コラム 記事一覧

コラム コラム
TEXT:小川 フミオ
200kmごとに水素ステーションが整備される欧州でBMWが燃料電池に取り組む理由

ジャパンモビリティショーのBMWブースにはFCEV(燃料電池車)の「iX5ハイドロジェン」が展示されている。JMS開幕前日に燃料電池車の開発を進めるBMWとトヨタ関係者によるシンポジウムが開かれていた。この催しに参加した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 再エネでグリーン水素製造が理想的 BMWジャパン(正式にはビー・エム・ダブリュー株式会社)は、水素を燃料とするFCEVの実証実験を、2023年7月25日から開始している。 その車両「iX5ハイドロジェン」を、私も、2022年にアントワープでの国際試乗会でドライブしたことがある。 なんでアントワープだったかというと、巨大な港湾都市であり、船舶や大型貨物車の次世代燃料として、水素が有力視されていて、水素ステーションも増えているため相性がいい、と説明された。 水素を解析して、イオンを取り出し、それを電気エネルギーとしてバッテリーに充電してモーターを駆動する。つまり、水素を燃料とした電気自動車である燃料電池車のiX5ハイドロジェン。 アントワープを走り回ったところ、好印象。トルクがたっぷりあって、加速はスムーズ。燃料としての水素と、窒素化合物の排出ゼロの燃料電池車の可能性を実感させてくれるものだった。 そんななか、「ジャパンモビリティショー2023」開催とタイミングを合わせて、BMW本社で、水素技術におけるジェネラルプログラムマネージャーを務めるドクター・ユルゲン・グルドナー(Dr. Juergen Guldner)が来日した。 ショー開催前の10月24日には、ジャーナリストを招いて「燃料電池車をテーマとしたシンポジウム」が、BMWジャパン主催で開催され、2011年より基礎研究を共同で行っているトヨタ自動車の担当者らも出席。 モデレーターを務めたジャーナリストの清水和夫氏が「風力などで発電した電気の貯蔵は喫緊の課題で、電気から水素を作り(グリーン水素などと呼ばれる)エネルギーとして使うのがひとつの理想型」とするなど、可能性が示唆されたのも印象的だった。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
TEXT:烏山 大輔
「トヨタさんF1やりましょうよ」26年に半分EVになるF1にトヨタが参戦すべき10の理由

トヨタは過去にF1で戦っていたが、関係者は頑なにF1に再参戦はしないと言い続けてきた。 そんな中、F1は2026年からエンジンとモーターの出力比が同等に近くなり、よりEV的要素の強いマシンになることが決まった。このことを受けてか、トヨタ系ドライバーである平川 亮選手が来年マクラーレンF1チームのリザーブドライバーを務めることが発表された。 これらの経緯も含め、筆者は今こそ、トヨタがF1参戦を決断するべきタイミングなのではないかと考える。 理由1:小林 可夢偉選手、中嶋 一貴氏 冒頭から荒々しい表現だが、トヨタにはF1参戦に必要な「ヒト、モノ、カネ」が揃っていると思う。 ヒトについては小林 可夢偉選手と中嶋 一貴氏だ。 ご存知のように二人ともF1そのもので戦ってきたレーシングドライバーだ。小林 可夢偉選手はWEC(FIA世界耐久選手権)とスーパーフォーミュラにも参戦中で、中嶋 一貴氏も2021年までWECとスーパーフォーミュラで戦っていた。   そして小林選手は2022年よりWECのチーム代表も兼務、中嶋氏はTGR-E(TOYOTA GAZOO Racing Europe GmbH)の副会長と、ともにTOYOTA GAZOO Racingの重要なポジションも務めている。 “F1を経験し、トップレベルで走れるヒト”が二人もいる。これほど人事に恵まれたチームがほかにあるだろうか。 理由2:TMG モノについては、トヨタF1チームで参戦していた時の「TMG(TOYOTA Motorsport GmbH)」がドイツにある。現在の名称はTGR-Eだ。 F1に参戦するチームはヨーロッパ(主にイギリスとイタリア)に拠点を設けている。 トヨタがF1に参戦する場合は、設備の更新が必要な部分もあるかもしれないが、ゼロから立ち上げるよりはましだろう。 日本の東富士研究所とともに、WEC参戦を通じて磨き上げてきた世界トップレベルの開発力やノウハウの蓄積も活かせるはずだ。 理由3:カネ カネ(資金力)については、トヨタは2022年までの3年間、世界で販売台数世界1位のメーカーだ。2023年の上半期も2位のフォルクスワーゲングループに100万台の圧倒的な差をつけているので、4年連続1位も射程圏内である。 しかも、2023年4-6月期の営業利益は、「トヨタとして過去最高」どころのレベルではなく、「日本企業として初めて」四半期の営業利益が1兆円を超えた(1兆1,209億円)。2024年3月期の通期見通しは3兆円だ。 2021年から、F1は各チームの年間予算額の上限を設けるレギュレーションを導入し、その額は1億4,550万ドル(約215億円)だ。 トヨタは2009年にリーマンショックによる赤字を計上したこともあり、F1から撤退した。しかしながら現時点の業績は絶好調で、年間利益の1%にも満たないF1の年間予算は高くないと思うのだが、素人考えだろうか。 もちろん参戦に当たっては他にも様々なお金が必要になるだろうが、繰り返すがトヨタは現在世界1位のメーカーだ。これほど余裕を持って参戦できるメーカーは限られるだろう。 理由4:参戦していた歴史がある 新規でF1に参戦するのとは違い、過去に参戦していた歴史(2002年から2009年の8年間)があるので、その時のノウハウも活かせる。 例えば2009年(17戦)と2024年のF1開催スケジュール(24戦)を比較すると、13戦が同じサーキットだ。さらに2024年のWECも8戦中6戦が2024年のF1開催サーキットと同じだ。 過去データのアップデートやWECデータの変換も必要だが、20数戦を一切のデータなしで戦うよりはましだ。 理由5:26年からのF1マシンは半分EVなので市販車にも技術応用は可能 26年からはエンジンとモーターの出力比が2:8から5:5に変更され、よりハイブリッド車やEVに近い特性のレースカーになる。 バッテリー(エナジーストア)への回生エネルギーへの入力も、26年からは2MJから9MJに増えるため、高性能なバッテリーも必要になる。WECで使用している8MJのハイパワー型リチウムイオンバッテリーの知見を大いに活かせる。 理由6:26年はタイミングがいい 26年はトヨタが一連の新電池技術を市場に投入し始めるタイミングとも合う(バイポーラ型LFPは26年、全固体電池は27年の実用化目標)。 さらに出遅れを指摘されるEVのラインナップを拡充するタイミングとも合う。佐藤社長は、26年にEV10車種を新たに投入し年間150万台を世界で販売するという目標を発表したし、中嶋副社長も「電池を効率よく使って、航続距離を2倍にし、心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えた次世代バッテリーEV」を26年に投入すると発表している。 F1での活動は、そのプロモーション効果として絶大だ。 EVで存在感を示したいアメリカや中国でF1が開催されることもプラスだ。2024年のF1開催スケジュールでは、北米4戦(アメリカ3戦、カナダ1戦)、中国1戦となっている。

TAG: #F1 #トヨタ #モータースポーツ
TEXT:桃田 健史
東大が実施中の国内初公道実証が国際規格化へ弾み。東大オープンキャンパスで技術詳細を聞く

夢のEV充電(給電)方法とも言われる、走行中充電(給電)。国内初の公道走行実験が行われている千葉県柏市で東京大学関係者らに実験に関する詳しい内容と、今後の見通しなどについて聞いた。 4年ぶりのオープンキャンパスで各種機器公開 東京大学が走行中充電(給電)の公道実験に乗り出した。 そんなニュースが2023年10月上旬に明らかになった。 それから数週間後の10月下旬、東京大学柏キャンパスではコロナ禍を経て4年ぶりにオープンキャンパスと呼ばれる一般公開で、各種研究所の成果を広い世代に向けて紹介するイベントが開催された。 そうした中、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の藤本・清水研究室を中心とした走行中充電(給電)のデモンストレーションが柏キャンパスで実施された。 これに合わせて、走行中充電(給電)に係わる各種車両の機器も公開され、同研究室関係者らが来場者に詳しく説明をした。 受電・送電のコイル出力は最大25kW まず、走行中充電(給電)の仕組みについて、紹介パネルには「スマホ『置くだけ充電』と同じ原理」であるワイアレス給電、と表現されていた。科学的な名称としては電磁誘導である。地中に埋めた送電コイルから、車体下部の受電コイルに対して給電する。 今回の公道実験は、国土交通省が公募した社会実験の中で「電気自動車への走行中給電による低炭素道路交通システムの実現のための実証実験」である。 送電コイルを埋設した場所は、柏キャンパスからクルマで10分ほどの距離にある、つくばエクスプレス・柏の葉キャンパス駅近隣の商業施設「ららぽーと」前のT字路。交差点の30mほど手前だ。 送信コイルはケースの中に入れてあり、地表から約3㎝ほどの位置に設置。周辺をコンクリートで覆っている。 一般的なアスファルト舗装ではコンクリートより柔らかいため、通過交通が増えると道路表面が変形する可能性がある。 実際の作業としては、道路に長方形の大きな穴をあけて、そこに送信コイルを埋設したコンクリートの塊を重機ではめ込む。 現在、公道走行用の車両はトヨタ「ハイエース」と「RAV4 PHEV」の2台。その他、キャンパス内で走行する実験車両の合計3台が走行中充電(給電)対応となっている。 コイルの出力は1つ25kW。これを左右後輪の内側に近いサスペンションアームに取り付けてある。この位置だと、サスペンションが可動しても地上高の変化が少なく、受電・送電が安定的に行うことができる。 今回のデモンストレーションでは、出力を1.5kWに落として行った。 タイヤの内側に受電コイル装着の試験も 今回の展示では、ブリヂストン等と共同研究を進めている、タイヤ・ホイールの内側に受電コイルを設定するシステムの実機も公開された。 このシステムでは、地表との距離が短いため受電・送電の効率が安定することが考えられる。 こうした様々な方法で走行中充電(給電)について、民間企業各社や道路管理者などが共同で実用化を目指すとした。 走行中充電(給電)で重要な点は、受電・送電の出力と通過速度とのバランスだ。 通過速度が低ければ、充電(給電)する時間が長くなる。 そのため、今回の柏市内での実証実験のように、信号で止まったり、またはT字路でゆっくり走行するとったシチュエーションでの充電(給電)の効率を検証している。 実用化の可能性としては、走行ルートが決まっている路線バスが有力な候補として考えられる。 また、高速道路での可能性は、登坂車線のような充電(給電)専用で速度を落として走行する専用レーンを設ける、といったアイディアもあるだろう。 走行中充電(給電)については現在、日本のほか、スウェーデンがドイツなど欧州各国と連携する動きがある。 そうした中、国内的な技術としての規格化(標準化)に向けた動きも出てきているようだ。柏市での実証実験が、そうした国際連携の中で果たす役割は大きい。

TAG: #充電インフラ #東京大学 #走行中給電
TEXT:小川フミオ
「電座D9」の実力を知るべくBYD本社へ。日本未導入モデルをいち早く試す!

ジャパンモビリティショーで話題となった「電座D9」。ショーを直前にした時期に、小川フミオは中国BYD本社で、このラグジュアリーミニバンを体感してきた。 電座Denzaの豪華ミニバン「D9」シリーズは、アルファード/ヴェルファイアとの近似性が指摘される。パッケージングはミニバンとして似通ってしまうのは仕方ないだろう。 ディメンション(ボディサイズ)は、ただし、D9のほうが大きく、ピュアEVが設定されている点では、さきを行く。 私が、2023年10月に運転したのは、プラグインハイブリッドの「D9 DM-i」と、ピュアEVの「D9 EV」。 外国人が公道で運転するのは原則的に許可されていないため、自分でハンドルを握ったのは、深圳にあるBYD本社の敷地内だった。 敷地内といっても、社員移動用に、スカイレールという高架鉄道が敷設されているほど広大。本社とさまざまな関連施設と、それに工場があるのだから、ひとつの小さな街ぐらいにはなる。 BYD本社の敷地内で試すハンドリングと後席の居心地 まずドライブしたのは、D9 DM-iだ。1.5リッターのエンジンに、外部充電式のハイブリッドシステムが組み合わせてある。 最大トルクが681Nm(AWD)というだけあって、踏み始めからたいへんスムーズな加速で、加速していってもボディはいやな振動もなく、ハンドリングはすなおで、遊びも少なく、扱いやすいという印象が強かった。 プレミアムクラスのミニバンは、後席の快適性とともに、ドライバーには、それなりのファン・トゥ・ドライブ性が必要となる。そこもちゃんとクリアしていると感じられた。 満充電なら190kmは電気走行なので、エンジンが回ったときの印象は(残念ながら)わからなかった。エンジンは、ゴルフとか家族旅行とかで遠出する機会の多いひとなら、あったほうがよさそうだ。そういうひとには、このモデルがいいのだろう。 いっぽう、D9 EVは、こちらもよく出来ている。上記のとおり、DM-iでエンジンが回ったまま走行すると、どんなフィールなのかわからなかったので、ちゃんと比較できないのだが(すみません)。 速度が上がっても、静粛。ウインドウまわりからの音も、路面からの音もほとんど気にならない。バッテリーによって重心高が下がっているのも、ハンドリングのよさに寄与しているのだろう。運転が好きなひとも好感もてそうだと思った。 EVモデルでは、後席で移動する機会もあった。シートクッションはふかふかっとしているが、いわゆる腰があって、2~3時間ていどの乗車では、からだに負担がかかることもなく、快適。 バックレストを、いわゆるプレミアムエノコミークラスのシート程度にリクラインさせて乗れるし、レッグレストもでてくる。が、私はじつはあれが落ち着かない。ちょこんとまっすぐな姿勢で乗っているのが好きである。 でも、休んで移動したいというひとなら、これはアリだと思う。 「電座」の日本導入は未定 ジャパンモビリティショーでは、トヨタ車体が、レクサスLMやクラウンSUVなみに2列めシートがほぼフルフラットになる「ヴェルファイア・スペーシャスラウンジ(コンセプト)」を出展した。 すぐにでも注文を受けられる状態と聞いたので、この点は、トヨタ系が先に行っていると言えるかもしれない。 ただし、「電座ブランドの日本販売はいまのところ未定」(BYDオートジャパンのマーケティング責任者)とのことで、ピュアEVのミニバンという、少なくとも東京など都市内では活躍してくれそうなD9 EVは、いまはおあずけ。よく出来てるクルマだったので、ちょっと残念だ。 <了>

TAG: #BYD #Denza #電座
TEXT:小川フミオ
BYDとメルセデス・ベンツの合弁で生まれた「電座D9」の実力は?

EV仕様はフル充電で走行距離619km、内装も贅沢で、室内移動も楽々な電座D9だが、「何かが……」と小川フミオは思うのだった。 やはり2列めのシートが特別席 BYDとメルセデス・ベンツの合弁会社、騰勢汽車(Tengshi Auto)。ブランドは電座(Denza)だ。その代表的モデルであり、ジャパンモビリティショーでも展示されて話題を呼んだ「電座D9」とは、どんなクルマだろう。 私が、2023年10月に、深圳と珠海で運転できたD9は、プラグインハイブリッドの「D9 DM-i」と、ピュアEVの「D9 EV」。ひとことで言うと、快適そのものだった。 2023年10月26日から開催された「ジャパンモビリティショー」でD9 EVの実車を見たかたはご承知のように、2列め乗員に焦点を当てたような、ぜいたくな仕様が用意されているのも特徴だ。 2列目シートの操作は、スマホのようなコントローラーで行う。このあたりも、アルファード/ヴェルファイアとの近似性が指摘されるゆえんだろう。 スマートフォン型コントロールパネルでは、シートのポジションなどの調節が可能で、レッグレストが大きく持ち上がって脚を休められるし、10点マッサージの機能もここから使える。 フロントシートの背後には、2列め乗員のためにインフォテイメント用モニタースクリーンがそなわる仕様もあるけれど(ジャパンモビリティショーに展示された車両)、私が乗った車両にはそなわっていなかった。 後席への乗降のために、電動開閉式のスライドドアをそなえる。開口部は大きく、移動が容易なのも、国際的水準を軽くクリアしている。 さらに3列めへの移動は、2列めの独立型キャプテンシートのあいだをすり抜けていけばよい。これも無理なく移動が出来る。 内装は宜しいものだが、デザインの独自性は…… シャシーは、汎用性の高いBYDの「eプラットフォーム3.0」。じっさいは、ホイールベースは3110ミリに拡張されていて、EVでは103.36kWhのリチウムイオン・ブレードバッテリーと比較的大容量のバッテリーを床下に積む。 満充電での走行距離は519kmから619kmとされている。プラグインハイブリッドの満タンでの走行可能距離は945kmから1040kmと驚異的。最大190kmまでモーター走行が出来るという。 BYDの用意するスペックスには、つねにこのように幅がもたされている。仕様によって、若干の差が出るからだ。 ドライブトレインは、プラグインハイブリッドには、1.5リッターエンジンを使っての前輪駆動と全輪駆動とが用意されていて、EVはツインモーターの全輪駆動となる。 内装は、素材の選びかたといい、色づかいといい、洗練されている。悪くいえば、個性にとぼしいのだけれど、中国のメーカーが、デザインの独自性を取り戻すのは、もう少し先の話になるかもしれない。 個人的には、1950年代から80年代あたりまでの「紅旗 Hongqi」の「CA」シリーズのようなベロアの椅子みたいなシートを含めた内装、いまウケると思うだけれど。 いずれにしても、D9シリーズは、国際市場でもじゅうぶんな戦闘力をそなえたモデルだと思う。 <Vol.3へ続く>

TAG: #BYD #Denza #電座
TEXT:小川フミオ
「電座D9」は、アルファードとヴェルファイアの牙城を崩せるのか?

BYDの「電座D9」は、トヨタ・アルファードを、そうとう意識しているようだ。ラグジュアリーミニバン市場に、中国から打って出たモデルの実力を、小川フミオが探っていく。 BYDのラグジュアリー系ブランド「Denza」 BYDが「電座D9」を日本で公開した。全長5.25メートルの電動ミニバンで、アルファード/ヴェルファイアに匹敵する豪華な装備も特徴だ。 2023年10月26日にはじまったジャパンモビリティショーでBYDのブースに置かれ、注目を集めている。とくに、私が目撃したかぎりだが、日本メーカーのひとたちが、細部に至るまで熱心にチェックしていた。 なにしろ、2022年夏に本国で発売され、以来、毎月コンスタントに1万台を販売しているという人気ぶり。豪華ミニバンは、どこの国でも需要が多いのだろう。 私はひと足先に深圳で試乗する機会があった。乗ったのは、プラグインハイブリッドと、BEV(バッテリー駆動のピュアEV)の2車種。よく走るし、作りもよい。こりゃ、売れるわけだと思わせる内容なのだ。 「Denza」(欧文表記)は、ラグジュアリー系の電動車を専門とするブランドとして、BYDとメルセデス・ベンツとのジョイントベンチャーで始まった。 D9は、アルファードより110ミリ長い3,110ミリのホイールベースに、255ミリ長い5,250ミリの車体を載せる。3列シートの6人乗りで、かつ2列めシートは大きなリクライニング機構を持つ仕様など、日本の競合を強く意識したような内容だ。 グリルの意匠が、BEVのD9  EVと、PHEVのDM-iとでは差異化がはかられている。ショーで展示されたのは前者だ。 BEVは流れるような縦バーが強調されているいっぽう、PHEVはブロックパターン。日本にいると、縦橫比率が似通ったミニバンスタイルだし、後席用はスライドドアだしで、アルファード/ヴェルファイアとの近似性を指摘してしたくなるけれど、ボディ面は歪みもなく、ぱんと張ったような緊張感があり、質感の高い仕上がりだ。 電座は、ボンネットの長さが強調されたデザインで、プロファイル(サイドビュー)を見たときに、ボンネットだけ足したような独特のスタイルと感じられる。トヨタのほうが、マッス(かたまり)感が強い。違いはあるのだ。 アルファードとヴェルファイアを意識して 2010年に先述の2社で覚え書が交わされたジョイントベンチャーだけに、次期Vクラス、とりわけ中国市場向けは、電座で作られるのかと思ったけれど(個人的に)、じっさいは、メルセデス・ベンツは徐々に持ち株比率を下げて、いまでは10パーセントしか所有していないそうだ。 いっぽう、2022年に本国で発表されたD9を見ると、フロントグリルをはじめ、曲面を多用した細部の処理と、クロームによる装飾は、中国市場でも人気というアルファード/ヴェルファイアが競合とみてもおかしくない。 独自性は、デジタライゼーションにある(トヨタもかなりがんばっているけれど)。運転席前には10.25インチ、ダッシュボード中央には15.6インチの巨大なスクリーンがそなわる。 アルファードでトヨタが先鞭をつけたラグジュアリーミニバン。その系譜は、こうして中国にも種がまかれ、成長しているのである。   DENZA D9 600 4W フラッグシップモデル(中国仕様値) 全長:5,250mm 全幅:1,960mm 全高:1,920mm ホイールベース:3,110mm 乗車定員:7名 一充電走行距離:600km(CLTC) フロントモーター最高出力:230kW(313ps) フロントモーター最大トルク:360Nm(36.7kgm) リアモーター最高出力:45kW(61ps) リアモーター最大トルク:110Nm(11.2kgm) モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD(全輪駆動) フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:マルチリンク 最小回転半径:5.95m 荷室容量:410-570L、最大2310L <Vol.2へ続く>

TAG: #BYD #Denza #電座
TEXT:御堀 直嗣
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

TAG: #i-MiEV #リーフ #三菱 #日産
リマック・ネヴェーラ(photo=リマック・オートモビリ)
TEXT:福田 雅敏
3億円でも庶民派……スーパーカーの新たな価値を提示するEV「リマック・ネヴェーラ」

日本初上陸した個体は「アドリア海の真珠」そのもの スーパーカーや高級中古車の販売を手がけるビンゴは、クロアチアのハイパーEVメーカー「リマック・オートモビリ」の日本代理店を務めることとなった。それに伴い、同社の市販モデル「ネヴェーラ」が日本に上陸した。その発表会に赴いたのだが、実車を前にした感想をレポートしたい。 既に「デイリーEVヘッドライン」で何度も伝えている「ネヴェーラ」だが、日本に上陸した個体は、東欧クロアチアの美しさそのものをEVで表現していた。「アドリアブルー」と言える瑠璃色のボディカラーに、レンガ色をしたインテリアカラーは、リマックの故郷であるクロアチアの“アドリア海の真珠”と称される都市「ドゥブロヴニク」のイメージである。 上陸した個体はアドリアブルーだが、ボディカラー/インテリアカラー/ホイール/ブレーキ等のカラーは、オーナーの好みに合わせ自由に選ぶことができる。海外では2022年夏より既に納車も始まっているが、150台の限定販売となる。価格は2ミリオン・ユーロ(税別約3億2000万円)と破格である。 ニュル7分05秒298の理由はパワーだけではない 性能も破格で、およそ2,000psというとてつもない高性能パワートレインが搭載され、120kWhのバッテリーで490km(WLTP)の航続距離を持つ。その高性能ぶりの一部を紹介すると、0-100km/hは1.81秒、最高速度は410km/hに到達する。外観で目を引く専用の20インチホイールには、ミシュランの「パイロットスポーツ4S」を履いている。フロントは275/30R20、リアは315/35R20のサイズとなる。 0-100km/hもそうだが、ドイツ・ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでは、量産EVの最速の7分05秒298というタイムを樹立。その秘訣はもちろん2,000psのパワーであることは間違い無いのだが、4つのホイールをそれぞれ独立制御できる「リーマック・オールホイールトルクベクタリング」と「アクティブエアロダイナミクス」と言われる空力性能に優れたボディデザインもあってこそだろう。フロントボンネットとリアウイングは可変式となって走行状態に合わせて可動するようだ。 ちなみにボディはフルカーボンのモノコック構造。高い剛性と軽量化に寄与している。5年という開発期間の中には、45回のクラッシュテストも含まれており、安全性が徹底的に検証されている。

TAG: #EVスーパースポーツ #THE視点 #充電インフラ
TEXT:桃田 健史
出雲大社の周辺道路で、EV「グリスローモビリティ」の実証。フリー乗降区間もあり観光に最適

島根県の出雲市内で今、EVカートを使ったグリーンスローモビリティが走行している。自家用車やレンタカーで訪れた際の現地の足として、また観光バスや電車で来た場合の補助的な交通手段として、出雲大社周辺を巡るには最適な乗り物だと評判になっている。どんなルートを走るのか、現地で体験してみた。 グリーンスローモビリティとは? まち歩きがもっと楽しくなる!グリーンスローモビリティで出雲大社周辺巡り。 そんなキャッチコピーを掲げているのは、一般社団法人 出雲観光協会だ。 島根県の出雲市といえば、出雲大社の存在が大きい。 出雲大社の資料によれば、神の国、または神話の国として知られている、八雲立つ出雲の国。その中心にあり、大国主大神様をおまつりするのが、出雲大社である。 出雲大社へのアクセスは、自動車の場合は山陰自動車道から、また高速バスはJR出雲市駅から一畑バス。また、電車では、一畑電車大社線で出雲大社前駅へ。 自動車で来た場合、新楽殿や教務本庁(おくにがえり会館)に近い無料の大駐車場に駐車するか、または参道に向かう神門通りにある民間の有料駐車場を利用することになる。 一方で、一畑電車など公共交通を使って来た場合、出雲大社の周辺移動は、観光タクシー、空港連絡バス、そして路線バスなどと徒歩移動をうまく組み合わせる必要がある。 そこで、出雲観光協会では、出雲大社周辺に巡りやすいルートを設定し、そこにグリーンスローモビリティを走らせる実証実験を行うことになった。 車両は、ヤマハ製のゴルフカートを一部改良したもの。 グローンスローモビリティは、ゴルフ場などで活用されているカートを公道で走行させるもの。最高速度は時速19kmと、乗用車に比べるとスローであり、またEVであることで排気ガスがなく、走行音も静かであることから、明確な定義はないが、総称としてグリーンスローモビリティという。国土交通省も、この呼称を用いて地域交通のひとつの手段として様々な交通関連施策に盛り込んでいる。 フリー乗降区間も設定 今回の実証試験の運行コースは、大きく2つ。 ひとつは、大社行政センターから参道に向かう神門通りを抜け、途中に出雲大社駅、有料駐車場がある神門通り広場、参道前の勢溜に止まり、そこから海側への神迎の道を行く。 稲佐の浜で折り返して同じルートで大社行政センターまで戻る。 もうひとつは、参道の東側にある古代出雲歴史博物館と稲佐の浜を往復するルートだ。 いずれも、朝から夕方まで1時間の間隔で走行。参道の入口からだと、2つのルートが重なるため、稲佐の浜までは30分間隔で運行することになる。 また、興味深いのは、神迎の道など、ルートの一部をフリー乗降区間としており、利用者の希望した場所でグリーンスローモビリティを乗降りできる点だ。 料金は1乗車あたり400円。 運行日は9月15日から11月13日の、金・土・日・月のみ。10月9日と29日は運休。 出雲市では、今回の実証試験の成果を検証して、今後の対応を検討していくことになるだろう。

TAG: #EV #国内ビジネス #電気自動車
TEXT:桃田 健史
ホンダ、松江市の「堀川めぐり」で小型EV船舶、2023年8月からの実証実験で着実な成果

ホンダが島根県松江市の遊覧観光船「堀川遊覧船(堀川めぐり)」を使ってEV化の実証実験を行っている、小型船舶用の電動推進機プロトタイプについて運営事業者や利用者などから好評である。なぜ、ホンダは小型船舶のEV化を進めているのか? 有名観光スポットを次世代化 山陰を巡る中で、定番の観光スポットとして松江市の「堀川遊覧船(堀川めぐり)」が挙げられる。 松江市は、日本海、宍道湖、中海に囲われた地形が特徴だ。 そうした中に、国宝の松江城があり、また自然豊かな松江を感じる自然区、市街地、そして歴史的な建造物がある歴史区などのエリアが隣接している。 さらに、その周囲には四十間掘川、京橋川、米子川、北田川、城山内堀川などが流れているという、特徴的な街の風景がある。 このような、街中の川を小舟に乗って遊覧するのが「堀川めぐり」だ。運営するのは、公益財団法人 松江市観光振興公社。 営業時間は、3月1日から10月10日までは午前9時から午後5時まで、また10月11日から2月末までは午前9時から午後4時までと、春夏秋冬の松江の街の雰囲気を楽しめる。 船の定員は10人から12人で、料金は大人1600円。遊覧時間は約50分である。 乗船中は、船頭さんの名調子で、松江の歴史や観光スポットについての話を聞く。 カーボンニュートラルに対する考え方が一致 今回の実証実験は、ホンダと松江市のカーボンニュートラルに対する考え方が一致したことで実施している。 ホンダは、四輪車については2040年までにグローバルで全ての新車販売モデルをEV化、またはFCEV(燃料電池車)化することを経営方針として打ち出している。 さらにその先、2050年にはホンダが手がける四輪車事業以外の、二輪車と船舶(船外機等)を含めた全ての事業でカーボンニュートラルを目指すとしている。 一方で、松江市の場合、脱炭素先行地域としてカーボンニュートラル観光という指針を掲げて、地方創生に取り組んでいるところだ。 そうした中で、松江市の主要な観光アイテムである「堀川めぐり」を、ホンダの先端技術によってカーボンニュートラル化する試みを始めたというわけだ。 搭載する動力系機器は、ホンダが、出力4kWの電動パワーユニットと、着脱式可搬リチウムイオン電池の「モバイル・パワー・パック(MPP)」を、またギアケースとロワーユニットなどのフレーム領域をトーハツが開発を担当した。 静粛性高く、ノントラブル これまでの実証実験について、ホンダの小型電動推進機機の開発責任者である高橋能大氏は「電動化の価値の検討としては、かなりの手応えを感じている」とポジティブな感想を持っている。 8月の実証開始から、関係者の試乗会を中心に100人以上が乗船しているが「不快な振動が全くない」「水面を滑るように進む」といった、振動や音に関する高い評価の声が多いという。 実証期間中、機器の不具合はなく、引き続き長期的な観点での各部の劣化などの評価をしていく予定だという。 今後については、バッテリーの交換作業を含めて、運営サイドの運航の効率化の検討を進める。 10月下旬からは、松江市民を対象としたモニター運航も実施される。 近い将来、「堀川めぐり」の船が全てEV化する日が来るかもしれない。

TAG: #EV船舶 #MPP #ホンダ
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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