コラム
share:

発売後72時間で約5000台が売れた! ドイツのプレミアムEVセダンキラー「ファーウェイSTELATO S9」の恐るべき競争力


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

「Stelato S9」の航続距離は最長816km

ファーウェイが高級セダンEVであるStelato S9を正式に発売しました。航続距離800kmオーバーなどというEV性能だけでなく、メルセデスSクラスを倒すために徹底的にベンチマークを行って、内外装の質感や装備内容をフル装備。日本メーカーとともに中国市場で大きな危機に陥っているドイツ勢の現状とともに解説します。

現在、ファーウェイはEV関連のパワートレインやコックピットまわりのハードを自動車メーカーに提供するティア1サプライヤーのようなビジネスモデルとともに、「Huawei Inside」と名付けられた、パーツだけではなく、とくにインフォテインメントやADASまわりのソフトウェアソリューションを、ハードとともに一括で提案。スマートEVにまつわるテクノロジーをファーウェイがすべて手がけるというビジネスモデルを展開しています。

Avatr 12

※Huawei Insideを活用したAvatr 12

そして、そのHuawei Insideから一歩進んで、車両販売における商品戦略、マーケティング、そしてファーウェイストアにおける展示や販売に至るまで、スマートEV事業を包括的に担当するというビジネスモデルも展開。

これは、ハーモニー・インテリジェント・モビリティ・アライアンス、通称「HIMA」と呼ばれています。すでにSeresと立ち上げたAITO、Cheryと立ち上げたLuxeed、BAICと立ち上げたStelatoおよび2025年早々に立ち上がる予定のJACとのMaextroと4つのブランドで構成されています。

ハーモニー・インテリジェント・モビリティ・アライアンスのイメージ

今回取り上げていきたい存在が、3つ目のHIMAの一角を構成するBAICとのStelatoです。とくに正式発売がスタートしたのが、S9と名付けられたフルサイズセダンです。

このS9は、現在高級車セグメントを支配している、ドイツ御三家のフラグシップセダンとなるBMW7シリーズ、アウディA8、そしてメルセデス・ベンツSクラスに対抗するために設計されたもの。この高級セグメントは、現在EVシフトがほとんど進んでいないセグメントであり、すでにi7、e-tron GT、およびEQSなど、高級EVセダンがラインアップされているものの、その販売台数は完全に低迷しています。

他方で、この高級セグメントのEVシフトにゲームチェンジャー的な衝撃を与えているのが、ファーウェイが2月から納車をスタートさせているAITO M9の存在です。発売をスタートしてから瞬く間に販売台数を伸ばして、現在は月間で1.5万台以上をコンスタントに販売中。この販売規模は、これまで中国高級車セグメントで王者のアウディA6Lすらも上まわるレベルです。

中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは

そして、今回投入されたStelato S9について、M9とは異なり、レンジエクステンダーEVは設定せずに、100kWhバッテリーを搭載するバッテリーEVのみを設定し、航続距離はCLTC基準で最長816kmを実現。この航続距離の長さは、競合となるメルセデス・ベンツEQSやBMW i7よりも長く、そればかりか、ガソリン車であるSクラスやマイバッハS480よりも長いレベルです。

Stelato S9

また、電費性能も132Wh/kmと、全長5160mm、全幅1987mm、ホイールベース3050mm、車両重量2.2トンオーバーで、大型セダンとしては驚異的な効率性を実現。これは800Vシステムを採用することだけではなく、空力性能を示すCd値が0.193であり、さらにはカメラミラーを採用するなど、空気抵抗を極限にまで低減させていることが効いています。

Stelato S9のCd値のイメージ

また、バッテリーEVにおいて極めて重要となる急速充電性能も、Cレートで最大3.2Cを実現するCATL製の800Vシステムバッテリーを採用しながら、ファーウェイは独自に600kW級の超急速充電ステーションの設置を中国全土で行っており、5分間の充電で航続距離200km分を回復可能と説明されています。

いずれにしても、EV性能という観点ではフラグシップとして申し分ない性能を実現しているように見えます。

Stelato S9の充電性能のイメージ

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
EVミニバンは誰が買うのか? VWが明かした意外な「ID.Buzz」の購入者像
フォルクスワーゲン「ID.Buzz」がついに日本上陸! 日本試乗で唯一となるBEVミニバンは888万9000円から
これがウワサのN-ONE EVなのか? ホンダの新たな小型EV「スーパーEVコンセプト」が7月のグッドウッド2025で走る
more
コラム
イーロンマスクの動きで不買運動まで起こったテスラ! EVが伸び悩むいまこの先の戦略はどうなる?
ヒョンデ・インスターは本当に脅威か? 日本にも安いEVはあるぞ!!
新型リーフの競争力はいかほど? 補助金も含めてライバルと徹底比較してみた
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択