加納 亨介 記事一覧

TEXT:加納 亨介
EV販売に進出するヤマダデンキ、アフターサービスはどうなっている?

7月4日からヤマダデンキがEV(電気自動車)の販売を始めた。車種は三菱自動車の軽乗用車「ekクロスEV」と軽商用車「ミニキャブ・ミーブ」で、法人向けリース販売の形態をとる。当初は神奈川県と埼玉県の5店舗のみだが、将来的に取扱店舗を拡大するとしている。 「ヤマダ車検」とは? 気になるのはアフターサービスだ。一般論としてEVはICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)ほどには手がかからないとされるが、EVとてクルマである。家電と異なり定期的な点検/車検は欠かせない。にもかかわらずヤマダデンキは、販売する三菱製EVについて三菱自動車のディーラー網を原則として頼らないという。 なぜなら「ヤマダ車検」の名で自前の自動車整備工場ネットワークを持っているからだ。「ヤマダ車検」は、ヤマダデンキと日本自動車車体補修協会(JARWA)が協力して構築した独立系自動車整備工場のネットワークで、全国に約300社を組織している。三菱自動車の国内販売子会社である東日本三菱自動車販売との連携はあるようだが、実際の点検整備作業自体はこの300社が行う。 JARWAは“車体補修協会”の名の通り、クルマの補修溶接や板金に関する最新の技術と知識を会員間で共有する一般社団法人で、整備工場約1800社のほか、国内自動車メーカー8社や溶接機メーカーも加入しており、行政公官庁との繋がりも深い一般社団法人だ。 そのJARWAには、さらに助っ人が存在する。協力するのは、ナルネットコミュニケーションズ。カーリース会社から車両のメインテナンスと管理を請け負う「メインテナンス受託管理」の大手だ。1978年の創立以来、全国のリース車両をくまなくメインテナンスするために整備工場ネットワークの構築を続け、現在は約1万1,500拠点を組織している。 ヤマダ車検(JARWA)の300社とナルネットコミュニケーションズの1万1,500拠点が、ヤマダデンキの販売したEVの面倒を見る構図だ。これら整備工場のすべてがEV整備のノウハウを持つとは限らないが、分母としては小さくない。 三菱自動車とヤマダデンキはこれまでもEV販売に関する協業実績があり、2010年にヤマダデンキの一部店舗でEV「アイ・ミーブ」の新車販売を開始していた。EVが今ほど一般的ではなかったせいかこの協業は3年ほどで中止となったが、当時と現在とでは市場環境が大きく違う。ekクロスEVの兄弟車である日産サクラが発売から1年ほどで約4万台を売り上げるなどEVは普及期に入ったとされ、ヤマダデンキは販売後の点検/車検などアフターサービスにも本腰を入れた再挑戦となる。 クルマ流通変革の契機となるか ヤマダデンキの傘下には、太陽光発電事業や住宅事業(旧エス・バイ・エル)、システムキッチンをはじめとする住宅機器事業(旧日立ハウステック)、家具事業(大塚家具)がある。そしてEVは「走る蓄電池」の一面を持つ。つまりヤマダデンキのEV販売進出は単なる新規事業ではなく、太陽光パネル付きオール電化住宅とEVという親和性の高い商品を同時に販売できる強みを持ったスタートといえ、旧来の自動車販売形態に変革を促す可能性がある。 ヤマダデンキが三菱自動車に加え他メーカーのEV販売に門戸を閉ざす理由は今のところ見当たらず、自前のメインテナンスネットワークを持たない新興EVメーカーが乗ってくる可能性もある。実際、JARWAにはアセンブルポイント、アパテックモーターズ、キーバスジャパン、HWエレクトロなどの国内新興勢がすでに加盟しており、ヤマダデンキと繋がりやすい環境にある。 全国におよそ1000店舗ほどもあるヤマダデンキのあの広い駐車場に、複数のEVメーカーの車両がズラッと展示される未来もそう遠くないのかもしれない。 [2023年7月4日からEVの取り扱いを開始したヤマダデンキ5店舗] テックランド横浜本店(神奈川県横浜市港南区下永谷5-2-1) テックランド横浜泉店(神奈川県横浜市泉区上飯田町 3937) 家電住まいる館 YAMADA 戸塚店(神奈川県横浜市戸塚区汲沢2- 1-7) テックランド大宮宮前本店(埼玉県さいたま市西区宮前町 257) Tecc LIFE SELECT 春日部本店(埼玉県春日部市小渕字前田 259-3)  

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TEXT:加納亨介
フィアットの新しい超小型EVシティコミューターは、その名も「トポリーノ」

フィアットは5月31日、超小型のEVシティコミューター「トポリーノ」を発表した。ハツカネズミを意味するこのネーミングは、初代フィアット500の愛称を継承したものだ。1936年から1955年まで販売された初代“トポリーノ”は、小さいながらも発売当時としては先進的なメカニズムを持ち、大きな商業的成功を収めたモデルだった。新しい超小型EVに与える名としてこれに勝るものもないだろう。 一方で顔つきは、今も世界中にファンの多い2代目フィアット500をオマージュしている。発売前から成功を約束された生まれつきといえる。 公式発表では触れられていないが、同じステランティスグループの一員であるシトロエンの「アミ」やオペルの「ロックスe」の兄弟車と思われる。参考までにアミのスペックを拾うと、全長2,410mm、全幅1,390mm、全高1,520mm、ホイールベース1,728mmで乗車定員は2名。日本の軽自動車と比べて全長で約1m短く、全幅も約10cm狭い(軽自動車規格:全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)。2人乗りシティコミューターとして思い出すスズキ・ツインと比べても30cm以上短い。 (シトロエン・アミ) 車量485kgを走らせるモーターは最高出力8.2hp、リチウムイオン・バッテリーの容量は5.5kWhで航続距離は75kmとされる。充電は交流の普通充電のみで、欧州規格の220Vのコンセントを用いてほぼ空の状態から約4時間で満充電となる。おそらくトポリーノもこれに準ずるはずだ。 欧州のクワドリシクル規格 石材主体の街並みは戦禍に強く、中世そのままのような細い街路が多く残ることと関係しているのだろう、欧州ではこうした超小型車のジャンルが確立されており「クワドリシクル」という規格も定められている。彼の地には小さなクルマを道路の進行方向と直角に駐車する習慣があるが、その主役たちである。クワドリシクルはフランスなら14歳以上、他のヨーロッパの多くの国でも16歳以上(77歳以下)であれば運転免許を必要としないない(講習は必要)。ただし最高速度は45km/h以下と規定され、高速道路を走ることはできない。必然的にこのジャンルのクルマは若者が主なターゲットとなり、シトロエン・アミでもスマートフォンとの連携が強化されている。 気になる価格は発表されていないが、ステランティス製クワドリシクル兄弟の価格はエントリーグレードでおおむね1万ユーロがスタートライン。昨今の円安のせいもあるが邦貨だと150万円に迫り、激安というわけではない。それでもアミは2020年4月の発売以来、欧州11ヵ国で販売されており、この3年ほどで3万5000台以上を販売しているという。 日本でも便利なはずだが…… フィアットはトポリーノについて「新鮮なモビリティ・ソリューションを求める人々に最適で、誰もが利用できる都市型の持続可能なモビリティ・ソリューションを提供する」と表現する。エアコン装着可否など懸念点はあるが、日本市場への導入も期待したいところだ。 最小回転半径3.6mの取り回し性は街中で魅力的だし、そもそも世の自動車の多くは1人で乗られ、平均乗車人数は2人に遠く及ばないという集計もある。2人乗り超小型シティコミューターは、地球環境保護が叫ばれる現代にとても有望なジャンルと思われる。 しかしこれが、日本においてはテイクオフしそうでしない。2003年に登場したスズキ・ツインは3年余りで約1万台の販売に留まり、後継モデルは出なかった。近年ではトヨタC+podがあるが、企業・自治体向け限定ということもあり見かけることは少ない。 規格体系のほうはすでに出来ている。国土交通省は「超小型モビリティ」の規格を制定済みで、少なくともサイズやパワー、最高速度の限りにおいてフィアット・トポリーノは合致している。果たしてその日は来るだろうか。やっぱり高速に乗れないとダメだろうか。

TAG: #コンパクトカー #トポリーノ
TEXT:加納亨介
東京湾岸地区にヒョンデの新拠点がオープン―Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲―

ヒョンデはオートバックス・グループのフラッグシップ店舗「A PITオートバックス東雲」内に、同社のZEV※を体験できるスペース「Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲」を2023年5月20日(土)にオープンした。 ※ZEV(Zero Emission Vehicle):走行時に⼆酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)の総称 購入相談から納車、アフターサポートまで一貫体制 Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲では、ヒョンデが展開する電気自動車(EV)「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」を展示し、燃料電池自動車(FCEV)「NEXO(ネッソ)」を含めた同社製品の説明とオンライン購入に向けた相談サービスを受けることができる。期間限定だが試乗も可能で、納車用に専用デリバリースポットも用意される。 ヒョンデとA PITオートバックス東雲はZEV整備について技術提携を結んでおり、点検整備・保証整備等のメインテナンスを実施可能とすることで、顧客にアフターサポートを提供する体制を確立している。 A PITオートバックス東雲は一般的なカー用品の販売/取付に留まらず、アウトドアグッズやアパレル、書籍・雑貨などを有機的に融合させた店舗で、カーライフスタイルの新提案に注力したスペースを展開している。また、チューニングやセッティングなどでも定評があり、カーマニアの間でも一定の存在感を持つから、新たな客層へ向けたヒョンデ体験の場としても絶好の立地といえるのではないか。 なお、オープン記念として5月20日(土)、21日(日)に試乗会が開催される。同社のWEBで要予約。 拠点拡充へ邁進中 テスラなどと同様にヒョンデ車の購入はWEBで完結する。しかし自動車である以上メインテナンス拠点は欠かせないため、ヒョンデは直営の「ヒョンデ・カスタマー・エクスペリエンス・センター横浜」に加え、全国から選ばれた整備工場と協力関係を結んだ「協力整備拠点」を設定している。Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲はこの「協力整備拠点」にあたり、オートバックス・グループとの協業拠点としてはHyundai Mobility Lounge 京都四条に続く2店舗目となる。なお、ヒョンデの全整備拠点は同社のWEBで確認することができる。 他に都市型ショールームとして「ヒョンデ・シティストア」が名古屋と福岡に開設されており、販売促進に向けた拠点充実も進んでいる。 ヒョンデ × オートバックスに期待 EV進出を機に日本に参入したメーカーは、ヒョンデの他にテスラ、BYDなどがある。いずれもディーラー網を持っていないため、整備ネットワークの拡充が課題であった。この面で500店舗に迫るネットワークを持つオートバックスとの連携は有効な手段となりえる。ヒョンデは今後、全国のオートバックス店舗へ展開していくことを検討中という。ベンチャー系EVメーカーの参入は今後も続くだろうから、新しいモビリティ企業の発展に繋がるモデルケースになりそうだ。   <Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲について> 名称:Hyundai Mobility Lounge 東京ベイ東雲 住所地:東京都江東区東雲2-7-20(A PIT AUTOBACSKYOTOSHINONOME内)※駐車場あり 開店日:2023年5月20日(土) 営業時間:10時~20時 定休日: 不定休 運営会社:株式会社オートバックスセブン   <A PIT AUTOBACS SHINONOMEについて> […]

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EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(後編)」アンケート 結果発表(最終回)

EVオーナーアンケート結果発表の最終回は、「EVの良いところ/悪いところ」に関するコメントを拾ってみた。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 良いところ 第3回で「次もまたEVを買う」という方が9割近くを占めるという結果を報告した。いわゆるアーリーアダプターにとっても、EVは一度乗ったらハイブリッド車やICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)には戻れないもののようだ。 上のグラフは「ご自身が所有するEVの気に入っているところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。114名の回答者のうちほとんどの方が出足や加速の良さなど動力性能を挙げている。フリーコメントを拾っていく。 「初動からダイレクト感が素晴らしく、回生モードだとアクセル、ブレーキがワンペダルで運転できる点が楽でいい」(東京都:BMW・i4) 「アクセルだけでの回生ブレーキによる減速操作」(東京都:VW・ID.4) 「とにかく上質な加速フィールと、回生ブレーキを使った(ほぼ)ワンペダル走行は良いです」(群馬県:日産・サクラ) 「加減速の操作感は圧倒的に電気が秀でる」(東京都:BMW・i4) 古典的なクルママニアの一部にはEVを毛嫌いする風潮が根強く残るが、リニアな加減速フィールはドライビングの悦びに直結することは間違いない。加減速をアクセルだけで済ます「ワンペダル」も、ICE時代にはなかったにもかかわらず好評を持って迎えられているようだ。 僅差の次点は静粛性だが、こちらも動力性能と合わせて言及されることが多かった。 「トルクフルな走りで静粛性の高いところ」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) 「速い・スムーズ・静か」(群馬県:テスラ・モデル3) たしかに大型のEVに乗ると、V12エンジンを積んだ超高級ICEサルーンのような静粛性と大トルクを味わうことができる。重量物であるバッテリーは床下にあり低重心にも寄与するから乗り心地も良い。 3位は「自宅で充電できること」。ICE時代は当たり前だった「ガソリンスタンドに寄る」という行為は、言われてみればたしかに無駄骨である。地域によっては燃料補給のためだけに往復数十kmも走らねばならないことだってある。 「ガソリンスタンドに行かなくていいのが凄く便利」(奈良県:テスラ・モデル3) しかし思わぬ罠もある。 「オイル交換やガソリンスタンドに行かなくて良いので楽。その分空気圧など日常点検を自分で行う必要がある」(千葉県:テスラ・モデルX) ガソリンスタンドがタダで貸してくれるあのエアポンプ、公共充電施設にも必要かもしれない。 「その他」では、どっしりとした乗り心地など快適性に関する記述が目立ったが、ガソリン臭くない、エンジンをかけなくても冷暖房が使える、メインテナンスがラクなどの声もあった。オイル交換と無縁なEVは、家電のように「使いっぱなし」が当たり前なのだ。 悪いところ 上の表は「ご自身が所有するEVについて、改善してほしいところを教えてください」の結果である(選択式/複数回答可)。最多得票は「気温が低いと航続距離が短くなる」であった。そもそもの「航続距離が短い」と合わせると、1充電の走行可能距離については多くの方から指摘されていることになる。 「強いて言えば冬の長距離は航続距離が落ちるところが気に入らないところです」(神奈川県:BMW・i4) 「厳寒時の電費が不満。急速充電もバッテリー温度が低いと15kw/hくらいしかでない。バッテリーコンディショナー欲しい」(群馬県:日産・サクラ) ICE時代は季節的なエンジン性能差など事実上なかったが、EVは外気温によるバッテリーの性能劣化を多分に意識させられる。加えてEVではヒーターの熱源も電気だ。陽が短ければヘッドライトなど灯火類の使用時間も増える。冬が辛いのはEVにとって運命的なものといえる。一方で、 「冬季充電施設の除雪をキチンとしてほしい」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) という意見もあった。充電施設は基本的に無人だから、小さそうで大きな問題である。なお、充電関連については第6回でも取り上げているのでそちらも参照されたい。 「車両価格が高い」「購入できる車種の選択肢が少ない」は、現時点ではどうしようもない。ただしメーカー各社はICEよりEVの開発に多く投資しているようだから、こちらは時が解決してくれるのではないか。 「その他」では、バッテリーの経年劣化について心配する声が多かった。 「SDGs的には長期保有が望ましいが、バッテリーの劣化という致命的な問題が付き纏う。調べれば調べるほどバッテリー劣化は避けられない運命です。短期所有で乗り換えを繰り返す人は気にしていないだろうが、長期保有する人ほどリスクを負う構造は知っておいた方がいい」(神奈川県:ヒョンデ・アイオニック5) この方は「買い替えは10年以上先」とお考えで、そうした時間軸ではEVはまだ重大な問題を抱えているといえる。 「まだわからないが、電池が劣化した時の電池交換の値段、もしくは下取り価格が不安」(埼玉県:日産・サクラ) 「走行用バッテリー交換のサポートの拡充。リーフは結局ディーラーが断り続けて交換出来ませんでした。北国では全くおすすめ出来ません」(宮城県:ボルボ・C40 Recharge) バッテリーの劣化で早々に車両そのものを買い替える、というのではちっとも環境に優しくない。バッテリー劣化度合いの公的基準(ボディ修復歴のような)と、中古車市場における表示義務の確立が急がれる。一方のメーカーはリーズナブルなバッテリー交換を目指さねばならない。 以上、掲載しきれないコメントもまだたくさんいただいているが、EVオーナーアンケート結果報告は今回で終了となる。基本的にアーリーアダプターならではの悦びに溢れていて我々も嬉しかったが、充電関連を中心に哀しみも少なくなかった。ただ、いまや自動車メーカーの開発資源はEVに多く振り向けられているし、関係諸官庁もEV時代に向けた環境整備に本腰を入れている。EVが当たり前の時代はもうすぐそこまで来ている、というのが集計作業を経た今の実感だ。

TAG: #C40 #i4 #ID4 #アイオニック5 #サクラ #モデル3
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「フリーコメント集(前編)」アンケート 結果発表(第6回)

THE EV TIMESで行ったEVオーナーアンケート。選択式項目の集計結果は別ページにまとめられているが、ここでは記述式項目のコメントを集めてみた。前編のテーマは「充電事情」。予想通り、オーナーの不満は小さくなかった。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件 EV普及への最大のネックは、言わずもがなの充電事情である。質問16「充電環境にご意見があれば教えてください」に何らかの記述をくださった91名のうち、はっきりと「不満なし」を表明しているのは3名のみだった。 公共的な充電設備がガソリンスタンドに比べて著しく少ない現状では、自宅に充電設備がないとICE(内燃機関、ガソリン車やディーゼル車)のようには使えないと思われ、実際、約8割の方がその設備を備えていた。自宅充電の出来ない2割の方のうち約8割は集合住宅にお住まいで、つまり自らの意思で充電設備を設置できないと想像できる方々であった。「充電環境にご意見があれば教えてください」「EV購入を検討している人にアドバイス」といった記述式項目からコメントを拾っていく。 「商業施設や集合住宅に普通充電器を普及させるのが急務だと思う。自宅充電可能で1日の走行距離が100km以下だと迷わず購入して問題無いと思います」(大阪府:テスラ・モデル3) 「いまのところZESP3(編集部注:日産の充電サービス)でまかなっていますが、やはり自宅充電環境がほしい。集合住宅でも導入できるようなソリューションが広がることを期待しています」(静岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「現状は自宅充電が必須です」(北海道:テスラ・モデルX) 「自宅で充電環境を整えられる人は買って問題ないです。逆に無理なら積極的にお勧めしません。でも急速充電器だけでも運用は可能です」(福岡県:ヒョンデ・アイオニック5) 「既設マンションへの6kW充電器普及を法律・条例で推めてほしい」(愛知県:テスラ・モデル3) など、充電拠点増加への期待が窺われる。むろん国や自治体のバックアップも必要になるだろう。 充電設備そのものへの意見としては、 「現状のチャデモの低性能さやUX(ユーザー・エクスペリエンス)の低さをなんとかして欲しい」(神奈川県:テスラ・モデル3) 「チャデモ充電器が使い辛い。20kWは実用的ではない、50kWは必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 「UI/UXはテスラが最も優れていると思うので真似して欲しい」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) など、急速充電への意見が目立つ一方で 「日常の行動範囲に普通充電器が普及すれば急速充電はそれほど必要なくなる」(神奈川県:テスラ・モデルY) と、普通充電への期待もあった。急速充電はバッテリー保護のため“満タン”には事実上できないため、ショッピングや宿泊など出先での時間を使って普通充電できれば、その方がむしろ便利とも言える。 「充電器の使用順を決めるシステムが必要。整理券を出して欲しい。終わっても帰ってこない場合テスラのような罰金を」(不明:日産・リーフ) 「充電量に応じた金額にして欲しい。2口の急速充電は課題の解決にはならない」(福岡県:プジョー・e-2008) 「24H使用できる普通充電がほぼない」(神奈川県:日産・サクラ) 「支払い方式の互換性の完全確立」(大阪府:プジョー・e-2008) あたりは、EVの周辺環境がまだまだ過渡期の混乱の中にあることを示している。 ちなみに、自宅充電設備を持たない方の中で、その必要性を感じないという意見は「集合住宅でも都内は十分に運用可能です」(東京都:テスラ・モデルY)の1名のみであった。都内も23区内に限れば使用範囲も広くなく、走行距離も伸びないはずだから、ICEと同レベルの運用をしやすいかもしれない。 わずかだが充電設備の故障についての言及もあった。確かに「ガソリンスタンドが故障して給油できなかった」という話は聞かない。たとえ故障していたとしても、ある程度人口のまとまった地域ならさほど走らずとも別のガソリンスタンドがあるだろう。 「急速充電器の故障が事前に分かる仕組みが必要」(兵庫県:テスラ・モデル3) 充電器故障情報は、今のところWEB上の口コミに頼るしかないようだ。機器に内包された故障検知システムが必要と思われる。また、新規で設置時は補助金が出るが、修理には補助金がでないことも充電器の故障を修理しづらい原因となっているようなので、修理やメインテナンスにも補助金が出るといいのかもしれない。 充電環境に関するまとめとして、フォルクスワーゲン・ID4オーナーのコメントを紹介させていただく。 「経路充電(急速充電器)の充実と目的地充電(普通充電器)の充実を希望」(神奈川県:フォルクスワーゲン・ID4) この方は自宅に3kWの普通充電設備をお持ちだ。自宅で満充電して出発、目的地での滞在時間中に普通充電、足りなければルート上で急速充電、というのが理想であろう。というよりこれがEV社会の当たり前の姿だと思われる。果たしていつ頃実現されるだろうか。今のところ、日本は他の先進国から大きく後れを取りそうな気配だ。 フリーコメント集(前編)は以上です。後編では「EVの良いところ/悪いところ」についてお伝えします。

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TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態。「次もまたEV買いますか?」アンケート 結果発表(第3回)

THE EV TIMESのオープンに合わせ本年2月末まで実施していたEVオーナーアンケート。114名の皆様から回答をいただきました。誠にありがとうございました。 結果報告の第3回目は「V2Hと並行所有車」についてです。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件   第3回テーマ:V2Hと並行所有車 「ご自宅にV2H機器はありますか」 ・普及はまだ先か? 「ない」が圧倒的だった。V2H機器は高価で、補助金を得た上でなお50万円ほどかかる。補助金の2023年度予算もEVの700億円に対し50億円と少なく、すぐ上限に達してしまいそうで、爆発的な普及はまだ見えてこない。 「EV以外に所有しているクルマはありますか(複数回答可)」 ・並行所有ありが4割強 並行所有なしが最多だが、4割強の方は他にもクルマをお持ちだ。最多はICEで、ハイブリッド系を大きく引き離す結果となった。ただ、現在の新車販売比率を勘案すればICEが駆逐されていくことは間違いないと思われる。メーカー別ではトヨタと日産が11台で並んだ。日産はアンケートの主題である現所有EVでもテスラに次いで多かったから、EV購入以前からのディーラーとのつながりが影響しているのかもしれない。 「EVと入れ替えで手放した前の所有車種を教えてください」 ・回答数98のうち、EVからの買い替えが8名 フリーコメント形式の質問。メーカー別で集計するとトップはトヨタで20、日産14、マツダ10、BMW7と続いた。EVからEVへの買い替えという方も8名いらっしゃった。グレードを書いていない回答もあるからはっきりとは言えないが、HEVやPHEVからの買い替えを含めると17名にのぼる。 「次もまたEVを買いますか」 ・一度乗ったらやめられない!? 次もEVという方が圧倒的多数を占めた。経済性や快適性、リニアなドライブフィールに対する好評価と言えるだろう。「買わない」より「どちらとも言えない」が多いあたりは、充電をはじめとする未来のEV環境の不透明さを窺わせる。 「買うと答えたの方で検討中の車種があれば、車種名を教えてください」 ・BYD見参 フリーコメント形式の質問。次もEVを買うとお答えの101名のうち、車名を示してくれた方は71名であった。メーカー別のトップはテスラで37、次いで日産17、大きく離れてBYD 4と続いた。当アンケートではテスラにお乗りの方が4割近くを占めるから、その影響も大きいだろう。実際、テスラにお乗りの方はテスラを、日産にお乗りの方は日産を挙げる方が多かった。買い替えの際の第一候補として現所有車のメーカーは強いのだ。その点、日産以外の国産メーカーは小さくないハンデを負っていると言わざるを得ない。トヨタはレクサスと合わせてもやっと4票で、BYDと同数にとどまった。 第3回目は以上です。次回は「EV所有台数上位3車種の利用傾向」についてお伝えします。  

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TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態を探る。補助金は? 利用シーンは? アンケート 結果発表(第2回)

THE EV TIMESのオープンに合わせ本年2月末まで実施していたEVオーナーアンケート。114名の皆様から回答をいただきました。誠にありがとうございました。 結果報告の第2回目は「補助金とEV利用シーン」についてです。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件   第2回テーマ:補助金と利用シーン 「EV購入時に補助金をいくら受け取りましたか」 ・意外に多い「もらっていない」 金額のばらつきは車両価格や購入のタイミング、またはお住まいの地域によるものだろう。補助金は新車/中古車いずれの場合でも支給されるはずだが、16.7%の方はもらっていなかった。もらわない理由についてのコメントは見当たらなかったが、補助金をもらうと4年間は買い換えられない(買い換えると返金の手続きが必要)いわゆる”4年縛り”の影響と思われる。また「補助金についてご意見があれば教えてください」としてフリーコメントを聞いている。高評価が多いのは当然ながら、一方で「地方自治体により差があるのはおかしい」「支給までに時間がかかる」「輸入車と差をつけるべき」「4年縛りは無くしてほしい」「車両補助金を減らしてでも充電器設置へ向けた補助金を増やしてほしい」「補助金よりも税金等の負担減を」などの声があった。 「補助金がなければEVを買いませんでしたか」 ・EV普及に補助金は関係ない? 過半数の方が補助金などなくともEVを買うという勇ましい結果になった。経済面ばかりでなく、スムーズなドライブフィールや静粛性、重い車重による重厚な乗り心地などEVならではの乗り味に対する期待が窺われる。 「普段最もよくEVを使うシーンを教えてください」 ・毎日乗る方が多い模様 おそらく毎日であろう「通勤」が、毎日ではないであろう「レジャー・旅行」を退けてトップに立った。充電器のある職場はまだ稀なはずなので、自宅充電が必須と思われる。実際、今回のアンケートでは78.1%の方が自宅に充電環境を整えていた。ドライブなど明らかに仕事絡みではないと思われる回答は2名に過ぎなかった。 「月間の平均走行距離を教えてください」 ・ICEと変わらない ICEとハイブリッド車が調査対象の95%以上を占めるソニー損保の「全国カーライフ実態調査」によれば、日本の自動車ユーザーの年間走行距離は平均で6,727km。月にして約560kmとなっている。我々のアンケートと照らし合わせると、走行距離の少ないユーザーがEVを選んでいるわけではないことがわかる。 「EVで一番の遠出をした際の片道の距離を教えてください」 ・長距離を厭わない姿勢 選択肢の中で最も長い「400km以上」が最多得票となった。EVの航続距離は日進月歩だが、これはほとんどのEVにとって満充電出発でも厳しい距離と思われる。事前に公共充電施設の場所を調べ、行程を決定しておくというICEでは必要ない準備が必要だろう。2位の「100〜200km」でも目的地充電を勘案しなければならない。公共充電施設の拡充は急務といえる。 第2回目は以上です。次回は「V2Hと並行所有車」についてお伝えします。  

TAG: #航続距離 #補助金 #読者アンケート
TEXT:加納亨介
「EV整備ネットワーク」の構築へ。ナルネットコミュニケーションズと日本自動車車体補修協会が新興EVメーカーをフォロー、EV特化型のメインテナンスパックも開発

自動車整備受託のリーディングカンパニーと、行政公官庁とのパイプを持つ社団法人とのタッグ ナルネットコミュニケーションズは、日本自動車車体補修協会(JARWA)と共同でEVメインテナンスに対応できる整備工場のネットワーク構築に乗り出す。 同社はオートリース会社などから自動車の整備・管理を受託する企業で、この分野のリーディングカンパニー。国内で約10,500ヶ所の整備工場ネットワークを持ち、部品交換時期などの整備情報をデータベース化して一元的に管理している。 一方の日本自動車車体補修協会は「自動車車体補修における信頼性の確保」を目的とする一般社団法人で、国内自動車メーカー8社や溶接機メーカーなどのほか、内外の新興EVメーカーも多く加盟している。近年はスキャンツールを使用した自動運転関連整備(エーミング)や、新興メーカーのアフターサービス網構築支援で存在感を増すなど、変革期の自動車整備に独自のノウハウを持つ。 この両者が手を取り合うことで、EVのメインテナンスに長けた整備工場ネットワークを作り上げる。具体的には、専用工具を使ったEV整備ノウハウや高電圧の扱いなどの技術情報、車種ごとの固有情報などを提供し、整備工場のEV対応を促進させる。構築されたネットワークは、新興EVメーカー相乗りの整備ネットワークとして利用されることを想定している。 同時に、EVに特化したメインテナンスパックの開発も進める。行政公官庁と連携し、ICE車とは視点の異なる点検・整備項目を設定する。新興EVメーカーとも協調し、多様な駆動システムを持つさまざまなEVに対して普遍的なメインテナンスパックを全国一律で提供する。 EV整備ネットワークとEV特化型メインテナンスパック。どちらも来るべきEV時代に欠かせない社会資本的存在といえ、EVユーザーの利便性向上に貢献するはずだ。 EV普及の足枷は充電環境だけじゃない 承知の通り、日本は先進諸国と比較してEVの普及が遅れている。原因としてよく挙げられるのは充電拠点数の少なさだが、ユーザーにとっては購入後のメインテナンス体制も同じくらい気になるところなのである。   EVが当たり前になる時代ももうすぐと思われ、それにともないHWエレクトロ、フォロフライ、EVモーターズジャパンなど、これまでクルマを作ったことのないEV専門新興メーカーの参入も増えてきた。正規ディーラーネットワークを構築済みの既存自動車メーカーと異なり、これら新興EVメーカーの多くは自前の整備ネットワークを持たない場合が多いことから、アフターサービス網作りへのフォローが待たれていた。   ナルネットコミュニケーションズと日本自動車車体補修協会が行う「EV整備ネットワーク」構築への取り組みは、この問題の解消に向けた大きな一歩といえる。

TAG: #自動車整備
TEXT:加納亨介
EVオーナー114人の本音と実態を探る。どこに住み、何に乗っているのか。アンケート 結果発表(第1回)

THE EV TIMESのオープンに合わせ本年2月末まで実施していたEVオーナーアンケートには、114通の回答を頂きました。ありがとうございました。 実際にEVを購入し使っていらっしゃるオーナーの皆様からの意見には、我々も新たな気づきや勉強させられることも多く、大変参考になりました。皆様からの声に応えるべく、お役に立てるようなニュース情報の発信や試乗記制作に繋げて参ります。 頂いた貴重なご回答を極力余すことなくお伝えしたく、複数回に渡るアンケートレポートとなりますが、どうかお付き合いください。第1回目は主に選択式の設問を集計し、回答者の基本的な属性をご報告します。 【アンケート概要】 調査対象:EVオーナー 調査方法:インターネット 調査実施期間:2023年1月12日〜2023年2月28日 アンケート回収状況:114件   第1回テーマ:車種とお住まいの形態 「現在お乗りのEVの車種を教えてください」 ・テスラ強し。ただし“クルマ好き”バイアスも? 回答者がお乗りのEV全114台のうち、メーカー別ではテスラが43台と4割近くを占めた。テスラは販売台数を公表していないが、日本においても大きな勢力であることが窺われる。次点は日産の31台。ただし、販売台数が圧倒的に多いと思われる日産リーフに対し昨年発売されたばかりのヒョンデIONIQ5が肉薄しているあたり、上記台数は自動車媒体に熱心にアクセスする層に偏っているだろうことが想像できる。 「ご職業を教えてください」 ・経営者比率高め。 EVオーナーに限定した今回のアンケート回答者を職業別にみてみると、55.3%が会社員、16.7%が経営者・役員、12.3%が自営業・自由業という結果となった。日本全体では経営者・役員は4%ほどだから、EVオーナーでは飛び抜けて多いことになる。 「お住まいの都道府県を教えてください」 ・首都圏および主要都市に在住 東京都が17.3%、神奈川県は11.8%、埼玉県9.1%、千葉県8.2%と、首都圏の1都3県で全体の約半数を占める結果となった。大阪府、愛知県においても8.2%、6.4%の結果が出ており、EVオーナーは主要都市に多いことがわかる。逆に東北地方など寒冷な地域では少ない傾向がみられる。EVのバッテリーの特性上、気温が低い条件下ではエネルギー効率が低下してしまうことが課題となるからだろう。 「お住まいの世帯の人数を教えてください」 ・単身世帯は少ない   世帯人数についても尋ねたところ、9割以上が一般世帯(複数人同居)で利用されていることがわかる。2020年の国勢調査によれば、日本の総世帯に占める単身世帯の割合は38%と、多くの単身者がいるにも関わらず、EVオーナーはそれらの傾向とは異なる傾向があるようだ。 「利用の本拠の形態を教えてください」 ・一戸建てが多い 総務省の調査によれば、住宅の一戸建て比率は54%程度なので、EVユーザーは一戸建てに住む比率が有意に高いことがわかる。公共充電施設の少ない現状では自宅充電の重要度がまだ高く、マンションなど集合住宅における充電器設置の難しさを表しているといえるだろう。   「ご自宅に充電器はありますか」 ・住居形態に符号 一戸建てか集合住宅か、の質問とほぼ符号する結果となった。一戸建てだが自宅充電器はなしが4名、集合住宅だが充電設備のある方は6名であった。加えて、自宅充電器のスペックもフリーコメントで聞いた。書き方にムラがあり正確にはわからないが、おおむね7割ほどの方が3kWのようだ。テスラユーザー43名のうち「テスラ・ウォールコネクター」(純正充電器)と明記していたのは6名であった。   第1回目は以上です。次回は「補助金と利用シーン」についてお伝えします。  

TAG: #読者アンケート #調査
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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