに後付けの架装を施したキャンパーと同じジャンルに分類できる。ピックアップ・トラックは、アメリカの軽トラックと言える身近な存在だ。しかし国土面積や使用環境が違うと、こうも作り込みが変わるのか。趣味のキャンパーというよりも狩猟に使用するような“サバイバル仕様”である。キャンパーは、その国の大地が育てるのかもしれない。 日本にも豪華絢爛な富裕層向けのキャンパーは輸入・販売されているが、「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」には、それらとは一線を画すワイルドさがある。こんなキャンパーを相棒に、ぜひアメリカにて冒険をしてみたいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、SUVの新型EV「EQE SUV」の予約を日本で開始……高性能版「AMG EQE 53 4MATIC+ SUV ローンチエディション」は10月下旬以降 ★★フォルクスワーゲン、セダンの新型EV「ID.7」の注文が本国で可能に……航続距離621kmのグレード「プロ」から受注開始 ★★メルセデス・ベンツ、新型「Vクラス」のキャンパー「マルコポーロ」を発表……EVの「EQV」にも「マルコポーロ」の追加を匂わせる ★ポールスター、モービルアイと自動運転開発で協力……世界1億5,000万台以上がモービルアイの運転支援技術を採用 ★ボルボ、小型SUVの新型EV「EX30」をカナダで発売…… RWDモデルとデュアルモーターAWDモデルを導入 ★ポルシェ、Xboxとパートナーシップを締結……レースゲーム「フォルツァ・ホライズン」にて、75周年記念カラーの「タイカン4S」のダウンロードが可能に ★BMW、ドイツ・ライプツィヒ工場に高電圧バッテリーに対応した倉庫を新設……2024年半ばに完成予定 ★全企業のEV事業参入は1割……帝国データバンクが調査を公開、「EV普及によるプラスの影響」を有りと答えたのが全体の11.1%で「マイナスの影響」は13.6% ★BYDジャパン、1ヶ月間の試乗施策「eモビリティパートナープログラム」の車両受け取りエリアを拡大……横浜・名古屋・大阪・福岡に拡大、9月29日(金)まで募集中 ★エネチェンジとテラモーターズ、神奈川県小田原市の観光集客に協力……「小田原EV宿場町コンソーシアム」に参画、市内のEV用充電器の設置を推進しEVユーザーの集客を狙う ★テラモーターズ、青森県五戸町と連携協定……町役場や五戸総合病院など公共施設7ヵ所にEV用充電器を先行導入 ★ブレイズ、「中古車販売特別キャンペーン」を実施…… 10万円分のクーポンを用意、10月31日(火)まで ★埼玉県、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル実証を開始……家庭用のバッテリーのレアメタルの含有量や回収コストなどを検証 デイリーEVヘッドライン[2023.08.28]

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HWエレクトロとメディロム・マザーラボが協業(photo=HWエレクトロ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
運転者の体調急変時に自動運転……HWエレクトロとメディロムが緊急停車システムを共同開発[2023.08.25]

マザーラボのウェアラブル端末でドライバーの体調を常時モニタリング 運行管理側もバイタルデータをリアルタイムに把握可能 【THE 視点】HW エレクトロは8月17日、メディロム・マザーラボ(ヘルステック事業のメディロムの子会社)と事業提携を発表した。ドライバーの体調急変時の緊急自動運転(半自動運転)システムの共同開発を行なう。 HWエレクトロの独自のコネクテッドサービス「HWエレクトロ・プラットフォーム・サービス」と、マザーラボが開発する充電不要のスマートトラッカー「マザー・ブレスレット」が取得するバイタルデータを連携させることで、運転者のバイタルデータに異変を検知した際に自動運転に切り替え、周囲の車両にアラートを発信しながら路肩に自動停車するシステムを目指す。 運転者のバイタルデータを自動で取得する「マザー・ゲートウェイ」を「エレモ」シリーズに搭載し、運転者の走行中のバイタルデータが可視化できる状態も同時に構築する。バイタルデータを「HWエレクトロ・プラット・フォーム」上で表示することで、事業者・運行管理側もリアルタイムで運転者の健康状態を確認できるようになる。 昨今、ドライバーの高齢化に加えて人員不足による業務過多によって引き起こされる睡眠不足・健康上の理由による事故が問題視されており、データを元にした半自動運転のシステム共同開発の実施を通じ、交通事故抑制等の社会問題解決にも貢献していくという。 HWエレクトロのモデルは完全EVなので、電気回路を元にする自動運転システムとの相性は良い。車両に大きな改造を施さずに済むので、緊急自動運転システムの搭載も、内燃エンジン車に比べて容易にできるものと推測する。 Apple Watchなどもそうだが、時計を兼ねた小型デバイスの進化はものすごく、装着するだけで活動量の計測が自動で行われる。心電図の計測も可能になり、波形の異常を感知した際には自動で通報もしてくれる。 ユーザー側からすれば、普段の時計を装着していることと変わらないので、特殊な機器を体につけているとは感じない。マザーラボのデバイスも同様ではないだろうか。今回の発表・開発はCASE時代だからこそ可能なものだろう。 今回の取り組みは、ぜひ他の電動モビリティメーカーも見習ってほしい。例えばバスである。 現在、バスにはドライバーの体調変化が起きた緊急時に、「車両がドライバーに警告を発し、それでもドライバーに反応がなければ自動停車する機能」と、「乗客が異常を感じた際に操作する緊急停止ボタン」が装備されている。しかし、いずれも人間の操作を待つものなので、切羽詰まった緊急時の対応は遅くなる。ハンドル支援機能もないため、ガードレールなどへの接触も避けられないだろう。 しかしこのシステムであれば、二次的な接触事故も減らせるのではないだろうか。大勢の命を預かる車両にこそ、このシステムは欲しいものだ。 ともあれ、既存のプレイヤー同士がそれぞれの強みを生かして安心安全な技術が生まれるのは大変良い取り組みである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、EVの小型SUV「EX30」を日本にて発表……300台限定のサブスクリプション車を導入[詳細はこちら<click>] ★★ボルボ、EVの新型MPV「EM90」を11月12日ワールドプレミア……第1弾のティザーを公開、7人乗りのミニバンか ★★ステランティス、アメリカ全土のディーラーにEV用充電器を設置……電装企業のAGIと契約、2,600ヵ所以上に導入 ★ジャガー・ランドローバー、イングランドのウェスト・ミドランズにて300人を新規雇用……EVのテストとメンテナンスのためのエンジニアを確保 ★ジャガー・ランドローバー、EVのバッテリーを活用した蓄電システムを開発……「I-ペイス」のバッテリーを活用、太陽光発電と風力発電に活用 ★空飛ぶクルマのASKA、空陸両用EV「A5」の実機を「モントレー・カー・ウィーク」に出展……公道を実装するデモも実施[詳細はこちら<click>] ★モーションとプラゴ、EV導入・運用プランニングサービスを開始……複数のEVを運用する地自体・事業者向けに ★ハウスプロデュース、事業者向けソーラーカーポートの設置相談受付を開始……EV用充電器との接続も可能 ★折りたたみ型EVバイクのシェアロ、宮崎市の大型リゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」にレンタルステーションを設置……宿泊施設内に2ヵ所、計26台を導入 ★ドイツの電動モーター企業ディープドライブ、「ダブルローター・ラジアルフロー・セントラルモーター」を開発……軸を本体中央に通し直接駆動する小型・パワフルなユニット ★川崎市、電気の地産地消・余剰電力の活用を目指した企業「川崎未来エナジー株式会社」を設立……東急/東急パワーサプライ/NTTアノードエナジー/川崎信用金庫/セレサ川崎農業協同組合/きらぼし銀行/横浜銀行と共同設立、川崎市が51%の出資 ▶︎リコール◀︎「BYDアット3」、事故自動緊急通報装置に不具合……装置起動時に車両データが送信されない デイリーEVヘッドライン[2023.08.25]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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